$編集・校正プロ社長の日日是好日


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2012-01-22 15:57:26

介護の悲劇を防ぐ手立て

テーマ:編集・校正の話題
介護にまつわる事件が後を絶ちません。

虐待、殺人、心中・・・

えてして、
真面目で心やさしい人ほど
事件を起こしてしまいやすい
と言われています。

そういう人ほど、
自分の事は後まわし。

苦しむ家族のために心を砕き、
一所懸命尽そうとしています。

実は、そこに大きな落とし穴があるのです。

介護はいつ終わるか分からない。
先の見えない日常的作業の連続です。

それでも、
愚痴のひとつもこぼさず、
自分自身の感情を抑え続けて
必死に介護にあたろうとするのが
真面目で心やさしき人なんです。

だけど、そんな人もやっぱり「人間」です。

心と体には、知らず知らず、
疲れが溜まってしまう。

そしてそれが、
ある限界点を越えた時、
悲劇は起こるのです。

それを防ぐには
どうしたらいいのでしょう?

そんな思いで編集してきたのが、
『介護疲れを軽くする方法』です。

$編集・校正プロ社長の日日是好日

介護の悲劇はほぼすべて
閉鎖的環境の中で引き起こされます。

家族を介護するのは
娘や息子、夫や妻といった人たち。

他人の目に触れることは
なかなかありません。

だから、介護者の苦労や悩みは
外には伝わりにくいし、
他者もそこには入りにくい。

それが介護者の心の疲れを
より増しているのだと思います。

本書のまえがきにこうあります。

実際の介護者の負担は、身体的なもの、経済的なもの、
精神的なものなどが複雑に絡み合っているのです。
(中略)
まずは、自分の思いと状況をありのまま、
自分自身で受けとめましょう。そして、自分の負担を
軽くすることを積極的に考えてよいと思います。


自分の負担を軽くする方法は
さまざまでしょうが、
この本で勧めているのは、
同じような立場にある人同士が
つながるということです。

介護の話はなかなか他人には話せないものです。
つい、「誰にも自分の気持ちはわからない」、
「苦しいのは自分だけだ」と思ってしまいがちです。
そう思う気持ちこそ、介護者に共通するものであったりします。
介護者の会の参加者が口をそろえて言うのは、
「私たちだけじゃないんだ」「話したら心が軽くなった」と
いったことです。ほかの介護者の話を聞いて、
孤立感から解放される人はたくさんいます。
そして、自分の思いを話すことで、
心の解放の機会を得ています。


著者は、NPO法人の
介護者サポートネットワークセンター・アラジン
「介護する人の苦しい心に寄り添いたい、
少しでも健康・健全で過ごせるようにサポートしたい」
という思いで、電話や相手先に出向いての相談、話し相手、
介護者の会の立ち上げや運営サポートなどをの
活動を行っている団体です。

しかし、介護は「負の要素ばかりではない」とも
アラジンの理事長・牧野史子さんは語っています。

あとがきにこうあります。

介護は大変さばかりが語られがちですが、
豊かな経験ができるものでもあると思います。
介護を終えた人たちが、ボランティアで要介護者や介護者を支援したり、
市民活動に積極的に参加したりするのは、その表れでしょう。
(中略)
また、介護を通して家族の関係が変わったという例もあります。
それまであまり話しもしなかった舅の介護を通して、
実の娘と間違われるほどの関係を持つことができたお嫁さんは、
大変だったが介護をしてよかったと語っていました。


介護を「豊かな経験」にできるのも、
家族のだれもが「無理をしない」「我慢をしない」ことが
あってこそだと思います。

この本には、
そのための方法が書かれています。

編集担当は、弊社の渡辺隆編集長。
その他、編集・校正で契約スタッフの皆様にも
ご尽力いただきました。
どうもありがとうございました。


『介護疲れを軽くする方法―家族を介護するすべての人へ』

【目次】

まえがき

第1章 家族介護の現実

この章のはじめに

1 仕事を辞めて母親を介護した独身の息子

 二四時間態勢の完全介護
 仕事を辞めると決めたとき
 ひとり介護の現実
 母への思いで続けた介護
 支えとなった介護者の会
 自分のような経験を防ぐために

2 仕事を辞め、母親とふたり暮らしで介護中の娘

 突然はじまった介護
 仕事と介護の両立の難しさ
 仕事を辞めたものの……
 自分なりのストレス解消法
 自分に合う介護者の会
 人とのかかわりを大切にしたい

3 認知症の夫を介護する、持病のある高齢の妻

 脳梗塞からはじまった介護
 主人のためにと踏み切った在宅介護
 ひとりではできないことをサポート
 認知症の主人に合わせてひとり二役
 デイサービスやショートステイをうまく利用
 今、後悔しない介護を

4 若年性認知症の夫を介護する

 病名がわかるまでの一〇年
 仕事を続ける夫を支えて
 在宅介護の苦労
 入院はしたけれど……
 笑い合える仲間の存在が救い
 私のことも忘れはじめている夫と将来の不安


第2章 介護保険はどこまで役に立つのか

1 介護保険制度の理想と現実

 財政難の中で生まれた介護保険制度
 介護保険制度が生み出した矛盾
 介護保険制度への幻想の崩壊
 施行から一〇年で明らかになってきた問題
 介護保険制度の抱える課題

2 介護保険の利用の実際

 介護保険は申請主義(要介護認定)
 ケアプランとケアマネジャー
 利用者の経済的負担
  保険料/自己負担
 地域密着型サービス
  小規模多機能型施設(特養)/介護老人保健施設(老健)/療養型病床群
 サービス付き高齢者専用住宅
  介護付有料老人ホーム/ケアハウス

3 介護保険の限界と今後の課題

 介護者の生活上の負担
  同居家族の問題/サービスに柔軟性が必要
 情報収集の負担
 施設探しの負担
 高齢者虐待の問題
 知っておきたい成年後見制度
 介護者支援
 これからの介護
  介護のデザインは当然の権利/介護問題にシルバーパワーを


第3章 介護サポートや介護者の会を活用する

1 介護保険サービスの活用
 
 介護保険外サービスの必要性(介護保険サービスの限界)
  要介護認定の現実/思うように利用できない介護保険サービス
 介護保険サービスとの違いと種類
 情報収集と相談窓口
 自分たちに合わせたサポート探し
  ケアプランづくりには積極的に参加/介護への思い込みを捨てる/
  できるだけ早い段階でプロのサポートを導入/
  たとえ嫌がっても辛抱強く続けてみることが大切/
  お互いの気持ちに寄り添うことで、自分たちらしい介護がみつかる

2 仲間づくりと地域協力

 介護者の孤立
 仲間・地域支援者の必要性
 地域の仲間・支援者探し
 地域の仲間・支援者づくり
 介護者の会を立ち上げた実例
  杉並介護者応援団(杉並区)/とまり木(世田谷区)/
  目黒認知症家族会 たけのこ(目黒区)/
  TAMA認知症介護者の会 いこいの会(多摩市)/
  板橋介護者支援の会 ひだまり(板橋区)/わあくす(町田市)


第4章 介護環境づくりと心構え

1 家族介護の怖さ

 家族介護者が抱える三つの負担
 陥りやすいひとり介護のスパイラル
 孤立する原因
 孤立の結果

2 介護環境の考え方

 介護環境を整えることで負担を軽くする
  親族会議を開く/介護者が休める環境の整備が鉄則/
  遠方に住む兄弟、親戚もできることを探して協力を/
  介護費用をオープンにしてトラブル回避/
  実例 家族みんなで要介護者のための介護基金を開設し、幸せな介護を実現!
 理想的な介護ネットワークづくり

3 介護者の心構え
 介護は労働、余暇も趣味も切り捨てない
 自分の人生のなかでの介護
 自分をケアする
 家族支援の法整備に向けた新たな動きに注目


あとがき
介護者の会ネットワーク団体
NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジン 主な事業内容

介護疲れを軽くする方法---家族を介護するすべての人へ/NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン

¥1,575
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2012-01-01 10:30:50

哲学してみる?

テーマ:雑感
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

さて、今朝ひさしぶりに新聞をゆっくり読んでいたら、
宇宙の謎の解明につながるかもしれないというコラムに
目が留まりました。

朝日新聞オピニオン欄にある
「ザ・コラム」(根本清樹・編集委員)です。

すでに読んだ方もいらっしゃるでしょう。

「素粒子物理学」が宇宙で起こるすべての現象を支配する
おおもとの法則を解明しようとしているという話です。

 うまくいけば、創成の時から今日までの
宇宙の歴史がわかり、これからどうなって
いくかもわかるはずだという。「世界の完
全理解」である。


しかし、それでも解けない謎がこの世に残る
と、東京大学素粒子物理国際研究センターの
山下了(とおる)准教授の話を紹介しています。

 それは人間であり、人間の営みである。
 例えば火事場の馬鹿力というようなもの
がなぜ出せるのか、株式相場の乱高下はな
ぜ起こるのか。「人間がかかわったとたん
に、ものごとはややこしくなり、わからな
くなる」


宇宙とはなにか、社会とはなにか、人間とはなにか―-。
物事の本質を問い直そうという動きがここ数年、
特に昨年の3.11以降ますます強まっているように思います。

しかしながら、問えば問うだけ答えの出ない世界を
われわれは堂々巡りするだけなのかもしれません。

物事をややこしくする人間自身が問うているのですし、
その人間を解析(ゲノム解析)しても、
人間のあらゆる思考、行動を合理的に説明できる答えは
出せていないのです。

それでも、なぜ問わなければならないのでしょうか。

宇宙は「数学」という言語を使って神が創ったものなのか、
というテーマをタイトルにした
『神は数学者か?』(マリオ・リヴィオ著、千葉敏生訳、早川書房)は、
哲学者であるバートランド・ラッセルの著書から一節を引用して
本書を締めくくっています。
(『神は数学者か?』からそっくり孫引きします)

それゆえ、哲学の価値に関する議論は次のようにまとめてよいだろう。問いに対して明確な解答を得るために哲学を学ぶのではない。なぜなら、明確な解答は概して、それが正しいということを知りえないようなものだからである。むしろ問いそのものを目的として哲学を学ぶのである。なぜならそれらの問いは、「何がありうるか」に関する考えを押し広げ、知的想像力を豊かにし、多面的な考察から心を閉ざしてしまう独断的な確信を減らすからだ。そして何より、哲学が観想する宇宙の偉大さを通じて、心もまた偉大になり、心にとってもっともよいものである宇宙とひとつになれるからである。[『哲学入門』高村夏輝訳、筑摩書房。一部改変]

多面的な考察から心を閉ざしてしまう独断的な確信を減らす――
ここが肝でしょう。

世界がさまざまな危機に見舞われ、
既成の概念、既成の価値観が崩れつつある時には、
新らしきものが次々と出現しますが、
それが「独断的な確信」の産物であるならば、
結局は人類を不幸に陥れかねません。

だからこそ、そうならないためにも、
人間は問わなければならない。

・・・とは何か? と。

哲学することが見直されそうな気がしています。

$編集・校正プロ社長の日日是好日-神は数学者か
2011-12-29 17:43:48

「原点」を忘れない仕事

テーマ:雑感
平成23年(2011年)がもうすぐ幕を閉じようとしています。

締めくくりということで、
会社で出している「校正通信」(12月25日号)から
スタッフ向けに書いたごあいさつに少し加筆して
お届けしたいと思います。



大震災、原発事故、水害、政変、金融危機……と、
今年はまさに人類の危機とも思えるような事が多数勃発した年でした。

我々の仕事環境にも少なからず影響がありましたが、
無事またこのようなごあいさつができるのは、
クライアントの皆様方のご支援とご協力があったことはもちろん、
〈ぷれす〉スタッフの皆様がそれぞれの立場で
業務遂行に真摯に取り組んでこられた賜物にほかならないと思っています。

この場を借りて、深く感謝を申し上げます。

昨年の「校正通信」のごあいさつで、
編集・校正それぞれの“原点”を見つめ直す必要性があることをお伝えしました。

今年は多くの場面で、
これまで揺るぎないものに見えた事物がその虚飾性ゆえに信頼を失う一方で、
たとえ小さく目立たない存在であっても、それが「ホンモノ」ならば、
人々はその価値を正当に評価し惜しみない称賛を与えることを、
私たちは目の当たりにしてきました。

一例を挙げるなら、石巻日日新聞の“被災後6日間”でしょう。
新聞人の原点を思わせる、この小さな地方紙の奮闘に、
米国をはじめ海外諸国は心からの称賛をおくっているのです。

原点を忘れない「ホンモノ」の仕事は、この先も必ず生き残っていくはずです。
スタッフの皆様にはどうかこれからも確かな仕事で応えていただきたいと思っています。

〈ぷれす〉もまた、そうした皆様に報いることのできるよう、
いっそうの努力を払っていく所存です。

被災されたすべての方々の一日も早い復興を願いつつ、
皆様がよき新年を迎えられますよう、心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。


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