2005-11-15 04:31:33

「新ゴーマニズム宣言 戦争論」

テーマ:マンガ

本当は「2」も読んでからレビューをするべきなのかもしれませんが、量が量なのでとりあえず最初に出版されたこちらからご報告します。

まずはとにかく疲れました。凄く疲れる本だった。

僕は他人の思想とか主義とかいうものを読むのは嫌いだし、そういう人は決して少なくないと思います。

そういう意味では、この主義主張の塊のような作品を読むのは非常に難儀なことでした。

もちろん他者の良い部分から得られるものは吸収するに越したことはないのですが、主義なんてものの基本はあくまで自らの力で見出すべきだと僕は思っています。

まぁこれはあくまで前置きに過ぎない話なので、この辺で切り上げて早速内容の話に移ることにします。

出版されて7年が経つ現時点で、僕個人の感想としては大雑把に以下のようになります。

当然:10%

賛成:20%

反省:20%

反対:20%

誘導:30%

さらに大まかに言えば、大体賛成も反対も半々くらいということになります。

次にそれぞれを説明します


~・~・~・~・~・~・~・~


「当たり前」

例えば「戦争責任が敗戦国にだけあるのはおかしい」という主張について。

日本は侵略戦争を仕掛けたから悪であり、よって責任を負うべきなのではありません。

論理的に言えば敗戦国だけが責任を負うのは矛盾ですが、日本側が条件付けをしないことが条件の降伏なのですから仕方がありません。

条件が変われば当然この待遇の改善についての交渉の余地はあり、日米関係を例に挙げても戦後段階的に改善されてきました。

加えて言えば事実上先に「侵略」を行ったのは日本側であり、いかなる理由に因ろうともこれを正当化したり無かったことにすることは出来ないと考えます。

ただ侵略という手段に及んだ理由・原因については、きちんとした事実を研究して公表すべきと考えます。


「同感」

「与えられた情報や理屈のみで安易に過去の戦争を否定して済ませようとする人が多い」という主張について。

正しい戦争認識を持たなかったことは仕方ないにしても、せめて戦争の全貌を個人に出来る範囲で把握するのは大変難しいということだけでも理解しておく必要があると思います。

そうすれば、異なる主張を無下に却下することにもなりません。


「反省」

教科書に載っている写真すら捏造されたものがそのまま掲載されていたらしきことについて。

誤った情報を事実として認識し、疑いもせずにいたことは痛烈なる反省に値すると考えます。

「教科書」という、国家がその内容を保証した文献でよもやそのようなことがあるとは露ほども考えず、改めて自分の甘さを再認識しました。


「反対」

「戦争は悪ではなく政策なのだ」という主張について。

その政策が悪なのであり、また悪と認識されるべきと考えます。

地域社会において殺人がタブーなのと同様の理由です。

これはアジアにおいて欧米が先に植民政策を行おうと否定されることではありません。

決して「一つの命は地球よりも重い」なんていうおめでたい麗句を信じるほど、僕は脳天気ではありません。

社会における問題は社会を構成する他者との関係性の中で解決せねばならず、絶対的な価値が厳密に遂行されることはありません。

絶対評価において互いの行いが悪とされても、相対的な(第三者の客観としての)観点から事態が評価され、解決の糸口に結び付けられねばならないのが現実なのです。

国家という大きな権力に依存した生活の中では、ついついこういった原則が見失われがちです。


「誘導」

「悪人と言われても祖父達を守る」ためなのかどうかは知りませんが、推測をさも事実であるかのごとく記述している点が多々見られます。

盧溝橋事件についての記述はその一例です。

共産軍による謀略説は僕も承知していますが、未だ事実とされるには証拠が足りません。

それをあたかも事実であるかのように記述し、丁寧に「共産軍の動機」まで説明されています。

これでは自ら捏造写真やウソの証言と同じことをしているようなものです。

~・~・~・~・~・~・~・~

僕は物事とは結局は本来あるべき姿に落ち着くものであると考えます。誰に言われるでもない、元々自ら到った考え方です。

そうであるならば、そこに到る過程において余計な争いごとを避けるのが賢いやり方だと僕は考えます。

この作者は、もちろん部分的に非常に重要な示唆をしています。

しかし同時に読者を不必要に煽り立て、問題をこじれさせる要因をも作っています。

作中で作者はこう述べています。

「わしは善でありたいとも正義でありたいとも言っていない」

「悪人と言われても祖父達を守ると言っているのだ」

じいちゃんばあちゃんを大切にすると言えば聞こえはいいですが、それは行き過ぎれば民族主義となって他民族を排斥する思想に到ります。

じいちゃんばあちゃんに対する感謝の心は、我々日本人のみが持っているものではありません。

であるなら、相手のじいちゃんばあちゃんも大切にすることで相手自身をも尊重し、友好関係を保つのが筋です。

仮に作者が作中で引用する「八紘一宇」を是としたとしても同じ結論に到る筈です。

作者の言うように安易で一方的な妄想によって、先人の名誉を汚すようなマネは決してしてはなりません。

ただ現代人には現代人の事情と真実があり、過去の「事実」がそれらに優先されることはありません。

冷静なスタンスを持って読むと大変に疲れる本です。

が、素人に分かりやすい問題提起の書として効果はあります。

毒性を覚悟の上で読まれることをお勧めします。




作者:小林よしのり

出版:幻冬社

価格:¥1500+税

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2005-05-01 16:23:33

虹色のトロツキー 全8巻

テーマ:マンガ

日本人の父と蒙古人の母を持つ、満州生まれの若き青年将校の物語。

トロツキーを抱きこんでの関東軍の謀略に巻き込まれながら、次第に自らが背負った宿命を知り、挑んでゆく…。
満州という国をめぐって、どういう人々がどういう立場に置かれていたか、どう感じて生きていたか、ロマンたっぷりにダイナミックに描写されている。

安彦良和氏と言えば、もちろん「ガンダム」のキャラクターデザインを手がけた人として有名ですが、一方では「アリオン」「ナムジ」「王道の狗」など、神話や歴史を題材にした作品を数多く手がけているマンガ家としても知られています。

時代背景の描写は難しく、どうしても言葉の説明に頼ってしまう部分はあるんですが、圧倒的な描写センスと想像力はそれらを補って余りあるものがありますね。

「この時代を、この人ならどう描くのだろう…?」

いつしかわくわくしながら読んでいる自分がいます。

手軽に読める点もマンガの魅力ですね^^


安彦良和
中公文庫コミック版
各533円+税

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