おんぼろ不動産マーケット STAFF BLOG

中古マンションの売買からリノベーションまでをご提案する『おんぼろ不動産マーケット』のSTAFF BLOGです。


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柿の木坂の中古マンション×リノベーションのお家を、
本日お引渡しさせていただきました。

思えばこのお宅の完成までには、物件サーチングのフ
ェーズに始まり、基本設計、VE等の要所で様々なスト
ーリーがあり、お引渡しを迎えた本日、それらが走馬
灯のように頭の中を駆け巡りました。

昨日行った完成お披露目会には70名を超える方々にご
来場いただきました。皆さんからいただいたお言葉は
どれも嬉しくなるものばかりで、そして何よりおひと
りおひとりの平均滞在時間が1時間を超えるという事
態に、「居心地が良いんだな。」と勝手に良い解釈を
して、ニンマリしておりました。

簡単ではありますが、頭がどっぷり浸かっているうち
に、この物件のストーリーを記しておこうと思いたち、
長文で失礼いたしますが、ご興味のある方はお読みい
ただければと存じます。








建築手記

この共同住宅が建てられたのは、東京オリンピックの
直前。

同じく東京オリンピックに向けて建設された駒沢公園
の塔の桁のデザインと似ており、この時代のデザイン
の勢いを強く感じます。

このマンションは、管理規約で植栽の栽培を奨励して
います。
同時に、洗濯物をベランにて干す事を禁じていること
からも、街からの見え方・街との関係性を意識し、街
並みを形成する上での個体の役割をとても強く認識し
ている、文化的な建物だと思います。

東・南・西と巡っている大谷石の塀と、植物の有機的
な姿、そして幾重にも重ねられた直線の美しいライン
が、とても印象的です。


今回リノベーションをするにあたって、気を配った点
について、少し書き記しておきます。


ひとつめは、外とのつながりを大切にすること。

この部屋に一番初めに立ち入った時、ここを吹き抜け
る風の気持ちよさに、感動しました。

これを最大限活かして行くことは絶対に必要であると
強く感じ、東西の大開口を風が駆け抜ける道の確保を
大切にしています。

そして、プライベート空間は基本的に全部屋2か所の
開口を確保しており、室内のどこにいても気持ちの良
い空間になるように構成しました。

天井に配したルーバーは、この建物のファサードを構
成している桁のデザインを室内にも踏襲し、内と外の
関係性を緩やかにつなげる様にしました。

また、約50年の間大切に磨かれながらメンテナンスさ
れてきた塀で使用されている大谷石は、このマンショ
ンの積み重ねてきた歴史のそのものであることから、
室内にも一部取り込み、これから自身もこの意識の高
い集合住宅の一員として住み継いでいく意思を表して
います。






もう一つは、家族の子育てに対する考え方を、空間に
体現するということ。

これから思春期に入っていく子供を3人抱え、家族の
在り方を模索した時に、その関係性と距離感、という
キーワードが今回のリノベーションの大きな要素の一
つになりました。

幼少期~発育期の小学校過程を経るまでは、家族とい
う塊を行動の最小単位と考えて、キッチンを中心とし
た母親の目の届く範囲内で行動が行われる様に誘導し
ています。

リビング空間として想定している西側の空間とも、壁
で仕切るのではなく、家具で仕切る程度に緩やかに仕
切ることで、それぞれのスペースで過ごす際の気配を、
それぞれが感じることを出来るようにしました。

同時にそれが、風の流れを確保するのにも役立ちまし
た。

帰宅時は必ずパブリックスペースを通過することで、
必然的にコミュニケーションが生まれる構成にしてい
ます。

それぞれの個室はミニマル空間です。

これはやはり家族の求める関係性から決定した広さで
す。
子供たちの生活が個室で完結するのではなく、個室は
あくまで自分の所有物をオーガナイズするスペースで
あることと、快適な睡眠をとることのみを目的として
おり、それ以外は極力機能を持たせないことで、なる
べくパブリックスペースに誘いたい、という子供との
距離感を考えた構成です。

中学~大学期の、勉強などにて個人の時間を必要とす
る時期は、めぐろパーシモンホール内にある八雲中央
図書館を自邸の書斎感覚として利用することを、念頭
に置いております。

この感覚を持つことで、更に街との関わりを維持する
ことが可能になったと考えております。








もう一つ、強く意識したこと。

それは、生活の中で四季を感じることができ、豊かな
暮らしを送れる様にすること。

日本は四季を味わえる、素晴らしい自然環境を有した
国です。

その四季を、室内に居ながらも感じることが出来るよ
うに、東西に広がる2つのバルコニーのプランターを利
用して、春夏秋冬を、視覚・嗅覚・触覚にて楽しめる
植栽計画を実行しました。

春は東京タワーの方向に、シマトネリコとイロハモミ
ジ、オリーブなどが花を咲かせます。また、この方向
にはタモも植えており、室内の大部分で使用している
木材との親和性を図っています。

夏はラベンダーの香りが東側から吹く風に乗って室内
に流れ込み、秋にはいろはもみじの葉が赤づく姿を眺
めながら、ブルーベリーの実を収穫し、冬には南天の
真っ赤な実と蝋梅(ろうばい)の香りを楽しむことが
出来る空間。

南天は、難(南)を転(天)じるといういわれがある
ように、江戸時代から縁起木として日本人に浸透して
いる植物です。

更に、植物の少ない冬には鳥が南天の実を好んで食べ
に来ます。
そんな、鳥が集まる空間になって欲しいとの意味も込
めております。

また、東西それぞれにある、大開口させることが可能
な窓。
ここを解放する際、NAKEDの名の通りおおっぴろげに
開け放つことこそが、この空間を最大限気持ちよく使
うことだと感じ、網戸で遮るのではなく、虫除け効果
も期待できるユーカリやジャスミンなどを植えること
で、防虫効果を確保しております。



建築的な美しさはもちろんですが、上記の考え方の様
な、その土地の気候や風土や文化や、そこに住まう人
の世界観について考査をしました。

これは、このお施主さんで、この場所で、この価格で、
成立する個別解だと思います。

人それぞれに個別解が存在しますので、その正解を求
めていくプロセスにこそ、リノベーションという空間
を再定義する手法の大きな意義があると思っておりま
す。

私たちは、中古マンションの購入とリノベーションの
ワンストップスキームでハードウェアを造っておりま
すが、ハードの構築を通して、本質的な豊かさ、とい
うソフトウェアを創ることを、何よりも何よりも大切
にしております。


空間ディレクター
和泉直人



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