OO、DDDとスカンジナビア地方 | Ouobpo

OO、DDDとスカンジナビア地方

 先日紹介した『オブジェクトデザイン』出版のタイミングで著者Wirfs-Brock氏が来日していたのだが、光栄にも出版打ち上げの飲み会に参加させていただいた。そのときの様子は、著者のブログでも紹介されている。
http://www.wirfs-brock.com/2007/09/notes-from-my-japan-book-tour.html
Wirfs-Brock氏と話をした中でいくつか面白い話題を聞けたので、簡単にメモしておきたい。なお、私は英語がそんなに得意な訳ではないので、間違ったことを書いているかもしれない。その辺を差し引いて読んでいただきたい。

やっぱりU.S.ではOOがさかん?
 私は日本と英語圏とではオブジェクト指向に対して温度差があるのではないかと思っているので、U.S.のオブジェクト指向の大家であるWirfs-Brock氏にそのことを聞いてみたが、やはりU.S.ではオブジェクト指向は理解を得ているとのことだった。もちろん、OOの大家と取引のある顧客なら当然OOに理解がありそうなものだし、顧客にかなりバイアスがかかっていることも十分考えられる。また、OOと言ってもどんなレベルを指すのか曖昧ともいえる。それでも、OOの良さについて何の疑いもない話しぶりには、U.S.でのOOの評価を素直に信じさせるものがあった。

もっとすごいのはスカンジナビア地方
 面白かったのは次の話題。U.S.よりもOOがさかんなのは、スカンジナビア地方(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)だという。確かにOO発祥の地はノルウェーだし、最近ではJAOOという非常に評判のよい開発者カンファレンスがデンマークで開催されている。それにしても、U.S.がOOの本場というイメージがあったので、北欧の方がさかんだという話は感覚的に驚きだった。

DDDのEric Evansの顧客はスカンジナビアの企業ばっかり
 さらに面白かったのは次の話題。DDDのEric Evans氏はU.S.でDomain Languageというコンサルティング会社をやっているが、実際にはスカンジナビアでばっかり仕事をしているという。DDDの公式サイトには、ノルウェーの石油/ガス会社StatOil社の事例も出ていたりするので、確かに活躍のフィールドはあっちにありそう。

TDDは頭のいい開発者のためのもの
 最後に少し別の話題。RDDの提唱者であるWirfs-Brock氏は、TDDには懐疑的だった。TDD支持者はユーザの視点でクラスのインタフェースを設計できるからTDDがいいのだと主張するが、別にテストを書くだけがAPIを考える方法ではないだろうとのこと。何もないところからテストを先に書く(テストファースト)なんてのができるのは、あなたがスマートな開発者だからだ、と言っていた。TDDやXPでは、テストファーストが当たり前のことのように語られているが、実際にテストを書くのって難しいよな、と私も思っていたので、氏の意見を聞いてやっぱりなというのが感想。やはりテストパターンが必要なのだ。というわけで『xUnit Test Patterns』に期待。

Gerard Meszaros
xUnit Test Patterns: Refactoring Test Code (Addison Wesley Signature Series)