「BET」を描いた頃  (作品) 押川  | 押川雲太朗の万事いいかげん

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漫画家 押川雲太朗のブログ。日々の何でもない事や、たまに仕事の告知など、書いていきます

もう15年ほど前の話になります。


モーニングの編集者がやって来て、

「ギャンブル物をやりませんか。」

と、言うので喜んでやりました。


他に隔週誌とか月刊誌をやっている上での週刊連載なので、

とても忙しかったことを覚えています。


あまりにも厳しくなると一週休んだりしながら描きました。


そのあたり、講談社は優しいです。


結局、ヤンマガでやった「デスペナ」と同じで

単行本3巻しか続かず、打ち切りになってしまいました。


ゲームのシーンを

誰でもわかるように描けなかったのが敗因だと思っています。


その過ちを「デスペナ」でも繰り返してしまった様に思います。


しかし、最近は開き直っております。


そのゲームを知らない人がわかるように描くなんて、私には無理だ。


私は、ゲームの真髄を漫画で見せたい。


ゲームをきっちり描かなければ、それは出来ないのでしょうがない。


ただし、「BET」ではちょっとひよった部分があります。


それは、後半のポーカーです。


テキサスホールデムをやりたかったのですが、

当時(多分今でも)、このポーカーをやったことのある日本人は

ほとんどいないのではないかと思ったのです。


ポーカーは日本人でも馴染みのあるゲームだと思います。


だから、フルハウスやフラッシュという役を知っている人は多いでしょう。


しかし、日本人のほとんどが知っているポーカーは

ドローポーカーだと思うのです。


また、レイズやコールについても馴染みが無いと思います。


ドローポーカーは、このベッティンググラウンドの呼吸がわからないと

そのゲーム性がわからないポーカーなのです。


それで、捨て牌ポーカーという

読みの要素の入るゲームを考え出しました。


ひよりました。


このポーカーを実際にやって、成立するとは思えません。


また、実際に行われていないゲームなので

検証ができず、実際にやるとどうなるのか私にもわかりません。


まあ、打ち切りが決まったあとにやった話ですけどね。


そういえば、「デスペナ」もポーカーで終わりだったっけ…。


同じ過ちを繰り返しているなあ…。


三つ子の魂百まで。


人は、そう簡単には変われません。