17年余りの無実の罪を認める論告はわずか1分で終わった--。12日、宇都宮地裁で開かれた「足利事件」の再審公判。論告で検察側は冤罪(えんざい)で自由を奪われた菅家利和さん(63)に無罪を求刑した。公判の担当検事は誤りを認めて謝罪したが、菅家さんが最も求めたのは、取り調べた元検事の謝罪。菅家さんは終始、険しい表情を崩さなかった。【立上修】

 検察側が無罪を求めたことで事実上の無罪判決が出たとも言えるが、菅家さんの心は晴れなかった。公判後の記者会見で「17年半を思えば、1分少々(の論告)じゃ物足りない。謝罪はあったが、1分少々では腹の底から謝ったとは思えない」と不満を述べた。

 会見に先立ち、菅家さんは、前夜に降った雪を踏んで宇都宮地裁に入った。午前10時、開廷が告げられると、弁護団席に座り、硬い表情で目を伏せた。検察側が無罪を求刑した論告。再審担当の検察官が「17年余りの長期間にわたり服役を余儀なくさせて、取り返しのつかない事態を招いたことに検察官として誠に申し訳なく思っている」と謝罪した瞬間、菅家さんは天井を見上げた。だが、検察官3人が頭を下げても、小さくうなずいただけだった。

 91年12月1日早朝、突然現れた刑事に任意同行を求められた。あずかり知らぬ罪を着せられ、釈放されるまでの6396日間も自由を奪われた。その罪を解くための論告は、わずか1分足らずで終わった。

 弁護側の最終弁論が始まり、捜査と裁判の過ちに言及しても、菅家さんは手元を見つめたままだった。公判の最後に、裁判所に対して冤罪被害者が二度と出ないように事件の真実を明らかにするよう求める意見陳述をした。

 ◇菅家さん意見陳述

 再審公判の最後にあたって、裁判所にお願いしたいことがあります。それは、なぜ何もやっていないのに私が犯人にさせられ、17年半も自由を奪われたのか。その原因をきちんと説明してほしいということです。そして、こうなった責任は誰にあるのかも、きちんと説明してほしいということです。

 森川(大司・元)検事と福島(弘文)科警研所長は、私に謝りませんでした。それは納得できません。裁判所にはどうしても私に謝ってほしいと思います。

 私が間違って犯人とされたため、真実ちゃんを殺した犯人はいまだに逮捕されていません。本田鑑定が犯人のDNA型を明らかにしたのに、検察官はまるで犯人を逃がすようなことをしています。そのようなことは絶対に許されないと思います。

 自由を奪われた17年半は、本当につらくて苦しい毎日でした。私と同じように冤罪で苦しむ人が今後二度と出てほしくはありません。そのためにも足利事件の真実を明らかにしてほしいと思います。裁判官、どうか、私の17年半を無駄にしないような判決をお願いします。

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