1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2005-12-01 06:15:52

すべての道は幸福に通ず<前編>※最終回

テーマ:ストーカー編

※後編は真下にあります。



奥さま聞いて下さい・・・。

そして私を叱って下さい・・・。

 

 

 

 

 

  

タイトル未設定  

S原の忠告どおりに、私はMには一切連絡を取らないまま数日が

経過しました。その後は普段どおりの忙しい毎日だったため、会社

でS原やK田とは顔を合わせていません。

 

 

Mのことは正直なところ気にはなりましたが、S原の忠告という

大義名分があるため、久しぶりに何も考えないで楽しく過ごせた

数日間でした。 

 

 

 

やっとのことで迎えたクリスマスイブ。

  

  

  

私と婚約者は気分良くほろ酔いで、六本木から西麻布まで数軒の

店をはしごして回り、明け方近くになって私の自宅へ帰りました。

学生時代の悪友たちの夫婦やカップル数組と2軒目以降で遭遇します。

やはり同じ思考パターンになっているからか、人脈が似ているからなの

でしょうか。どうしても2軒目以降は昔馴染みが経営していたり、古く

から行き付けになっている店に集まるようです。私もそのうちの1人と

いうわけです。

 

その週末も実に平和な時が流れ、私は「当たり前の日々」の大切さ

を痛感しながら、幸せな気分に浸っていました。

     

  

しかし、あれだけ私に依存していたMはいったいどうしたのでしょうか

あれから数日間、まったく連絡がありません。精神的なストレスが

急に解消されるはずはないので、むしろ何も連絡さえない方が不安

を感じてしまいます。誰か代償となる相手が無ければおかしな話です
 

  

 

 

週が明けて月曜日。

  

仕事納め間近の時期ということもあって、私は自分自身が取引先へと

挨拶回りをしたり、逆に相手から挨拶を受けたりと、非常に慌しい1日

でした。夕刻になって職場に戻ると、私のデスクの上には大量の名刺

が折り重なるように置いてあります。私が不在の最中に挨拶に訪れた

取引先の方々が置いていって下さったものです。中には私と入れ違い

になっている方もいて私は苦笑を禁じ得ませんでした。

  

 

私は気分転換のために社員食堂があるフロアへと散歩に行くことに

しました。ついでにそのフロアの自動販売機でしか売っていない、

缶入りの温かいロイヤルミルクティーを買うつもりでした。

 

 

自動販売機にコインを入れて取り出し口から缶を取り出そうとしていると

後ろから泣きそうな声で私の名前が呼ばれました。

 

 

 

 

 

 

 

「○○~~」

 

  

 

 

  

 

 

振り向くとそこにはK田がいます。歪んだ表情でこちらを見ています。

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ!K田!連絡しようと思ってたんだよぉ~!」

 

 

「○○~助けてくれよぉ~」

 

 

「・・・?どうした?」

 

 

「S原からは聞いてるよな・・・?」

 

 

「ああ・・・うん・・・こないだMを迎えに行ってくれたんだよな。ありがとう」

 

 

「それ以降の話は聞いてないか?」

 

 

「うん・・・俺もドタバタしてたから連絡出来てない・・・ごめん」

 

 

「いや・・・それはいいんだ・・・こっちの問題だから」

 

 

「そっちの問題?・・・S原と何か問題でも?」

 

 

「いやいや・・・彼女とはいい感じだよ・・・イブも楽しかったし」

 

 

「・・・・???」

(じゃあ何がまずいの?) 

  

 

「いや・・・もうオマエには関係ないんだけどさ・・・」

 

 

「・・・・???」

(ますますわからん)

 

 

「M・・・また始まっちゃったよ・・・」

 

 

「・・・・始まった?何が?」

 

 

「ストーカー・・・って言うのかな?あれも・・・」

 

げげ!ねこ  

「はぁ・・・!?」

 

 

「いや・・・別に迫ってくるとかそういうんじゃねぇから問題はないけど・・・」

 

 

「・・・・・・?」

 

 

「相談相手が欲しいみたいでさ・・・時間構わず電話の嵐だよ」

 

 

「うげ!!またか!!」

 

 

「ああ・・・まいっちゃうよ・・・朝から翌朝まで24時間ひっきりなしだ」

 

 

「オマエ・・・どう対処してんの?」

 

 

「とりあえず、何回かは相手してやってるよ・・・責任もあるし」

 

 

「そうかぁ・・・そっちに行っちゃったのかぁ・・・」

 

 

「まぁ・・・しばらく我慢すれば収まるとは思うけどな」

 

 

「何だか・・・押し付けちゃったみたいで・・・悪いなぁ」

 

 

「いや・・・オマエのところに行ったらむしろ面倒だからこれでいいんだよ」

 

 

「S原のところにもなのか?」

 

 

「さすがにS原は怖いみたいだよ・・・俺ばっか(苦笑)

 

 

「ははは・・・そうか・・・そうだろうな」

 

 

「S原が俺の横にいる時も・・・彼女はMの相手してやれって言うしな」

 

 

「収まる見込みはあんのか?」

 

 

「明日専門医の予約だから・・・それ以降は先生に意識が向かうだろ」

 

 

「だろうな・・・微妙な問題だしプロに任せた方がいいな」

 

 

「ああ・・・ごめんな愚痴って・・・オマエにはもう無関係だった」

 

 

「いやいや・・・気になってたから教えてくれて助かったよ」

 

 

「年内はこれが最後っぽいな・・・良いお年を!」

 

 

「ああ・・・色々ありがとう!良いお年を!」

 

 

 

 

 

 


Mは私への依存心をそのままK田にぶつけているようです。

K田の言葉と表情を見る限りでは、大きな問題になる様子はありません

少なくとも専門医にカウンセリングを受ければ多少は落ち着くでしょう。

K田にはちょっと申し訳ないのですが、私自身はかなりの安堵を覚え

ました。MがふさぎこまずにK田に気持ちをぶつけていること自体が、

彼女の元気さを物語っている気がしたのです。

   

  

私はロイヤルミルクティーの缶を開けて、ちびちび飲みながら職場

へと戻りました。いつのまにか定時の終業時刻を過ぎています。 

私の部下や後輩たちがほぼ帰りきった頃になって、やっとY部長が

疲れた様子で戻ってきました。   

   

 

 

 

  

 

 

「ふぇ~疲れた・・・○○・・・もう出られるか?」

 

 

「はい!俺はいつでもOKっすよ」

 

 

「じゃあ・・・この勢いで出よう。1回座ったら出るのが嫌になりそうだ」

 

 

「了解しました」


 

 

 

 

 

 

私たちは会社を出て少し歩いたところにある老舗寿司店に入りました。 

その店は界隈でも有名な高級店で、季節のネタを主人が適当に握って

くれます。よくある2カンセットではなく、1ネタ1カンで握ります。その

代わり色々な「仕事」を施した楽しいネタをたくさん握ってくれるのです。

 

 


  

 

 

 

「部長・・・いいんすか?俺ごときにこんないい店・・・」

 

 

「たまにはな・・・ははは」

 

 

「ちょっと自分だけでは来れない店ですからね」

 

 

「まぁ気にするな・・・。おやっさん!適当につまみをくれ!」

 

 

「あいよ!何かお嫌いなものはあるかな?」

 

 

「○○・・・どうだ?」

 

 

「俺は何でも美味しく頂きます。特にヒカリ物と貝が好きです」

 

 

「じゃあ・・・おやっさん・・・ヒカリ物と貝と・・・適当な白身で頼む」

 

 

 


  

 


私たちは熱燗をちびちびやりながら、最高に美味い刺身に舌鼓を

打ちました。・・・・しばらくしてY部長が本題を切り出します

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ・・・○○・・・今の仕事・・・オマエはどうなんだ?」

 

 

「・・・・はい・・・やり甲斐を感じていますが・・・何か?」

(嫌な予感)

  

  

「うん・・・単刀直入に言うとだな・・・オマエは狙われてる」

 

 

「・・・・は?」

 

 

「オマエを営業の連中が狙って人事に働きかけてる」

 

 

「・・・・はぁ・・・」

(答えようがない)

 

 

「俺としてはオマエに今のまま部下でいて欲しい」

 

 

「あ・・・・ありがとうございます・・・」

 

 

「新規のプロジェクトもオマエがいてこそだし、部内の空気もいいし」

 

 

「それは部長の気配りが行き届いてるからですよ」

(ちょっとだけお世辞)

  

  

「俺が断れば、オマエは今のままステイだ・・・俺にはその権限もある」

 

 

「じゃあ・・・そうしましょうよ・・・俺、今の仕事好きです」

 

 

「ただな・・・営業に行けば昇格とセットなんだ・・・」

 

覗き見クロ  

「・・・・はぁ(ゴクリ)

 

 

「俺のトコでもいずれは昇格だが、営業ほど早くないかもしれない」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「オマエの気持ちを知ってから人事に返事しようと思ってな」

 

 

 

 

 

 

 

先日、Y部長が夜遅くまでパソコンを見ながら悩んでいたのはこの件

だったのでしょうか。思わぬ提示に私も少し迷いました。

 

  

 

 

 

 

 

「あの・・・営業の・・・具体的にはどの部ですか?」

 

 

「○○○部だ・・・」

 

 

「あぁ・・・△△部長のトコですね・・・」

 

 

「あぁ・・・面識はあるよな?」

 

 

「1回だけ飲んだことはあります」

 

 

 

  

 

 

私は決めました。そして大切なことと一緒にY部長に伝えることに

しました。今しかありません。





   



「部長・・・実はご報告したいことがあるんです」

 

 

「なんだ?」

 

 

「俺・・・春に結婚します」

 

 

「おお・・・おお・・・そうかそうか・・・やっとか・・・おめでとう!」

(驚いているが本当にうれしそう)

  

 

「披露宴には上司にもしかるべき形でご出席をお願いしようと思っています」

 

 

「そうだな・・・△△部長なら問題ないだろうな・・・」

 

 

「いえ・・・Y部長にぜひご出席を頂きたいと考えています」

 

 

「お・・・俺か・・・?」

  

 

「はい・・・ですから・・・春も同じ部署で働いていたいです」

 

 

「・・・・俺で・・・いいのか?ラインに乗ってないぞ・・・俺は」

 

 

「昇格したってたいして給料変わりませんしね(笑)

  

 

「営業に行った方がキャリアとしては有利だぞ?」

 

 

「別に今のままだと “不利” ってわけじゃないですよね?」

 

 

「そこまでは言わんが・・・営業は昇格が早いからな」

  

 

「俺・・・そこまで昇格に貪欲にはなれないっすよ」

 

 

「そうか・・・そういうスタンスか・・・」

 

 

「お世辞とかじゃなくって・・・あとしばらく使って下さいよ」  

    

 

「・・・・わかった・・・ありがとう・・・ご祝儀ははずむよ(笑)

 

 

「ははは・・・お願いします」

 

 

「よし!好きなだけ飲め飲め!」

 

 

「はい!がってんです!」

 

  

 

  

 

 

 

Y部長は私の入社試験の面接官だったこともあり、非常に親しみを

感じていました。私が大きな病を患って、いったん第一線を退いた

後に、私を拾って活躍する場を与えてくれたのは彼です。彼には

大きな恩義を感じていましたし、それを無視しても人間的におおらか

で義理人情に厚く、大変尊敬出来る人物でした。

 

 

私もサラリーマンですから「昇格」という言葉に一瞬は迷いが出ました

が、昇格時期が遅れてもどうせ数年の違いです。すぐに彼の部下と

して働き続ける気持ちが強くなりました。 

   

  

私たちはそれから熱燗、焼酎、冷酒をちゃんぽんで飲みまくり、

2人でカラオケスナック(ボックスではなくスナックです)で古い歌

を歌いまくり、午前3時頃になってそれぞれがタクシーで家路に

つきました。

  

 

タイトル未設定  

⇒後編に続く

いいね!した人  |  リブログ(0)
2005-12-01 00:09:33

すべての道は幸福に通ず<後編>※最終回

テーマ:ストーカー編
⇒前編からの続き

 

 

 

 

 

(中略)

 

 

年末年始を無事にやり過ごし、仕事始めの1月4日

おとそ気分が抜けないまま私は新年挨拶回りをこなしていました。

途中、取引先で偶然ばったり会ったK田から、Mが既に落ち着きを

取り戻したことを聞きました。さらにK田とS原の仲間内だけの質素な

入籍祝いパーティーの誘いも受け、迷わず出席の返事をしました。

 

 

 

夕刻前に職場へ戻ると、S原からのメモが置いてあります。

 


  

 

 

“私は暇してるので戻ったられんらく下さい  S原”

 

 

  

 

 

仕事始めの日は、挨拶回りを済ませた順に勝手に帰宅していくので

職場にはほとんど人は残っていません。Y部長は挨拶回りから

自宅へ直帰のようです。私はさっそく内線でS原に電話をしました。

 

 

内線電話に応答したのはS原本人でした。

 

 

 

 

 

 


「はい!××事業部です!」

 

 

「あ・・・S原?俺・・・○○だけど・・・」

 

 

「あぁ・・・○○君?遅いよぉ~・・・諦めて帰ろうと思ってた」

 

 

「すまん・・・担当してる会社が多くてさ」

 

 

「だよね・・・ごめん・・・仕事なのに無神経な発言でした」

 

 

「いやいや問題ないよ。・・・で例の件だよね?」

 

 

「そうそう・・・私も早く話してすっきりしちゃいたいからさ」

 

 

「今は・・・話せる?」

 

 

「私は暇でお酒飲みながらマンガ読んでたくらいだから♪」

 

 

「どこで話す?」

 

 

「私の部署・・・もう誰もいないからこっちおいでよ・・・酒もあるし♪」

 

 

「いいね・・・了解」

(内容が分からないので少し不安) 

 

 

 

  

 

 

 

私はすぐに荷物をまとめてS原の職場があるフロアまで急ぎました。

 

 

S原のいる部屋に入ると、だだっ広い大部屋の中にぽつんとS原が

1人で一升瓶から日本酒を注ぎながら酒盛りをしているのが見えました

ほんのりと顔が赤くなっています。少しフラフラと揺れながら、職場には

似つかわしくないレディースコミックを読みふけっています。

正月ならではの風景です。普段ならありえません。

 

 

 

 

  

 

 

「おいおい・・・S原・・・美人が台無しだろ」

 

 

「うるせぇ!ほっとけぃ!ただ酒だもん♪マンガは拾い物だし♪」

 

 

「もしかして・・・けっこう出来上がってる?」

 

 

「少しだけね♪平気だよ・・・襲ったりしないから♪」

 

 

「じゃあ・・・俺も1杯くれ」

 

 

 

 

 

  


私はコーヒー用の紙コップを差し出しました。S原は一升瓶を持って

トクトクと注いでくれます。

 

 

 

 

 

  

欲求爆発ゾウ  

「じゃあ・・・あけましておめでとう!・・・かんぱーい!」

  

 


 

 

 

  

2人ともコップの酒を干しました。私は挨拶回りの出先で少しずつ酒

をご馳走になっていたため、この一気飲みでかなり酔いが回りました。

そこで・・・S原が切り出しました。

 

 

 

 

 

 

 

「単刀直入に言うけど・・・あなた・・・もうあの女は忘れなさい!」

 

 

「あの女って・・・その・・・あれか?」

 

 

「Aのことよ!こないだ言ったでしょ?ヒック・・・」

(ちょっと酒癖悪いな)

 

 

「・・・もう引きずってないよ」 

 

 

「あなた・・・あの女となんで別れたの?」

 

 

「いや・・・1回別れて・・・復活して・・・婚約して・・・」

 

 

「それから婚約破棄して・・・また復活して・・・最後は別れた・・・でしょ?」

 

 

「詳しいな・・・(驚き)

 

 

「別の信頼出来る筋から全部聞いてるからね」

  

 

「そうだったよな・・・人間関係ってコワイな・・・」

 

  

「あなた・・・ずっと幻影を追ってるでしょ?」

 

 

「そういうわけじゃないけど・・・」

 

 

「でも・・・なんとなく引きずって女性不信気味でしょ?」

 

 

「うん・・・そういう部分はちょっと前まではあったかな・・・」

 

 

「あなたが女性に優しいのはAに忍耐を強いられたからだよね?」

  

 

「まぁね・・・相当我慢したから慣れちゃった」

 

 

「Aって最低だよ!私ずっと話聞かされて腹立ってたもん!」

 

 

「知ってるよ・・・途中で浮気とか不倫も分かってて黙認してたし」

 

 

「それもすごいよねぇ・・・○○君、エライ!」

(かなり酔っている)

  

  

「う~ん・・・やっぱり好きだったからだろうなぁ・・・」

 

 

「でも・・・多分○○君・・・Aの本性、知らないと思うよ」

 

 

「知ってるよ・・・男と金には確かに汚かったよ。それは認める」

 

 

「じゃあ・・・S山って男とヤッてたの知ってる?」

 

げげ!ねこ  

「・・・・え!?」

 

 

「Y村は・・・?あと・・・H島は?・・・あと・・・(以下省略延々続く)

   

  

  

(中略) 

 

  

  

「ちょ、ちょ、ちょ・・・ちょっと待ってくれ・・・・・それどういうこと?」

 

 

「あと・・・・T田も・・・他にもいるよ」

 

 

「それって・・・みんな俺の知り合いばっかじゃん・・・」

 

 

「あなた彼女と何年付き合ったっけ?」

 

 

「まともには5年・・・復活して2年・・・微妙に2年・・・」 

 

 

「9年間か・・・大きいね・・・今の話、受け止めきれる?」

 

 

「それって・・・まじで本当なのか?」

  

 

「わざわざ正月から呼び出してウソなんか言うはずないじゃん」

  

 

「・・・そうだよな・・・」

  

 

「しかもあなたが付き合いだした最初の年からのお話だよ」

 

げげ!ねこ  

「え・・・・!?」

 

 

「あなたがまともに付き合ってたつもりの5年間も、実は幻だったのよ」

 

 

「・・・・・・(絶句)

 

 

 

      トラウマ聞いてびっくり  

                イラスト協力:佐藤美雪さん

 

 

 

「ひどいよねぇ・・・」

 

 

「でも・・・最初の年・・・彼女・・・妊娠して結婚しようって・・・(息絶え絶え)

 

 

「それって・・・いきなり行方くらまして勝手に中絶しちゃった・・・でしょ?」

 

 

「・・・なんで知ってんの?」

 

 

「それ・・・あなたの子じゃなかったんだよ」

 

 

「・・・・・・(絶句)

 

 

「不倫してた写真家さんの子だよ」

  

 

「・・・・・・(絶句)

 

 

「あなた最初っから利用されてたんだよ」

 

泣きぽよ  

「ウソだ・・・(半泣き)

 

 

「ごめん・・・残念だけど・・・これ確実に本当のこと」 

  

 

「ウソ・・・だろ?」

 

 

「信じるかどうかは任せるよ・・・でもあなたも内心疑ってたでしょ?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「黙ってようと思ったけど・・・現実を知った方がいい思ったんだよね」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「・・・・言わない方が良かった?もしかして」

 

 

「いや・・・ありがとう・・・感謝します」

 

 

「・・・・仕返しするなら手伝うけど?」

 

 

「いや・・・そんなつもりはないよ・・・子供じゃないんだし・・・」

 

 

「・・・大丈夫?今日1人で帰れる?」

 

 

「うん・・・かろうじて平気だと・・・思う・・・」

  

 

「・・・もう1杯飲んでいきなよ」

 

 

「いや・・・とりあえず・・・俺帰るわ・・・ごめん・・・」

 

 

「・・・なんだか・・・正月からごめんね」

 

 

「いや、俺が頼んだことだから・・・ありがとう」

 

 

「そう・・・じゃあ気をつけてね」

 

 

「ああ・・・お先に・・・」

 

 

「ことよろ」

 

 

「ことよろ」
※念のため「ことよろ」=「今年もよろしく」 

   

 

 

 

 

 

  

私はS原から聞いた事実があまりのい衝撃的だったため、打ちひしがれて

家路につきました。街の景色も、地下鉄の中の乗客も一切目に入りません。

亡霊のような状態になって自宅までかろうじてたどり着きました。

 

 

Aというのは私が大学入学と同時に上京して、そのまま9年間付き合い続けた

女性です。その間、他の女性と何も無かったと言ってしまうとウソになりますが、

間違いなく、私の人生の中で大きなウエイトを占める存在でした。

 

 

ただ、少々金と男にだらしない面があって、彼女の浮気や既婚男性との不倫には

相当悩んだのも事実です。しかしいつも最終的には私のところに戻ってくるので

黙認していたのです。惚れた弱みと言うやつです。

 

 

しかしS原が挙げた男性の名前が本当だとすると、Aの行動は私の想像を

はるかに超えていたことになります。また、彼女が妙な行動をするようになった

のは4年目くらいからだと思い込んでいましたが、最初から裏切り行為があった

というのは考えてもいませんでした。

 

 

一番ショックだったのは、付き合って1年目に彼女が中絶手術をしたのですが、

その相手が私じゃないということです。確かにS原に言われてみると怪しいこと

だらけなのですが、私は事実から目をそむけて疑おうとはしませんでした。

学生だった当時の私ですが、子供を産んで入籍することを提案したところ、

Aは急に2週間姿をくらまし、再び戻ってきた時には中絶手術を済ませていた

のです。私は少ない蓄えから手術代金を渡しました。この経験はずっと十字架

として心に重くのしかかっていたのは確かです。

 

 

今となっては何が真実かは分かりませんが、私自身も本当は薄々気付いて

いながら怖くて認めていなかった部分を、S原が強引に掘りおこしたような

形になったのです。自我が崩壊しそうになるのを耐えながら、やっとの思い

で自宅のドアを開けて部屋に転がり込みました。

 

 

 

     

 

 

 

「おかえり~!」

 

 

 

 

 

 

  

何も知らないl婚約者が明るく出迎えてくれました。

しかし、私はその場に崩れ落ちてしまいました

  

 

 

 

  

 

 

 

「うわ!お酒臭いねぇ・・・会社で飲んだでしょ?もう~しようがないなぁ」

 

泣きぽよ  

「・・・・うっうっ・・・・ひっく・・・(泣き声)

 

 

「どうしたの?」

 

 

「・・・・ひっく・・・うぅ・・・」

 

 

「なんで泣いてるの?あなた泣き上戸だったっけ?」

 

 

「あのさぁ・・・ひっく・・・」

 

 

「どうしちゃったのよ・・・正月からぁ」 

  

 

「俺さぁ・・・Aにかなり騙されてたみたい・・・・」

  

 

 

 

 


 

過去の女性についての愚痴なんて、本来は婚約者に対してこぼすべき

ではないのは当然です。その当時の私にもその程度の分別はあったの

ですが、あまりに大きな衝撃を受けてしまったのと、空きっ腹に酒を一気

飲みした勢いもあって、つらつらと泣きながら語ってしまいました。

   

  

婚約者は私の過去の辛い遍歴について、元々ある程度把握しています。

  

 

 

 

 

  

 

 

「Aさんってあのトラウマになってる人?」

 

 

「うん・・・・」

 

 

「あ・・・分かった・・・S原さんに色々言われたんでしょ?」

 

 

「・・・・うん」

 

 

「知らなかったことが・・・いっぱい分かっちゃったとか?」

 

 

「・・・・うん」

 

 

「あらま・・・当てずっぽが当たっちゃったか・・・」

 

 

  


 


婚約者は、情けなくも玄関でうずくまって泣き続ける私の背中を

さすりながら、しばらく黙って考え込んでいます。

 

 

 

 

 

 

「あなたも辛いところよね・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「お父様のご臨終に間に合わなかったのも彼女のせいだしね・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「彼女のイメージが崩れれば崩れるほど・・・あなたの後悔は深まるわよね」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「彼女のせいでボロボロになったんでしょ?」

 

 

「・・・・・うん」 

  

 

「人間不信だったんだよね」

 

 

「・・・・・うん」

 

 

「でも・・・もしもあなたが自信満々のままだったら・・・」

 

 

「・・・・・?」

 

 

「もしも・・・あなたがボロボロになってなかったら・・・」

 

 

「・・・・・??」

 

 

「あの日・・・あの場所にあなた、来なかったよね」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「あなたは今・・・私のこと愛してる?」

 

 

「うん・・・」

(きっぱり) 

  

 

「今一番大切に感じてる女性は私だってことでいい?」

 

 

「もちろん・・・」

(きっぱり) 

  

 

「迷ったり、悩んだりしないで・・・私だって断言出来る?」

 

 

「それは・・・絶対に間違いないよ」

(きっぱり) 

  

 

「じゃあ・・・あなたが私に会ってなかったこと想像してよ」

 

 

「・・・・それは・・・辛い・・・かなり辛いな」

 

 

「ってことは・・・あなたがボロボロになって良かったってことじゃない?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「そうじゃないと私たち出会ってないでしょ?」

 

 

 

 

 

 


そうなのです。婚約者との出会いの詳細についてここでは割愛しますが、

私がトラウマ女のせいで心がボロボロになっていなかったら・・・

私が25歳の時に父親が死んでいなかったら・・・

その後、激しく生活が荒れていなかったら・・・

やっと人間不信を振り切るきっかけになった元カノと別れていなかったら・・・

 

 

私がAと普通に別れて自然な自信を持ち続けたまま過ごしていたら・・・

田舎に両親が健在で、潜在的な依存心を持ったままだったら・・・

荒んだ生活も体験せずに順調な毎日を過ごしていたら・・・

元カノと出会っていなかったら・・・元カノと付き合い続けていたら・・・

 

 

私は目の前にいる愛する婚約者とは出会っていなかったのです。

 

 

私のマイナス経験があったからこそ、この大切な女性と巡り会えたのです。

 

 

 

 

  

 

 

「だから・・・いいよ・・・過去のことは好きなだけ愚痴ればいいよ」

  

 

「・・・・・・」

 

 

「それがなかったら・・・私もあなたに会えてなかったんだから」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「確かに辛い出来事かもしれないけど・・・結果オーライじゃない?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「はい!じゃあそういうことで。寒いから早く中に入って」

 

 

「うん・・・」 

  

 

 

  

 

 

 

私は急に元気がよみがえってきて、靴を脱ぎリビングルームへと

入っていきました。部屋中に美味しそうな匂いが漂っています。

 

 

 

 

 

 

 

「晩御飯作ったよ♪今日はビーフシチューなりぃぃ~♪」

 

「うわ!美味そう!サンキュー♪」

 

 

 

  


 

(後略)

 

 

 

 

 

 

その後・・・私たちは春を迎え、都内某所にて華燭の典を挙げました。

オーソドックスな披露宴を望んだ私たちは、媒酌人をY部長に引き受け

てもらい、友人席にはK田の姿もあり、あのタクシーの運転手には来賓

として出席を頼みました。家族をはじめ、良き友人たちに囲まれて、大変

幸せなひと時だったことを申し添えておきます。

 

 

長い間、私の情けない姿を、拙い文章にもかかわらずお読み下さり

本当にありがとうございました。

 

 

妻を心から愛している恋愛体質夫の回想は、これにて終わりにしようと

思います。

 

 

 

 

 

 

だって・・・やっと妻にブログのことを言えましたから・・・。


 

 

  

 

 

 


※次回、「登場人物たちのその後」をアップします。

 事実上それが最後になります。 

  


 

最後に慰労の意味でよろしければお願いします。
人気blogランキングへ

 



○現在の夫婦生活一口メモ

妻にはつい最近、このブログのことを話しました。

彼女は最初から一気に読みきったようです。すべて

彼女も知っている内容ばかりなので、特に驚いた

様子はありませんでしたが、私がブログを書いて

いたことを大変意外に思った様子でした。ここ最近

様々な出来事も説明しました。ここに書いたこと

はもちろん、書けなかったことまで説明しました。

妻は大変怒ってしまい、その怒りをなだめるのに

かなり苦労してしまいました。もちろん怒りの相手

は私ではありません。とにかく私が実生活を重視

してネットの世界とお別れすることについては賛成

してくれました。今後はこの妻を幸せにするべく、

足元をしっかり見つめながら、背伸びすることなく

自分を見失うことなく、誠実に生きていこうと思い

ます。このブログで初めて使うセリフでご挨拶を

致します。長い間、本当にありがとうございました。

夫婦揃って感謝申し上げます。皆様のご多幸を

妻ともどもお祈りしております。

なお、次回のおまけで、もしかすると妻の言葉

を掲載出来るかもしれません。

     


     

   

<ブログ初心者によるブログ探検>

ブログ探検してみて楽しかったり気に入ったブログを

勝手にご紹介しちゃうオマケのコーナーです。今回が

最後のご紹介になります。       

  

今回探検したブログ↓クリックしたら飛びます。

 

☆☆☆佐藤美雪のお絵かきじゃんぐる☆☆☆

「真夜中の訪問者」の中でも「さとみゆさん」のイラストを使用

させて頂きましたが、最終回もやはりお世話になりました。

本当にお忙しいところ、無理を言ってイラストを描いて頂き

ました。感謝するばかりです。「さとみゆさん」と私の合わせ技

のブログにするのが目標ではありましたが、残念ながら私は

閉店致します。「さとみゆさん」のブログはこれからも一ファン

として応援したいと思っています。ぜひ皆さんもご訪問下さい。

他にはない「味」があります。






 
いいね!した人  |  リブログ(0)
2005-11-26 17:42:58

夜の都心に怪獣現る!

テーマ:ストーカー編

奥さま聞いて下さい・・・。

そして私を叱って下さい・・・。

 

 

 

 

 

 

 

タイトル未設定  

想像を超える展開になった月曜日の深夜。

  

婚約者と私が落ち着いて眠りに就いたのは、時計の針が

午前5時を回っていた頃でした。真冬なので外は暗いまま

ですが、これが夏場ならそろそろ空も明るくなる時刻です。

 

 

私たちは数時間足らずの深い睡眠をむさぼり、目覚まし時計

で無理やり起こされました。ご経験がある方ならきっと想像が

つくと思います。普段とはまったく違う時刻に就寝して起きた

朝は、体がだるくて思うにまかせません。正直なところ、私は

ズル休みをしたくてたまらない体調だったのですが、この日が

特別な日であることを考えて、自らを叱咤しつつ熱いシャワー

を浴びます。婚約者は遅い出勤時間の日に当たるため、ベッド

の中で2度寝を決め込んでいます。

 

 

火曜日・・・未明に起きた出来事の報告をS原から聞き出すこと、

さらにはM本人と話をすることが、私に課せられた一番の任務

でした。目覚まし時計を遅い時刻に再び設定し直してから、深い

2度寝を楽しんでいる婚約者を起こさないように注意して、私は

そっと着替え、そっと玄関を飛び出しました。

 

 

ふとドアの脇を見ると、いつか見たことがあるのと同じような

タバコの吸殻の山がありました。昨晩Mが残していったもの

でしょう。私はティッシュペーパーで拾い集めて、マンション

のエントランス横にある集中ゴミ置き場に捨ててから、駅へ

と急ぎました。

 

 

(中略)

 

 

勢い余って少し早めに職場へ着いた私は、1人で自席に座り

週末から週明けにかけて起きた様々な出来事を思い返しました。

ずいぶん長い時間が経過したような錯覚に陥っていましたが、

実はたった数日の出来事なのです。ダラダラと嫌なことが続く

よりはマシだとも言えなくはありませんが、あまりにストレスが

大きかったため、私の寿命はおそらく相当年数縮んだことで

しょう。

 

 

 

 

 

慌てるインコ  

「生命保険の契約年数・・・見直した方がいいかな・・・」

 

 

 

 

 

 

そんなどうでもいいことをつらつらと考えていると、私の上司で

あるY部長が出勤してきました。お互いに多忙で席を空けている

ことが多いため、2人きりで職場の空気を吸うのはかなり珍しい

ことです

 

 

 

 

 

 

 

「部長、おはようございます!」

 

 

「おお!おはよう!」

 

 

「珍しいっすね・・・我々だけになるなんて・・・」

 

 

「うん・・・俺はちょっと人事的な手続きがあってな・・・」

 

 

「人事・・・?」

 

 

「ああ・・・お前の異動じゃないから安心しろ・・・ “派遣さん” だ」

 

 

「誰ですか?」

 

 

「お前にはどうせ先に伝えることにしてたんだが・・・」

 

 

「私の部下ですか?」

 

 

「ああ・・・Mちゃんなんだが・・・今朝ウチに電話があってね」

(注:部内の職員名簿が全員に配布されています) 

  

  

「M・・・が・・・ですか?」

 

 

「うん・・・どうせ来年明けに派遣期限切れなんだが・・・」

 

 

「何か言ってきたんですか・・・?」

 

 

「ご家庭の事情で今日付で退職するそうだよ」

 

げげ!ねこ  

「退職!?」

 

 

「うん・・・突然で俺もびっくりだけどな」

 

 

「お前のチームはとりあえず1人欠員になるが、すぐ手配するからな」

 

 

「・・・・はい・・・よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

私は上司の手前、あまり動揺しているのを気取られないように、努めて

平静を装っていました。しかし・・・やはりショックです。

 

 

未明にS原が迎えに行って、その後いったい何があったのでしょうか。

家庭の事情を理由にしていますが、おそらくは出社をする気持ちに

なれないところが本当のところでしょう。

 

 

すぐにMに電話をかけたい衝動に襲われましたが、その動物的な

本能を理性で抑えて、まずはS原と連絡を取ることにしました。

果たしてMに直接連絡をしていいものなのか、その後の状況を

S原に確認しなくてはなりません。

 

 

私はS原の携帯番号をプッシュしながら職場を離れ、廊下の奥に

ある自動販売機コーナーに移動しました。なるべく他人に聞かれ

たくない用件だったため、その時間帯はあまり他の職員が来ない

場所を選んだのです。

 

 

S原は2コールですぐに応答しました。

 

 

  

 

 

  

 

「もしもし・・・○○君?おはよう!」

 

 

「おはよう!元気だね・・・夜中に悪かったな」

 

 

「いいのいいの・・・ちょうど私も電話しようと思ってたんだ」

 

 

「申し訳ない・・・気を使わせて・・・」

 

 

「ううん・・・問題なしよ。その後の経過が聞きたいんでしょ?」

 

 

「うん・・・そうなんだけど・・・Mが会社辞めちゃったよ」

 

 

「そう・・・やっぱりそうしたんだ」

(驚く様子もなく)

  

   

「・・・Mから聞いてたの?」

 

 

「そうするかもしれないってことはね・・・最終的な決断は聞いてないよ」

 

 

「そうか・・・やっぱり気まずいのかな」

 

 

「そうみたいだね・・・あとは○○君とウソの関係を吹聴しちゃったからね」

 

 

「ああ・・・そのことか・・・打ち消さなくっちゃなぁ、いずれ・・・」

 

 

「大丈夫だよ。彼女・・・主だった人にはメールしてたから」 

 

 

「メール・・・?」

 

 

「うん、携帯から私の前で送ってた。ちゃんとウソだって伝えたみたい」

 

 

「そうか・・・(複雑)

 

 

「放っておけば事実が広まるから敢えて触れない方がいいよ」

 

 

「そうだね・・・(複雑)

  

 

「まだそんなにメジャーな話題にはなってなかったし・・・」

 

 

「・・・まぁそれは救いだけどね・・・」  

  

 

「私もうまく打ち消しとくから任せて。あなたは動かない方が得策ね」

 

  

「ありがとう・・・・・・で、あれから・・・S原はどうしたの・・・?」

 

 

 

  

 

 

 

私が未明の出来事のその後をS原に問うと、彼女は特に気にする様子

もなくスラスラと説明を始めました。S原が私にかいつまんで説明した

ことは以下の通りでした。

  

 

 

S原は、私との電話を切ってすぐに、自分で所有している高級外車

(ドイツ製のスポーツカー)を運転して都心のど真ん中にある自宅

マンションを飛び出しました。マンションを出てすぐに警察署に連絡

をして、Mが本署ではなく私の自宅に比較的近い派出所にいること

を確認しました。運転中にK田とも連絡を取り、そこでなんとK田も

同行することになったそうです。これには私も驚きました。

 

30分ほどでその派出所に到着すると、意外におとなしく素直な態度

で事情聴取を受けているMがいました。S原とK田は、Mの勤務先

の同僚であることを説明し、何とかMの身柄を引き渡されました。

最初に2人が揃って現れたことを知ったMはかなり驚いていましたが、

2人が懸命に警察官に説明をしているのを見て安心したのか、素直

にS原の車に乗りました。

 

Mを自宅に送る途中、車中では3人のかなり突っ込んだ話し合いが

持たれました。その中で3人はそれまでの歪んだ人間関係を反省

しつつ、もっとオープンで明るい関係になろうと決めました。Mは

自分の事情もそこでかなり明らかにしたようです。私が知っていた

情報とS原からその時に聞いた情報をもとに、Mがなぜこんな行動

に至ったかを以下で説明します。

  

 

タイトル未設定  

Mは私の会社に派遣社員として勤務する以前の水商売勤務に限界

を感じていて、かなり焦っていたそうです。

  

高校を優秀な成績で卒業したマジメな女性だったMですが、渋谷の

路上でスカウトされ、キャバクラに体験入店してからすべてが夜の

生活になっていってしまったそうです。自分でも早くその生活から

脱出して昼間に働く生活を夢見ている時に、偶然K田が店を訪れて、

Mを「店内指名」しました。最初はK田も真剣な交際を考えてMと親密

な関係になりましたが、極端に干渉してくるMの態度に疲れ、そこに

たまたま以前から密かに気持ちを抱いていたS原の誘いがありました。

  

K田は迷いつつもS原を選び、Mに別れを告げました。そもそも孤独

を恐れる傾向が強かったMはそこで精神的なバランスを崩し、K田に

極端な執着を見せるようになりました。Mが自分で語るには、どうやら

K田の前に交際していた数人の男性とも、彼女の粘着質な性格が

原因で別れてしまったそうです。そのため彼女は必要以上に別れを

恐れてしまう状況でした

 

その後、K田を妊娠話や暴力団っぽい男性から電話をさせて脅した

のはすべて狂言だったようです。それほどK田に執着していたとういう

ことです。K田の勤務する会社に入りたいと言い出した理由は、K田の

本命であるS原と、どうしても対等に競争をしたかったという気持

まずは一番だったようです。さらにM自身も、いつかはK田が完全に

離れていく予感があったらしく、その後に付き合う相手を探という

ちょっとずるい目的もあったようです。

 

しかし実際に入社してみると、K田についつい執着してしまい、次の

相手どころではなくなりました。さらにS原が予想を超えるタフな女性

だったため、逆に手玉に取られてしまい、Mとしてはかなり精神的に

追い詰められていたそうです。そこに私という存在があったというわけ

です。確かに逃げ道としては見るからに安全牌だったのでしょう。

 

K田の自宅で繰り広げられたという凄惨な暴力劇の真相ですが、

MがK田の自宅に乗り込んできたのは、S原の妊娠を知ったから

ということでやはり間違いありませんでした。実はMはその当時、

「想像妊娠」をしていて、自分では本当に妊娠していると思い込ん

でいたそうです。つまり妊娠は最初からしていなかったのです

 

私は「想像妊娠」というのはドラマや漫画などでは見たことがありまし

たが、本当に自分の周囲で話を聞いたのはその時が初めてでした。 

 

その場でMがS原に馬乗りになって襲いかかったのは本当のこと

で、K田はMを止めるために1度だけ突き飛ばし、なおもS原に

向かっていくMに対して往復ビンタを食らわせました。それ以上の

暴力は無かったということです。

 

その後、MがK田の家を飛び出して以来、K田とS原はMとは

一切連絡を取らなくなり、会社ですれ違っても完全に無視をして

いたそうです。そこに今回の私への「ストーカー騒ぎ」です

 

Mは産婦人科で既に「想像妊娠」であることを告げられていましたが、

なかなか自分でそれを認められず、実は警察官に連行された時も

「妊娠中」だと主張していたようです。しかし、K田やS原とゆっくり

話し合う中で徐々に心がほぐれたのか、「想像妊娠」という診断も

自分から暴露したそうです。また、最終的にはK田とS原の結婚を

応援したいとまで言ったそうです。これは驚きでした。

 

 

 

以上がS原から聞いた情報をメインにまとめた今回の経緯です。

 

タイトル未設定  

私はまず安堵しました。Mが結局は一度も自分の体を傷つけていない

ことが分かったからです。万が一本当に妊娠中絶を経験しているなら、

それなりに精神的な痛みもあるでしょう。しかし幸いにもMについては

それがありません。またM自身がK田とS原を祝福する言葉を発した

というのも安心材料でした。

 

 

S原の説明によれば、Mを自宅アパートに送り届けてから、そのまま朝

までMの自宅アパートの部屋で、上記で説明したことを話し合ったそう

です。そこでMは「もしかしてもう出社しないかもしれない」と退職する

ことを匂わせていたようです。

 

 

K田とS原は明るくなってからS原の自宅に戻り、眠らないままこの日は

一緒に出社したと言います。

 

 

 

 

 

慌てるインコ  

「一睡もしてないの・・・?そりゃ眠かろうに・・・」

 

 

「眠いのは通り越しちゃってさ・・・もうナチュラルハイよ♪」

 

 

「でも・・・Mが素直になってくれてよかったなぁ」

 

 

「うん・・・元々はすごくマジメな子なんだよね」

 

 

「自分で自分がコントロール出来なくなってたんだろうな」

 

 

「そうみたい・・・一応私から専門医師にかかるように薦めといた」

 

 

「そうだね・・・それがベストだね」

 

 

「うん・・・私たちもしばらくは様子見とくよ」

 

 

「うん・・・俺も心配だから連絡取ってみるよ」

 

 

「それはダメ!絶対にや・め・て!」

 

 

「・・・・どうして?」

 

 

「またあなたに依存して同じことの繰り返しになるでしょ?」

 

 

「・・・・う~ん(困惑)

 

 

「とにかく話がややこしくなるから、彼女については私かK田君に言って」

 

 

「じゃあ・・・もう一生会えないってことなのかな」

 

 

「そうじゃないわよ・・・落ち着くまでの話」

 

 

「わかった・・・君らを信用して任せるよ」

(婚約者にも中途半端な優しさがいけないって言われたし) 

  

  

「うん、変に連絡して刺激しないでよ?」

 

 

「うん・・・言うとおりにします」

  

 

「じゃあ・・・しばらく様子見て年明けくらい・・・かな?」

  

 

「そう・・・なるのかな」

 

 

「年内はドタバタするから、色々なお話も含めて年明けに話そうよ」

 

 

「そうだな・・・それがいいな」

 

 

「じゃあ・・・万が一年内にすれ違わなかったら・・・良いお年を!」

 

 

「ははは・・・滅多に会わないからな。念のため俺も・・・良いお年を!」

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ!

 

 

 

 

 

 

 

ずいぶん長電話をしてしまいました。時計を見ると既に始業時刻

を5分過ぎてしまっていました。私は慌てて職場まで戻ります。

 

 

 

 

 

  


「あ・・・○○さ~ん・・・Mちゃん辞めたって本当ですか?」

 

 

「・・・誰から聞いた?」

 

 

「部長がMちゃんはもう来ないって・・・」

 

 

「ああ、部長が言ったのか・・・うん・・・そういうことらしいよ」

 

 

「せっかく○○さんといい感じだったのに・・・」

 

 

「あ・・・それは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

私が同僚女性の言葉を否定しようとすると、別の同僚女性が

私と話していた女性の腕を掴んで引っ張っていきます。そして

私から少し離れたところでヒソヒソと何やら話しています

いつのまにか職場の女性陣はそこに集まり、何か噂話を始めて

しまいました。ヒソヒソ声なのでほとんど聞こえませんが、時折

上がる驚嘆の声はさすがに聞こえてきます。



 

 

 

<ヒソヒソ声> 

「うそぉ~~!」

  

「そうだったのぉ~~?」

 

「まじでぇ~~?」

 

「なんでぇ~~?」

 

 

 

 

 

 

私はしばらくその様子を眺めていましたが、さすがに放置するわけにも

いかず、大声で手を叩きながら仕事を始めるように促しました

 

 

 

 

 

  


「はい!みなさん!もう仕事の時間だから席に着いてくれよ」

 

 

  

 

 

 

 

すると小学生のように女性たちはみんな席に戻り、何事も無かった

ように仕事を再開しました。以前私が「Mにふられたばかり」という

ウソをついた隣の女性は、小声で私にコソコソ言いました。

 

 

 

 

  

<コソコソ話> 

「○○さん・・・ごめんなさい・・・私、Mの話を信用しちゃったから・・・」

 

 

「ああ、全然構わんよ。っていうか俺も君にウソついたし」

 

 

「だって・・・とっさだからアレしか言いようがなかったんでしょ?」

 

 

「う~ん・・・もういいよ・・・この話は以上で終わり!!いいね?」

 

 

「はい、ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 


どうやら同じ職場の女性数人にはMからメールで事情説明が

送られているらしく(S原の言っていたとおりでした)、既に私との

関係がウソだったというのは周知されているようです。

 

 

この様子なら数日で噂は消えるでしょう。私が敢えて打ち消して

回る必要はなさそうです。Mはしっかり義務を果たして退職をして

くれました。ちょっとMには気の毒な気もしますが、私も婚約者と

の正式な結婚を控える身なので非常にありがたい状況です。

   

  

この日は睡眠不足のせいもあって仕事らしい仕事が出来ない状態

でした。ちょうどその頃の業務は長いスパンの中、自分の裁量で結果

を出せば良いものだったので、敢えて作業を進行させず書類整理や

伝票処理などんぽ雑務をひたすらこなしました。こういう時に下手に

重要案件を進めると必ずミスが続出してしまう・・・というのは私が長年

サラリーマンをやっていて培ったある種の知恵だったのです。

 

 

夜の8時・・・既に派遣社員さんたちは全員帰ってしまい、職場には

私と窓のそばに座る部長だけになっていました。当時の私の上司で

あるこのY部長は、基本的には席にいないことがモットーのような

スタンスの人だったため、1日に朝と夜の2回もツーショットになるの

は初めてのことでした。彼は何やらパソコンを眺めて必死に悩んで

いる様子。私は帰り支度を始めました。

 

 

ふと私はあることを思いつきました。

 

 

携帯電話を取り出して、あるところの番号を押しました。

 

 


 

  

プルルルッ!

 

 

 

  

 

 

 

「はい、ありがとうございます!橋本屋敷です!」

 

 

「あ・・・もしかして店長ですか?俺です!○○です!」

 

 

「うわー!○○さん!先日はどうもです~!」

 

 

「ほんとに色々すいませんでした・・・」

 

 

「いえいえ・・・これからもご贔屓にして頂ければ問題ないっすよ♪」

 

 

「で・・・相談なんですけど・・・今週のクリスマスイブ・・・」

 

 

「まさか・・・ウチにいらっしゃいます?」

 

 

「ええ、万が一まだ空いてればですけど・・・無理ですよね?」

 

 

「いやいや、○○さん・・・ウチでいいんですか?もうちょっと・・・」


 

「いえ・・・何となくナゴナゴ過ごしたいので・・・」

 

 

「じゃあ・・・一番いい席ご用意しますよ。何時からにします?」

 

 

「え・・・大丈夫なんですか?」

 

 

「ぎりぎりのお話でちょうど良かったですよ・・・実は・・・」

 

 

「実は・・・?」

 

 

「ちょうどドタキャンが出たところで困ってたんです」

 

 

「じゃあ・・・8時からお願いできますか?」

(ラッキー♪)

    

 

「夜ですよね?」

 

 

「夜です!(苦笑)

(ベタだな)

   

  

「はい・・・じゃあお待ちしてます!サービスしますよ!」 

 

 

「じゃあ・・・よろしくお願いします!」

 

 

 

  

 

 


ガチャッ!

 

 

 

 

  

 

 

私は考えたのです。まず迷惑をかけた橋本屋敷にお詫びも兼ねて

再度行っておきたかったこと。さらに元々予約していた高級イタリアン

は、色々な意味でケチがついているので、仮に婚約者と行ったとして

も心底楽しめない気がしたこと。

 

 

私はまだ予約が残っている高級イタリアンのお店に電話をしました。

そして「急な仕事」を理由にして、丁重にキャンセルを申し出ました

店側はまったく問題なくキャンセルを受け入れてくれました。だいたい

この手の高級店や高級ホテルは、意外にキャンセルには鷹揚です。

そういう余裕がさらに高級感を増す結果になることを知っているのです。

  

  

そもそもこの店は非常に人気があるので、クリスマスイブは予約席と

当日フリーで並ぶ客のための席を分けているくらいですから、私が

キャンセルしたくらいで営業に影響は事実上出ません。私もそういう

事情が分かっていたので今回の判断をしたのです。

 

 

私は忘れないうちに婚約者に携帯電話からメールを送りました。

 

 

 

  

 

 

 

「一身上の都合でイブの店を橋本屋敷に変更しました。」

 

 

 

  

 

 

 

すぐに返信がありました。

 

 

 

 

 

  

 

「OK!ナイスアイデア!私もそれ考えてました\(^_^)/」

 

 

 

  

 

 


実は私も婚約者がそう考えているような気がしていたのでした。

1人で返信メールを見ながらニヤニヤしていたその時・・・

 

 

 

  


 

  


「おい!○○・・・ちょっといいか?」

 

 

「はい!部長!なんすか?」

 

 



 

 

 

 

私は早足で部長席のそばまで行きました。

 

 

  

 

 

 

 

 

「いや・・・ちょっと折り入って話があるんだ・・・」

 

 

「はい・・・(不安)

 

 

「来週頭の夜の都合はどうだ?」

(よかった、今週じゃなくて)  

 

  

「はい・・・月曜も火曜も大丈夫ですよ」

(なんだろう?)

    

   

「じゃあ・・・軽く寿司でも行かんか?」

 

 

「いいっすね♪・・・回らないですよね?」

 

 

「バカ!俺がそんな店連れて行くか!(笑)

 

 

「財布を忘れて行っていいならお供します(笑)

 

 

「ああ、もちろん・・・裸で来い」

 

 

「服装は自由でお願いします」

 

 

「ははは・・・じゃあ来週の月曜な」

 

 

「仕事納めの前日ですね・・・了解致しました!」

 

 

  

 

 

 

  

いったいY部長は何の話があるのでしょう。雰囲気的に悪い話では

なさそうです。しかし不安は残ります。ただ、私としては結婚の話を

まだ報告していなかったこともあるので、ちょうど良い機会だと考え

ました。むしろグッドタイミングです。

 

 

私はそのまま会社を出て婚約者が待つ自宅へと急ぎました。

久しぶりに大きな悩みがない状態での帰宅です。足どりは自然に

軽くなります。カバンをぐるぐる回しながら夜の都心を駅に向って

歩きました。息が白くなることに気付いて、1人で怪獣が火を噴く

真似をしていると、すれ違った女性がクスクスを笑いをこらえて

こちらを見ていました。急に恥ずかしくなった私は、姿勢を整えて

再び歩き始めました。

  

  

   

長くなってしまいました。続きは次回にさせて頂きます。

おそらく次回が最終回になります。

是非とも皆様お越し下さい。

お待ちしています。

 

 

  

だって・・・妻には言えませんから・・・。

 

 



※一口メモ、ブログ探検はお休みします 

 

 

 

いいね!した人  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>

AD




無料でダイエットできる!

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。