弁護士法人 大阪弁護士事務所 

代表社員弁護士 重次直樹 (本部)重次法律事務所

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2016-11-14 19:14:31

トランプの移民政策と,ジョージ・フリードマン「100年予測」

テーマ:金融経済・政治

メキシコ国境に万里の長城を築く,費用はメキシコに払わせる,というトランプの主張は,荒唐無稽で暴言の代表のように伝えられる。

 

他方,メキシコ・ヒスパニック移民は,この先100年の米国最大の脅威との指摘がある。

 

未来予測本のベストセラー,ジョージ・フリードマンの「100年予測」(原題「THE NEXT 100 YEARS」,早川書房)である。

 

 

著者のフリードマンは,「影のCIA」の異名をとる情報機関ストラトフォーの創設者,と謳われる。

 

この本は,興味深く,未来予測本の中でも価値があると思い,複数,保有している(文庫本は手元に複数,単行本もどこかにあると思う)。

 

内容は,国際関係を中心としつつ,幅広い問題を扱う(例えば女性の社会進出)。

 

中心テーマの国際関係では,以下を大胆に予測する。

 

・21世紀初めに,米国に挑戦するのはロシアだが,かつての冷戦時ほどの力はなく,またもロシア崩壊で終結する   ※中国は本質的に不安定で,張子の虎

 

・21世紀半ばに,日本・トルコ・ポーランドの三国が,対抗勢力として傑出するが,米国はポーランドを取り込んで日本・トルコを締め付け,宇宙戦争で勝利する

 

・戦争に勝った米国は,2060年代に黄金時代を迎える

 

21世紀の終盤,経済大国に成長したメキシコが,米国内の膨大な移民と呼応して,米国の覇権に挑戦する

 

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移民問題・メキシコ国境問題は,現在の問題である。

 

他方,今世紀末頃,メキシコは経済大国となり,米国内の移民と呼応して,今世紀最大の米国の挑戦者となる,と予測されている。

 

太平洋・大西洋に囲まれ,「ユーラシア分断政策」(日露離間,日中韓離間を含む)で安全と繁栄を保つ,という米国の基本政策によって,解決できないのが,メキシコ問題・移民問題である。

 

トランプの主張を,荒唐無稽と一笑に付すべきでないように思われる。

 

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2016-11-10 09:13:54

トランプ勝利

テーマ:金融経済・政治

米大統領選で、ドナルド・トランプが当選した。

 

(左はベストセラーのトランプ自伝、右はトランプが通った教会の牧師のベストセラー※)

 

日本では、マスコミの論調も含めて、

・トランプはいずれ失速、当選しない

・トランプが当選すると大変なことになる

・トランプ=暴言、差別主義、下品  vs  ヒラリー=知的、常識的

・トランプ=保護貿易・孤立主義  vs  ヒラリー=自由貿易・同盟尊重

といった理解・報道が多かった。

 

マスコミや「識者」の論調を、そのまま信じるのは危うい。

 

1992年も、日本のマスコミはクリントン当選を予測できず、直前まで父ブッシュの再選を当然視していた。

 

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トランプが共和党予備選で当選し、本選でも当選して、私はむしろ、良かったと思っている。特に、ジェブ・ブッシュの当選を阻んだのは良かった。ブッシュ父子は中東で戦争し、罪のない民間人を大量に殺して、日本に資金を要求した。ヒラリー当選なら、4年後は共和党に代わる可能性が高くなり、ブッシュ出馬の危険性は,より高くなっていた。

 

ヒラリーも軍事産業とのつながりが指摘されている。

 

トランプが当選して、米国のロシアに対する危険で挑発的な政策(ウクライナ・シリアなど)が改善されることを期待する。ウクライナやシリアでも多くの民間人が殺されている。シリアは難民問題の起点にもなっている。トランプはロシアとの関係改善を主張し、ISへの米政権の関与を批判してきた。日露関係には好影響を与える可能性が高いと思う(日露分断は米国の伝統的政策ではあるが。。)。

 

ブッシュ政権のWTCテロ対応批判、米政権のIS関与批判など、トランプは大胆に発言していた。

 

米国人はマスコミに騙されることなく、良く見ている、と、今回のトランプ当選を見て、思った。

 

911当時のNY市長,ジュリアーニ氏も,トランプ氏を支援している。

 

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元NHKアナの木村太郎氏は、28.3.4、関西のテレビ番組で、「トランプ当選確率は99%、残りの1%は暗殺の危険」と大胆に予測しており、今回、見事に的中した。(直前、ヒラリー優勢が伝えられた時期も、トランプの可能性は充分あると発言していた)

 

私も同じような見方をしていて、ニックネームアカウントに次のように投稿していた。

・28.5.21 

28.3.4木村太郎が関西ローカルで話したことは正解。(3.5ツイート)トランプが大統領になる可能性はかなり高い、という木村太郎の意見は同感だ。日本には共和党の大統領の方が良い、という意見には同意できないが・・・キッシンジャー・ニクソン・父ブッシュは日本には過酷な政策を取った。

・28.5.21

米大統領選,2.21に書いた通りになってきた。…英語が理解できるなら、ヒラリー演説のつまらなさ、トランプの面白さが分かる筈。何時までも本命ヒラリー、トランプはいずれ失墜という学者・評論家の解説を信じるのは危うい。1992年も日本のマスコミはクリントン当選を予測できなかった。

・28.3.5

トランプが大統領になる可能性はかなり高い、という木村太郎の意見は同感だ。日本には共和党の大統領の方が良い、という意見には同意できないが・・・キッシンジャー・ニクソン・父ブッシュは日本には過酷な政策を取った。

・28.2.21

英語が理解できるなら、ヒラリー演説のつまらなさ、トランプの面白さが分かる筈。何時までも本命ヒラリー、トランプはいずれ失墜という学者・評論家の解説を信じるのは危うい。1992年も日本のマスコミはクリントン当選を予測できなかった。

 

ただ、トランプ夫人がオバマ夫人の演説を盗用した際は、「この人がファーストレディはまずいかな」と思った。その後の世論調査でヒラリーがトランプを引き離したため、トランプはダメなのかな、と感じた時期もあった。他方、ヒラリーは直前の世論調査で圧倒していた筈のサンダースにも苦戦しており、米世論調査は当てにならず,木村氏と同様、トランプの可能性は充分あると思っていた。

 

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本選後の演説を聞くと、ヒラリーは理屈っぽく、学者の講演のようだった。トランプは親分肌を示し、堂々としていた。長年、企業のトップを務め、テレビで高視聴率を取っただけあると思う。

 

レーガンは、父ブッシュに知性では勝てなくても、謙虚さ、語り口の柔らかさで、好感度は抜群であり、予備選で父ブッシュを圧倒し,大統領も2期8年務めた。父ブッシュは予備選でレーガンに歯が立たず,副大統領に甘んじた後,大統領を1期だけ務めた。

 

ゴア元副大統領も、知性で子ブッシュを圧倒したが、尊大な感じで、話もつまらなかった。クリントン・ゴア政権の8年の繁栄を引き継いで当選が当然視された時期もあったが,クリントンの女性醜聞もあり,接戦の末,落選した(ただし,フロリダの投票結果には不正選挙の疑いがある。当時のフロリダ知事がジェブ・ブッシュ)

 

ヒラリーはゴア氏に似ており、選挙向きの人柄でない。

 

レーガンに学んだトランプの勝利は、自然な結果だと思う。

 

 → 関連記事 トランプ,「成功のための10の法則」

 → YOU TUBE  ドナルド・トランプ「成功のための10の法則」 

 

 

※冒頭写真左の「積極的考え方の力」は,原著と翻訳にかなりの違いがあること,キリスト教関係の記載が多いことには,注意が必要です。冒頭写真右の「トランプ自伝」は単行本ですが,絶版で,現在,文庫本が購入可能です。

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2016-10-04 18:20:34

放射線診断専門医の画像所見…交通事故による高次脳機能障害など脳神経関係

テーマ:交通事故

先日,紹介された放射線診断専門医を訪問し,交通事故の被害者の画像をいくつか見ていただいた。

 

特に,高次脳機能障害が強く疑われる事案,頚椎症性脊髄症の事案など,脳神経関係については,自賠責が後遺障害の等級認定に消極的であることが知られている。例えば,高次脳機能障害については,労災では14級から認定があるが,自賠責では9級からであり,いわゆる3要件(脳外傷の傷病名,事故直後の意識障害レベル,画像所見)が必須と言われている。

 

脳神経関係は未解明の事象も多く(高次脳機能障害も比較的最近になって解明された),骨折などと比べて画像等の他覚所見による立証が難しく,医師の中でも画像の専門家である放射線診断専門医からヒントやアドバイスを頂ければと考えて,訪問した。1時間の面談時間で複数の事件を相談したが,大変有意義だった。

 

例えば,高次脳機能障害が疑われる被害者の脳の画像について,「脳の委縮」「びまん性軸索損傷の痕跡」について,当日持参した多数の画像の中から,放射線診断専門医の指摘は素早く,的確と思われた。

 

上記画像を,医学書の典型的な高次脳機能障害による脳委縮の画像例と比較すると,一見して明白な委縮は,直ぐには分からない。

 

しかし,放射線診断専門医は,上記写真の右側上部(実際には前頭葉の左側)が,左側上部(前頭葉の右側)と比べて,丸みが欠けて尖って小さくなっており,「脳の委縮」は明白であると指摘した。しかも,当日持参した数百枚の画像(MRI,CT,XP等)の中から,速やかに選び取って指摘した。

 

上記写真の上部右側にある赤丸の左下部分には,脳の中心より右側(実際は左脳)だけ,脳溝が拡大している。また,同じ赤丸の中央やや下の部分には,脳萎縮が認められる左脳側(写真では右側)に,びまん性軸幕損傷とみられる白い影が見られる。

 

びまん性軸索損傷の白い影は,上記写真でも,写真中央より右側(実際は左脳側)に見られる。

 

医学書の掲載事例と比べると,脳萎縮は分かりにくいが,同医師によれば,専門書の画像は,「ホームラン事例」であって,そのような例は少ない,との説明だった。

 

確かに,教科書事例に比べて脳委縮の程度は小さいが,指摘された部分は,確かに脳の委縮,脳溝の拡大が見られる。委縮が見られる左脳側に,びまん性軸索損傷と見られる白い影も見られる。

 

1時間の間に,数名の交通事故の被害者について画像診断を求めたが,指摘は素早く,的確と思われた。

 

上記写真の事件は,当初,他の弁護士が受任していたが,ビジネス系の弁護士で,おそらく高次脳機能障害の知識に乏しく,本人の性格上の問題について,事故由来の性格変化との認識はなく,コミュニケーションが取りにくいと説明していた。

 

他の交通事故の被害者の紹介で,事故から1年8か月後に受任したものの,容易でない。

 

既に全国展開する交通事故専門の行政書士グループ(関連会社に医療コンサルもある)によって,自賠責保険への異議申立,損害保険料率算出機構への異議申立を済ませている。

 

同事務所の努力により,非該当から12級に3ランクアップされたが,非器質性での認定であり,器質性の高次脳機能障害は「0回答」のままだった。

 

同グループにより機構への異議申立も行ったため,再度の異議申立は出来ない。高次脳機能障害を主張して訴訟を提起するか,非器質性の後遺障害12級を前提とする示談や紛争処理センター申立てを行うしかない。

 

訴訟も見据えて模索する中,紹介された放射線診断専門医を訪問して,本当に良かった感じている。頚椎症性脊髄症の事案についても,有力な材料と思われる指摘を複数いただいた。

 

もっとも,高次脳機能障害による脳の委縮が顕著になるのは,事故から6か月以上経過してからであり,当該被害者の画像はCTは多数あるものの,MRIは3か月後のものしかない。現在,高精度のMRI画像を取っていただくよう,家族の方にお願いしている。

 

高次脳機能障害に関する医学書を多数読んでも,当該被害者の何百枚ある画像のどこがポイントか分からなかったが,専門医の指摘で一挙に打開された感じがした。もちろん,当方も医学的に勉強し,医学上知識を持って整理して専門医に説明したのであり,また,「脳萎縮」「びまん性軸索損傷」の重要性について知識があったから,専門医に質問し,その説明を理解できた。医学書による基礎知識の習得は重要であり,勉強せず医師に任せきりでは,医師に質問できず,医師の説明を理解出来ない。

 

医学書,主治医との面談のほか,画像では放射線診断専門医のアドバイスは有力な助けになると感じた。医学的に難しい事案の訴訟や交渉において,今後,活用したいと思う。

 

 

関連記事

 → 医学書と交通事故の後遺障害・等級認定の異議申立

 

 

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2016-10-02 23:55:29

事務所マンション・商業複合ビルの火災騒動

テーマ:日々の出来事・生活・挨拶

事務所兼自宅として利用しているマンションで,今夜,火災騒動がありました。

 

この建物は,「NU+(ヌープラス)」という商業ビルと,「ジオグランデ梅田」というマンションが一体となった複合施設です。

 

 

マンション入り口は,梅田ロフト・丸善ジュンク側にあり,そちらは避難で出てきた住人や,警報音で驚いた野次馬などで,一時騒然となりました。2番目の写真は,マンション側に火災はなかったと分かって,住人の大半が戻った後の写真です。私も,キーホルダーだけ持って出た後,無事と分かって自室に戻り,情報収集や記録のため再度降りて,iPADで写真を撮り,周辺で聞き取りを行った経緯です。

 

マンションでは3階での火災発生を伝える大音量の警報が数十分続き,エレベーターは停止となり,31階の人も含めて,階段で1階屋外まで避難しました。

 

31階から1階まで犬を抱えて階段を下りられた高齢の方もおられ,まだ部屋に猫がいる,何匹も飼っている猫全てを連れて降りられないし,誰を助けるのかなんて選べない,と泣いている高層階の女性住人の方もいました。

 

高層階ほど避難は厳しかったようです。

 

私は手の離せない作業中で少し遅れて降りましたが,階段を上がっていく管理会社の方や警備員とすれ違いました。その際は,商業ビル側でなく,マンション側の火災と聞きました。

 

しかし,マンションは4階から上がメインで,3階までは商業施設がメインです(3階のマンション部分は駐輪場程度)。実際,3階マンション側では何も起きておらず,商業ビル側(NU+)3階の「C+」というレストラン(ダイニングカフェ)での火災,というか,軽い小火かもしれませんが,これをマンション側の警報器が探知して,自動的に警報を鳴らしたようです。

 

マンション側には新たに消防車が来ましたが,商業ビル側は既に一段落して現場検証・実況見分中だったのか,消防の方のほか,警察の方が多くおられました。

 

 

 

同フロアの別レストランで聞いてみると,レストラン・商業ビル側では,大した火災ではないことが分かっていて,大きな警報もならず,比較的平穏だったそうです。もっとも,営業時間中(レストランは11時まで)でであるのに,上記写真の状態になっていました。マンション側は事情が分からず,大きな警報が鳴り続けて住人も避難したため,大きな騒ぎとなったようです。

 

日曜の夜9時半過ぎくらいの出来事で,平日の日中なら,もう少し連絡がスムーズだったかもしれません。

 

商業ビル側で火災等が発生した場合の,マンション側への連絡体制など,今後,改善が必要だと思われる点も多い出来事でした。

 

退避された皆様,特に高層階の方や,ペットや重い荷物などを持ち出した方は,本当にお疲れさまでした。大きな事故でなく,小雨も止んで,寒い季節でも酷暑でもなく,比較的過ごしやすい気候だったことは,幸いだった思います。

 

(通りの左側が「NU+」。消防署の奥・右側のビルは,関連商業施設「NU(ヌー)」)

 

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2016-09-30 18:59:54

交通死亡事故と「ママがおばけになっちゃった!」(ベストセラーの絵本)

テーマ:交通事故

交通死亡事故の事件を多く受任しています。今月は2件,部下が担当する事件で保険会社からの入金がありました。

 

私自身も現在,交通死亡事故を3件受任しています。今年の初めは4件でしたが,今年の前半に2件が解決に至りました(1件は民事訴訟上の和解,もう1件は被害者参加した刑事裁判中の訴外和解)。先日の日曜日に1件受任して,再び3件になりました。

 

3件とも,遺族の1人が被害者参加を希望して,その代理人になっています。

 

死亡事故は減少傾向ですが,当事務所では委任が多く,通常の事故とは異なる特性があることから,死亡事故の専用ページを事務所のホームページに追加しました。

→ 重次法律事務所 交通死亡事故のページ

 

死亡事故は一般の事故とは賠償項目が大きく異なるほか,被害者が事故状況を説明できない,遺族の精神的消耗が激しい中,さまざまな処理を要求される,などの特色があります。

 

【傷害事故の主な賠償項目】

【死亡事故の主な賠償項目】

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今年前半に解決に至った交通死亡事故は,いずれも,取得金額では成功と言ってよい事案でした。

→ 70歳代の死亡事故,2281万円→5211万円と大幅増の事例

→ 年収300万円余でも事故1年以内に約7500万円取得した交通死亡事故

 

しかし,2件とも,金額面で成功だったのに,あるいは,成功だったから一層,私自身は無力感を覚え,精神的にダメージを受けました。

 

本人への示談提示2281万円に対して,5211万円を取得した事例では,金額面での増額が大きかったのに,遺族に終了報告を行った際,無力感を覚えました。

 

賠償をいくら沢山取得しても,命は戻ってきません。遺族の悲しみも消えません。

 

もう一つの約7500万円取得の事案は,遺体の状況が余りに凄惨であり,遺族の心に深いダメージを与えた事案でした。この事件の刑事裁判では,遺族の無念や痛みを加害者や裁判官に知ってもらうべく,被害者参加の代理人として,死体に関する実況見分調書も検察官に追加で証拠申請して頂きました。また,法廷では遺族の心情等に関する意見陳述書を代読しました。読みながら,途中で涙が出て声が震えてしまい,平常に読むことが出来ませんでした。遺体の衝撃的な写真は長く頭に残りました。

 

交通事故は弁護士に依頼することで賠償額が大幅に増えることが多い分野です。特に,後遺障害の上位等級を取得できれば,賠償額は大きく増加します。

 

しかし,傷害事故でも死亡事故でも,弁護士は金額を増やすことは出来ても,怪我を直すことも出来ず,失われた命も戻ってきません。

 

一日に遺族の陳述書を4件読んだ日(1件は民事訴訟提出用,3件は翌日に捜査機関に提出予定ということで別事件の遺族3人のものを急きょ読んだもの)は,それぞれの遺族の心情が生々しく伝わり,感情移入して,相当に落ち込み,深刻な心境になりました。

 

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そんな風に落ち込んでいる時,ベストセラーの絵本「ママがおばけになっちゃった!」を,事務所マンションの隣にある丸善ジュンク堂梅田で手に取り,読みました。(後日,購入しました)

 

この絵本がベストセラーになっていることは以前から知っていましたが,交通死亡事故に関する絵本であることは,先日,読んで初めて知りました。

 

多数の交通死亡事故を受任して,精神的に参っていた私にとっては,新鮮な絵本でした。

 

突然に命を奪われた被害者の無念,残された遺族への愛惜の気持ち,突然に肉親を奪われた遺族側の気持ちの双方が,コミカルな表現の中から,じわじわと伝わってきました。

 

大変に重たく,辛く,暗くなりがちなテーマを,これほど明るく扱い,しかも,本当は悲しすぎる,辛すぎる気持ちや,無念でならない悔しさなども,静かに伝える名作だと思いました。

 

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それから暫くして,受任中の死亡事故について,刑事裁判の被疑者参加で公判廷に出ました。この件では,被害者の配偶者の消耗が激しく,後を追いたい心情をこぼすこともあり,子息の方が参加されました。しかし,待ち合わせの時点から,子息の方も泣いており,話を聞いているうちに,私も途中から泣いてしまいました。

 

交通事故の刑事裁判では,死亡事故と雖も,被害者参加がなければ,第1回期日において冒頭手続きから証拠調べまで終え,論告求刑・最終弁論も済ませて,1日で結審してしまうことが,むしろ,実務上は通常になっています。

 

被害者参加がされた場合には,手続きは格段に丁寧になります(第1回期日後に閲覧謄写申請,裁判所の許可後に閲覧謄写,訴訟資料確認後に証人尋問等の準備→証人尋問は2回目以降の期日,証人尋問・被告人尋問の内容を受けて意見陳述の準備→意見陳述と結審は3回目以降の期日)が,むしろ,それが本来のあるべき手続きの姿のように思います。

 

それでも,限られた時間で行われる検察官の冒頭陳述では,立証事実と証拠との関連を手際よく短時間で説明していきます。遺族の心情と比較すると,通常より遥かに丁寧な訴訟進行だとしても,機械的に感じられて,違和感やギャップを覚えます。説明する証拠には死体の実況見分調書も含まれ,ページをめくりながら,検察官が効率よく要旨の説明を進めます。法廷に参加した遺族の嗚咽が漏れるなか,私自身も涙が出て,鼻をすすらないではいられませんでした。

 

改めて,残された遺族の悲しみや辛さが,実感として,伝わってきました。

 

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同じ日に,別の交通死亡事故について,遺族から検察官から聴取を受けたことについて電話の伝言がありました。折り返しの依頼がなくても,通常ならその日に折り返すのですが,その日は法廷に参加した死亡事故の件で精神的・心理的にいっぱいになってしまい,折り返しができませんでした。

 

「ママがおばけになっちゃった!」を読んで,少し軽くなっていた気持ちも,現実の事件を前にすると,打ち砕かれるようであり,名作だと思った絵本も,軽すぎて不謹慎にさえ感じられることもありました。

 

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弁護士の扱う事件は,交通死亡事故のように事件自体が極めて深刻な内容のものが少なくありません。

 

相談者・依頼者の気持ちが少しでも軽くなり,前向きになるように,また,「先生と話していると気持ちが軽くなり,前向きになる」と思われるようにするのが,私どもの仕事の一部です。

 

ですが,弁護士も精神的に辛くなることがあります。

 

いろいろな事件で,依頼者の方に,気持ちの持ち方や,気持ちを上手に散らすことの大切さを説明することが度々ありますが,依頼者と心情を分かち合うことの大切さを感じつつ,弁護士自身も,気持ちを散らせたりメンタルを維持することが重要だと感じるこの頃です。

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