遺産分割協議と詐害行為取消権の関係について | 岡山県遺言相続ネットワークブログ

遺産分割協議と詐害行為取消権の関係について

 こんにちは。司法書士の菱川です。
 いつも当ブログを読んでくださりありがとうございます。


 だんだんと暑さも和らいできましたが、まだ日中は少し暑いなと感じます。
 ハイキングやサイクリングが気持ちいい季節ですね。



 今回のテーマは、遺産分割協議と詐害行為取消権の関係についてです。
 詐害行為取消権とは、債権者が行う行為で、債務者の財産を保全するために、これを不当に減少させる債務者の行為(詐害行為)を否認して債務者の財産に取り戻すことを言います。


 一番わかりやすいケースは、債務者が財産の隠匿を目的として第三者に財産を贈与する、というようなことですが、遺産分割協議をする当事者の中に債務者がいた場合、債務者である相続人が法定相続分を下回る財産を取得することになる遺産分割協議は詐害行為となることがあります。


 ただ、直ちにこのような遺産分割協議が詐害行為として取り消されるわけではありません。特別受益者の有無や寄与分など、個別の状況も考慮されます。


 債権者は詐害行為取消権の行使は裁判上で行われなければなりません。

 裁判上で認められ判決が言い渡されたら、債権者がこの判決に基いて登記手続きを行うのが一般的です。


 遺産分割協議のやり直しは、新たな財産の処分として課税がなされる恐れがあるので、十分な注意が必要です。債権者から提起された訴訟で敗訴して初めてやり直す、ということでもよいと思います。



司法書士 菱川 由紀子