今日はお朔日です。神社に詰めまして奏楽奉仕をしてまいりました。「夏祭が終われば夏も終わる」感覚に陥っておりましたが、やはり一番熱いのは八月ですね。大汗をかいてしまいました。

 思えば、先月(7月)は人生でも指折りの忙しさでありました。通常のお稽古に夏のビッグイベント・難波八阪神社夏祭、加えて自主公演でありました。忙しくも無事に乗り越える事が出来たのは、何より体調を崩さなかったことです。つくづく体調管理の難しさ、そして大切さを知りました。特に睡眠です。忙しくても睡眠をしっかり取らなければ必ず体調を崩します。夜眠れない時には15分でも30分でも昼寝をするだけでもかなり違います。この方法でこの夏を乗り切っていきたいと思います。七月に比べると八月は比較的にスケジュールに余裕があるので、ブログの更新もマメにしていきます。七月はサボりすぎでした。申し訳ございません。

 ところで、先日笛の掃除をしました。笛の中、ですね。笛を吹く方たちにお聞きしたいのは、笛の中の掃除をするのか?ということです。私は以前とある方に「笛の中は掃除をしてはならない」とお聞きしました。曰く、何でも息の道があるので、掃除をする事によってその道を崩してしまう、という理由です。実際、中の掃除をすると「息が滑る」感覚があって、私もあまり笛の中の掃除は勧めませんでした。が、今回試しに掃除をしてみると、実に良い感じなのですよ。今までが「息が引っ掛かっていた」事に気付きました。「滑る」どころか、良く息が入ってくれて気持ちが良いです。音色も良くなった感覚です。これからはマメに中の掃除をしようかな?と思うぐらいです。…私が勝手に考えているだけです。あくまで主観ですよ。

 先日のレッスンで、先生と「どういう笛が良いのか?」という話題から「目指す笛」「理想の笛」へと話が移っていきました。もちろん私の目標は先生に間違いは無いのですが、最近はそれが盲目的では無く色々な情報を入れ咀嚼する余裕が出てきたような気がします。これが歳を取るという事なのでしょうか?(笑)もちろん私も先生も年々笛が変わってきています。でもそれは変えようと思って変えたのでは無く自然な流れの中です。滅多なことで先生から指摘を受ける事は無く、ただただ色んな曲を吹くばかりです。ですが、笛が一番物語っている訳です。笛の表現はやはり笛でするのが一番自然なのでしょう。当り前と言えばそれまでですが、最近それがようやく気付いたような気がします。

 笛を吹くというのはあくまで自己表現ではありますが、私のような民間雅楽人の出来る芸などたかが知れています。「あなたの笛を聴いて感動して、涙が止まらなかった!」というようなお客さんとはまだ逢った事がありません(笑)。もちろん今後も逢わないでしょう。そこまでおこがましく思ってもおりません。私はその場の空気が、雰囲気が変わる、そこまでで雅楽の仕事は終わりだとも思っています。雅楽を聴くと背筋が伸びる、それだけで十分ですよ。そしてその精度を上げるために、毎日稽古に励むのです。稽古に終わりはありません。「俺って上手い?」と思った時にはそれが終わる瞬間なのでしょうが。