2017-03-08 13:00:20

ギリシャ神話と小さなゾウ

テーマ:動物、古生物うんちく

ギリシャ神話にサイクロプス(キュクロプス)という
単眼の巨人が登場する。


神話によると神々によって解放された
この怪物は卓越した鍛冶技術をもって、
その見返りに
主神ゼウスに雷霆(ケラウノス)
海の神ポセイドンには三叉の銛(トライデント)
冥府の神ハーデスには隠れ兜(アイドス・キュネエ)
を造り、贈呈したという。

 

さて、ロンドン自然史博物館では
神話に登場する単眼巨人サイクロプスの模型が
なぜか、ジャンル違いの地質学関連の地球ギャラリー
に展示されている。

 

実はこのサイクロプスのモデルとなったものが
かつての地中海に浮かぶマルタ島やクレタ島など小さな島々に生息し、
島嶼化によって極度に矮小化したゾウの仲間では
ないかという説がある。

(↑ヒトとの大きさの対比)

 

その矮小に進化したゾウのひとつに
ファルコネリゾウがいたが、有史以前に絶滅してしまったゾウで、
古代ギリシャ人がその存在を知るのは骨だけとなった姿である。


古代ギリシャ人は
アフリカやアジアにごく限られた場所にしか生息しない
生きたゾウの存在をまだ知らなかったかもしれない。


当然ながら、
地中海の島々に産出される小さなゾウの頭骨は
得体の知れない代物なのであった。

ゾウの頭骨はその膨れた頭蓋で、人の頭蓋骨に似ており、
顔の真ん中に大きなひとつの穴がある。
この穴はゾウの「鼻腔」であるが、当時の人々は眼球をおさめるソケット、
「眼窩」と解釈したにちがいない。
これで古代ギリシャ人は、かつて単眼の巨人がいたと信じ、
神話に登場させていたというわけである。

 

さて、そもそも

ゾウが地中海のこんな離れ小島に生息していたのだろうか。

 

ここからは私の憶測だが、

じつは今から560万年前の大昔。
氷河期によって海退が進み、
「メッシニアン塩分危機」とよばれる
地中海がほとんど干上がって、塩の砂漠となり
塩湖が点在するような時期があったという。

その頃のゾウの仲間は干上がった地中海に足を踏み入れる
ことができるわけだが、
その30万年後に氷河期が終わり、海水面が上昇すると
大西洋からジブラルタル海峡を通って、
大量の海水が干上がった地中海
にいっきに流入した。


その流量の規模はナイアガラの滝の数千倍とも言われている。

わずかな期間で地中海が海水で満たされるなか、
島として、わずかに残った陸地にいたゾウたちが
海に囲まれて大陸に戻ることもできず、取り残される形となる。


これがファルコネリゾウの祖先だったのかもしれない。

離れ小島での生活を余儀なくされた、それらのゾウたちは
その狭い土地での生活に適応するように
矮小化に進化したのである。

 

 

 

いいね!した人  |  コメント(12)  |  リブログ(0)

川崎悟司さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

12 ■Re:無題

>穴丸さん
ありがとうございます!撮影時はグダグダでしたが、上手く編集していただきました。
今後はブログ更新頑張りますので、よろしくお願いします!

11 ■無題

テレビ出演おめでとうございます
昔からブログ読ましていただいています。
テレビ出演をみて初めてコメントさしていただきました。
これからもブログ更新頑張って下さい。

10 ■Re:久々の更新、嬉しいです‼︎(^-^)/

>フィリーさん
久しぶりのブログ更新にも関わらず、心待ちにしていただけたなんて、たいへん励みになります!
巨人伝説ではないですが、日本でも「1本だたら」という妖怪の伝承がありまして、その妖怪はサイクロプスと同じく、1つ目で、しかも鍛冶職人だったらしいです。
これって単なる偶然?って思ってしまいますね。もちろん日本でもナウマンゾウやアケボノゾウなど化石ゾウは出土しています。
まあ、関連性についてはわかりませんけども、
古生物がらみで神話や伝承などに目を向けてみるのも、面白いかなと思いました。

9 ■久々の更新、嬉しいです‼︎(^-^)/

川崎氏のブログが大好きで、更新をずーっと心待ちにしてきました。今回は巨人伝説の話ということで、なかなか意表を突く面白いジャンルですね。シチリアから出土したゾウの頭骨が巨人伝説の源とは!
祖先の古代人たちが頭骨を見て、いろんな想像を広げた様子が思い浮かび、なんとも微笑ましく感じます。

「宗像教授異聞考」という漫画で読んだのですが、巨人伝説はヨーロッパから日本まで幅広く分布しているとか。その内容は様々ですが、「一つ目」「巨人」「懲らしめられる」という共通項があるそうです。漫画では巨人伝説と製鉄史を関連付けていて、大変興味深い内容でした。文字も通信手段も無く、言語も文化も民族も異なるヨーロッパで発祥した巨人伝説が、遠く日本にまで到達していたなんて…。伝説ってすごい。

お忙しい中での更新、ありがとうございます。m(_ _)m
これからも、楽しいお話をよろしくお願いします。

8 ■Re:私は高校の生物の試験で100点を取ったことがあります

>joukiuchuusen3501さん
ご意見ありがとうございます。ファルコネリゾウの頭骨の大きさについては、おおよそ人の頭骨の2倍ほどだそうです。肩高の90cmとなると数値からして体が小さく思えてしまいますが、体長にすると、大きな数値になるとおもいます。(体長は確認できていません)
あとギリシャ半島とクレタ島が陸続きで渡ったについてですが、これは大いにあり得ると思います。560万年前のメッシニアン以降も何度も氷河期が訪れ、海退が起きて、ギリシャ半島とクレタ島が陸続きになった機会はいくらでもあったでしょう。
「ミズガルズ・オンライン」おもしろそうですね。拝見させてもらいますね。
ミズガルズって北欧神話の人間界でしたかね。

7 ■私は高校の生物の試験で100点を取ったことがあります

初めてそちらにお伺いをします。

私は理数系の科目がからっきしダメな人間ですが、何故か生物学だけは成績が優秀でした。

「サイクロプスのモデルは矮小化したゾウだった」という説は、なかなか説得力があります。
しかし、サイクロプスは「巨人」で、ファルコネリゾウは「肩高90cm」...う~ん...。
それから、560万年前、地中海は「塩の砂漠」となっていたそうですが、大陸からそこを縦断してクレタ島に到着するというのも、かなり難儀な旅だと思うのですが...。
やはりギリシャ半島とクレタ島は、当時は地続きだったと考えた方が妥当かもしれません。

ところで、私は以前、ドゥーガル・ディクソン『フューチャー・イズ・ワイルド』からパクr...ヒントを得て、『ミズガルズ・オンライン』というファンタジー小説を執筆しました。
この小説を執筆して思ったのですが、「ファンタジー」と「未来生物」は、意外と親和性があるかもしれません。
まあ、私の作品は『指輪物語』というよりも、『クトゥルー神話』のようなものですが...。
別名を用いて小説投稿サイト「ブクログのパブー」で、その小説を投稿しましたので、詳細は「ミズガルズ・オンライン」で検索して、是非覗かれてください!

6 ■Re:知る知らない

>古くからの川崎ファンさん
そうですね。古生物に関しては、永久的に答えはでてきませんので、あれやこれやと復元の出てきますね。

5 ■知る知らない

象の頭骨だって知ってしまえばそれまでですが、
知らないところからサイクロプスが生まれたとするなら。
何かを知るってことはある意味想像力に足枷をすることに
なるんでしょうかねー。
何にせよ非常に興味深い話です。

4 ■Re:無題

>宇宙優泳さん
小人だったら、東南アジアの方でフローレス原人が大人になっても身長120cmだそうで「ホビット」って愛称つけられていましたね。

3 ■Re:見た目そっくり

>神田ユウさん
そうですね。
ゾウ知らなきゃ、一つ目の頭骨と思ってしまいますよ。

2 ■無題

神話の鍛冶屋(道具屋)は、地底や小人なイメージです

小さな象って、何だか凄いですね

どこかに
小さな人間 小人もいたりして?!Σ(゜Д゜ノ)ノ

1 ■見た目そっくり

始めは、ゾウがサイクロプス?と思いましたがゾウの頭骨とサイクロプスの顔のイラストを見た後は、なるほどなと思いました。

コメント投稿

コメントは管理者により確認されています。
掲載されない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。

      Ameba芸能人・有名人ブログ 健全運営のための取り組み