不動産鑑定士&受験生必見!! “不動産鑑定評価基準の解説”

こんにちは、不動産鑑定士の大島です。
これまでの実務経験、講師経験、実務修習指導経験を活かして、不動産鑑定評価基準の解説をしていきます。
初心者でもわかりやすい、目から鱗の解説を目指します。

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Ⅱ DCF法の収益費用項目の統一等


(1)DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、証券化対象不動産に係る収益又は費用の額につき、連続する複数の期間ごとに、次の表の項目(以下「収益費用項目」という。)に区分して鑑定評価報告書に記載しなければならない(収益費用項目ごとに、記載した数値の積算内訳等を付記するものとする)。この場合において、同表の項目の欄に掲げる項目の定義は、それぞれ同表の定義の欄に掲げる定義のとおりとする。


 

 


(解説)

不動産投資市場において、投資家は投資対象となる不動産の収益性を比較分析してその意思決定を行う。複数の投資物件を同一目線で比較するためにも、DCF法適用時の収益項目及び費用項目の統一を図る必要があり、各項目と定義づけをしている。

構成としては、〔図表3-3〕のとおりであり、運営収益から運営費用を控除して運営純収益が求まり、これから一時金の運用益を加え、資本的支出を控除して純収益が求まる。

 

 

 

 


(2)DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、収益費用項目及びその定義について依頼者に提示・説明した上で必要な資料を入手するとともに、収益費用項目ごとに定められた定義に該当していることを確認しなければならない。

(3)DCF法を適用する際の鑑定評価報告書の様式の例は、別表2のとおりとする。証券化対象不動産の用途、類型等に応じて、実務面での適合を工夫する場合は、同表2に必要な修正を加えるものとする。



4.DCF法の適用等について

DCF法の適用等に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1)収益費用項目及びその定義を依頼者に説明するに当たって、各項目ごとの具体的な積算内訳など不動産の出納管理に関するデータ等と収益費用項目の対応関係を示すなどの工夫により、依頼者が不動産鑑定士に提供する資料の正確性の向上に十分配慮しなければならない。


(解説)

前記のとおりDCF法の適用においては、収益項目と費用項目について精緻な査定をしなければならない。鑑定評価においては、収集した資料に基づいて判断をすることになるが、証券化対象不動産で既に稼働している収益物件のような場合には、それらの査定には過去から現在の収支実績に関する資料が不可欠となる。従って、依頼者に対して収益、費用の各項目についてその定義を説明し、必要な資料の提示を求める必要がある。その際、依頼者に対して各項目の具体的な積算内訳について、実際の賃貸不動産の運営における収支データとの対応関係を説明するなどの工夫をして、極力目的に合った正確な資料が収集できるようにしなければならない。また、収集し得た資料についても各項目の定義と照合し、適切な資料であることを確認する必要がある。

なお、必ずしも収集した資料内の収支項目が基準の収支項目の定義に一致するものではなく、また、名称は同じでも計上されている内容が異なる場合等があるので、評価にあたっては資料の項目を分析するとともに、その取扱いについても十分に注意を払う必要がある。

DCF法の適用で基準に定義された収益、費用項目により純収益を試算する場合、別表2を使用するとともに、証券化対象不動産の用途、類型等に応じて、実務面での適合を工夫する場合は別表2をベースとして必要な修正を加えて使用するものとする。

 


(2)収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まないこと。「純収益」は償却前のものとして求めることとしていることから減価償却費は計上しないことに留意する必要がある。また、各論第3章第4節Ⅱ(1)の表に定める「運営純収益」と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「NOI(ネット・オペレーティング・インカム)」はその内訳が異なる場合があることに留意する必要がある。


(解説)

証券化スキームにおける信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は、証券化対象不動産に関する費用ではないため、これらの費用は運営費用に含めるべきではない。

また、証券化対象不動産にDCF法を適用する場合に求める純収益は、償却前のものを求めるため、運営収益に減価償却費は計上しないことに留意する必要がある。

基準では、一時金の運用益と資本的支出を増減する前と増減した後の純収益をそれぞれ「運営純収益」と単に「純収益」と呼んでいる。この「純収益」は、一般的にはNOI(ネット・オペレーティング・インカム)と呼ばれる。

 


(3)各論第3章第4節Ⅱ(1)の表の収益費用項目のうち「運営純収益」と「純収益」の差額を構成する「一時金の運用益」と「資本的支出」の算出について、「一時金の運用益」の利回りの考え方を付記するとともに、「資本的支出」と「修繕費」の区分については、税務上の整理等との整合性に十分配慮する必要があることに留意しなければならない。


(解説)

賃借人から預かっている一時金は、所有者(賃貸人)によって運用されるが、入居者は一定期間のサイクルで入れ替わり、退去時には現金で返還する必要がある。そのため、一定額は直ちに返還できるように現金等で保有する必要があり、預り金の全てを他の不動産等へ投資することはできない。これらの背景を念頭に、一時金の運用利回りを査定して、その考え方を付記する必要がある。

また、資本的支出と修繕費の査定にあたってはその違いを明確にしてそれぞれを査定する必要がある。修繕費は、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用」であり、資本的支出は、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する支出」である。修繕費は、税務上の損益計算において、修繕費として費用計上されるものが対象となる。

 


(4)収益費用項目については、DCF法を適用した場合の検証として適用する直接還元法においても、同様に用いる必要がある。


(解説)

証券化対象不動産については、DCF法を適用し、直接還元法についても検証という位置づけで適用する。その際、DCF法で明確化している収益費用項目について、直接還元法においても同様に扱う必要がある。

 

■各論第3章終了■

 

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第5節 DCF法の適用等


証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格を求めるに当たっては、DCF法を適用しなければならない。この場合において、併せて直接還元法を適用することにより検証を行うことが適切である。


(解説)

総論第7章で説明したように、収益還元法には直接還元法とDCF法の2手法がある。証券化対象不動産に係る不動産の鑑定評価はその影響が広範に及ぶため、より厳格な評価を要請されるところである。証券化対象不動産は投資対象となる物件であるため賃貸ビル、賃貸マンション、賃貸店舗等の収益物件が一般的であるが、昨今では証券化スキームに組み込まれる不動産も多様であり、底地であったり、更地の段階からスキームに組み込んで収益物件を開発するような開発型証券化等もある。いずれの場合でも、需要者は投資家であり、投資家の視点からの手法であるDCF法の適用を必須としている。また、収益価格の精度をよりあげるために、直接還元法を適用して検証することが適切としている。

 

 

Ⅰ DCF法の適用過程等の明確化


(1)DCF法の適用に当たっては、DCF法による収益価格を求める際に活用する資料を次に定める区分に応じて、その妥当性や判断の根拠等を鑑定評価報告書に記載しなければならない。

依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料をそのまま活用する場合

② 依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料に修正等を加える場合

③ 自らが入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料を活用する場合


(解説)

不動産の鑑定評価は、鑑定評価の主体がさまざまな資料に基づいて対象不動産の経済価値に関する判断をする。そして、鑑定評価報告書においては、手順の各段階における判断の根拠をわかりやすく説明する責任がある。証券化対象不動産においては、DCF法の適用が必須とされたところであるが、DCF法においては、各種の資料に基づき収益及び費用の額を査定する。収益については、賃料収入、共益費、駐車場収入について、実際の賃貸借契約書やレントロールに基づき査定をしたり、水道光熱費収入については過去数年の実額を基に査定したりする。費用についても、維持管理費、水道光熱費、修繕費等は過去の実額を基に査定したり、同等の物件の標準的な費用水準を判断して査定することもある。プロパティマネジメントフィーや損害保険料については、実際の契約内容に応じて実額を計上することが多く、公租公課は実額を基に査定することとなる。

このように収集し得た資料を基に、収入及び費用の額を査定するが、資料記載の金額についてそのまま活用したり、修正を加えて査定をしたり、あるいは他の資料から標準的な水準を把握して活用するなど、資料の精度に応じて適切な額を査定する必要がある。従って、鑑定評価報告書には、①依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料をそのまま活用する場合、②依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料に修正等を加える場合、自らが入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料を活用する場合の区分に応じて査定の根拠を明確に記載しなければならない。

 

 


(2)DCF法による収益価格を求める場合に当たっては、最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等査定した個々の項目等に関する説明に加え、それらを採用して収益価格を求める過程及びその理由について、経済事情の変動の可能性、具体的に検証した事例及び論理的な整合性等を明確にしつつ、鑑定評価報告書に記載しなければならない。また、複数の不動産鑑定士が共同して複数の証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合にあっては、DCF法の適用において活用する最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等について対象不動産相互間の論理的な整合性を図らなければならない。


(解説)

DCF法を適用して求める収益価格は、言うまでもなく収益や費用、割引率、最終還元利回りに依存することとなる。収益や費用については、初年度の額と保有期間内の予測額を求める必要がある。鑑定評価報告書には、それらを査定した根拠を記載する必要があるが、その際にその査定の過程と理由について説明をしなければならない。一般的要因としての経済環境から不動産市場の動向が利回りや収支項目に与える影響を判断し、割引率や最終還元利回りの査定で採用する利回り事例と対象不動産との比較をするが、それらについての説明が求められる。その際、割引率と最終還元利回り等、それぞれの整合性についても説明も必要である。

また、複数の不動産鑑定士により複数の証券化対象不動産の鑑定評価を行うことがあるが、その場合に、各不動産鑑定士がそれぞれの判断基準で評価を行うと、各対象不動産の鑑定評価額に整合性が保てないこととなる。従って、最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等について対象不動産相互間の論理的な整合性を図り、矛盾のないようにしなければならない。

 

 


(3)鑑定評価報告書には、DCF法で査定した収益価格(直接還元法による検証を含む。)と原価法及び取引事例比較法等で求めた試算価格との関連について明確にしつつ、鑑定評価額を決定した理由について記載しなければならない。


(解説)

証券化対象不動産の評価において、収益価格と積算価格との乖離が生じる場合があり、収益価格が積算価格よりも高く試算される評価が多く認められる。このように乖離が大きく発生する場合には、試算価格の調整段階において慎重になる必要があり、市場分析や価格形成要因が各試算価格に整合性をもって反映できているか等を再吟味し乖離の理由について鑑定評価報告書に記載する必要がある。

 


(4)DCF法の適用については、今後、さらなる精緻化に向けて自己研鑽に努めることにより、説明責任の向上を図る必要がある。


(解説)

収益還元法は将来予測の不安定要素を多く含む手法であり、予測如何によって証券化対象不動産の収益価格、ひいては鑑定評価額に大きく影響を与えることとなる。将来予測にあたっては予測の限界を見極めつつ、整備されたインデックスを活用した予測、過去の実績数値からの予測等その精緻化に努める必要がある。

 

 

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Ⅲ エンジニアリング・レポートの取扱いと不動産鑑定士が行う調査


(1)証券化対象不動産の鑑定評価に当たっては、不動産鑑定士は、依頼者に対し当該鑑定評価に際し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求め、その内容を分析・判断した上で、鑑定評価に活用しなければならない。ただし、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載された内容が鑑定評価に活用する資料として不十分であると認められる場合には、エンジニアリング・レポートに代わるものとして不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応するものとし、対応した内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(2)エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載されている内容が不十分である場合として想定される場合を例示すれば、既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価をする場合、証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)等がある。



(2)エンジニアリング・レポートの活用に当たっては、不動産鑑定士が主体的に責任を持ってその活用の有無について判断を行うものであることに留意する必要がある。また、エンジニアリング・レポートの内容の適切さや正確さ等の判断に当たっては、必要に応じて、建築士等他の専門家の意見も踏まえつつ検証するよう努めなければならないことに留意する必要がある。既存のエンジニアリング・レポートの活用で対応できる場合がある一方、エンジニアリング・レポートが形式的に項目を満たしていても、鑑定評価にとって不十分で不動産鑑定士の調査が必要となる場合もある。


(解説)

証券化対象不動産の鑑定評価において、確認資料としてエンジニアリング・レポートを使用するため、不動産鑑定士は依頼者に対し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求めなければならない。

エンジニアリング・レポートは投資判断の目的として作成されるものであり、鑑定評価のために作成されるものではない。従って、その内容が鑑定評価にあたって不十分な場合もあるので、できる限り鑑定評価の確認資料として十分な内容のエンジニアリング・レポートを入手する必要がある。不十分であると判断した場合には、依頼者にその理由を説明して追加調査を要請する必要がある。

これらの判断は、不動産鑑定士が主体的に責任を持ち、その内容を理解、分析した上で活用の要否を判断すべきである。必要な場合には建築士等の他の専門家の意見も踏まえてその内容を検証するよう努めなければならない。

 

依頼者に対してエンジニアリング・レポートの提出がなかった場合や提出があったもののその内容が不十分な場合でも、不動産鑑定士の判断で鑑定評価を行うことがある。この場合は、不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応する必要があり、不動産鑑定士が行った調査の内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

 

エンジニアリング・レポートの提出がなかったり、その内容が不十分ではあるが、不動産鑑定士の判断により鑑定評価が可能な場合を例示すれば、以下の場合が考えられる。

(1)既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価を行う場合

(2)証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)

(3)戸建住宅等で不動産鑑定士による調査により、多くの価格形成要因の把握が可能な場合

 

 


3)エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合においては、少なくとも次の表の項目ごとに、それぞれ同表に掲げる内容を鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合における鑑定評価報告書の様式の例は、別表1のとおりとする。なお、(1)ただし書きの場合においても、同様とする。

 

 

 



 

(3)鑑定評価に必要な対象不動産の物的確認、法的確認等に当たっては、各論第3章第3節Ⅲ(3)の表に掲げる内容や別表1の項目に掲げる内容が必要最小限度のものを定めたものであり、必要に応じて項目・内容を追加し、確認しなければならないことに留意する必要がある。

(4)できる限り依頼者からエンジニアリング・レポートの全部の提供を受けるとともに、エンジニアリング・レポートの作成者からの説明を直接受ける機会を求めることが必要である。

(5)なお、エンジニアリング・レポートの作成は委託される場合が多いが、この場合には、エンジニアリング・レポートの作成者は調査の受託者を指すことに留意しなければならない。また、この場合においては、エンジニアリング・レポートの作成者を鑑定評価報告書に記載する際、調査の委託者の名称も記載する必要がある。


(解説)

エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討にあたって、その判断及び根拠について鑑定評価報告書に記載しなければならない。記載内容は以下の通りである。

(1)エンジニアリング・レポートの基本的属性

エンジニアリング・レポートの委託者及び作成者が誰によるものか。作成者については、氏名、所属会社、作成者の資格も記載する。また、調査が行われた日、作成された日を記載する。

(2)エンジニアリング・レポートの入手経緯、対応方針等

エンジニアリング・レポートの提示者の氏名、職業等、入手した日等を記載する。また、作成者からの説明の有無も記載する。

入手したエンジニアリング・レポートを活用するかどうかを検討し、その対応を記載する。

(3)鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査

鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因として、公法上及び私法上の規制、制約等(法令遵守状況調査を含む。)、修繕計画、再調達価格、有害な物質(アスベスト等)に係る建物環境、土壌汚染、地震リスク、耐震性、地下埋設物があげられる。これらの調査についてエンジニアリング・レポートを活用するか、不動産鑑定士が独自に調査を実施するのかの別を記載する。なお、不動産鑑定士が独自に調査する場合には、他の専門家への調査を依頼する場合を含む。

(4)鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査についての不動産鑑定士の判断

上記(3)の各項目について、エンジニアリング・レポートの記載内容を活用したのか、不動産鑑定士の調査で対応したのかについて記載し、あわせてその根拠を記載する。

 

記載内容は、別表1に準拠して作成するが、別表1は必要最小限のものを定めたものであり、必要に応じて項目・内容を追加し、確認しなければならない。

また、できる限り依頼者からエンジニアリング・レポートの全部の提供を受けるとともに、エンジニアリング・レポートの作成者からの説明を直接受ける機会を求めることが必要である。

なお、エンジニアリング・レポートの作成は委託される場合が多いが、この場合には、エンジニアリング・レポートの作成者は調査の受託者を指すことに留意しなければならない。つまり、エンジニアリング・レポートの作成者とは実際に調査をしてレポートを作成した者をさす。この場合においては、エンジニアリング・レポートの作成者を鑑定評価報告書に記載する際、調査の委託者の名称も記載する必要がある。

 

 


(4)エンジニアリング・レポートについては、不動産証券化市場の環境の変化に対応してその内容の改善・充実が図られていくことにかんがみ、エンジニアリング・レポートを作成する者との密接な連携を図りつつ、常に自らのエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。


(解説)

エンジニアリング・レポートは、対象不動産の物理的な状況を専門家が調査、分析した専門家の意見であり個別分析の有用な資料として活用すべきものである。エンジニアリング・レポートの内容について、不明な点や不明瞭な記載がある場合は、必ず依頼者を通じてエンジニアリング・レポートの作成者に確認する必要がある。そのためにもエンジニアリング・レポートを作成する者との連携と密接な連携を図る必要がある。

また、鑑定評価においてエンジニアリング・レポートは重要な資料となるため、不動産鑑定士は評価主体としてエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。

 

 

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第4節 証券化対象不動産の個別的要因の調査等

Ⅰ 対象不動産の個別的要因の調査等


証券化対象不動産の個別的要因の調査等に当たっては、証券化対象不動産の物的・法的確認を確実かつ詳細に行うため、依頼された証券化対象不動産の鑑定評価のための実地調査について、依頼者(依頼者が指定した者を含む。)の立会いの下、対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査を行うとともに、対象不動産の管理者からの聴聞等により権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性及び増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項を確認しなければならない。


(解説)

証券化対象不動産の個別的要因の調査等に当たっては、物的・法的な側面から確認を確実かつ詳細に行わなければならない。確認作業においては、現地に赴いて実地調査を行うが、依頼者若しくは依頼者が指定した者の立会いの下、対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査を行わなければならない。ただし、賃貸マンションで現在入居中の場合等、内覧ができない場合もあるが、このような場合には空室部分や自用部分の内覧、竣工図面や賃貸借契約書の確認、管理者や賃借人からの聴聞等により、内覧できない部分の推定を行って評価することとなり、その旨を鑑定評価報告書へ記載する必要がある。

また、対象不動産の管理者からの聴聞等により、対象不動産の使用者及び使用状況、権利関係、賃貸借契約の内容と実際との相違、公法上の規制、土壌汚染、アスベスト等の有害物質、PCB保管の有無、耐震性、修繕・増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項を確認しなければならない。

 

 

Ⅱ 実地調査


不動産鑑定士は、実地調査に関し、次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(1)実地調査を行った年月日

(2)実地調査を行った不動産鑑定士の氏名

(3)立会人及び対象不動産の管理者の氏名及び職業

(4)実地調査を行った範囲(内覧の有無を含む。)及び実地調査により確認した内容

(5)実地調査の一部を実施することができなかった場合にあっては、その理由


(解説)

証券化対象不動産の鑑定評価においては依頼者等の立会いの下で実地調査を行うとともに、管理者からの聴聞等により個別的要因を調査することになる。このように、依頼者や管理者を通じて行う確認の作業は、同時に不動産鑑定士の責任の範囲を明確にする意味を有し、鑑定評価の精度にも影響する重要な事項である。そのため、確認に係る事項は詳細に鑑定評価報告書に記載しなければならない。具体的には以下の事項を記載する。

 

(1)実地調査を行った年月日

実際に現地に赴き対象不動産の現況を確認した日を記載する。現地には複数回赴くことがもあるが、必要に応じ記載することが望ましい。

 

(2)実地調査を行った不動産鑑定士の氏名

実地調査を行った不動産鑑定士の氏名を記載する、また、対象不動産について複数の不動産鑑定士で鑑定評価を行った場合には、実地調査を行ったすべての不動産鑑定士の氏名を記載する。

 

(3)立会人及び対象不動産の管理者の氏名及び職業

立会人とは、依頼者の指示に基づき実地調査に立会い、対象不動産を案内した者をいう。実地調査の際の立会人の氏名と職業を記載する。

また、管理者とは対象不動産の権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性及び増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項を確認のため、聴聞を行った相手のことをいう。管理者の氏名と職業も記載する。

なお、職業とは、会社名、役職、資格等を記載する。

 

(4)実地調査を行った範囲(内覧の有無を含む。)及び実地調査により確認した内容

敷地はどこまで確認できたか、建物は内部の確認(内覧)を含みどこまで確認できたかなど実地調査を行った範囲を記載する。

また、管理者から権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性及び増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項について聴聞により確認した内容も記載する。

 

(5)実地調査の一部を実施することができなかった場合にあっては、その理由

賃貸物件で賃借人が占有しているため内覧ができない場合や、老朽化が著しく倒壊のおそれがあるなど、建物の一部や敷地の一部の確認ができなかった場合には、その範囲及び理由を記載する。また、確認できなかった部分についての現状把握のための竣工図面、他の類似の建物部分の実地調査、対象不動産の管理者等への聴聞等、どのような資料に基づいて客観天気な推定を行ったか等を記載する。

 


証券化対象不動産の個別的要因の調査に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1)同一の証券化対象不動産の再評価を行う場合における物的確認については、本留意事項Ⅵ3.(1)に定めるところにより、内覧の全部又は一部の実施について省略することができる。この場合においては、各論第3章 第4節Ⅲの表に掲げる専門性の高い個別的要因についても、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して重要な変化がないと認められることが必要であるほか、各論第3章 第4節Ⅱに定める、実地調査に関する鑑定評価報告書への記載事項に加え、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して当該不動産の個別的要因に重要な変化がないと判断した理由について記載する。


(解説)

鑑定評価を行う場合、原則として内覧の実施を含めた実地調査を行わなければならない。ただし、同一の証券化対象不動産の再評価を行う場合において、過去に自ら実地調査を行ったことがあり、かつ、当該不動産の個別的要因について、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して重要な変化がないと客観的に認められる場合は、内覧の全部又は一部の実施について省略することができる。

証券化対象不動産の場合における内覧の全部又は一部の実施についての省略は、公法上及び私法上の規制、制約等(法令遵守状況調査を含む。)、修繕計画、再調達価格、有害な物質(アスベスト等)に係る建物環境、土壌汚染、地震リスク、耐震性、地下埋設物といった専門性の高い個別的要因についても直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して重要な変化がないと認められることが必要であることが要件とされている。

また、内覧の全部又は一部の省略をした場合には、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して当該不動産の個別的要因に重要な変化がないと判断した理由について鑑定評価報告書に記載しなければならない。

 

 

 

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Ⅲ 鑑定評価の依頼目的及び依頼者の証券化関係者との関係


証券化対象不動産については、関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多く、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景等並びに依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(1)依頼者が証券化対象不動産の証券化に係る利害関係者(オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等をいい、以下「証券化関係者」という。)のいずれであるかの別

(2)依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容

(3)その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容



(4)各論第3章第2節Ⅲに、依頼者の証券化関係者との関係について記載する旨定めているが、不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び内容については、総論第9章第2節により記載する必要があることに留意しなければならない。


(解説)

証券化スキームの中でその関係者は多岐に渡る。主な証券化関係者としては〔別表3-2〕のような者が挙げられる。

 

 

 

証券化対象不動産の鑑定評価の処理計画策定時に確認する依頼目的及び依頼が必要となった背景は鑑定評価報告書に記載しなければならない。

また、依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項も鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(1)依頼者が証券化関係者のいずれであるかの別

(2)依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容

(3)その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容

 

なお、不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び内容については、総論第9章第2節により記載する必要があることに留意しなければならない。

 

 

 

 

 

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Ⅱ 確認事項の記録


第2節Ⅰ(1)から(6)までの事項の確認を行った場合には、それぞれ次の事項に関する記録を作成し、及び鑑定評価報告書の附属資料として添付しなければならない。

(1)確認を行った年月日

(2)確認を行った不動産鑑定士の氏名

(3)確認の相手方の氏名及び職業

(4)確認の内容及び当該内容の処理計画への反映状況

(5)確認の内容の変更により鑑定評価の作業、内容等の変更をする場合にあっては、その内容



(2)処理計画の策定に当たっての確認において、依頼者から鑑定評価を適切に行うための資料の提出等について依頼者と交渉を行った場合には、その経緯を確認事項として記録しなければならない。また、確認事項の記録を鑑定評価報告書の附属資料として添付することとしているが、鑑定評価書への添付までを求めるものではないが、同記録は不動産の鑑定評価に関する法律施行規則第38条第2項に定める資料として保管されなければならないことに留意する必要がある。


 


(3)エンジニアリング・レポート及びDCF法等を適用するために必要となる資料等の入手が複数回行われる場合並びに対象不動産の実地調査が複数回行われる場合にあっては、各段階ごとの確認及び記録が必要であることに留意しなければならない。


(解説)

処理計画の策定に当たっての確認を行った場合には、それぞれ次の事項に関する記録を作成し、鑑定評価報告書の附属資料として添付しなければならない。

(1)確認を行った年月日

確認事項について確認を行った年月日を記録する。

 

(2)確認を行った不動産鑑定士の氏名

確認を行った不動産鑑定士と評価担当の不動産鑑定士が異なる場合も多いので、不動産鑑定業者内での役割分担、責任の所在を明確にする。

 

(3)確認の相手方の氏名及び職業

確認の相手方の氏名、会社名、役職、依頼者との関係等を記録する。

 

(4)確認の内容及び当該内容の処理計画への反映状況

処理計画の策定に当たって確認した内容について、依頼者から確認した内容を記録する。

また、その内容によりどのような処理計画を策定して作業を行ったかについて記録する。確認した内容が不十分で、鑑定評価を適切に行うための資料の提出等について依頼者と交渉を行った場合には、その経緯も記録する。

 

(5)確認の内容の変更により鑑定評価の作業、内容等の変更をする場合にあっては、その内容

処理計画の策定に当たって確認した内容について、依頼者の事情の変化又は依頼者のとの交渉等により変更することがある。この場合、それに応じて求める価格の種類、適用手法、適用数値の変更等が必要となることがあるので、変更の内容を記録する。

 

なお、確認事項の記録は鑑定評価報告書の附属資料として添付することとしている。しかし、鑑定評価書への添付までを求めているのではない。つまり、この記録は鑑定評価書に添付して依頼者に提出する必要はないが、資料として5年間の保存義務があることになる。

 

証券化対象不動産の評価をする場合、作業開始時には十分な資料が整っていない場合も多いため、エンジニアリング・レポート、DCF法等を適用するために必要となる資料等の入手が複数回行われる場合がある。エンジニアリング・レポート等も最初はドラフトの資料を入手して作業を進め、後に最終版を入手して作業を進めること等もある。このような場合には対象不動産の実地調査が複数回行われることもあり、各段階の確認と記録が必要となる。

 

 

 

 

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第2節  証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行う場合の要件


証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価は、総論第5章第1節Ⅰ2.なお書きに定める要件に加え、工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、当該不動産に係る売買契約上の約定や各種保険等により回避されている場合に限り行うことができる。


(解説)

証券化対象不動産は不特定多数の投資家等の利益保護を最優先に考える必要がある。そのため、対象確定条件のうち未竣工建物等鑑定評価を行う場合、価格時点における現況とは異なる状況を前提とするため、条件設定の要件を厳格化している。総論第5章第1節Ⅰ2.なお書きに定める要件とは、「未竣工建物等鑑定評価を行う場合は、上記妥当性の検討に加え、価格時点において想定される竣工後の不動産に係る物的確認を行うために必要な設計図書等及び権利の様態の確認を行うための請負契約書等を収集しなければならず、さらに、当該未竣工建物等に係る法令上必要な許認可等が取得され、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されなければならない。」のことである。つまり、要件として、①利用者の利益を害するおそれがないことに加え、②価格時点の物的確認・権利の態様の確認ができること、③実現性・合法性を必要としているが、さらに、証券化対象不動産については、④工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、当該不動産に係る売買契約上の約定や各種保険等により回避されている場合を要件として加えている。

未竣工建物等鑑定評価を行ったものの、請負事業者の破綻、天災等により、建物の工事が遅延、又は建物が竣工しないこと(建物竣工の実現性に係るリスク)や、竣工した建物が、評価の前提とした建物と相違すること(竣工した建物と評価の前提とした建物とが、結果として異なることとなった場合に生じるリスク)があると投資家の利益保護が図れない。よって、このようなリスクの担保ができている場合に限って未竣工建物等鑑定評価を行うことができるとしている。

例えば建物竣工の実現性に係るリスク回避がされている場合について、請負事業者の信用力、工事の完成に対する保証、建築工事保険等により回避することが可能である。

また、竣工した建物と評価の前提とした建物とが結果として異なることとなった場合に生じるリスクについて、売買契約における瑕疵担保や代金支払の約定等により回避することが可能である。

 

 

第3節 処理計画の策定

Ⅰ 処理計画の策定に当たっての確認事項


処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、依頼者に対し、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定するものとする。この場合において、確認された事項については、処理計画に反映するとともに、当該事項に変更があった場合にあっては、処理計画を変更するものとする。

(1)鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景

(2)対象不動産が第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)のいずれに係るものであるかの別

(3)エンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう。以下同じ。)、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期

(4)エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無

(5)対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲

(6)その他処理計画の策定のために必要な事項


(解説)

鑑定評価業務において、受付は鑑定業者が行うものの、依頼内容については不動産鑑定士が依頼者に直接確認すべきとされている。また、証券化対象不動産に係る不動産の鑑定評価は、その影響が広範に及ぶため、処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認してから処理計画を策定することとされている。処理計画は、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な計画でなければならない。

また、確認した事項を反映し、確認した事項に変更があれば、それに伴って処理計画も変更しなければならない。

 

1)鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景

基準各論第3章の適用の有無は、鑑定評価の依頼目的によるところである。そのため、鑑定評価の依頼目的、依頼が必要となった背景を依頼者に確認する必要がある。

 

2)対象不動産が第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)のいずれに係るものであるかの別

第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)に係るものは、以下の取引に係る不動産である。

1)資産の流動化に関する法律に係る資産の流動化に係る不動産取引及び投資信託及び投資法人に関する法律に係る投資法人が行う不動産取引

2)不動産特定共同事業法に係る不動産特定共同事業契約に係る不動産取引

3)金融商品取引法に係る不動産取引

依頼者に対しては、依頼者の立場、利害関係等について詳細に確認した上で、当該確認の内容、各論第3章が適用の有無とその理由を、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

 

3)エンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう。)、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期

エンジニアリング・レポートとは、建築物・設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況(地下埋設物、耐震性等に関する内容を含む専門性の高い個別的要因)に関する調査報告書をいう。具体的には、別表1(エンジニアリング・レポートシート)に記載されたもの(建物状況調査、建物環境リスク調査、土壌汚染リスク調査、地震リスク調査)が含まれる。ただし、別表1以外にも更なる専門家の調査が必要となる場合があり、これらも全てエンジニアリング・レポートに含まれる。証券化対象不動産の評価を行うにあたってどのようなエンジニアリング・レポートが必要か、不動産鑑定士自ら判断する必要がある。既に作成済みのものや、作成依頼中のものがある場合でも、その内容を確認し、十分な内容であるかどうかを判断するとともに、不足する内容があれば追加での調査を依頼するなど対応しなければならない。

 

DCF法の適用にあたっては、運営収益の査定に必要な賃貸借契約状況の一覧(レントロール)や賃貸借契約書等、運営費用の実績や管理等に関する契約書等について、依頼者より提示される資料等の範囲及び入手時期を事前に確認する必要がある。

 

4)エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無

対象不動産の確認を行った結果が依頼者から示された内容と相違する場合や不明瞭な記載がある場合等はその内容を依頼者に確認する必要がある。他の専門家に依頼の上得られた確認資料(エンジニアリング・レポート、マーケットレポート等)であれば、その作成者等からの説明を聞く方法について事前に確認することが必要である。

 

5)対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲

実地調査においては建物内部を含めて調査しなければならない。建物については、建物竣工図等の確認資料と照合する作業を行うが、建物の入居者等占有状況等によっては建物内部への立入調査ができない場合もある。そのため、対象不動産の内覧が可能な範囲を依頼者に確認し、鑑定評価報告書においては内覧を含め、実地調査をした範囲を明確にする必要がある。

 

6)その他処理計画の策定のために必要な事項

証券化関連の鑑定評価は、同時に複数の依頼を受ける場合も多く、大量の依頼の場合も少なくない。このような場合は特に慎重に、担当する不動産鑑定士の人数やの処理能力等を考慮して対象不動産ごとに作業の質、量に応じた処理計画を策定する必要がある。

 


(1)処理計画の策定に当たっての確認については、対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もあり得るが、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を有するものであることに留意しなければならない。


(解説)

処理計画の策定に当たっての確認の作業は、対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もある。このような場合でも、当該鑑定評価を行っている不動産鑑定士の責任の下での作業であり、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を負うことになる。

 

 

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第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価

第1節 証券化対象不動産の鑑定評価の基本的姿勢

Ⅰ 証券化対象不動産の範囲


この章において「証券化対象不動産」とは、次のいずれかに該当する不動産取引の目的である不動産又は不動産取引の目的となる見込みのある不動産(信託受益権に係るものを含む。)をいう。

(1)資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化並びに投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託に係る不動産取引並びに同法に規定する投資法人が行う不動産取引

(2)不動産特定共同事業法に規定する不動産特定共同事業契約に係る不動産取引

(3)金融商品取引法第2条第1項第5号、第9号(専ら不動産取引を行うことを目的として設置された株式会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条第1項の規定により株式会社として存続する有限会社を含む。)に係るものに限る。)、第14号及び第16号に規定する有価証券並びに同条第2項第1号、第3号及び第5号の規定により有価証券とみなされる権利の債務の履行等を主たる目的として収益又は利益を生ずる不動産取引

証券化対象不動産の鑑定評価は、この章の定めるところに従って行わなければならない。この場合において、鑑定評価報告書にその旨を記載しなければならない。

証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、この章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない。



1.証券化対象不動産の基本姿勢について

(1)各論第3章第1節Ⅰに規定する証券化対象不動産については、従前に鑑定評価が行われたものを再評価する場合にあっても、各論第3章に従って鑑定評価を行わなければならないものであることに留意する必要がある。

 


 

(解説)

証券化対象不動産は次のいずれかに該当する取引の目的である不動産をいう。

① 資産の流動化に関する法律

資産の流動化に係る不動産取引

② 投資信託及び投資法人に関する法律

投資法人が行う不動産取引

③ 不動産特定共同事業法

不動産特定共同事業契約に係る不動産取引

④ 金融商品取引法

社債券、株券又は新株予約権証券(専ら不動産取引を行うことを目的として設置された株式会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条第1項の規定により株式会社として存続する有限会社を含む。)に係るものに限る。)、信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券、抵当証券法に規定する抵当証券、信託の受益権、合名会社若しくは合資会社の社員権又は合同会社の社員権、民法に規定する組合契約や商法に規定する匿名組合契約等に基づく権利等のうち、出資者が出資対象事業から生ずる配当等を受けとることができる権利(集団スキーム持分)の債務の履行等を主たる目的として収益又は利益を生ずる不動産取引 〔図表3-1

 

 

また、証券化対象不動産には、上記不動産の取引の目的となる見込みのある不動産も該当する。取引の目的となる見込みのある不動産とは、当該取引を行うことが予定されている不動産や、依頼者が当該取引を行うことを意図している場合における当該取引の目的となっている不動産が該当する。つまり、現に証券化されている不動産だけでなく、これから証券化される不動産も適用対象としている。さらに、不動産取引の結果、特別目的会社や投資法人等が保有することとなった不動産(信託受益権に係るものを含む。)も含む。

証券化対象不動産の評価をする場合、基準各論第3章の定めるところによって行わなければならない。また、証券化対象不動産について従前に鑑定評価されたものを再評価する場合も同様に基準各論第3章(留意事項を含む。以下同様。)の定めるところによって行わなければならない。

証券化対象不動産を評価した場合、鑑定評価報告書にその旨を記載しなければならず、これは、その鑑定評価報告書が、証券化対象不動産について基準各論第3章を適用したものであることを明確にするためのものである。これは鑑定評価書においても同様であり、依頼者等が証券化対象不動産に係る鑑定評価書であることが容易にわかるように、表紙又は本文(鑑定評価額等の記載を含む)よりも先に、例えば「不動産鑑定評価基準各論第3章適用」等と明確に記載する必要がある。

証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合、基準各論第3章の対象とならないが、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合、証券化対象不動産の賃料に関する鑑定評価を行う場合等、投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、基準各論第3章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない。

 

 

Ⅱ 不動産鑑定士の責務


(1)不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼者(以下単に「依頼者」という。)のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことを考慮するとともに、不動産鑑定評価制度に対する社会的信頼性の確保等について重要な責任を有していることを認識し、証券化対象不動産の鑑定評価の手順について常に最大限の配慮を行いつつ、鑑定評価を行わなければならない。


(解説)

証券化対象不動産の鑑定評価は、鑑定評価の依頼者のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことになる。投資家は開示された情報の下でリスクを負担して投資行動をとるが、開示される情報が適正さを欠く鑑定評価による場合、そのリスクは不動産鑑定士が負うこととなり、その責任は大きい。また、投資家は不特定多数に及ぶとともに、投資家以外でも金融機関等の多くの利害関係者にも影響を及ぼすものである。従って証券化対象不動産の評価をする不動産鑑定士はそのことをまず十分に認識する必要があるとともに、不動産鑑定評価制度に対する社会的信頼性の確保等について重要な責任を有していることを認識する必要がある。

そのためにも、証券化対象不動産の鑑定評価の手順について常に最大限の配慮を行いつつ鑑定評価を行わなければならない。

 


(2)不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合にあっては、証券化対象不動産の証券化等が円滑に行なわれるよう配慮しつつ、鑑定評価に係る資料及び手順等を依頼者に説明し、理解を深め、かつ、協力を得るものとする。また、証券化対象不動産の鑑定評価書については、依頼者及び証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者がその内容を容易に把握・比較することができるようにするため、鑑定評価報告書の記載方法等を工夫し、及び鑑定評価に活用した資料等を明示することができるようにするなど説明責任が十分に果たされるものとしなければならない。


(解説)

証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合、エンジニアリング・レポートなどさまざまな資料を使用するとともに、より詳細な調査、対象不動産の確認の作業等の手順を踏まなければならない。入手する資料や情報も、最新のものであるかどうか、不備はないかどうか、真正なものであるかどうか等細心の注意を払う必要がある。そのためには、依頼者の協力が不可欠であり、協力を得るためにも証券化対象不動産の鑑定評価に係る資料や手順の重要性を説明して依頼者に理解してもらう必要がある。

鑑定評価書は、依頼者のみならず証券対象不動産への投資、融資に係る多くの利害関係者の参考資料として用いられるので、依頼者のみならず証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者が鑑定評価の調査内容や判断根拠を容易に把握することができるようにする必要がある。投資家は、投資判断をする場合、複数の証券化対象不動産を比較検討する。従って、他の証券化対象不動産の鑑定評価と容易に比較できるようにする必要がある。

そのためには統一された収益や費用の項目を用いるなど、鑑定評価書の記載方法等を工夫し、鑑定評価に活用した資料等を明示するなど、説明責任が十分に果たされたものとしなければならない。

 


(3)証券化対象不動産の鑑定評価を複数の不動産鑑定士が共同して行う場合にあっては、それぞれの不動産鑑定士の役割を明確にした上で、常に鑑定評価業務全体の情報を共有するなど密接かつ十分な連携の下、すべての不動産鑑定士が一体となって鑑定評価の業務を遂行しなければならない。


(解説)

証券化対象不動産の評価は、作業量も多く、複数の鑑定士が共同で協力して行うことが多い。その場合それぞれの役割を明確にした上で、常に鑑定評価全体の情報を共有する必要がある。そのためには、各不動産鑑定士の密接かつ十分な連携の下、すべての不動産鑑定士が一体となって適切な鑑定評価の業務を遂行しなければならない。

 

 

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第2節 建物及びその敷地

Ⅰ 新規賃料を求める場合

1.新規賃料の価格形成要因


建物及びその敷地の新規賃料固有の価格形成要因は、宅地の新規賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるものとする。


(解説)

建物及びその敷地の新規賃料固有の価格形成要因は、宅地の新規賃料を求める場合の鑑定評価に準ずる。

 

 

2.建物及びその敷地の正常賃料を求める場合


建物及びその敷地の正常賃料を求める場合の鑑定評価に当たっては、賃貸借の契約内容による使用方法に基づく建物及びその敷地の経済価値に即応する賃料を求めるものとする。

建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合において、純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量して決定するものとする。

なお、建物及びその敷地の一部を対象とする場合の正常賃料の鑑定評価額は、当該建物及びその敷地の全体と当該部分との関連について総合的に比較考量して求めるものとする。



2.建物及びその敷地について

店舗用ビルの場合には、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し(スケルトン貸し)、内装、外装及び建物設備 の一部は賃借人が施工することがあるので、積算賃料を求めるときの基礎価格の判定及び比準賃料を求めるときの事例の選択に当たっては、これに留意すべきである。


(解説)

建物及びその敷地の正常賃料(正常家賃)を求める場合、賃貸借契約の契約条件(賃貸人が設定する条件である)により、使用方法に制約があり、その建物及びその敷地の効用を十分に発揮していない場合がある。このような場合に、家賃を求めるための建物及びその敷地の経済価値は、契約内容による使用方法に基づく建物及びその敷地の経済価値が基礎となる。

建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合において、純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量して決定するものとする。〔図表2-5

 

 

賃貸マンションや賃貸ビルの一室や一部の賃料を求める場合に、積算賃料を求める場合には区分所有建物及びその敷地の評価に準じて配分率により評価対象部分の基礎価格を求めるが、この場合に配分に当たっては全体建物及びその敷地と評価対象部分との関連を反映させる必要がある。

また、過大な敷地に比較的小規模な建物が存する場合には、基礎価格に土地価格が過大に配分されないように留意する必要がある。家賃の場合、契約する床面積の大小により賃料が異なるのは当然であるが、契約する床面積が同一であるが、全体敷地の規模が異なることで家賃に差異がでるのは理論的に矛盾が生じることとなる。

店舗の賃貸借契約を結ぶ場合、入居テナントが内装工事を行うことが多い。このような賃貸方式をスケルトン貸しというが、賃貸人は内装費をかけることなく賃貸するため内装工事を行わない分基礎価格が低くなる。よって、積算法を適用する場合はこの点に留意する必要があり、賃貸事例比較法をする場合も、賃貸事例の収集選択に当たってはスケルトン貸しの賃貸事例を採用することが望ましい。

 

 

Ⅱ 継続賃料を求める場合


建物及びその敷地の継続賃料を求める場合の鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるものとする。この場合において、各論第2章第1節Ⅱ中「土地価格の推移」とあるのは「土地及び建物価格の推移」と、「底地に対する利回りの推移」とあるのは「建物及びその敷地に対する利回り」と、それぞれ読み替えるものとする。


(解説)

建物及びその敷地の継続賃料を求める場合の鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるため、鑑定評価は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する。〔図表2’-6

 

 

その際、宅地の継続賃料の鑑定評価と同様に、各論第2章第1節Ⅱの事項を勘案して評価するが、継続家賃であるため、土地価格だけでなく土地及び建物価格の推移を、底地に対する利回りではなく建物及びその敷地に対する利回りの推移を勘案することとなる。

なお、同様に、①継続中の建物及びその敷地の賃貸借の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合、②契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合に分けられる。

■各論第2章終了■

 

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