交通死亡事故の解決事例 | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

交通死亡事故の解決事例

交通死亡事故の依頼が多く,4件持っていましたが,最近,2件が解決・終了しました。精神面では弁護士にとっても重い事件でした。→関連記事


このうちの1件は,保険会社の提示が余りにも低く,驚きました。


・自賠責保険でカバーできる金額(任意保険会社の負担0円部分)

  ・・・2211万円

・事故約1年後,本人に提示された示談金額

  ・・・2281万円任意保険会社の負担は,わずか70万円での提示

  →弁護士に相談,委任

・翌月(事故1年1か月後),弁護士に提示された金額

  ・・・4100万円(本人提示額+1819万円,自賠+1889万円

  →弁護士(私)が拒否,増額交渉不調


・弁護士からの被害者請求で自賠責から2211万円取得(事故1年5か月後)

・訴訟提起,3000万円で訴訟上の和解が成立し,入金(事故2年2か月後,弁護士に委任して1年2か月後)

  (合計5211万円取得,当初提示比+2930万円,約2.3倍)


  → 経緯等の詳細はこちら(事務所サイト:交通死亡事故の事例)


交通事故では保険会社の本人への提示額は,裁判基準・弁護士基準と比べて,非常に低いことが多いのですが,今回は,際だって低い提示でした。


弁護士が介入すると,保険会社基準→弁護士基準での対応となり,大幅に増額となるのですが,今回は加害者の落ち度が大きい過失割合100:0の交通死亡事故だったのに,慰謝料を訴訟前だからと2400万円の基準から10%(240万円)も減額して提示して来ました。


財閥系・従来型の保険会社ではなく,テレビCMを盛んに行うダイレクト系で著名な保険会社でしたが,余りの提示の低さに驚き,私も被害者遺族も,CMを聞くたびに不快な思いとなり,チャンネルを変えたりしています。(CM自体は感じは良いのですが)


交通死亡事故のような大型の事故では,弁護士の介入により数千万単位で取得金額が増えることは,決して珍しくありません。


もう一つの終了した交通死亡事故の事例では,保険会社が財閥系で経験があり,訴訟になると遅延損害金や弁護士費用の面から不利と判断したようで,約7500万円の取得で刑事判決前に解決しました(事故発生から1年以内,見舞金込みの金額)。→ 事務所サイトでの交通死亡事故の事例紹介


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交通事故における保険会社の対応については,被害者となった経験のある方は実感されていると思いますが,かなり問題を感じます。


もっとも,損害保険会社の広告は,テレビCMを含めて極めて盛んであり,大広告主である自動車保険会社の問題について,大手マスコミが積極的に取り上げることは難しそうです。


テレビで広告をしているダイレクト保険が,財閥系の保険会社より安いのは,走行距離等に応じていることだけが理由ではないと感じます。

(上記の保険会社の支払いの悪さは,弁護士業界では比較的広く知られています)