おさるの読書ネタ・資格ネタ・日々あれこれ

会社役員⇒個人事業代表⇒システム責任者兼新規事業開発室長⇒平社員⇒ニート ⇒個人事業代表そしてまた平社員に。次は何でしょう? ※当ブログのAmazonのリンクから本を購入していただけると本代の足しになるので助かります~


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【サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福】

ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)

http://www.amazon.co.jp/dp/430922671X/

 

 

【サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福】

ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)

http://www.amazon.co.jp/dp/4309226728/

 

 

 

○この本を一言で表すと?

 ホモ・サピエンスの発生から未来までを広い視点と一貫した観点で述べた本

 

 

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・国家、国民、貨幣、宗教等を全て「虚構」とみなして論じていて、虚構だからこそ多くの見知らぬ人が協力することができた、ということが一つの大きなテーマとして最初から最後まで貫かれていたように思いました。

 

・最後まで読んで、著者がユダヤ人でヘブライ大学の教授だということを知りましたが、イスラエルで宗教や国家を虚構と論じるというのはすごいことだなと思いました。

 

・私も国家というものの実体、貨幣というものの実体について考えたことがあり、共同幻想が堅固な実体にまで昇華したようなものかなと思い至ったことがありましたが、この本の著者のように人類の歴史を通して「虚構」として捉えたことはなく、曖昧なものがすっきりしたような気持ちになりました。

 

・「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3つの大きな変革を経て今に至っており、今も科学革命の途中にいるという前提で、時系列で話が進められていました。読み終えてみると、それぞれの変革がその前後で大きく世界のあり方を変えていることが伝わってきました。

 

・考古学、民俗学、歴史学、宗教学、経済学、経営学、科学など様々な分野に亘って論じられていて、著者の博識さと各分野を関連づける能力がすごいなと思いました。

 

・結論を出す本というより、過去の変化、未来の変化において人間はどうなってきたか、どうなっていくのかの様々な問いを立てる本だという印象を受けました。

 

 

<第1部 認知革命>

・生物学的な分類の話とホモ・サピエンスとそれ以外の人類が先祖と子孫の関係ではなく、別系統の進化であった可能性が高いと考えられていること、人類発生からごく近年に至るまで食物連鎖で中位程度の地位にいた人類が現在圧倒的な最上位にいること、ネアンデルタール人が3万年前に絶滅して、なぜホモ・サピエンスだけが現在に残っているのか、などの問題提起がされていました。(第1章 唯一生き延びた人類種)

 

・前章で提起された「なぜホモ・サピエンスだけが生き延びたのか」という問いに対しての解答を認知革命がホモ・サピエンスに起きたから、としていました。NHKスペシャル取材班の「HUMAN」でも協力できることがホモ・サピエンスとネアンデルタール人の勝敗を分けたと述べられていましたが、この本ではもう少し深く考察されていました。動物でも言葉によるコミュニケーションを取れますが、言語として細かい内容を伝えられること、事実以外のこと、抽象的なことについても伝えられるようになったことが「認知革命」なのだそうです。(第2章 虚構が協力を可能にした)

 

・3万年前に造られたライオンの頭を有した人の像が発見されたそうですが、想像の産物を集団に属する者が崇め奉ることができ、集団が協力して目的に当たることができるようになったこと、生物学的に反するあり方のボスを置けるようになったことをカトリックの教皇や宦官を例に出して述べていました。(第2章 虚構が協力を可能にした)

 

・古代狩猟採集民の生活について、限られた証拠しかないことと、学者の偏見から単一の生活形態を前提と考えて想定されることが多いが、そのようなわけがないこと、様々な生活様式や集団のあり方があったはずだという著者の考えは、確かにそうだなと思えました。ある地域では争い事がほとんど起こらず、ある地域では人口の何割かが死亡するような争い方をしている、という状態が同時に存在していたというのも、考えてみれば当たり前にあり得る話だなと思いました。(第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし)

 

・狩猟採集民はかなり生きていくのが厳しく、常に栄養不足だったという偏見を私も持っていましたが、実際には多様な食物を採ることでかなり栄養バランスが良かったというのは意外で興味深かったです。(第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし)

 

・生物学的には現代の人々も狩猟採集生活に適した遺伝子を引き継いでいるという話は別の本でも読みましたが、ホモ・サピエンスの歴史の大部分が狩猟採集生活で、農業を始めたのがごく近年になってからの話ということでまだ遺伝的対応がされていないというのは、なるほどと思いました。(第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし)

 

・巨大動物が絶滅して現代にまで残っていないことの理由として、巨大動物の繁殖サイクルの長さや気候変動などが挙げられるものの、それよりも明らかに人類の移動との相関性が高いことから、人類が犯人である可能性が高いとされていました。それまで何百万年と繁栄していた種が人類と遭遇してから数百年や数十年で絶滅していった事実から、確かに他の要因もあるものの人類自体がそれらの種の絶滅の最も大きな要因である可能性が相当に高そうだなと思いました。(第4章 史上最も危険な種)

 

 

<第2部 農業革命>

・農業が始まったことで人口が大幅に増加したことから、農業の良い面について触れた本を数多く読んできましたが、農業が個人という単位ではむしろ不幸をもたらしたというのは新鮮な考え方だと思いました。狩猟採集生活ではバランスの良い食生活だったのに、農業で限られた作物を生産して集中して食べることで栄養が偏ったこと、不規則な生活だからこそ余裕もあった狩猟採集生活から規則的で総労働時間が圧倒的に増加した農耕生活への変化、人が小麦を支配したのではなく、小麦が人を支配したという視点など、いろいろ興味深い考え方だなと思いました。(第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇)

 

・農業作物や家畜と野生の植物や動物の数の比較で、圧倒的に前者が上回っていて偏りが出ていることなど、数字で見ると改めてすごいなと思いました。(第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇)

 

・先のことを考えない狩猟採集生活から農耕生活に移行したことで、環境の変化が大きく生死に関わるようになり、未来のことを考えさせられるようになり、神話が生まれ、狩猟採集生活の集団の限界を大きく超えた集団が維持されるようになったこと、共同主観的な想像上の秩序が構築されたことで人びとがその秩序により拘束されていく循環が生まれていったことなどが述べられていました。(第6章 神話による社会の拡大)

 

・文字が生まれ、書記体系が構築されたことで、記録や管理体制が整うようになり、集団がより効率的に運営されるようになっていったことについて述べられていました。この本では大きな括りとしての変化としては取り上げられていませんでしたが、個人的には、知識が文書で継承されるようになったことは社会にとってかなり大きな変化、それこそ革命と言っても過言ではない変化ではないかと思いました。(第7章 書記体系の発明)

 

・世の中に存在している、もしくは存在してきたヒエラルキーや差別についても、想像上の秩序の産物であり、悪循環でより強固に固定されていくことについて述べられていました。特に男女差別に焦点を当てて書かれていましたが、男性らしさの基準が歴史上大きく変化しているにも関わらず、また男女差別の根拠自体がそれほど明確ではないことにも関わらず、男女差別自体は残ってきたこと、その一方で同性婚が社会的に認められたことなどが著者にとっては大きな変化と言えるものがあったことなどについて触れられていました。(第8章 想像上のヒエラルキーと差別)

 

 

<第3部 人類の統一>

・多様性、多民族、多極化などと言われながらも、実態としては世界が統一される方向に向かい続けていると述べられていました。極端な意見にも思えますが、大きな流れで見ると、国を超えての取引や商習慣の一致、使用する道具・機械等の揃い方など、確かに「統一」としても過言ではないほど一つのあり方にまとまってきているとも言えるなと思えました。(第9章 統一へと向かう世界)

 

・貨幣の出現によって、見知らぬ者、集団同士の協力が容易になったこと、憎み合っている者同士ですら同じ貨幣を信頼して取引ができてしまうことについて書かれていました。憎んでいる、敵対している国家があってもその国家の通貨は喜んで受け取る、その貨幣に自国の宗教と相容れないものが書かれていても受け取ってしまうというのは、改めて考えるとすごいなと思いました。(第10章 最強の征服者、貨幣)

 

・悪の代名詞として使われる「帝国」が、異なる文化の統合や文化の伝道を果たし、その結果、支配される側が支配する側に溶け込むことや、あくまで別の存在であっても同じ価値観を有することが進展して、「統一」に近付く大きな要因になっているというのは興味深いなと思いました。(第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン)

 

・多神教、一神教、二元論、人間至上主義、共産主義等を含めた広義の「宗教」について、人間よりも大きなもの、もしくは体系などを軸にすることで強力な秩序ができあがる、ということについて各宗教について触れながら説明されていました。ヒンドゥー教や仏教についても詳しく説明されているのが印象的でした。(第12章 宗教という超人間的秩序)

 

・ごく一部の宗教が現代世界で大きな地位を占め、過去隆盛を誇ったゾロアスター教などがかなり信徒を減らしていることなどについて、そこに必然性を感じるのは後知恵の誤謬だと述べられていました。また、歴史の選択は人間の利益のためにされるのではない、一部の人にはそう思えるような選択でも、様々な要因の組み合わせによる偶然の産物であることについても述べられていました。(第13章 歴史の必然と謎めいた選択)

 

 

<第4部 科学革命>

・無知であることに焦点を当て、当たり前とされていたことにも疑いを向ける視点から近代科学が生まれ、進歩という考え方が生まれたという科学革命について述べられていました。(第14章 無知の発見と近代科学の成立)

 

・科学が帝国に力を与え、帝国が科学の振興を支援するという関係が、ヨーロッパ諸国に力を与えることになり、世界の認識の広がりから海を越えた土地までその手を伸ばすことになっていった過程について述べられていました。(第15章 科学と帝国の融合)

 

・資本主義の要が「信用の創造」であり、将来に対する信用に対して投資することで資本が拡大していくこと、利益が生まれそれを生産に回すことで更に利益が拡大していく循環などについて述べられていました。この循環が国家の生産力、更には武力の拡大に繋がり、資本主義の適用範囲を国外の植民地にも伸ばして有利な位置でスタートしていった、という帝国主義と資本主義の関係がよく分かりました。(第16章 拡大するパイという資本主義のマジック)

 

・産業の振興により、消費することで減る資源よりも人類が利用できる資源の増加が上回り続けてきたことについて述べられていました。特定の資源は利用されたら減少しますが、その代替の資源、異なる資源の「発見」で、結果的には資源全体としては増加している、ということが現代においても続いているのは確かにそうだなと思いました。(第17章 産業の推進力)

 

・国家と市場経済の発展により、コミュニティが弱くなる一方で、国家と個人が強くなっていく循環と、過去の世界に比べたら現在の世界がいかに平和かということが関連づけられ、数値や割合として述べられていました。(第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和)

 

・農業革命が人間を幸せにしたのかという問いと同じように、科学革命による文明化が人間を幸せにしたのかという問いが挙げられていました。人間の生物学的な変化がない中で、以前より幸せか、狩猟採集生活より幸せか、ということは容易には言えないという、結論を出さない結論が出されていました。(第19章 文明は人間を幸福にしたのか)

 

・サイバネティクスやバイオ工学により、遺伝子操作、機械化などができるようになりつつある現代について述べられていました。ホモ・サピエンスを超えたホモ・サピエンスすら登場しようとしている未来において、どのような世界であるかというより、人が何を望むのか、などの問いが挙げられて終えられていました。(第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ)

 

 

○つっこみどころ

・翻訳ソフトで英和一括変換でもしたのか、単純な誤字が散見されました。翻訳者も編集もそういったチェックはしないのでしょうか?

 

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