イベントでお客さまのお話を見せていただく時、メッセージ的にお得なのは、肩からヘッドのマッサージより、実はハンドトリートメントです。
なぜなら、左右で違うメッセージが伝わって来たり、別のストーリーが見えてくることが多いから。
それが、前回のイベントでは、左手も右手もお話の舞台が同じで、登場人物がつながっている、ということがありました
こんなこともあるんだと見せてもらっている私自身が新鮮な驚きでした。
そのステキなお話の持ち主は、ライフオーガナイザーかずなさん
私、かずなさんのブログ記事が大好きで、ワクワクしながらいつも読ませてもらっています。
毎日をしなやかに生きるヒントをたくさん授けてもらえるのです。
自分を大切にしていくこと、家族の笑顔をひとつひとつ丁寧に積み重ねていくこと、日々の愛おしさとあたたかい手触りが伝わってくるかずなさんのブログは、コチラからぜひ・・・
そしてそして、かずなさんから伝わってきたストーリー、またまた登場人物に名前をつけさせてもらいました。
右手のお話を第一部、左手のお話を第二部、とさせていただき、書き起こしていきます
また、お付き合いいただけると嬉しいです
それでは、お客さまのアロマトリートメント中に私に伝わってきたストーリー、第26弾~風の丘に立つ君へ~をどうぞ。
(ストーリーシリーズ、今までの目次はコチラ
昔々、あなたの中に、小さな町を見下ろす小高い丘がありました。
その丘の上には、時折、一匹の猫がやって来ていました。
猫の名前はナナ。
ナナがいつから丘に来ていたのか、そしてどこから来ているのか、誰がナナという名前をつけたのか、それは誰も知りません。
彼女は、いつも気まぐれにやってきては、丘の上に立つ大きな木の陰でうたたねをしたり、根本を掘って遊んだり、一人で駆けまわったりしていました。
けれど、小さな町の住人たちは、誰もがナナのことを知っていました。
その小さな町に、一人の少女がいました。
学校の中では、静かでおとなしい少女でした。
ただ、彼女が物静かだったことには、ひとつのわけがありました。
彼女は、たとえ小さな囁きでも、その耳でとらえることができたのです。
学校の先生、友達、家族、近所の人々、こぼれ落ちていく日々の小さな声を、彼女はいつも聞いては、それをそっと受け止めて、何もなかったように流していきました。
少女の周りにいる人々は、いつも彼女の近くにいるだけで、不思議と気持ちが軽くなるのです。
少女は、小さな町を見下ろす、小高い丘の上に立つことが日課でした。
丘の上の真ん中に立つと、そこには心地よい風が吹き抜けます。
少女には、風の声も聞こえました。
冷たい風が運んでくる、長雨の気配。
湿り気を帯びた風が告げる、嵐の予感。
少女は、それらに誰よりも敏感でした。
その日少女は、丘の上で、頬を乾いた風が撫でていくのを感じました。
その乾いた風は、干ばつの到来を教えてくれていました。
少女の足元を、ナナがくるくると回りながらじゃれています。
「ナナ、私、町のみんなに知らせなくちゃ。行ってくるね。」
ナナは首をかしげながら、駆けて行く少女の足元を見つめていました。
少女は、丘を駆け下りて、息を切らしながら町の人々に知らせます。
「もうすぐ、空からの恵みが途絶えるの!だから、今のうちにみんなで水を溜めましょう。」
町の人々は、少女が教えてくれる気候の変化を、何より頼りにしながら暮らしていました。
「それは大変だ!いつも教えてくれてありがとう。」
少女が風の声を聞き、天候を知らせることで、町のすべての人が助けられていたのです。
来る日も来る日も、少女は丘に立ちます。
微かな風の音も、風の色も、その耳と目でとらえるため、そして、丘の上に立っていることで、自分が自分でいられるような気がしていたのです。
それは、いつもと何も変わらない一日でした。
少なくとも、少女にはそう思えました。
ただ、何かがいつもとは違っていました。
いつも、少女が身近に感じている風が、その日はぴたりと止んでいたのです。
つづく