読んだ漫画
真理子
池田理代子
週刊マーガレット
集英社
1971年1月10日、17日合併号

(再掲 原水爆漫画コレクション4 残光 平凡社 2015.07.24)

ひとこと感想
ベルばらの著者による被爆による悲劇。漫画に登場する当時の若者たちは、高校のクラスメートや恋人(家庭教師の大学生)とは真摯に向かいあう一方、親とはきちんとした対話ができずに、いきなり社会問題(政治)に無思慮にかかわっている。

***

主人公の真理子は、高校2年生。成績はそこそこ良いようだが、特に社会や親への不満や不安をもたず、幸せに暮らしていた。

そこに二つの「違和」が入り込む。

一つは、同級生の英子。身体は弱いが絵の才能がある。もう一つは、家庭教師としてやってきたT大4年生の誠也。

こに二人が、次第に真理子を変えてゆく。

英子は、しばしば倒れたり嘔吐する。そのたびに真理子は付き添うが、その「苦しみ」を共有したり伝えようとしないことに真理子は苛立つ。

しかし英子は「しあわせな人ね」と拒絶することにより、真理子は悩みはじめる。

また、誠也は学校の勉強よりも社会問題に関心をもつよう諭そうするが、真理子は抵抗する。

次の日、英子は登校したはずなのに学校には来ておらず、真理子は心配になり英子の家を訪ねる。

そこにいた「おばあちゃん」の姿(おそらく原爆被害を受けた人)をつい、真理子は見てしまう。

そのあと、真理子は病院に行って、はじめて英子が被爆者手帳を持っていることを知る。そこで英子の母親が語る。

「広島の舟入本町に住んでいて被爆したんです。…(中略)…それから5年目にあの子が生まれたとき…五体満足な子だとそれは…喜んだものでしたよ」(296ページ)

ようやく事態をのみこめた真理子。その日の晩には誠也がやってきて、和解とともに、奇妙な感情を抱きはじめる。

「篠崎さん(=英子)になにかすまないような気持ちをいだきながらわたしはじぶんが健康でこうして生きているということにおさえきれない喜びを感じていた」(306ページ)

そして誠也は真理子を大学祭に誘う。そこでは「原爆スライド上映」をするというのを聞いて真理子は動揺する。その理由を誠也に説明する真理子。

日にちが変わり、真理子は英子の病室に行く。身体が弱りはじめているにもかかわらず作品を仕上げようと努力する英子。

だが翌日、英子は還らぬ人となる。

そのあと、真理子は母親相手に戦争をはじめた日本について、疑問を投げかける。ところが母親は「親の苦労も知らないで…いったいどこでそんなつまらないことを…」(320ページ)と戦争責任を問うことに否定的である。

そんな親に絶望して真理子は家出をし誠也のところに行く。

しかし誠也は自分のいのちが短いことを予感し、真理子とは距離をとる。

しばらく月日が流れ、T大の誠也の同級生が訪ねてきて、原爆症で誠也が亡くなったことを伝える。

その後、真理子はT大学に入学し、募金活動を行っている。

「もう二度と…絶対に戦争はおこさせやしない。おこさせるものか! 絶対!! しかしそのためにわたしたちはなにをすればいいのだろう。なにをしなければならないのだろう!?」(336ページ)



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