公的年金は、ほとんどの人に関係するものですが、多くの人が知らないようなことがたくさんあります。テレビや新聞などが伝えている情報の中には、多くの人が年金のことを知らないと高を括っているのか、いたずらに不安を煽ったり、視聴者や購読者をミスリードしたりするものがあります。

 

今回の記事では、「日本人が知らない年金制度」のテーマで以前書いたものから、幾つか抜粋した内容についてまとめてみました。

 

 

厚生年金加入者は国民年金にも加入している

私は以前、農業・漁業や自営業の人が加入しているのが国民年金、会社勤めの人は厚生年金にだけ加入していると思っていました。しかし、厚生年金に加入している人のほとんどは国民年金にも加入しています。

 

厚生年金に加入していて国民年金に加入していないのは、20歳未満で会社勤めをしている人や、60歳以上で国民年金に任意加入していない人などです(国民年金は原則20歳以上60歳未満の人が加入で、60歳以上の場合は任意で加入)。

 

厚生年金に加入している人は、厚生年金の保険料は給料から天引きされて払っているけど、国民年金の保険料は払った記憶がないという人もいるかと思います。実は、厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれていて、その分は国民年金の会計の方に行っていて、直接支払っていなくても国民年金の保険料を納めていることになっています。

 

 

国民年金は年金額の半分近くは税金で負担している

国民年金や厚生年金は、払い込んだ保険料を積み立てているのではなく、現役世代の保険料負担によって、そのときの高齢世代の年金給付を賄う賦課方式になっています(詳しくは「公的年金は保険料が積み立てられていない」 参照)。

 

そして、国民年金の収支状況を見ると、支出に対して保険料収入は4割弱しかありません。国民年金の会計の収入で最も多いのが国庫負担つまり税金で、支出の5割弱を占めています(詳しくは「公的年金は保険料だけで賄えていない」 参照)。

 

国民年金の収入に税金を充てることは法律で決まっており、何も国民年金の収支が厳しいから税金が投入されているという訳ではありません。

 

ちなみに、厚生年金には加入せず国民年金だけに加入している人は、国民年金の老齢基礎年金を約11年受給していると、払い込んだ保険料よりも受け取った年金額の方が多くなります(詳しくは「老齢基礎年金の金額は?」 参照)。

 

 

年金には税金が掛かるものと掛からないものがある

公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金がありますが、税金が掛かるものと掛からないものがあります。老齢年金には税金が掛かり、障害年金と遺族年金には税金が掛かりません。

 

老齢年金、障害年金、遺族年金は、同時に複数受給する権利を持つことがあり、その場合はどれかを選択することになります。年金額が同じであれば、税金が掛からない分だけ障害年金や遺族年金の方が手元に残るお金は多くなります(詳しくは「年金に税金は掛かるの?」 参照)。

 

 

国民年金の保険料を払わないと差し押さえされる

国民年金の保険料を納めずに滞納したままにしておくと、督促状が届くことになっています。更に、督促状に指定された期限までに払わないと、法律上は財務大臣が滞納処分を行うことができるようになっています。

 

財務大臣が滞納処分を行うというのは、税金と同様に給料や財産を差し押さえをするということです。現在は滞納していても差し押さえになるようなことはありませんが、年金の保険料というのは税金のようなものですので、税金の滞納と同じように扱うべきだと思います。


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