akazukinのブログ

「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)


テーマ:

究極の終戦秘史
日本・原爆開発の真実
その戦慄の破壊力と昭和天皇の決断

五島勉著

祥伝社ノン・ブックス(2001年)


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タイトルに触手を動かされて手に取ってみた。

原爆開発と昭和天皇はキーポイントである。


何故か、この本を参考にしている人が多い。

学術書では無視される、ここにしか書いていない視点があるからだろうか。


この本は、保阪正康の「原子爆弾の完成を急げ」(初出、月刊現代1982年、5月号)を参考にしている。


当然ながら、五島勉の書き方に一言いいたいこともあるが、それでも、にわかに勉強しだした者としては、一番興味をわかせてくれた。


原子力にこれほど人々が引きつけられるのは何故だろうと思っていたところ自分もまたミイラ取りになりつつあった。


それまでは、有無を言わさず原発反対であった。


この本で一目置くのは、彦坂忠義(ひこさかただよし)博士の記述である。


「六〇年前に彦坂博士が書いた画期的な原子炉プラン」

という小見出しがついている。


以下引用。


…彦坂博士がこの時点で到達していた、しかし世界の科学技術は今もまだ到達していない、驚くべき構想が浮かび上がってくるのだ。


それは一口に言えば、一種の「原子炉」のプランである。 しかしそれは今、原発や原潜や原子力空母を動かすのに使われている「現在の原子炉」とはまったく違う。


現在の原子炉は、第二次世界大戦後、欧米の科学者たちが、原爆開発の副産物として考えついたもので、だから基本的には原爆と同じものである。


つまり原爆と同じように、現在の原子炉はウラン235をエネルギー源として使う。

(引用者注:この記述は誤解を生むかもしれない。原爆と同じウラン235をエネルギー源として使う、と単純に理解する。基本的に原子炉から原爆は作れない)


ウラン235は前にも触れたが、ウラン元素全体の中に〇・七%だけ含まれる危険物質で、強い放射線を出している。

それだけ、原子内部が不安定で壊れやすいわけだ。 だからこそ、原子内部を爆発させる原爆の材料としては最適なのだが、原子炉は兵器ではないので爆発はさせられない。


このため、ウラン235を原子炉で使う時には、溶液を注いで235の密度を薄める。


それでも危ない時は、炉内に詰め込まれた235の間に、「制御棒」と呼ばれる黒鉛などの減速剤を次々入れる。

すると、本来は爆発すべき反応が緩やかになり、薄められた原爆が少しずつ爆発しているような状態になる。で、その際に生まれる絶大な熱を利用して発電し、破壊力を電気エネルギーに変えて使う。

これが、原爆を親として生まれた現在の原子炉の宿命的な原理なのである。


ところが彦坂博士は、そうした「原爆をルーツとする現在の原子炉」とは、まったく逆の原理に立った安全原子炉を、原爆自体もまだできていない一九四一年の時点で、すでにプラン化していたのだ。


ウラン238とは、やはり前にちょっと触れたが、要するにウラン元素全体の中に九九・三%も含まれている役に立たない物質。


その性質は、残り〇・七%のウラン235に比べると、原子内部がわりと安定していて放射線も出さず、強固で壊れにくい。 したがって、どんな起爆装置でショックを与えても爆発しない。


狭い一カ所に集めて閉じ込めても(原子どうしは放射線を出さず刺激し合わないから)臨界に達しない。

これは、そんな鈍感な238は原爆の材料として使えないということ。


だから原爆と同じ原理でできている現在の原子炉の燃料としても、238は使えないということである。


使えるのは、あくまで敏感で希少な235だけ。 235から作られるいっそう危険なプルトニウムが使われる場合もあるが、いずれにせよ238の出番はない。


このため、今までの原子力産業は、原爆を作る時も原発を作る時も、まずウラン全体から〇・七%の235を、砂からダイヤを選り分けるように慎重に分離した。九九・三%の238は、どうしようもない役立たずのゴミとして捨ててきた。


(中略)


だが彦坂博士は、実はそんな238の中にこそ、235などとうてい及ばない、真の力が秘められているのを見抜いた。


そこから、人類のほとんどが原子内部のことなど考えもしなかった時期、欧米の超エリート科学者たちさえも、235で原爆を作ることしか考えていなかった時期に、世界でたった一人、238を使う夢の安全原子炉プランにまで到達していたのだ。


(同上、75~78頁)



彦坂忠義博士もそのプランも初めて聞いた。■


参考;

彦坂忠義[写真あり]

http://www.nucl.phys.tohoku.ac.jp/~hagino/lectures/nuclphys2-10/hikosaka.pdf#search='


彦坂忠義先生と殻模型と原子炉

名古屋大理 福井崇時

日本物理学会誌 1986

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002075802

論文PDF-オープンアクセス
をクリックしてね。


彦坂忠義の学位論文「原子核エネルギー利用の一方法に就て」の紹介 : 原子核エネルギー解放の先駆者達の足跡

古田島久哉

木村一治

日本物理學會誌 47(12), 993-998, 1992-12-05

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002076810

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