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代表社員弁護士 重次直樹 (本部)重次法律事務所

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2017-05-06 01:01:48

日本人の歴史観と戦争観:日露戦争と日米戦争の間に起きたこと

テーマ:金融経済・政治

明治維新以降,日本が参加した大きな戦争と言えば,勝利した日清戦争,日露戦争,大敗した第二次世界大戦の3つが取り上げられる。(明治以前は対外戦争は少なく,白村江の戦い,元寇,秀吉の朝鮮征伐+藩では薩英戦争,下関戦争)

 

ロシアとの戦争でも,日露戦争,第二次世界大戦が取り上げられる。

 

第一次世界大戦・シベリア出兵は,日本では,余り取り上げられない。

 

以上が一般的な日本人の歴史観・戦争観だろう。

 

私は,余り取り上げられない,第一次世界大戦・シベリア出兵が重要だと思う。日露戦争と日米戦争の間に起きたことは,かなり重要と認識している。

 

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日本は敗戦して「侵略国」の汚名を付された。これに反発し,日本はアメリカに挑発され,戦争を余儀なくされた「被害国」,という主張がある。

 

1941年の開戦については,上記主張には理由がある。金融資産凍結,石油・鉄くず等の禁輸,ハル・ノートなど,米国の政策は宣戦布告に近い挑発行為であり,実際,日本に最初の一撃を加えさせようと明確に意識していた政権中枢もいた(陸軍長官スティムソン,財務長官モーゲンソー,財務次官補ホワイトなど。「スティムソン日記」に明記)。チャーチルや蒋介石も,日米開戦を必死に願い,誘導していた。

 

しかし,その10年前の1931年,日本は満州国を建国している。これは,対米戦争に備えたものである(石原莞爾)。石原莞爾は,満州事変の理論・実践の中心人物だが,その独特の「世界最終戦争論史観」の中で,準決勝が日ソ・米独,決勝が日米と予測し,それに備えての満蒙の領有を唱え,満州事変を実行している(日中戦争には反対,日中連携による対米戦争を模索,失脚)。

 

アメリカにもオレンジ計画(対日戦争プラン)があった。しかし,対英のレッド計画,対独のブラック計画もあった。このようなシミュレーションは日本も行っており,各国共通である。

 

米国よりも,日本の石原莞爾の方が,より早く,より明確に,日米戦争を意識し,満州事変という具体的な軍事行動に着手している。「日本被害者論」は,対米戦争に備えた満州事変(1931年)を含めた歴史の流れを見る限り,被害妄想的な面を否めない。(ブロック経済化・「もたざる国」の理論は,後付けの正当化の試みだろう。経済・金融的に満州事変はマイナスだった。特に,大陸側の紙幣乱発は国富を流出させた。日本は満州事変等で大陸に深入りしなければ,世界貿易で充分にやっていけた。特に,中国本土との貿易では,地の利があった。徳川幕府が倒れた金融的背景が日米修好条約の金銀交換比率にあったように,日本敗戦の金融的背景は大陸側の紙幣乱発による国富流出)

 

米国は,蒋介石・宋美齢の宣伝,チャーチルやスターリンの工作により,ルーズベルト政権が対日開戦に誘導された面もある。

 

しかし,軍事的に急台頭する日本が,満州事変など,中長期的に対米戦争の準備を進める中で,米国が機先を制した面がある

 

北朝鮮の核・ミサイルが,米本土に到達できるのを,米国のトランプ政権や国防省が認めない姿勢を示している。

 

当時の米国も,対米脅威となる意思も能力も有する日本が,欧州大戦により疲弊したアジアの植民地に進出し,米国を上回る勢力に育つのを,待たなかった,と見ることができる。

 

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石原莞爾らが起こした満州事変は,決して東京政府の意向によるものではなく,現地軍(関東軍)の独走とも言われる。「陸軍が日本を壊滅させた」,と言われる所以である。(そこには明治憲法の欠陥=統帥権の独立問題もあった)

 

それでは,なぜ,関東軍が「しっぽが犬を振る」ように,日本を翻弄できたのか?

 

日本人は,第一次世界大戦とシベリア出兵の歴史を直視すべきだと思う。

 

一次大戦は,世界最大級の王朝,ロシアのロマノフ王朝を崩壊させた。ロマノフ朝の金塊の一部はシベリア鉄道を経由して満州・朝鮮に流れた。ルーブルは暴落し(※),日銀券と兌換性のある鮮銀券(朝鮮銀行券※)が満州・シベリアで広く流通した。「日本本土,朝鮮半島,満州,沿海州とシベリア,樺太と,日本海を取り巻く地域の通貨は,すべて日本円で統一される様相を呈した」(大陸に渡った円の興亡(下)3頁)

 

※インフレ率は,ドイツの1兆倍には及ばないが,600億倍に達した。

※朝鮮銀行に独自の発券機能を与えたのは,西南戦争によるインフレ対策に苦労した松方正義が,朝鮮経済のインフレが本土に輸入されることを防ぐため,日銀券でなく,日銀券と兌換性ある鮮銀券を発券させたのが理由(兌換性は容易に解除できる。類似の仕組みにフォークランド諸島ポンド:アルゼンチンに接収されても兌換停止により英ポンドが流出しない仕組み)。松方の知恵により,敗戦後の日本のインフレは100倍~数百倍程度で,一次大戦後のドイツ・ロシアとも,二次大戦後の中国・朝鮮とも,比較にならないほど小さく済んだが,関東軍・陸軍独走の金融的背景となった。

 

朝鮮銀行の鮮銀券は,日銀券との兌換性を有した上に,朝鮮銀行は独自に発券できた。1935年,この権限を取り上げる意向を示した高橋是清は,1936年,二・二六事件で暗殺され(二・二六の金融的背景),その後は歯止めを失い,1937年の日中戦争,日米戦争,敗戦へと向かう鮮銀券の乱発が,大陸陸軍の独走を助け,本土を経済的に苦しめ,しっぽが犬を振り回し続けた。

 

関東軍が独走できるだけの,金融的背景が,大陸側にあった。

 

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より大きな金融的背景を見れば,ロマノフ朝のユダヤ人弾圧(ポグロム)に反発して日露戦争で日本を支援したジェイコブ・シフ,ワーバーグなどの欧米ユダヤ金融巨頭は,1913年にFRBを設立して米国金融を牛耳り,ロマノフ打倒に動いた(翌1914年より大戦,経済覇権が米国へ)。

 

これが,①日本がロシアに勝ち,②1914年からの大戦でドイツが(米国金融界の助力により)2正面で4年も戦争ができたが,③1917年3月8日,ロマノフ朝が崩壊すると,翌4月6日には米国が参戦してドイツが敗北した(ドイツはロマノフ朝打倒のため使い捨てられた),という戦争史の金融的背景だろう。

 

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・ロマノフ朝が滅亡して金塊等が満州・朝鮮に流れ,朝鮮銀行が独自の通貨発行権により,関東軍の満州事変などを金融的に支えた。

 

・日露戦争で明石大佐などがロマノフ朝で行った反政府活動(共産党を含む)への支援は,ロシア革命後,日ソの裏人脈として継続した。

 

・大陸側が日本本土を,「しっぽが犬を振り回す」ように,翻弄し始めたのが,第一次大戦・シベリア出兵以降の歴史。金融面では,朝鮮銀行が大きな役割(大陸陸軍暴走の金融的背景)。

 

・満州人脈の一部を引き継いでいるのが,安倍晋三・現総理(祖父は岸信介:弐キ参スケ=東条英機,星野直樹,鮎川義介,岸信介,松岡洋右,満州三角同盟=鮎川義介,岸信介,松岡洋右)

 

・日本の国際連盟脱退のきっかけとなった熱河侵攻は,アヘン利権確保の目的があった。大陸アヘン利権の中心人物が電通を今の形につくった里見甫(満州国通信社の初代主幹主筆。岸信介と深いつながり)。

 

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私は「戦争と金融」の関係に興味を持ち,独学を続けてきた。

 

歴史的に見て,インフレと戦争には,強い相関がある。

インフレ時には戦争が起こりやすく,戦争が起こればインフレになる。

 

アベノミクスの安倍政権が,軍事的にも積極的・冒険的なのは,法則に合致している。

 

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平成デフレの一因は,中曽根バブルである。中曽根氏も,軍事に積極的な改憲論者で,経済はインフレ・バブルになった。

 

アベノミクスのインフレ政策が,将来の成長を先食いし,後の低成長をもたらすこと,戦争的・冒険的な政策と結びつくことを危惧している。

 

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なお,北朝鮮と日本のつながりについては,過去の以下の記事もご参照ください。

 

「金正日は日本人だった」に見る国際関係の複雑

 

「金正日は日本人」説(佐藤守ほか)+元外交官の原田説

 

石原莞爾らが対米戦争の拠点と考えた満州は、現在は「瀋陽軍区」の管轄下にあります。

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2017-04-29 18:33:25

アクセスの多い過去の記事

テーマ:金融経済・政治

【今だにアクセスの多い過去の記事】

 

ブログの古い記事は,検索しても表示されず,見つけにくいので,アクセスの多い過去の記事を一覧にします。

 

(「重次直樹 デフレの原因」,と検索しても,「デフレの原因」の記事は出ません。「重次直樹 ブログ 黒田就任」で検索しても,黒田就任後の市場混乱の記事は出ません),

 

(管理者は,アクセス・ランキングから,すぐに見つけられます)

 

【金融・経済】

デフレの原因

2%のインフレ目標が達成されていませんが,そもそも,なぜ,90年代から,低インフレになっているのか,原因を解説しています。2%目標は,今後も達成されないでしょう。

 

黒田就任→日本金利上昇→金下落→ドル金利上昇→新興国のトリプル安と騒乱

黒田氏は就任会見で,インフレ・物価上昇2%と,低金利の維持,という,矛盾する政策を発表し,その齟齬解消について,何ら具体策もなく,国際的に金融市場が大混乱した状況を説明しています。本気でインフレを起こそうとすると,海外にまで高金利が波及しかねず,2%目標は,その後,掛け声だけになっています。

 

米中首脳会談 米中関係を理解できない日本 

日本のデフレ要因となっている為替操作(超円高・超人民元安)の実態について,10倍の人口を持つ隣国(中国)の為替相場が10分の1になったこと,その背景にある米中同盟・対日封じ込めの実態について,解説しています。

 

【弁護士・法律の関係】

23条照会 大阪弁護士会の懲戒処分と日弁連の懲戒取消し

23条照会において,不必要に名誉棄損的な表現を行った弁護士に,23条照会の主体である大阪弁護士会が行った懲戒処分に対して,大きな批判が湧きあがりました。しかし,大阪弁護士会が見逃したからといって,当該弁護士の非違行為を不問に付して良いのか,との疑問を提示した記事です。河野真樹氏(法律新聞元編集長)のtwitterで紹介されました(以下)。

 

https://twitter.com/kounomaki/status/38035442259599360

「「23条照会」をめぐる大阪弁護士会の懲戒処分・日弁連の懲戒取り消しについて、重次直樹弁護士が分析。これまでの議論と別の視点を提示していて参考になります」

 

交通事故の弁護士費用特約+損保顧問弁護士+利益相反の懲戒事例

損害保険会社の顧問弁護士が,損保会社から被害者を紹介されて,弁護士保険で受任する場合の利益相反性について,指摘しています。マイナーな内容ですが,なぜか,アクセスが続いています。

 

放射線診断専門医の画像所見…交通事故による高次脳機能障害など脳神経関係

それほど古い記事ではないのですが,結構前の記事で,最近もアクセスされています。

 

【経営関係】

以下は,おそらく,弁護士の方や,著作名での検索により,アクセスがあるものと思われます。

 

弁護士の独立 メリット・デメリット

 

井原隆一著「人の用い方」

 

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2017-04-06 19:37:08

マザー・テレサの言葉と,偉人の共通項

テーマ:金融経済・政治

マザー・テレサの伝記を読んで,シュバイツアーの伝記を読んだ時のような気持ちになりました。

 

マザーの言葉をいくつか紹介します。

 

(すぐに亡くなってしまう人を看病することに意味があるのか?との問いに)

薬をあたえ,看病をすることで,

愛情を伝えることができるならば,

それはとても有効なことです

 

もっともひどい貧困とは

孤独です

そして,だれからも

愛されていないと

思うことです

 

だれかにほほえみ

かけること

それが

愛の行いであり

美しいおくり物

となるのです

 

もっとも貧しい人々に

心から尽くすこと

 

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いろいろな伝記を読んでいると,いくつか,偉人の共通項に気付きます。

 

その一つに,「裕福な家に生まれながら,大きな不遇(両親の没落や死亡など)を経験した」というものがあります。

 

マザー・テレサも,例外ではありませんでした。

 

マザーの父は貿易商で,町の議員で,建築家でもある財産家・有力者でしたが,45歳で急死し(マザー=当時のアグネス9歳),その後,父の仕事仲間の裏切りで,家族は財産全てを失いました。

 

それでも,家族は高貴な魂を失わず,財産を失った後も,親しい人や困っている人を,食事に招くのです。そのような生い立ちや家庭教育から,マザーの「死を待つ人の家」「子どもの家」「平和の村(ハンセン病患者の村)」が生まれました。

 

【裕福な家に生まれながら,大きな不遇を経験した偉人】

シュバイツアーには当てはまりませんが(裕福ですが,大きな不遇は見当たりません),多くの偉人に当てはまります(以下はほんの一例です)。

 

・二宮金次郎(尊徳)

父は豊かな地主で,人に施しをする「お人よし」だったのですが,酒匂(さかわ)川の氾濫で財産を全て失い,病に倒れて早死,続いて,母も実父の葬儀にも出させて貰えない貧窮の中,病死しました(金次郎15歳)。

 

・松下幸之助

ほかの家の土地を通らずに隣村まで行けるほどの名門地主・金持ちで村会議員も務めた父が,米相場で大損し没落,兄弟は次々に死亡し,幸之助も小学校を中退して,9歳で丁稚奉公に出ます。

 

・小林一三

甲州(山梨)で有数の豪商一族に生まれますが,生まれてすぐ,母が亡くなり,婿養子だった父も,実家に帰ります。本当の祖父母も亡くなっており,祖父の弟が居た親戚の商家(本家)で育てられます。

 

・安藤百福

幼い頃に両親を失い,台湾で繊維業を営む祖父母に育てられました。

 

・伊能忠敬

多くの船を持つ網元・大地主・名主の家に生まれながら,7歳で母を失い,婿養子の父は兄や姉と実家に帰り,小さい忠敬だけ,生家に残されました。

 

・チンギス・ハン

族長の跡継ぎとして生まれましたが,9歳頃に父が殺され,仲間の部族に裏切られ,捕えられて,殺される寸前で逃げて,かろうじて生き延びます。

 

・徳川家康

松平家(徳川家)の跡取りに生まれますが,3歳で母が離縁されて生き別れ,6歳で織田の人質,8歳で今川の人質になります。

 

・スティーブ・ジョブズ

シリア人(※)の米国留学生でムスリムの父と,米国人で大学院生の母の間に生まれますが,母の両親が結婚を許さず,養子に出されます。

 

・習近平 

副首相だった実父が,文化大革命で失脚したため,若くして軟禁,拘束され,下放されます(15歳から7年)。

 

・レオナルド・ダ・ビンチ

公証人の家の生まれますが,父は貴族女性と結婚して,レオナルドの母とは結婚せず,実母との交流は妨害され,学校教育を全く受けさせてもらえず,13歳でヴェロッキオの工房に弟子入りし,独学で「万能の天才」になります。

 

・新渡戸稲造

学者・開拓者の祖父(藩主に意見して僻地に追われる),開拓者の父(僻地で林業成功で盛岡に戻され,藩の勘定奉行になって財政再建・開拓に成功)という由緒ある家系に生まれますが,5歳で父が急死,翌年,幕府に味方した南部藩も降伏します。

 

・バラク・オバマ

ケニア人(※)留学生の父(ハワイ大学→ハーバード大学院,後にケニア財務省のエコノミスト),ハワイ大学生でユダヤ系米国人の母(後に人類学者)の間に生まれますが,2年後に両親が別居,翌年離婚,10歳から祖父母に育てられます。

 

※途上国は貧富差が激しく,米国留学できるのは,母国の富裕層です。

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以上を見ると,小さい頃に親と離れて,祖父母などに育てられた偉人が多いことに気付きます。

 

幼くして父を亡くし,母方の祖父母宅で育てられている,親戚のNちゃんは,大物になるかも,と思ったりします。

 

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