どうも、はちごろうです。


週末にはもう11月に突入するというのに
何だか暑いですよねぇ、最近。
雨が降るとかなり寒くなるんですけども。
ホントは冬物のコートを買いに行きたいんですが、
こう暑くてはなかなかその気になれません。
さて、映画の話。




「イコライザー」











アカデミー賞俳優デンゼル・ワシントン主演のアクション映画。
監督は「トレーニング・デイ」のアントワン・フークア。
共演は若手人気女優のクロエ・グレース・モレッツ



あらすじ


ボストン郊外のホームセンターで働くロバートは、
警備員試験を目指す同僚ラルフィのトレーニングに付き合うなど、
同僚からの信頼の厚い男だったが、店内で彼の私生活を知る者はいなかった。
独身のロバートは就寝前にベッドでの読書を日課としているが、
実は不眠症の彼は深夜2時過ぎにはいつも近所のダイナーまで行き、
お湯だけもらって持参したティーバッグで紅茶を作り、読書を続けていた。
ダイナーの常連客にはロシア系のコールガール、テリーがいて
彼女はひそかに歌手を目指してデモディスクを作っていた。
しかしある日、彼女は客に殴られた際に殴り返してしまい、
ロシアンマフィアの元締めに半殺しに遭い入院してしまう。
それを知ったロバートは元締めのいるレストランに出向き、
貯金をはたいてテリーを自由にしようとするが一笑に付される。
彼は部屋にいた元締め含め5人の男を30秒と経たずに殺害。その場を後にした。
数日後、本国ロシアから組織内の問題解決要員である構成員テディがやってくる。
彼は現場の様子や犠牲者の殺害された手口からプロの犯行とにらみ、
敵対する組織から身内に至るまで調査を開始するが手掛かりはつかめなかった。
一方、ラルフィが店を辞めたということを聞いたロバートは彼の元を訪ねる。
すると彼の実家の飲食店がボヤを起こして営業できなくなっていた。
だがロバートはその家事が事故ではないことを瞬時に確信する。
そして数日後、近所中の店からみかじめ料を取っていた汚職警官が
傷だらけの格好で現れ、脅し取った金を返していくのだった。
その頃、テディは消えたテリーと仲の良かったコールガールから
彼女の元に黒人の男が見舞いに来たことを訊き出していた。
改めて店の防犯カメラを調べ直すと、事件当日、
店の入り口から建物の中に入った黒人の男が
そのまま別の入り口から外に出たことを突き止めるのだが・・・。




デンゼル・ワシントンのリーアム・ニーソン化



アカデミー賞を2度も受賞したデンゼル・ワシントンの新作。
元々、信頼できる善人の役が多かったんですが、
ひとたび悪役をやらせるとカリスマ性を帯びた悪魔的なキャラになる。
彼が初めて主演男優賞を獲った「トレーニング・デイ」も
麻薬捜査の現場で汚職の限りを尽くす黒人刑事の役でした。
実は先週発売のニューズウィークの映画評のコーナーで
「デンゼル・ワシントンが最近似たような役ばかりだ」という記事が載ってまして。
いわく、ここ最近のデンゼルはアクション映画ばかり出てて、
しかもそのキャラクターも完全無欠の殺しのプロばかりだと。
確かにフィルモグラフィを確認してみると、
10年ぐらい前から「マイ・ボディガード」とか「デジャブ」とか、
最近だと「ザ・ウォーカー」や「デンジャラス・ラン」、「2ガンズ」など
善悪関わらず無敵の殺人マシーンとなってるケースが多い。
「デンゼル・ワシントンのリーアム・ニーソン化」といったところでしょうか。
リーアム・ニーソンも元々は「シンドラーのリスト」とか
「マイケル・コリンズ」なんて作品で演技派で売り出してたのに、
最近は「96時間」シリーズや「アンノウン」「フライト・ゲーム」など、
完全にアクションスターと化してしまっているわけです。
これ、下手したら二人とも5年以内にスタローンと一緒に
「消耗品軍団」になってしまうかもしれませんね。




敢えて見せないことで強さを増幅する手腕



とはいえ、そんなデンゼルさんもそろそろ還暦。
さすがに若手のようなアクションはもう限界がある。
だからかわからないんですが、実は本作はアクション映画でありながら
主人公のロバートが悪党たちと取っ組み合ってるシーンは3か所だけ。
最初のロシアンマフィアを殺す場面と、同僚の実家を脅す警官を懲らしめる場面、
そしてクライマックスである、ホームセンターでのテディたちとの格闘シーン。
それ以外は、ロバートが誰かを殺す瞬間は出てこないけれども、
例えばホームセンターに強盗が押し入り、レジにいた同僚の指輪を持ち去った後、
ロバートが店の棚から大きめのハンマーを持ち出すシーンがあり、
翌日、その同僚がレジを開けるとレジの中に指輪が戻ってきていて、
昨日持ち出したハンマーの頭をタオルで拭きながら棚に戻す彼のシーンが続く。
これだけで、実際に強盗が彼に襲われる描写はなくても、
確実にボブが強盗を襲ったと思わせることが出来るわけです。
同じようなシーンが出てくるのが北野武監督の「ソナチネ」ですね。
あの作品にも、地元のおじさんのような恰好をした男が、
サトウキビ畑だったかな、野原の中を延々と歩き続ける。
でも、そのシーンの途中に殺されたヤクザの死体のカットが挿入されることで、
このおじさんが只者ではないことが観客に伝わるわけです。
しかも実際にヤクザを殺す場面が出てこない分、
そのおじさんの手際の良さも伝わって余計に怖く感じる。
そういった「映画的な演出」を駆使することで
役者の負担を減らしつつ効果的に主人公の強さを表現することに成功しています。
これは監督のアントワン・フークアの手腕ですね。




「子役の頃から知ってる女優が
 セクシーキャラに挑戦したとき」問題




さて、実は本作をお題としてちょっと言いたいことというか、
いろんな人に意見を訊きたいことがありまして。
それは本作のヒロイン役のクロエ・グレース・モレッツ。
4年前に出演したアメコミ映画「キックアス」で、
小学生にして殺しのプロ、ヒットガールを好演。
世界中のボンクラ男子に「ヒットガールは俺の嫁!」と言わしめた子です。
その後、順調にキャリアを伸ばしてきたわけですが、
今回彼女は歌手を夢見るコールガール役を演じてるんですね。
作中では彼女の年齢はきちんと設定されてないんですが、
「アメリカに来てから長い」「あれならまだ処女として高く売れる」
なんていう台詞があるのでおそらく20代前半って設定なんでしょう。
そのため、彼女は本作の役作りのために少し体重を増やして
場末の商売女のような肉感的な色気を出しているんですが、
ここにかなりのジレンマが生じるわけですよ。
つまり「子役の頃から知ってる女優がセクシーキャラに挑戦したとき」問題。
実は日本でも来月、安達祐実さんが吉原の花魁に扮する映画が公開されて、
予告編なんかでもかなりきわどいシーンが見られるんですが、
現在30代とはいえ、彼女もまた小学生の頃から活躍してきた女優さん。
だからこう、役柄とはいえ心のどこかで「いいの?これ」って思ってしまう。
しかも本作のクロエさんの場合、実年齢はまだ16歳なわけです。
だから役柄を考えれば「エロい!」って思わせないといけないし、
観客の側も彼女を見て「エロい!」って思うことには問題ないんだろうけど
・・・・・うーん、どうしたもんでしょうかね?
みなさんはどう割り切ってんでしょうか?特に野郎ども。


とはいえ、本作のデンゼル扮するロバートの強さは桁違い。
もう後半になればなるほど彼の超人的な強さが発揮されて、
ロシアンマフィアが石油会社を持ってると知ると
港ごとタンカーを爆破してしまう。
燃え盛るタンカーを背に悠然と歩く姿は
すっごいカッコいいんだけどもはやコメディの域ですよ。
だからまぁ、力抜いて安心して観てられる作品ではありますね。



[2014年10月26日 ユナイテッドシネマとしまえん 5番スクリーン]




トレーニング デイ [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ

¥2,500
Amazon.co.jp





キック・アス<スペシャル・プライス版>Blu-ray/東宝

¥2,700
Amazon.co.jp





ソナチネ [DVD]/バンダイビジュアル

¥4,104
Amazon.co.jp