英国のEU離脱後と、連合王国成立・EC加盟の歴史 | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

英国のEU離脱後と、連合王国成立・EC加盟の歴史

英国のEU離脱の国民投票後、スペインの選挙で離脱派の伸長が注目されたが、伸びなかった。ユーロ加盟国が残留し、英国が離脱すれば、EU・ユーロは純化され強化されるかもしれない。

暗いのが英国とポンドの将来だ。スコットランドやシティが離脱すれば、激しい凋落となる。逆に北海油田を持つスコットランドやシティがユーロに加盟すれば、EUとユーロは強くなる。

英国が連合王国となったのは、エリザベス一世の英断による。自己をイングランド王座から排除しようとしたスコットランド女王メアリー・スチュワートの息子、スコットランド国王ジェームズ6世を、自己の後継イングランド国王とすることで(ジェームズ一世)、連合王国を成立させた(1603年)。英国・連合王国(UK)の黄金時代の土台を作ったと言える。400年以上続いた栄光の連合王国から、スコットランドが分離独立してEU・ユーロ圏に入るか、注目したい。

英国がEUの前身ECに加入したのは1973年。アメリカがドルと金との交換を反故にしたニクソンショックの約1年半後である。米国による通貨的・通商的な搾取に対抗する意味があったが、結局、英国はユーロを採用しなかった。

プラザ合意後、ドイツやフランスは通貨主権を委譲してユーロを誕生させる道を選んだが(マーストリヒト条約)、英国は通貨主権を選んだ。今回の国民投票をきっかけに、英国の良いとこ取りは難しくなりそうだ。

英国に進出している日本企業の将来が心配されるが、ポンド安が続くことを考慮すれば、EUへの輸出に関税などの障壁が残っても、これを上回る通貨安メリットを享受出来るかもしれない。

ドルを刷るだけ刷って交換価値を下げていく米国(ニクソンショック、プラザ合意など)に対して、欧州人はユーロを誕生させて対抗した。英国のEU離脱程度でEU・ユーロが崩壊を始めることはないだろう。