平成2710月から消費税率を10%に引き上げるかどうかということが、世間で話題になっています。民主党などは「アベノミクスが失敗したから消費税率引き上げを見送るのか?」というようなことを言っているようです。しかし、これは完全に間違えた言い方です。

 

アベノミクスは、デフレを脱却するために物価と実質賃金の両方を上げることを目的とした経済政策です。金融緩和と財政出動によって、市中に出回る資金量を増やすとともに、不足していた需要を増やすことによって、物価上昇と実質賃金を上げようという施策です。

 

一方、消費税率を引き上げると物価が上昇します。しかし、先日の記事にも書きましたが 、物価上昇によって実質賃金が下がってしまいます。

 

更に、企業の利益が減少して人件費が抑制され、賃金が下がってしまい個人消費が減ってしまいます。個人消費が減少すると、結果として物価を下落させることになります。消費税率の引き上げ後は一時的に物価が上がりますが、最終的には物価も下落させてしまいます。

 

つまり、消費税率引き上げによって、物価も実質賃金も下がってしまいます。したがって、実質賃金を下げる消費税増税は、アベノミクスには含まれないどころか、アベノミクスとは全く反対の施策です。

 

ですから「アベノミクスが失敗したから消費税率引き上げを見送るのか?」のではなく、「アベノミクスを成功させるために消費税率引き上げを見送る」というのが正しいのです。

 

アベノミクスを成功させデフレ脱却をするには、消費税率引き上げを据え置きするだけでなく、むしろ消費税率を5%に戻すことが最も効果的な施策です。それができないのであれば、実質賃金を上昇させるような所得税減税などが必要かもしれません。


(他の経済の記事)
○日本は本当に財政危機なのか?
○消費税増税しても税収は増えない
○消費者も国内養豚業者も損する豚肉の差額関税
○雇用の回復には順序があり時間がかかる
○配偶者控除の見直しで更に少子化になる?
○消費税引き上げがアベノミクスの失敗を招く
○今は円高なのか?
○デフレは物価の下落だけの現象ではない
○消費税増税で税収も景気もダウン
○アメリカには消費税(付加価値税)がない
○消費者物価指数は色々ある
○何故アメリカは付加価値税を導入しないか
○「消費税増税は国際公約」は嘘
○日本の法人税率は高いのか?
○月給は急には上がらない
○円安で以前のように輸出が増えるには5年かかる
○国債にはどのような種類があるか知ってますか?
○消費税増税≒賃金引き下げ


こちらをクリックしてください!