弁護士法人 大阪弁護士事務所 

代表社員弁護士 重次直樹 (本部)重次法律事務所

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2017-09-26 09:00:00

妊娠・出産・産後クライシス

テーマ:離婚・男女関係

離婚事件を扱っていると,妊娠・出産・産後の時期に,夫婦関係が悪化する例が多いことに気付く。先日,成立した離婚調停も,典型的な「産後クライシス」事案だった。

 

統計はその比率が非常に高いことを示す。「母子世帯になった際の末子の年齢0~2歳」は生別の35.1%(分母から「不詳」を除けば42.1%,厚労省の平成23年度「全国母子世帯等調査報告」)。

→ 調査時点におけるひとり親世帯の親及び末子の年齢等

夫婦の危機から離婚まで通常1~2年かかる。妊娠・出産の時期に,夫婦関係が悪化,破綻・離婚へと進む率は相当高い(逆に,この時期を乗り越えれば,離婚に至る率は,ずっと少なくなる)。

 

NHKも「産後クライシス」を取り上げた(下写真右の筆者はNHK記者とディレクター)。離婚までの期間を考慮すれば、「妊娠・出産・産後クライシス」or「産中産後クライシス」と呼ぶ方が正確かもしれない。

 

 

妊娠・出産は,かつては女性死亡原因の上位で,現在も途上国では死者数が多く,日本でも10万人中,約5人が死亡する(出生数は年100万人前後であり,年間50名前後の妊婦が妊娠・出産が原因で亡くなっている)。文字通り,命懸けの大仕事といえる。

 

出産から産後6~8週間までは「産褥期」と言われ,子宮が急激に縮小し,エストロゲン(卵胞ホルモン),プロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンが急激に減少し(他にゴナドトロピン,ラクトゲンなども激減する),母親の心身の不調は大きい。

 

話題になったNHKスペシャル「ママたちが非常事態」(上写真の左・中央で書籍化)も,エストロゲンの激減を取り上げたが,さらに,最新科学の知見として,愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが攻撃性を高めるとを紹介した。

 

オキシトシンは,赤ちゃんの乳首への吸啜刺激により放出され,愛情・母性を深める機能があることから,「授乳が母性愛のスイッチを入れる」「愛情ホルモン」などと言われる。

 

愛情ホルモン・オキシトシンは,他方,子を外敵から守るため,母親を攻撃的にする…マウスでの実験結果の映像比較は,なかなか衝撃的だった。

 

産後の女性は,ホルモンの作用(激減や放出)により,心身の状態が不安定になり,また,愛情・母性も増幅されるが,攻撃性も増幅されて,感情の起伏が激しくなっている。

 

若い夫婦が「産後クライシス」を乗り越えるため,夫婦や周囲が,上記状態について自覚・理解し,配慮して,相互に思いやりを持って接することが,重要だと感じる。

 

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2017-09-21 18:56:51

大阪高裁平成29年9月19日判決と事務所許容マンションの使途

テーマ:法律・判例

2月に高裁事件の記事を書いた。

 → 高裁事件:増額和解と控訴審からの当事者参加

その2つ目の事件(控訴審から参加した事件,マンション管理組合vs区分所有者の結婚相談所)について,9月19日に高裁判決が出た。逆転判決だった。…私の狙い通りになった(こちらの記事の最終段落…「私の訴訟参加は,結果として,酒井弁護士側(原告・控訴人)の逆転勝訴を狙う内容になっています」)

 

紛争の舞台は,私が区分所有し,法律事務所を経営するマンション(ジオグランデ梅田)です。

 

判決の詳細は,事務所サイトに譲るが,

  → マンションの判例(大阪高裁平成29年9月19日判決)

私は判決の全文を読んで,驚くほど明るくなり,晴れやかな気持ちになった

 

逆に言えば,これまで,管理組合の顧問弁護士の主張への対応で,とても重く憂鬱な気持ちが続いていた。

 

このマンションは,商業棟(1~3階,店舗・飲食店)の上部(4~31階)に住居棟がある構造で,マンション部分では店舗・飲食業としての使用は禁止,住宅・事務所(住宅兼事務所)としての使用は認められている。

 

これによれば,法律事務所,税理士事務所としての使用は認められる筈である。

 

ところが,管理組合の顧問弁護士は,「一人でも来訪客ある窓口業務を行った場合は,規約が許容する事務所利用にあたらない」という解釈・主張を行い,弁護士・税理士の事務所利用は干渉され圧力を受けてきた。(高裁は,弁護士事務所・税理士事務所は(禁止される)「店舗」にあたらないと判示。「窓口業務」という概念で事務所利用を制限することも,規約と整合せず,採用できない,とした)

 

訴訟前の民事調停で,以下の合意条項があった。申立人がマンション内で営業する結婚相談所,相手方が管理組合である。(高裁は下記調停条項について,規約と整合せず,採用できない,とした

 

【25年11月の調停条項】

2項 申立人及び相手方(現理事会の見解)は,法律事務所,会計事務所,税理士事務所等その業種の如何にかかわらず,本件マンション内での来訪客のある窓口業務(来訪客数の多寡を間わない。)を行っている者は,すべて本件住宅使用細則第5条が許容する住宅兼事務所(いわゆるホームオフィス)としての使用形態には該当しないことを確認する。

 

管理組合の顧問弁護士は,事務所が,一人でも来客対応の窓口業務を行えば,規約違反,という主張だった。(高裁が否定)

 

平成25年11月の調停以降,マンション内の法律事務所・税理士事務所は,マンション顧問弁護士から,規約違反を主張され,干渉,圧力を4年近くも受けてきた。

 

平成27年5月に始まった訴訟でも,例えば,次のような主張がされている。

 

結婚相談所

(税理士事務所の)「○号室への来訪客を少なくとも1名は確認・認識していたことになる。とすれば,控訴人(管理組合)の主張によれば,○税理士は本件住宅使用細則に違反していることになる

 

管理組合

○号室(私の事務所)には,来訪客が確認されているところであるが,来訪客のある窓口業務を営んでいると確実に判断できるまでには至っていない」「今後,調査を進めるとともに,場合によっては,本件と同じく,訴訟を提起することも検討している

 

高裁判決で,気持ちがとても晴れたのは,上記のような圧力を,受け続けていたからです。

 

====================

 

【25年11月の調停条項】(カッコ内は私の註)

3項 相手方(管理組合)は,本件住宅使用細則第5条に違反する前項(2項)記載の業務を行つている者(法律事務所等)に対し,個別に通知書等の書面を出し,その他改善に必要なしかるべき措置を講じるものとする。ただし,相手方は,本項本文記載の(法律事務所等への)改善措置の内容が,その違反態様なども考慮の上,次項から定める申立人(結婚相談所)に対する改善措置の内容と比較して相応となるように配慮しなければならない。
 

原審で,管理組合が敗訴した理由は,上記3項にもかかわらず,管理組合から法律事務所などに余り改善措置が取られず,結婚相談所への差止請求訴訟は,公平に欠く「狙い撃ち」であり,権利濫用と判断されたことにある。

 

私は,結婚相談所の調停段階の弁護士(淀屋橋・山上合同のパートナーを含む2名,1名は現在独立)は,実に巧みであり,芸術的とさえ思った(筋は悪い)。

 

・・・マンション使途違反の差止訴訟では,①規約違反,②共同の利益に反する行為,③権利の濫用(に当たらないこと=公平性),の3要件による判断が,定着しつつある。婚活パーティ・お見合いサービスを行う結婚相談所が,①規約違反,②共同の利益違反,に当たることは,否定しがたい。勝ち目があるとすれば,③権利の濫用のみである。

 

しかし,言葉の通常の用法に従い,普通に考えれば,法律事務所・税理士事務所は(まさに文字通り)「事務所」であり,パーティやお見合いを行う結婚相談所は「店舗」である(当該相談所も自ら「3店舗」と宣伝)。ふつうに議論を進めた場合,③権利の濫用の主張も難しい。

 

そこで,来訪客のある窓口業務(来訪客数の多寡を間わない=1人でも違反)」という規約にない概念(むしろ,規約と整合しない概念)を調停合意に入れて結婚相談所と法律事務所等を同一扱いにし(2項),更に3項で,改善措置の内容が相応(公平)となるよう配慮する義務を管理組合に課して,③権利の濫用,との主張の余地を残したとみられる

 

実際,原審は,結婚相談所が「店舗」営業を続けていると認定しつつ,公平な改善措置が取られておらず,狙い撃ちで,③権利の濫用にあたる,と判断し,管理組合を敗訴させた

 

調停段階の結婚相談所の弁護士は,「敗けて当然」の結婚相談所が勝てる種蒔きをしており,そのテクニックは芸術的と思う(筋は悪い)。前提として,裁判例を良く調べ,理解して,対応している。

 

上記の私の意見に対して,ある弁護士から,「というより,管理組合の弁護士が余りにも酷いのでは?」との意見が出された。・・・そうだとしても,調停段階の結婚相談所の弁護士は,凄腕だと思う。調停条項がなければ,結婚相談所は,一審で勝訴できなかっただろう。

 

(原審に関する報道)

【衝撃事件の核心】 タワマンに婚活業者は入居規約違反!? 「狙い撃ちだ」と反論、司法が下した意外な判断(産経WEST記事)

 

なお,管理組合,結婚相談所,いずれの代理人(弁護士)も,大阪を代表するような大手法律事務所に所属する弁護士でした。

 

(代理人の所属事務所)

・管理組合・・・北浜法律事務所

・結婚相談所・・・(調停)淀屋橋・山上合同,(訴訟)中央総合法律事務所

 

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2017-09-16 11:58:26

海街diary

テーマ:読書・書籍

中学時代の友人(※)が,SNSで「海街diary」(吉田秋生)を絶賛していた。彼は,コンピュータを使ったヒトゲノム解析の東大教授…IT・生命科学という2重の先端分野の研究者だ。

 

彼の推薦ということで興味が湧き,移動の車中で第1巻を読んでみたら,1話からインパクトがあり,感動だった。

 

 

「海街diary」は,2013年「マンガ大賞」を受賞(→こちら),映画化もされた(四姉妹は綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず。監督は是枝裕和。カンヌにも出品。原作ほどの高評価は受けていない)。

 

吉田秋生(あきみ)の代表作「BANANA FISH」(※※)は,絵もボーイッシュで恋愛要素が少なく,少女マンガっぽくなかったが,「海街diary」は絵も内容もだいぶ少女マンガらしくなり,恋愛要素も多い。

 

だが,少女漫画にありがちな「恋愛至上」の内容ではなく,恋愛以外・・・友情,家族関係,死と生,生き方,夢と進路,お金など,いろんな問題を扱っている。離婚,不倫,相続など,弁護士業務に関連する話題も多く,主人公の姉(看護師,終末期医療)が死や不幸と対峙する苦しさも共通で,勉強になる(法律知識面の勉強にはならないが,当事者の心情など,法律事務の向こう側にある様々な事象について参考になる)。

 

なんといっても1話が印象的だったが,「ヒマラヤの鶴」など,その後も味わいあるエピソードが沢山続きます。右足を失ったエースや,高校までサッカーを続けるか迷う主人公を,周囲は変に干渉せず,本人の人格,心情,判断を尊重し,本人が悩み,考え,選択する時間を与えて(そっとしてあげて)見守り,時に助言をする様子も,温かく感じられました。

 

良い作品で,私もお勧めします。

 

さすが,東大教授!(というか,私には昔の指相撲友達ですが・・・)

 

改めて,少女漫画・女流作家の文化レベルの高さを感じました(※※)。…女性の文化レベルの高さ,と言い換え良いかもしれません。里中満智子さん(ギリシア神話,ブッダ,古事記,天武朝期の歴史ものなど,名作多数)は尊敬しています。

 

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※東大教授になった中学の友人は,病気があって一緒にスポーツなどは出来なかったが,人懐っこい性格で,休み時間や教室の移動の際に,よく「指相撲」したのが懐かしい(ふたりとも指相撲が妙に得意だった)。

 

もっとも,「友人」と言っても,休み時間・移動時間にじゃれる程度で,彼の家に行ったことは一度もない。京都の進学校に,私は1時間かけ大阪府から遠隔通学し(彼は京都で,遊びに行くには1時間以上かかった),同級生の家に遊びに行った記憶は,奈良一泊(若草山の山焼きと,彼がコーヒーメーカーのボコボコと逆流する様子を楽しそうに紹介したのが,今も印象的)と,高槻の同期の家に何人かで集まった2回以外,記憶がない。ちょっと遊ぶだけでこんなに時間がかかり大変なのかと,うんざりもした。同級生宅に行くのは,年0回~1,2回だった。交遊が極端に細り,授業も大したことないので(神戸で1学期通った「井上塾」(50人中10人以上が東大現役合格,一浪含め半数が東大へ)のような密度を期待していたが,期待外れだった),中2の初めには公立への転校を強く訴えたが(私立→公立は転校できると説得されて中学を受験していた),親は受け付けなかった。私はストレス(ジブリの「かぐや姫の物語」で「高貴な姫」にされた「たけのこ」のようなストレス)で身体を壊し(喘息,不整脈,心臓痛など,),高2から転校した。心臓が一番ひどく,心臓がキリキリと痛み,左胸頭部にしこりができ,今も右胸より左胸が大きい。

 

※※私は,姉が「りぼん」を読んでいた関係で(当時は一条ゆかりの「デザイナー」が衝撃的だった),少女漫画に馴染みがあった。子供のころ,少女漫画の方がレベルが高いと感じていた。

 

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