2008-04-09 18:47:54
ほんとうによかったぁ。 [最終回]
テーマ:猫の気持ち
そのうち、捨てられたんだってわかったんだ。ひもじくて、さみしくて泣いていたオレの鼻にどこからか、おいしそうないいにおいが入ってきた。
その風をたよりにトボトボ歩いてみた。そしたら、スーパーのうら口にたどりついたんだ。
「まぁ…こんな小さいのに…どうしたの?」スーパーのおばさんが「ないしょだけどね、これおあがり」って食べ物をわけてくれるようになった。
だけど、捨てられたっていうことでスネたというか、ヒガんだというか、ナメられてはいけない…変に背伸びして、ぶってしまったんだ。
ママにしてもらいたかったことをこの子たちにしてやっているうちに、心の底の小さな氷のかたまりがとけてきたようなんだ。おまけに家の人から「信幸は、ほんとうにやさしい子だね」ってほめられると、顔までやさしくなって…それにね、それにね、うれしいこともあったんだよ。
あの七奈ちゃんが、七奈ちゃんがワンと大きな声を出してオレを守ってくれたんだ。
いつものようになわばりを歩いてまわっていると、ほかの猫が入っていてウギャー、フギャーといい争いになり始めたんだ。その時、七奈ちゃんがほえてくれたんだ。
その声に驚いて、猫がさーっと走って逃げてくれたぁ。ほっとしたし、うれしかった。オレを守ってくれる…犬がいる。
もう、強がらなくても…いいんだ、とわかった。それにオレは、この子たちの保護者なんだし、そろそろまっとうな生き方をしないと。
この子たちには幸せな人生を送らせてやりたいんだ。
まだ、ピーちゃんとは距離がある。だけど、お互いになめ合い、心かよわす日も…そう遠くないと、今、予感している。この子たちが来てくれて…ほんとうによかったぁ。
(おわり)







