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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)


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現代社会を主導するものが自分に都合良い方向にシステムを構築してゆく傍ら、当然のごとくそのシステムに馴染めない人間たちが排出する。


それを負け組とか差別社会とか…流行りもののごとく報道され、いかしかたない雰囲気に持っていかれる。


本当に致し方ないのか?

どうしてそうなったのか?



アメリカ大陸先住民のインディアンの多くは西洋から移住した白人たちに生活の場を奪われ伝統を失い社会の片隅に保留地をあてがわれ、このシステムの中で生活している。


これもいたしかたないことなのか?


トム・ブラウンのアパッチ族の師グランドファーザーが生きた時代はそのように変貌させられつつある時代とも重なっていた。


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Grandfather
By: Tom Brown Jr1993)


『グランドファーザー』
トム・ブラウン・ジュニア著、飛田妙子訳、
徳間書店、1998年


以下引用。


グランドファーザーは、一八八〇年代のいつごろか、まだアパッチ族が保留地に完全に移される以前に、放浪の生活を送るリパン・アパッチ族の小さな一族に生まれた。 (中略)


生まれたのはアメリカの南西部で、二歳になったころ、南から起こった恐ろしい残虐な戦闘で家族や親類がほとんど殺された。


そのとき彼は、崇敬されるシャーマンであり戦士であった曽祖父に連れられて南へ下り、追跡も不可能な砂漠と山ばかりの地に落ち着いた。 そこで何人かの長老と子どもが数人という小さな一団の中で、古来の生き方で育てられたのである。


アメリカ先住民が何世紀にもわたって培ってきた生活様式を打ち壊そうとする人びとから逃れ、その地域一帯を取り囲むようにして起こる戦争を避けて移動を続ける、素朴な生活だった。


白人の引き起こす破壊や彼らの貪欲さを目にした古老たちは、自分の一族の者には外部の世界のものを一切教えようとも使わせようともしなかった。


彼らは実に純粋に生きた。 古代の技術と自然の知恵が一族の生涯と運命を導く指標なのだった。


ほとんどの部族が白人の残虐な弾圧に屈して保留地に移動した中で、グランドファーザーの一族は束縛を逃れて自由に生活した。 山の聖霊以外には、彼えらの存在を知る者はいなかったかもしれない。


グランドファーザーの一族の人びとは、サバイバルやストーキング(忍び寄ること)やトラッキングの技術を、完璧なまでに発達させた。 生き延びるために、そうした技術は不可欠だったのだ。


白人の追跡を逃れるためには姿をほとんど消すこともでき、また鋭い認識力のおかげで不毛な岩のあいだややぶの中でも「我が家」と呼べるほど安全に暮らすことができた。


(省略)


苦行にも等しい生活の中で彼らの知恵や信仰は深まり、祈禱や治療の力は増した。

そこで、霊的な世界がこの小さな集団を導く唯一の力となり、ヴィジョンとなったのである。


(『グランドファーザー』トム・ブラウン・ジュニア著、飛田妙子訳、徳間書店、1998年、「まえがき」8~10頁)




トム・ブラウンが子どもながらにして白人のしてきたことを認識し、自責の感情が強かったのをみて安心させるためにグランドファーザーはひとつ話をした。


この伝記は、トム・ブラウンに語ったグランドファーザーの経験が主体になっている。


グランドファーザーが旅に出かけるのは、いつも何かに導かれてのことだった。 そして、いままで避けていた町に近づき、白人に出合い様子を知るようになっていった。



以下引用。


彼が嫌悪したのは白人という人種ではなく、彼らのものの考え方だった。

白人の考えることは彼が信じてきたことと何もかも反対であり、何よりも創造の掟に反していたのだ。


彼には、白人たちの生活様式に本当の真実があるとは思えなかった。 彼の目に映ったのは、富や名声や権力を追い求め、そのためにすべてを破壊する文化だった。 それは、子どもを養うために子孫を殺し、現在の物質的な満足と便利さのために未来を失い、結局は大地を滅ぼす結果を生む文化だ。


(省略)


大地を破壊する文化は、大地に生きる多くの部族の人びとを滅ぼした。 彼は、あらゆる部族の人びとが監禁され、飢えに苦しみ、白人の飼う動物よりひどい生活を強いられているのを見たのだ。彼は白人を憎んだが、あまりにも人数が多くて、彼らを相手に戦ってもどうにもならないのを知っていた。


それまでにも彼の部族は大勢死んだし、本当の戦士は最後まで槍をとらないものなのだ。 衝突する代わりに、グランドファーザーは何としても白人を避けることにした。 白人が古来の道を習うはずはずはなく、ましてや彼の言うことに耳を傾けることなどありそうもなかったからである。


あるときこうした憎しみが変化して、違う視点で見られるようになった。 それ以来彼はもう白人を憎むことなく、その考え方だけを憎むようになったのだ。


(同上、『第6章 白人による破壊』135~140頁)




グランドファーザーが何故だかわからないが都会のなかに導かれる衝動を感じ、路上生活者の一人のポールという若者に出合う。

言葉は通じなかったが、意志疎通はでき、ポールは都会の生活を案内した。


以下引用。


グランドファーザーは、工場や食肉処理場から、いろいろな家やスラム街や車道まで、たくさんのものを見た。 路上で飢えに苦しむ人がたくさんいる一方で、欲しいものは何でも持っている人もいるらしいのに驚愕した。 都市の人びとのあいだには、本当の兄弟愛など存在しないのが彼にはわかった。 その場限りの豊かさを求めて、誰もが無意味に焦り、いらつき、骨折り、あくせくして、自分のことだけに埋没しているように見えた。 まるで働くために生きているようだった。


(省略)


グランドファーザーから見て、本当の意味で生きているのに近いのは、ポールのように通りで自由に生活している人たちだけだ。 けれども、彼らにも自由はない。 ゴミの山に頼り、都市の中でしか生きていけないからだ。 彼らは原野では生き残ることはできない。 だが、グランドファーザーとこうした路上で生活する人たちとの間に、仲間意識が芽生えた。(省略)


ポールはグランドファーザーに都市での生き方を教え、グランドファーザーはポールに自分の生き方を教えた。 グランドファーザーは次第に原野の技術を荒涼とした都市に当てはめるようになった。 ポールを始めほかの大勢の人びとに、他人に気づかれない、しっかりした暖かいシェルターの作り方を教えた。 また、街から離れたところで狩りやワナのかけ方を教え、食べられる植物や薬草を熱心に教えた。 敵を避けて市内を自由に動けるように、ストーキングをどのように使うか示し、さらに人間や動物の足跡を読む方法を伝授した。 中でもとりわけ大事なものとして、ポールやほかの友人たちに、自然の哲学を教えはじめた。 彼は人間を都会にしばりつけるすべてのものから解き放つ永遠の自由について語り、自然に返って大地と完全な均衡と調和を保って生きられることを説明した。


(『グランドファーザー』、150~151頁)




この後、路上生活者、落伍者といわれるものたちが徐々に集まり、一つのコミュニティーを形成してゆく。


グランドファーザーが次のヴィジョンを得て、このコミュニティーとは別れるが、古代の伝統や知恵は、人種にかかわらず現代の生活に不向きな人びとに生きる活力を与えた。


現代社会でいう「サバイバル」は、相手を蹴落として生き残るという意味でつかわれる場合がほとんどではないだろうか。


しかし、インディアンの「サバイバル」という感覚は、原野の中で生きるという意味である。

自然を破壊して生き延びるのではなく、自然とともに生きる知恵であり技術である。


このグランドファーザーの知恵と技術は、トム・ブラウンを通じて学校が設立され、さらに人種を超えて広まっているようだ。■



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「グランドファーザーが教えてくれたこと」
トム・ブラウン・ジュニア著、さいとうひろみ訳、ヒカルランド(2012年12月中旬発行)

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