古本屋店番帳

ネット古本屋青翰堂分店の店番ブログです。


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随分前から、書店の店頭に平積されていたので表紙は知っていたのですが、

新聞の書評を見るまで、国語辞典の編集部を舞台とした本だと気づきませんでした。


書評を見て買いに行って見れば、この帯。

辞書がモチーフなのに気づかないわけがないですよね。

どうしてスルーしていたのだろうかと今となっては謎、なぞ・・・。


最近表紙にマンガ風のイラストが載るものが多いのですが、

実はまだちょっと慣れません。


それだからかもしれません。今は更に新しい帯がついています。

人気の本なので読んだ方も多いことと思います。

自分が面白かったのは、まず冒頭の部分。


古株編集者が言葉に魅せられていく経緯と、

監修にあたる老齢な先生とその古株編集者との二人三脚の様子に、

グイグイと惹きこまれました。

先生は新しい用例を常に収集しており、

言葉の「用例採集カード」を片時も手放しません。

言葉がいかにナマものであるかを再認しました。

あとは

主人公と先の古株編集者による「右」や「島」をどう説明するかという問答の部分。

言葉で言葉を形づくってゆくやりとりに、

居合抜きのようなスピード感と、

型が決まるような快感を感じました。

武道的な反射神経で説明してゆくところが、カッコいい!

「ふね」は「舟」であって「船」ではないのですね。

手持ちの辞書ではその区別が載っていませんでしたが、

「舟」は比較的小さなイメージがあります。

表紙の「舟」も帆は1つ。


辞書づくりは大事業で、辞書は言葉の大海に挑むものですが、

それを使う乗組員はひとりひとり。

きっとそのひとりひとりに寄りそう為に、

小さな「舟」がイメージされているのでしょう。

自分の小さな「舟」を愛着を持って、使い続けたいです。

辞書をひく愉しみを改めて感じました。

登場した本:三浦しをん「舟を編む」光文社



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ハートのチョコレートが街にあふれる今日この頃。
めくってびっくり短歌絵本の「恋の短歌」をご紹介するのに、ぴったりの季節です。
見開き3ページを使って、一首ずつ短歌の世界が絵で描かれてます。
与謝野晶子や北原白秋といった大御所から現代の詩人まで、広くとりあげられています。
特に若い女性がいきがよさそう。
本のタイトルにもなった「君になりたい」の詩。作者の岡崎裕美子さんは、ヤマガタのご出身。初めて知りました。
かわいい絵と相まって。短歌が少し身近に感じられる気がします。

登場した本:「君になりたい/恋の短歌」(穂村弘編・後藤貴志絵/岩崎書店)


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テレビ朝日系列で夜放送されているアメトーク。

2/2のひな壇は“読書大好き芸人”でした。

こんなカテゴリーもついに登場したのかと、期待してみました。


面白かった~。

なんといっても、今回リーダーのピース又吉さんがやっぱりダントツに面白かった。

読書家とは聞いていましたが、こだわりがはんぱなかったです。

太宰治の「桜桃」初版本というお宝本をもって登場されていました。


いろいろなこだわりがあったのですが、そのひとつとしてこんな話も・・・。


「気にいった本は2冊買う」

ダブル買いして、1冊は美本としての保存し、もう一冊は人に貸してもよい用として汎用利用。

古本者の中には、同じ本を何冊も持っている人は多いですが、

多くの人には驚きですよね。

そこのところ、宮迫さんたちにつっこまれて、笑いがとまりませんでした。

古本者の習性には、きっとボケ要素が満載なんですね。


あと、参加していた読書芸人の本棚の披露もありました。

人の本棚のラインナップ見るのは、楽しいですね。

蔵書の量にも驚きました。


一回だけでなく、このテーマでもう何回かイケるのではと

ひそかに期待しています。


こちらの写真は

せきしろ×又吉直樹「まさかジープで来るとは」より又吉氏の自由律俳句。


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古本屋ですから、本の電子化が進む中、紙の本でなくてはならないものって何だろう?と常々考えます。


「本そのものが手仕事の工芸品のような本」

=テキストの内容だけでなく、装丁や挿画、またケースやその手触りまで含めて、総合的に美しいもの、大切にしたくなるもの


そんな本なら、存在に大変価値があるように思います。


武井武雄の刊本展を見て、改めてそう感じました。

童画家として知られる武井武雄は、年に1~5回位のペースで自分で本を発刊していました。

発行部数は各本限定300部余り。

自身が、文章を執筆し、版画やアップリケなどいろんな手法で挿画を手掛け、綴り方や箱にまでこだわって造本したものです。


ケース越しですが、その全139冊を現在長野県岡谷市のイルフ童画館で観ることができます。

特定のページが開かれていて、その中身の一端をのぞくことができるのですが、

その文章が、ユーモアやウィットに富んでいて、面白かった。

絵の人と思っておりましたが、文章の視点が鋭く、大変興味深かったです。


もちろん、挿画も実に細かく、美しくて、宝石のようでした。

いろんな印刷技術が披露されおり、新しい手法で造本し続けた武井武雄の好奇心に驚きます。


一番面白かった「畑の豆本」は、調べたら古本市場で8万円余り。

さすがに手が出ません。

所有するのは無理ですが、この手で触っていつか全ページを読む機会に恵まれたら

なんて幸せかと思いました。


のちに一般の本にもなった「ラムラム王」の刊本版生原稿も展示されていました。

冒頭の部分です。

最初はきっちり書かれていた文字が、原稿用紙の半分以降、筆跡にスピード感が表れていました。

書いているうちに、グッとノッてきたのでしょう。

手書き原稿ならではの見る楽しみを味わいました。


展示は2月14日までです。

機会があれば、ぜひ一度ご覧になってください。


こちらの本は、イルフ童画館で販売されている刊本作品のパンフレットです。


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昨年、初めて読書会に参加してみてつくづく思ったのだが、人に本の魅力を語るのは大変難しい。

書評をみるのは大好きだが、自分で書くのはちょっと・・・。

特に、古いテキストは時代背景が異なり、感情移入が難しく、ハードルが高い気がします。


そんな難易度の高そうテキストを取り上げて、面白おかしく、そして深く魅力を伝えてくれるのが、

奥泉光さんといとうせいこうさんで取り組んでいる「文芸漫談」。

ホールでお客さんが入り、ふたりが対談する形式で本の魅力を語るイベントです。

シーズン4を数えており、人気の高さがうかがえます。


すばる2月号にその最新のものが掲載されていますが、今回のお題は深沢七郎「楢山節考」。

今シーズンは「ザ・マニアック」と題して、より渋いテキストが取り上げられています。


「楢山節考」・・・読んだことがない。

カンヌでパルムドールを受賞した映画にもなっているのだが、そちらも観ていない。

姥捨てがベースなので「寒いよ、ひもじいよ、つらいよ」というイメージでなんとなく手に取りにくい。

そのハードルの高い小説も、ふたりにかかると「そうだったのか?!」と身近に感じられました。


なんと、話の背骨になる「楢山節」の歌をなんと奥泉さんが歌ってもいる!!

わっ楽しそう。

(新潮文庫版にはその楽譜が付いているとのこと。作者の深沢七郎の作)

さすがに誌面では体験できず、現場にいなかったことがとても口惜しい。


重い話ですが、ふたりに語られると、その重さの先に何か光が感じられます。

少し気負いが薄らぎ、「楢山節考」を読みたい本リストに入れてもいいかなと思えました。


「文芸漫談」、やっぱり生で見たい、ぜひ行きたい!

次回は2月、テキストはアンドレ・ジッド「法王庁の抜け穴」です。

読んでから行くのか、行ってから読むのか・・どちらが楽しいでしょう?


登場した本:「すばる」2月号(集英社)



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ガリバー旅行記をポツポツと集めています。


大正10年初版の富山房「ガリバア旅行記」の昭和14年12刷を、年末年始で出かけた京都・恵文社の古本市で入手しました。


以前の持ち主の方にさぞかしかわいがられたのか、表紙は独自の彩色とイラストが加えられ、ずいぶんとオリジナルな味わいのある本となっておりました。


本編には岡本帰一さんの挿画が多数あります。

子供向けの本ですが、小人や巨人の国だけでなく、飛ぶ国や馬の国の話も網羅されており、ガリバーが日本を立ち寄った際の話もあります。

絵の楽しさが満載の一冊を入手できて、今年もよい本に巡り合えるかなと期待しております。



登場した本:平田秀木訳・岡本帰一画「新訳ガリバア旅行記」富山房



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今年読んだ本から1冊を選ぶとすれば、ぜひ10月に亡くなられた北杜夫さんの本を入れたい。


北杜夫さんは、当店の本家がある松本で旧制高校時代を過ごされ、そののち仙台の東北大学医学部に入学。その頃のことをエッセイにしたのが「どくとるマンボウ青春記」です。


その中で、本の購入に際しお金に加えてお米も要求した癪にさわる古本屋として当店の本家である青翰堂が描かれています。

明治生まれの祖父が店主の頃で、後日の付記で「当時は転売目的に買う業者が多く、良書を求めるお客様を見極めるための方策であった」との北さんのフォローがあります。

今では信じがたいような話ですが、本がとても貴重だった頃のエピソード。

商売人としての必死の方策だったよう。


懐かしく「どくとるマンボウ青春期」を新たに入手し読み返してみました。

と言っても、昔はくだんの古本屋エピソードの周辺しか読んでいなかったらしく、新鮮なおもしろさに満ちておりました。

育った松本以外にも、自分が今住む山形県の地名(父茂吉の故郷、疎開先)やよく知る仙台の地名があちこちに出てきて、より身近に感じられた影響も大きかったかもしれません。


話としては、有名なバンカラ抱腹絶倒のエピソードはもちろん面白かったのだけれど、父茂吉に反対されつつも文学に激しく傾倒してゆく息子宗吉(北杜夫)の葛藤がとても印象深かったです。

トーマス・マンにのぼせ心酔する様はうらやましいほど(そこまで好きになってみたい!)。


テレビなどで見た自分の記憶の北さんはおっとりしたイメージだったのですが、意外にも若い頃は体育会系な人物で、卓球に野球に山にと実にアクティブ。

しかもキャプテンクラスなんです!

これは新鮮でした。


この本を読んで、松本時代からの友人辻邦夫との往復書簡集「若き日の友情」や父である斎藤茂吉「赤光」とブックサーフィンが続いている処です。

今後トーマス・マンも控えています。

ひとつの本で次々読みたい本が芋ヅル式に出てくる・・これが本の愉しみですよね。


登場した本:北杜夫「どくとるマンボウ青春記」新潮文庫


★追記★

先だって、以前お世話になった一箱古本市仲間と忘年会がありました。

そこでのミニ読書会でこの本を紹介してみました。

今年は、一箱古本市&読書会のダブルデビューを果たし、本のお仲間ができたことも個人的には大きなニュースのひとつです。



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先週、クリスマスの絵本を取り上げたので、もう一冊絵本をお薦めしたくなりました。

オーストリアの絵本画家リスベート・ツヴェルガーの「白鳥の湖」です。


バレエでおなじみのチャイコフスキーの「白鳥の湖」を幻想的な絵が描いていますが、結末がよくあるバレエ版とは異なります。

バレエや歌舞伎では古典作品が時代を超えて、幾度もその時代の人によって上演されます。

原作に忠実に再演される場合もありますし、新しいアレンジで新解釈し上演されたりします。

絵本でそんなアレンジに挑戦したのがこのツヴェルガー版「白鳥の湖」でしょう。


張りつめた色合いと形で描かれた人物や風景はぜひ原画が見たいと思うような繊細さで、大人の絵本としてもお薦めできます。

表紙には白鳥から人間に戻ったばかりのお姫様が描かれていますが、魔法が解けたりかかったりする瞬間の絵が特に印象的でした。

機会がありましたらぜひご覧になってみてください。


登場した本: 原作/チャイコフスキー、文・絵/リスベート・ツヴェルガー、訳/池田香代子「白鳥の湖」ブロンズ新社



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冷たい冬の澄んだ空気にクリスマスイルミネーションがキラキラと映える頃となりました。

我が家もあわてて、ツリーを出しました。

クリスマスにもみの木が主人公の絵本はいかがでしょうか?

アメリカで1954年に発行された「ちいさなもみのき」です。

クリスマスシーズンだけ森から足のよくない男の子の部屋へツリーとして訪れる小さなもみの木のお話です。

作中、男の子が作ったクリスマスキャロルが楽譜で紹介されています。

譜面を読むことから遠ざかっている自分には、どんなメロディーなのかがわからず残念。

この本をもとに、クリスマス会のお芝居ができそうです。

この本の初版は1954年。

日本に紹介されたのが1993年で自分が所有しているのは2005年の14刷。

限られた色で描かれた絵は、何年読んでも飽きないあたたかさがあります。

今後も読み継がれるクリスマスの物語のひとつだと思います。

登場した本: 文/マーガレット・ワイズ・ブラウン、絵/バーバラ・クーニー「ちいさなもみのき」福音館書店




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腰痛で、ここ2カ月ばかり整形外科のリハビリ科に週1回通っている。

予約は不要で、空いた時間に自由に行くのだが、

電気かけの順番待ちでヒマな時間を持て余す日もある。

そんな時に愛読しているのが、穂村弘の「世界音痴」文庫版。


短いエッセイなので、待ち時間の長短にあわせて読めるので大変重宝している。

クスっと明るく笑える話から、ざらっとした気持の悪さにひきつり笑いが混じるような話まで、どれも大変面白い。

自虐的とはちょっと違う、自分を脱力的に客観視した感じです。


なんて不器用な歌人だろうと思ったり、穂村さんの文は好きだけれど友達にはどうかな?とか・・・まあ勝手にいちファンとして妄想しながら読んでいます。


全部ではないですが、「エッセイがあって、短歌がある」という構成になっています。

こんなふうに日常が短歌になるんだなと、歌を詠まない自分にはそこも興味深い処です。

併読している「どくとるマンボウ青春期」の影響もあり「今度は茂吉も!」と短歌が気になるこの頃です。


登場した本:穂村弘「世界音痴」小学館文庫


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