日付:2010/1/6
タイトル:バグダッド・カフェ <ニュー・ディレクターズ・カット版> | OUT OF ROSENHEIM
監督:Percy Adlon
劇場名:渋谷ユーロスペース1
評価:★★★
劇場数(スクリーン数)はここ数年増加傾向にある日本映画界ですが、その要因であるシネコンの増加の一方で旧来型の劇場は確実に廃れ、シネコンとミニシアター系への2極化が進んでいる様子。その中で一番上映本数が減っているのが"名画座"等で上映される昔の作品なのではないかという気がしています。
「気がしている」というのも、昔であれば雑誌「ぴあ」の映画欄でも見れば、その週に関東一円で上映している作品全てを容易に確認出来たのが、今はインターネットで局地的&任意でしか"検索"しなくなった結果、今現在の上映状況自体が良く判らない。「お、こんなのやってる」的な劇場へ足を運ぶきっかけそのものを失いつつあります。
DVDの普及も追い打ちをかけているのでしょうが、未だにTVの画面でお初の映画に出会う事に大きな抵抗を感じる私のような偏屈者には、一度観損なった作品にめぐり会うチャンスが無くなる一方です。。。
本作品もそんな1本。今回初めての鑑賞となりました。
時を超えて愛され続けている"不朽の名作"など限られており、多くの映画がその時代の中でこそ輝いているものです。旬な時期を逸してしまうと、本来その作品が持っていたオーラが色褪せてしまい、意外なほどに肩透かしを食ってしまう場合が結構あります(私にとっては「天国から来たチャンピオン」なんかがそうでした)。
「バグダッド・カフェ」に関しては、何とかその賞味期限を維持し続けてくれていたとの印象。
ろくでなしの夫に愛想をつかした二人の女を中心とした奇妙な確執と友情、それに愛情。つかみどころのない独特の空気の中で心地良い時間が流れる。
最初は成金趣味の異形ないでたちにしか見えなかったジャスミンが、異国の地で健気に自分の存在場所を確保しようとする姿と彼女の心象風景がいじらしくも可愛らしく、段々キュートに見えてきます。そして次第に周りの人間に愛されていく様を、観る側も応援したくなってしまう。
ジャスミンの一言で、掌を返したように寛容になるブレンダや後半の割とお気楽な展開は、少々安直さを禁じえませんが、別れのシーンにはウルウル来てしまいました。
が、正直あれ以降のお話ってあんなに必要でしょうか?
初公開時のオリジナル版(91分)って、この108分のどこをどう切り刻んでいたのか、ちょっと観てみたくなりました。
尚「全てのカットについて色と構図(トリミング)を新たに調整し直し」た今回の作品、音声にはかなりノイズが混じっていました。
タイトル・クレジットに"Out of Rosenheim"と出るのに、何故多くの映画紹介サイトで原題が"BAGDAD CAFE"となっているのでしょうか??