先日、センターラインをオーバーしてきた側の助手席の男性が死亡した自動車事故で、直進してきた対向車側にも損害賠償責任があるとする判決が出されネットでも大きな話題になっています。

「もらい事故」でも賠償責任負う訳 無過失証明できなければ責任あり
「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない

助手席で亡くなった方が所有する自動車を他人が運転していて、その運転手が居眠り運転でセンターラインをオーバーし対向車と衝突したというのが記事から読み取れる事故状況です。
そして、亡くなった方の任意保険は運転者条件に反して補償されないこと、さらに自分の車だから自賠責保険でも補償されないので、遺族が対向車の責任を追及したとのことです。

記事の内容だけでは事故状況や判決の詳細はわかりませんが、一般的にセンターラインオーバーの事故の過失割合は、対向車に著しい過失でもない限り、センターラインをオーバーした側の一方的な過失割合(100%)となります。
相手の車がセンターラインオーバーを予期すべき注意義務もありません。状況次第では回避できない事故です。

一方、対人事故では自動車損害賠償保障法(自賠法)で、被害者保護の観点から加害者側に以下の3要件を満たさない限り賠償責任を免れないとされています。

①自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
②被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと
③自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したとき

この立証責任は加害者側にあり、とても高いハードルとなっているので自動車の対人賠償責任は実質的には無過失責任ともいわれています。
責任を免れるためには、①②は目撃者等の証明があれば立証できるかもしれません。最近ではドライブレコーダーを使っている人も増えていますが、事故の時の映像が残っていれば有効です。
③については、整備点検記録が有効ですが、事故で大破した時などは事故直前の車に欠陥や障害がなかったことをを立証するのはかなり困難です。
このようにこれらの要件をクリアするのはかなりハードルが高いことです。
この自賠法で定められた厳しい規定が、今回の事故の判決の判断の基になっているのです。


また、この事故では民法の共同不法行為責任も絡んでいます。
今回の判決では、亡くなった方は自分で運転していたわけではないので事故の当事者ではなく第三者の被害者と判断されたのだと思われます。
これは亡くなられた被害者が、たまたま近くにいて事故に巻き込まれた歩行者だった場合と同じということです。
共同不法行為となると、過失がごくわずかであっても第三者に対しては100%の責任を負わなければなりません。

自賠法、民法から導き出された判決だと思いますが、通常走行していた対向車の運転手には酷な判決です。
もし、この事故の被害者が通常の走行をしていた対向車の運転手だった場合には、逆に亡くなられた方は運転手でなくても自動車の所有者として運行責任を追う立場となり、任意保険が補償されなくても100%の過失責任を負うことになるでしょう。
同じ事故で、亡くなった人(被害者)がどちらであっても加害者に過失が発生するという結果になるのは疑問です。
この事故は、自賠法の想定外の事故といえるのかもしれません。
今後さらに上級審で争われることになるのだと思いますが、どのように決着するのか気になります。

そもそもこの事故では、居眠り運転をしてしまった運転手に大きな過失があったことは間違いありません。この判決によって居眠り運転をした運転手が責任を免れるということでもありません。
任意保険の運転者限定には最新の注意が必要です。
また、他人の車を運転する場合には、自分や家族の自動車保険の他車運転特約が利用できます。自分の車がなければドライバー保険や1日だけの自動車保険などを活用して万一の事故に備えることを忘れないようにしたいものです。
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自転車保険を義務化?

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自転車と歩行者の事故が増えているとして、井戸敏三・兵庫県知事は20日、自転車の購入者に自転車保険の加入を義務づける条例案を来年2月にも県議会に提案すると表明した。県によると、自転車保険加入の義務化は全国初という。(朝日新聞社記事より抜粋)


年間1500~2千円程度の保険料で、事故でけがをさせた相手に払う賠償金を補償する自転車保険って・・・

安いように思われるかもしれないが、かなり高額な保険料です。
補償の詳しい内容までわかりませんが、自転車事故の対人賠償の補償で、1台につき毎年この保険に加入するとしたらかなり暴利です。
兵庫県の自転車登録台数は約324万5千台(平成25年(財)自転車産業調査)だそうですから、約5~6億円の保険料が集まる計算です。
先ごろ9500万円という判決が出ましたが、1年に何度も起きる事故ではありません。

すでに自動車保険や火災保険の個人賠償責任補償特約で加入している人も多いと思いますが、1億円から2億円の補償で年間800円~1500円程度。
クレジットカードにもついていたりする保険です。
兵庫県のアンケート調査では加入率24%となっていますが、実は加入していることも忘れている人も多い保険でもあります。
賃貸住宅に住んでいる人は、加入が条件となっている火災保険にたいていこの特約がついています。

この特約なら、一家に何台の自転車があってもこの特約一つだけで補償されます。同居している家族全員が補償の対象です。
また、人身事故だけでなく物損事故も補償します。
自転車事故に限らず日常生活に関わる様々な賠償事故に対して補償しますから、ペットが他人に咬みついたり、キャッチボールをしていた子どもが誤って人にボールをぶつけたり、買いもの中に誤ってお店の商品を壊してしまったり…
様々な賠償を補償します。

保険を義務付けることに反対というわけではありませんが、高額賠償事故が発生しているから保険を義務化という政策の発想は浅はかです。
保険が普及するとモラルは低下する傾向にあります。
保険に入っているから事故っても大丈夫だという心理が働きます。
自転車運転のルールやマナーをきっちり守らせる努力はまだまだ足らないと思います。

また行政が民事上の問題に対して強制するのもいかがなものか・・・
他にも考え出したらきりがない話です。
ペットを飼っている人にもペットによる咬みつき賠償保険を義務化とか・・・
意識の高い人は、すでに保険に入っている人も多いのです。
すでに加入している保険との重複関係はどうするのでしょうか?
すでにある保険を普及させる努力はほとんどしていない状況です。

自賠責のように人身事故の最低限の補償を義務化するのであれば、現在の自転車向け賠償責任保険を上乗せ任意保険にして、行政としてしっかりした保障制度を構築するべきです。
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季節の変わり目です

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3月になり春の足音が聞こえてくる季節になりましたが、インフルエンザが流行っているようで、油断してしまいました叫び

仕事を休み時間ができたので、久々のブログです^^;

この季節は、高校を卒業するお子さんが自動車免許を取得して車の運転を始めることになるという家庭も多くなります。

子ども専用の自動車を購入する場合もあれば、親の自動車を子どもが運転することになるということで、それに合わせて自動車保険に加入したり契約内容を変更したりすることになります。
20歳以下の人が運転するするということになると保険料は場合によっては何倍になることもあります叫び


そこで、一般的な個人の自動車保険の制度には、親が自動車保険に加入していて新たに同居している子どもの自動車保険を契約をする場合には保険料を節約できるテクニックがあります。
新たに子ども用に自動車を購入する場合には、子どもが運転する自動車に親が加入している自動車保険を利用でき、親の自動車保険の等級が高いほどメリットは大きくなります。
(親の契約が6等級以下ではメリットはありません)
例えば親の自動車保険が20等級であれば子どもの自動車保険に63%の割引を適用できます。
親は通常は6等級から開始になるところ、11等級以上の契約がある人が新たに自動車保険に加入する場合には複数所有新規契約として7等級からスタートできます。
また家族でまとめて契約することにより、多数割引を適用して保険料を分割払いとしても割増不要で月払い契約にでき、変更時の保険料は日割計算されるというメリットもあります。
さらに、弁護士費用や人身傷害の車外事故補償など、一家に1台の契約にだけ付けておけば良い特約や補償も重複しないようにすることで保険料の節約になります。


新しい自動車は購入せずに親の自動車を子どもが運転するようになるという場合には、現在の契約は年齢条件が親の年齢に合わせ運転者限定条件が付いている場合がありますので、変更手続きが必要となります。

変更する場合に気をつけたい落とし穴があります爆弾
年齢条件だけ変更し、うっかり運転者の条件変更を忘れてしまい、子どもが事故を起こした場合に保険がきかないなんてことにならないように気をつけることです注意

例えば35歳以上で運転者を夫婦のみに限定していた場合、年齢条件を年齢問わずに変更しただけでは、何の意味もありません。運転者の限定を家族限定とするか運転者限定を削除する必要があるのです。お子さんが友人など第3者に運転させてしまう危険性がある場合には、運転者限定は削除しておくことをお勧めします。

この間違いは、保険代理店でもうっかりやってしまった例もあるようです。
事故があってからでは、取り返しのつかない間違いです。
自動車保険では、特に運転者の範囲や年齢条件には十分に気をつけて契約(変更)手続きする必要があります。
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