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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)


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1959年に出版された「日本残酷物語」宮本常一他著。


それから「残酷物語」を付けるのが流行ったように、「東京ローズ残酷物語」もそんなわけで付けられたタイトルだろう。


そんな雰囲気に満ちていた時代だったのかもしれない。


それを物語るかのように、五島勉著のこの本は、トグリ・イクコが一人で罪を背負った風に書いてある。

罪を背負わされた、と言った方がいいかもしれない。


どうやら、米国戦略情報局(OIS)、後の中央情報局(CIA)が仕組んだ国際スパイ情報戦に巻き込まれたようである。


もちろんこれは、極秘なので、ドウス昌代の著書には、一言も出てこない。


彼女は、むしろその部分をすべて削除して新しく構築した話に作り上げている。


のようにみえる。


五島勉はどこでこの情報を手に入れたのか書いていないが、これを書く前に、「日本の貞操」(1953)、「東京租界」(1955)、「アメリカへの離縁状」(1956)等、戦後の日本をルポルタージュした本を書いている。


彼はジャーナリストであった。


「東京ローズ残酷物語」には、ドウス昌代女史のみならず他には書かれていない人物がまず登場する。


筆者がここでふれておきたいのは、もっと別の男のこと―この日マッカーサーにしたがって厚木に降り立った一人の謎めいた人物についてなのだ。


アメリカ人にしては風采のあがらない、四十歳ぐらいの小男。しかも戦塵にまみれた将校や海兵隊員たちのなかで、この男だけが目立たない背広姿。

…中略…

「彼は直接にはGHQ(占領軍総司令部)に属していない。しかし、国務省の特別命令を受けて、われわれの対日政策を側面からヘルプしてくれることになっている。え?彼の所属と名前?ウェル、彼は戦略情報局のW・アンダースン氏だ」


瞬間、声のないざわめきが記者団にひろがったという。戦略情報局(OIS)とは、それまでその存在さえも公式には確認されなかった、大統領―国務省直属の巨大なスパイ組織の名だったから。そして、それはやがて、中央情報局(CIA)という名のもとに、さらに秘密化していくだろう、というもっぱらの噂だったから。


OISの第二次大戦中の活動としては、たとえばヒトラーの愛用していたオーデコロンに特殊なホルモンを混入、彼の体質を女性化することに成功した、とか、インドで手をつなごうとした日本とナチスの情報機関を探知、その全員毒殺した、とかいう、おそるべき陰の功績が伝えられていた。

…中略…

事実、W・アンダースンとOISの日本での初仕事は、まず一輪の美しいバラをさがしあてそれを摘みとることだったらしい。摘まずに放っておくと、その毒のあるするどいとげは、いつ彼らの「地主」を深く傷つけるかもしれなかったから……。
(『東京ローズ残酷物語』、14~17頁)


こうして「バラ摘み作戦」は開始された。


ターゲットは、アイバ・イクコ・トグリ・ダキノただ一人。


(つづく)


本文中、戦略情報局はOISと表記されているが、実際はOSSの間違いである。
もしかしたらわざと表記をかえたのだろうか。
いずれにしても、CIAの前身である事に変りはない。


第二次世界大戦は、次第に頭角を現指摘タヴィストックの社会科学者たちに壮大な実験場を提供した。のちに米国市民との戦争で用いることになる技術を試すために、第二次大戦後に展開される主要な力がクルト・レヴィンを中心に構築された。事実、一九四六年にタヴィストックは米国市民に宣戦布告をし、それ以来、戦争状態が続いている。


(『タヴィストック洗脳研究所』ジョン・コールマン博士著、太田龍監訳、成甲書房、2006年、72頁)


OSSが集めた世論調査を大衆世論のプロファイリング(格付け)とそれに従って操作してゆく。


「望まれる目標に世論を合わせる」ということである。連合国の戦争努力に対する支持は、自発的な意見から生まれたものであると多くの市民が信じ込んでいるようにしか見えなかった。(同上、75頁)


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東京ローズとされた女性。


Iva Ikuko Toguri D'Aquino
アイバ・郁子・戸栗・ダキノ


8月15日のテレビ番組で65周年記念スクープとして、
『消えた東京ローズを追え 戦後65年目の真実』の話題を取り上げていた。


残念ながら、私は直接見たわけではないので、どのような意図で進行でされたのかはしらないが、ここでは、彼女は「冤罪」であると言っている。


今まで、戦争を語る上で欠かせない名前『東京ローズ』を聞くだけで、詳細を知っていた訳ではなかった。


それ以上、興味もわかないまま、情報もないということで、今回突然のこの番組である。


2006年9月26日、90歳でシカゴにて死去された時は、日本でニュースにならなかったと聞いている。

なったとしても、特に注目されたとは思えない。


しかし、米国ではずっと注目の対象だったようだ。


私は、この番組が始まる前、スカルツォさんから『東京ローズ』を知っているか?
ということを聞かれていたので、個人的に調べなければいけないと思っていた。


スカルツォ氏が言うには、彼が最初に聞いた「GAMAN」は、彼女の事を書いた本で知った、ということだった。

どの本だか確かめていない。


スカルツォ氏の住んでいるカルフォルニアは、強制収容所があったことから日系人がより多いところだ。

彼自身、長年、彼らの様子を見ていたし、直接、付き合ってもいた。


問題もよく知っていることだろう。


東京ローズの一般的に流されている情報は、1976年12月末に「東京ローズ」(サイマル出版会)から出版されたドウス昌代著作によるものではないかと推測する。


しかし、これは、以下の大統領特赦書イベントの前までで、その後のことは、1982年11月の文春文庫の「あとがき」で触れている。


当時の大統領フォードが特赦書にサインをしたのは1977年1月18日、フォードとカーターが交替する直前のことで「大統領特赦を与えた」と1月19日に発表した。


アイバは、判決後の28年目にして剥奪されていたアメリカ市民権を取り戻した。


このイベントとたまたま同時進行で取材していたのが「特赦―東京ローズの虚像と実像」上坂冬子著、文芸春秋(1978.6)である。


1976年7月から取材、交流を続けてきた上坂冬子女氏の本のタイトルが「特赦」なのは、丁度このタイミングだったからであろう。 

(1995年に中央公論社から文庫本『東京ローズ・戦時謀略放送の花』と改題された)

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だから、『東京ローズ』に関する大まかな筋書きはドウス昌子の著作にあるようなことを踏襲したとして、ドウス昌代女史の間違った引用を訂正するくらいであった。


あとは、『東京ローズ』の関係者を上坂女史なりに取材している。




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「東京ローズ」ドウス昌代著


1963年に渡米しスタンフォード大学の教授ピーター・ドウス氏と結婚した。始めて書いたこの本で第8回講談社出版文化賞(ノンフェクション部門)を受賞しており、その後、文庫本(1982)、新装本(1990)と出されている。


本書のアメリカでの出版は、JACL(引用者註;日系市民協会)関係者の強い薦めもあり、早くから私の念頭にあった。アメリカ日系人史においてだけでなく、アメリカ市民運動から見ても象徴的な事件と思われるこの裁判に関する書物は、当時全くといっていいほど見当たらなかった。
…中略…
アメリカでノンフェクションを出版する場合、まず考えねばならないのが訴訟問題である。
…中略…
間もなく出版はニューヨークの講談社インターナショナルに決まった。出版及び販売はハーバー&ロウ社では二人の弁護士が目を通して、何の問題もなくOKしたことを付け加えておきたい。


英語での出版は、前述の理由から日本語版より三年も遅れたが、エドウィン・ライシャワー教授の「今日の人種差別及び真の法の在り方をもアメリカ人に強く問うてくる」との序を得て、1979年に出版された。アメリカ公民権連合の創始者ロジャー・ボールドウィン氏も推薦の言葉を寄せてくれた。


幸い反響は良く、全米各地とカナダで書評が続いて出た。中でも印象的だったのは、アイバ・トグリ・ダキノが現在も住む地元シカゴ・トリビューン紙のものだった。その一文は次のように結ばれていた。


「最終的には特赦になったからといって、我が国の歴史におけるこの恥ずべき一章が報いられたということでは決してない」(一九七九・六・三)


(「東京ローズ」新装版、ドウス昌代著、1990、『文庫本のためのあとがき』336~338頁)


なんとも華々しい。


だからといって、特赦(1977年)の後、2006年9月26日の逝去。2010年8月15日のテレビ番組の特集に至るまで、なんにもないといっていいほど静かである。


こっちが気付かないだけなのかもしれないが。


そこでもう一つ、日本で「東京ローズ」というタイトルを冠した三冊の三冊目の本が手に入った。


彼女たちより早く出された「マル秘=東京ローズ残酷物語;ある女スパイと太平洋戦争」五島勉著、ノーベル書房(1969)という本である。


彼女たちより早く出版されているのに、そのどちらも参考図書には入っていない。


読みはじめてすぐ気付くが、その関係者登場人物、内容が全然違う。◆


(つづく)


【資料】


国立国会図書館

Tokyo Rose Case Files
資料群名(日本語仮訳) 極東軍総司令部憲兵監部犯罪捜査課 トウキョウ・ローズ関係文書
http://www.ndl.go.jp/jp/data/kensei_shiryo/imin/YF_A12.html

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