観たDVD
White Light, Black Rain: The Destruction of Hiroshima and Nagasaki
ヒロシマナガサキ ~白い光黒い雨 あの夏の記憶~
スティーヴン・オカザキ:監督

Farallon Films(米):制作
2007年

ひとこと感想

こういう見方をすると制作者の方々には大変申し訳ないが、今回は、作品としてではなく、映像データ集、記録、として見させていただいた。特に、昨日とりあげた谷本清が出演したテレビ番組が見られたのがありがたかった。

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同封のパンフレットには、監督のメッセージが掲載されている。

「日本人の多くは、この物語を既に知っていると感じているかもしれません。しかし一般的には被爆者の話は日本のメディアによって単純化され、感傷的な体験にされてきたように私は思うのです。」

「単純化」「感傷的」というのは、わからないではない。

「メディア」とはシンプルかつエモーショナルに視聴者に訴えることが重要だからだ。

それは「ヒロシマ」「ナガサキ」にかぎらない。

「メディア」の宿命である。

とりわけ、まさしくこの作品のなかに含まれている、当時の
米バライエティ番組の映像もまた、「単純化」「感傷的」に「ヒロシマ」を伝えた、代表的なものであろう。

それは本作品の後半、谷本清が米バライエティ番組「This is your Life」に出演した時の模様である。

「再会」もの、の元祖みたいな番組である。

なんと、ナガサキに爆弾投下した飛行機のパイロットと谷本との「再会」、握手。

パイロットは神妙に「オーマイガッド」とそのとき思ったと述べる。

それを聞いて涙ぐむ谷本。

しかも、原爆乙女たちの治療のための寄付金の提供をする。

一方的にしゃべり盛り上げる司会者。

ただ、言われるがままにふるまう、谷本ら。

なんとも複雑な心境だ。

このときのことについて谷本自身は、著書で後にこのときの感想を書いている。

サタデーレビュー誌の編集長であるノーマン・カズンズがこの番組で谷本をとりあげるよう相談し実現したという。

しかし谷本はこの番組がどういうものか本気で知らなかったようで、恩師や友人、そして家族と実際にスタジオで再会し、驚き、また、涙する。

演出の是非はさておき、こうして、「原爆乙女」の治療にたいする募金運動が活発化し、その結果5万ドルが集まり。23,000通の手紙が届いたとのことだ(谷本清「広島原爆とアメリカ人」176-180ページ)

実際に集められた資金によって「原爆乙女」たちは渡米する。

しかし、一人の批判者があった。都築正男である。いや不正確だ。彼が言ったとされる批判的な内容が、新聞に掲載された。

1955年9月23日の朝日新聞に、都築の談話として、こう書かれたそうだ。

「原爆乙女の米国での治療は無理、今回限りにした方がよい。手術立会後都築博士語る。」(谷本、同書、199ページ)

ところが帰国後の都築の弁明では、そういうことを言った覚えはなく、米国での手術が必ずしも成功するとは限らないので、過剰な期待をするとよい結果が出なかった場合に日米友好に悪影響を及ぼす、というのが彼の言いたいことだったという。

しかしこの内容は、新聞には載っていない(谷本、同書、200-201ページ)

こうした経緯は、映像で見ることによって、より一層、生々しさがかもし出ている。

言葉だけでは味わえない、こうした表象、これこそが、「単純化」「感傷的」の利点でもある。

メディアすなわち表象は、両刃の剣なのだ。

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また、ほとんど最後のほうに、ライブでの近藤等則の「PIKADON 8.6.2005」が流れる。

近藤は、阪神淡路大震災についてもアルバムを制作している。

いずれも「破局」(カタストロフィー)を音で表現しているものだ。

こんなところに突然登場して、ちょっと驚いた。

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