どう思いますか?

 乳幼児や高齢者には医療費がかかる。

 どうしても病気にかかりやすいからだ。

 60代、70代、80代と年齢を重ねるごとに1人当たりの年間医療費は急カーブを描いて増える。

 後期高齢者と呼ばれる75歳以上は1人当たり約86万円になる。

 ちなみに70歳未満は約16万円である。

 高齢者はさらに増えていく。

 医療費の増加もある程度仕方ない。

 しかし、経済成長を大きく上回るペースで医療や介護、年金といった社会保障にかかる経費が増えていけば財政がパンクしかねない。

 政府はそう懸念した。

 そして、この10年余りで医療費抑制策を一段と進めた。

 現役世代が病院の窓口で支払う負担割合は1割から2割に、6年前には3割に引き上げられた。

 高齢者も1割の自己負担を求められた。

 70―74歳は自己負担が2割になる予定だったが凍結された。

 医療機関に対しては薬価などの切り下げによる診療報酬の見直しを行ったが、小泉政権下で診療報酬のさらなる切り込みで医療費の伸びはいったん止まった。

 後期高齢者医療制度も、こうした流れの中にある。

 高齢者が加入する市町村の国民健康保険では老人医療費は到底賄いきれない。

 資金的に余裕がある大手企業の健康保険組合などに積極的に負担をしてもらわなければならない。

 そこで、75歳を節目として新たな制度をつくり、負担のルールを透明化した。

 併せて75歳以上にも、その収入に応じて原則全員に応分の負担を求めた。

 みんなで痛みを分かち合う。

 厚生労働省は「三方一両損」の手法で医療費の負担と給付を調整してきた。

 しかし、この手法が限界であることは明らかだろう。

 介護保険制度も似たようなことだ。

 2000年4月に始まった当初は予想したより介護保険の利用は少なかった。

 しかし、制度が知られるようになるとともに介護費用は予想を上回った。

 介護保険は65歳以上の高齢者が払う保険料が基本になる。

 費用が増えたからといってすぐに負担増とはしにくい。

 そこで認定基準が見直された。

 しかし、それは要介護度をより軽く判定して費用を減らそうとするものと批判された。

 医療や介護の現場は慢性的な人手不足に陥っている。

 このため、政府は医学部の定員を大幅に増やすように方針を転換、保険料を上げずに介護従事者の報酬を引き上げるための予算措置も講じた。

 そして、自民党は診療報酬や介護報酬を今後引き上げていくと約束する。

 民主党も基本的には同じ考えで、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げるという。

 公明党は、新設を抑えてきた特別養護老人ホームなど16万人分の施設を整備するという。

 これも政策変更といえる。

 社民党は医療・介護保険の国の負担割合の引き上げを主張している。

 共産党は小学校就学前の子どもと75歳以上の高齢者の医療費窓口負担無料化を掲げる。

 抑制一辺倒の政策に対する国民の不満や不安が高まっている。

 各党ともそれを肌で感じていることが分かる。

 国民健康保険の負担額も市町村によって大きな差がある。

 医師を増やすだけでは診療科目や地域の格差は消えない。

 しかし、それらも是正すると与野党ともに口をそろえる。

 それならば、なぜ今までやらなかったのだろうか。

 「良い家をつくる」と言って立派な設計図があちこちから出てくる。

 何やら唐突で、本当にできるのか、とかえって心配になる。
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