2004年11月30日

多角形の終焉~1~

テーマ:知代
現実を認識したのは、新大阪で多恵子を見送ったときだった。
車窓の向うに多恵子がいる。そしてホームで手を振る自分がいる。
遠距離恋愛の悲哀を、身をもって実感させられた瞬間だった。

遠距離恋愛・・・
二人の関係を保つのに多大な労力を必要とする。
お互いの信頼感がなければ、疑いと不安とで
相手への愛情が押しつぶされてしまう。
この重圧に倒れたのは知代だった。

知代は一度来阪したあと
私への猜疑心を強めていた。
元々付き合いの浅かった知代には
信頼感よりも不安感が強かったに違いない。
私の具体的な秘密に気付いたというよりは
新しい環境での出会いに鋭敏になっていた。
限りなく細い接点のなかで
私は疑われることに嫌悪感を募らせた。
そして、会話の大部分がそのような内容になったとき
私の堪忍袋は破裂して、彼女との関係は終わった。

知代はその後
何度か手紙を送ってきたが
その数は圭のそれよりも少なかった。
多恵子は少なくとも月に一度は来阪し
距離のハンディを克服することに努力していた。

そのような状況の中で、私は
知代との関係を続ける理由がなくなっていたのだ。
遠距離恋愛は、恋を終了させるには都合がよかった。
AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2004年11月17日

雪解けの季節

テーマ:知代
いずれお互いの性がぶつかりあうことは
それほど特異な話ではないだろう。
あとはタイミングだけの問題であった。

私は、圭と知代が連絡をとっていないことを確かめると
非常にゆっくりとではあるが、知代との距離を詰めて行った。
知代は当初、私を頑なに拒んでいた。
それは私の問題というより、彼女自身の都合だった。
彼女は男性との付き合いが全くないだけでなく
神経質なほどの潔癖症であった。だから、同性異性に関わらず
他人を一定以上の境界内に入れることを断固として拒否していた。

だが、彼女も女である。
決して無理強いはしないのだが
ゆっくりと攻め入る私に、次第に抵抗しなくなっていった。
彼女にとって私が唯一の存在であり
あるいは何かそれ以上のものを感じていたのだろう。
最終的には彼女から旅行への誘いがあり、私もそれに応じた。

まだ雪の残る兼六園は別世界のように静かだった。
市場の脇の料理屋で夕食を取ったあと
二人は儀式を迎えるためにホテルへと向かった。
知代は緊張で身体が硬くなっていたが
私の出来得るすべての手段を使って
ゆっくりと彼女の鎖を解いていった。
思いの外豊かなふくらみを包み込み
眠っていた知代自身を静かに目覚めさせた。
彼女との相性は、悪くはなかった。

翌日は文字通りの小春日和となった。
松に覆い被さっている白い雪が
あたたかい陽の光をきらきらと映していた。
私のパレットにも
四つ目となる新しい色が加わっていた。
AD
いいね!した人  |  コメント(7)  |  リブログ(0)
2004年11月16日

一瞬の躊躇

テーマ:知代
私のたずねた何気ない一言が、思わぬ方向へ導いた。
「正月休みはどこかへ行くの?」
「連れてってよ」
断る理由は、今回も見つからなかった。ただ、
彼女の胸のふくらみが、やけに大きく感じられた。

正月休みの3日目に
私達はドライブに出かけた。
高尾山の麓の
囲炉裏がある店で食事をした。
何を話したか?
思い出せないほどのたわいのない会話をした。
そして、何もなかったように家に送り届けた。

その後の約束は、きっと私から声をかけた筈だ。
知代から誘うことはありえない。しかし
彼女は明らかに私に好意を寄せていた。
私はそれを弄ぶかのようにデートを重ねていった。

私に下心がなかったといえば嘘になる。
ただ、それは必ずしも絶対条件ではなかった。
多恵子と圭という二人の女性で
男としての欲求は満たされていたからだ。

知代との関係を深めるのに躊躇したのは
そのほかにも理由があった。
元々は同じ支店で働いていた圭と知代は
同じ課に配属された先輩・後輩の仲だった。
二人の気が合うとは思っていなかったが
かといって仲が悪いということもなかった。
だから、仮に二人が連絡を取り合っているとすれば
私の行動は全て筒抜けになる可能性があったのだ。

知代との付き合い方は
自然と淡白になっていた。
異性と付き合ったことのない彼女にとって
そんな関係に疑問を持つ余地はなかったのだろう。

私の都合に知代が合わせる形で
二人はゆったりとした時間をすごしていた。
しかし、所詮若い男と女
いずれお互いの性がぶつかりあうことは
それほど特異な話ではないだろう。
あとはタイミングだけの問題であった。
AD
いいね!した人  |  コメント(8)  |  リブログ(0)
2004年11月14日

再会

テーマ:知代
ある日、仕事の都合で本社へ行くと
廊下に見覚えのある子が一人で歩いていた。

知代は私の同期入社の事務職で
同じ店に配属されたが、二年目に本社へ異動になっていた。

彼女の配属されたのは企画セクションで
社内のエリート達が集まる部署だった。
彼らは昼夜を問わず仕事をしており
時間の長さと仕事のレベルは必ずしも比例しなかったが
例外なく、プライドだけは二次曲線的に比例していた。
そんな部署の一人と仕事を共にしたことがあったが
成果が上がらない割には疲労がたまったという記憶しか残っていない。
そんな中で、彼女は事務とは名ばかりの雑用をやらされていた。

久しぶりの再会に、特に話すこともなかったのだが
同じように断る理由もなかったので、社内の喫茶室でたわいのない話をした。
知代は余り社交性のない地味な子で、交際範囲は極めて限定されていた。
育ちの良さは一見してわかるのだが、少なくとも私には
世間ずれしたところだけが印象に残っていた。
彼女はパステルカラーの洋服を好んで着ていて
そのことだけが唯一の良いイメージだった。
そんな彼女にとって
同期の私との再会は余程嬉しかったようだった。
私にとっては、ただ単に時間を潰したたけだったが。。。

知代との再会は偶然だった。
その時はそれ以上でもそれ以下でもなかったが
同じ様な偶然が1ヶ月後に起こり、今回も同じ様に話をしていた。
時間が遅かったせいもあり
窓から見えるクリスマスの飾り付けがやけに明るく見えていた。
私のたずねた何気ない一言が、思わぬ方向へ導いた。

「正月休みはどこかへ行くの?」
「連れてってよ」

断る理由は、今回も見つからなかった。ただ、
彼女の胸のふくらみが、やけに大きく感じられた。
いいね!した人  |  コメント(16)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。