2010-01-31 08:42:39

【懐かしのジャパニーズバンドシリーズ】 UP-BEATを再評価しないか?

テーマ:音楽
オレは10代の頃に狂ったようにバンドに傾倒していたため、同年代の人間と比べても充分にオタクと自称できるほど、メジャーどころからマイナーどころまで意味の分からない守備範囲の広さを持っている。

そのせいで隙あらば80年代~90年代のバンドについて暑苦しく語ってしまう悪いクセがあるのだが、今回もお約束のごとく暴発した。先に謝っておく。ごめんちゃい。


で、今日取り上げるバンドが何かと言うと、タイトルにあるようにUP-BEATである。


UP-BEAT 来歴
1981年に福岡県北九州市で結成。
1987年のシングル「KISS IN THE MOONLIGHT」がドラマ「同級生は13歳」の主題歌に採用されヒット、注目される。
1990年のシングル「Rainy Valentine」とベストアルバム「HAMMER MUSIC」を最後に、音楽性が異なっていったという理由から、東川(ギター)と水江(ベース)が脱退し、メンバーは3人になった。
1995年解散。

メンバー
広石武彦Vocal
岩永凡Guitar
東川真二Guitar※
水江慎一郎Bass※
嶋田祐一Drums

(※は脱退組)


このバンドは万人に通用する完璧な容姿を持った広石をフロントに置き、ご時世と言うべきなのかBOOWYのイメージを押し付けられる形で登場した。当時雨後の筍のごとく増殖していた、いわゆる 「BOOWY系バンド」 のハシリのような存在である。

当時はビジュアル系なんて言葉がなく、そういったバンドは「お化粧系・耽美系・髪立て系……」などと呼ばれていたのだが、UP-BEATも「髪立て系のビートロックバンド」といったカテゴリーに無理やりハメ込まれていた感がある。

そんなUP-BEATの看板といえば先に挙げた広石であり、彼の今でも平気で通用する反則気味のイケメンっぷりが、このバンドの人気を支える大きな要素だった。

しかし広石は単なる顔だけの人ではなく、ヤケに熱い男であり、ビジュアル重視のバンドかと思わせておいてメッセージ色の強い歌詞をぶつけて来たり、ライブのMCや雑誌インタビューで暑苦しく語り出したりする、なにかと厄介なアンちゃんだったのである。

だが厄介なのは広石に限った事ではなく、バンド全体としてもメンバー脱退劇のドサクサで突然スキャンダラスな内容の暴露本を発売してドキドキさせてみたりと、メインの楽曲以外でも (良くも悪くも) 色々な意味で楽しませてくれる存在だった。

今となっては残された音源や映像に触れる事しか出来ないため、どうしても広石のルックスばかりに目が行ってしまうと思うのだが、リアルタイムで追っていた人間からすると、このバンドの最大の魅力はその 「七転八倒ぶり」 にあったように思う。

彼らのメジャーシーンでの活動は、本人達の意向を一切無視される形でデビューが決められ、「お前らはお人形さんでいい」 とばかりに1stアルバムは全ての演奏をスタジオミュージシャンのものと差し替えられ、大人の都合でそれはそれは好き勝手にヤラれまくるという不幸から始まった。

このため広石は自分の外見に妙なコンプレックスを抱くようになり、音楽業界に対して強い不信感を持つちょっぴり自閉的なバンドとなってしまった。あれだけの美形ヴォーカルがいるんだからそれを存分に活かせばいいだけのように感じるが、スタートがあまりに酷すぎた彼らにとって、その武器すらある種の足かせのようになってしまっていたようなのだ。当時のインタビュー記事などを読み返してみると、発言内容がまさに苦悶といった感じで実に痛々しい……。

当時はバンドブームの始まり(正確に言うとBOOWYブーム真っ盛り)だったという背景があり、ロックバンドが 「ビジネスとして美味しい!」 と認識され始めた時期である。そのためUP-BEATは企業の金儲け主義の煽りをモロに受け、それがバンド全体のトラウマとなり、結局それを解散まで引きずり続ける事ととなってしまったのだ。

しかしそんな悶絶人生の中で彼らが生み出した楽曲は粒揃いで、今聞いても素直にカッコイイと思えるものも多く、もうちょっと評価されてもいいのではないかと思う。



「Once Again」
例えばこの広石の卑怯なルックスを存分に楽しめるPVは、モロにBOOWY路線を押し付けられている様が見えてしまって滑稽ではあるが、未だにこんな事をやっているメジャーバンド(特にビジュアル系)もいるのだからある種のテンプレである。

考えてみると、BOOWY以降のBOOWYインスパイア(笑)系のバンドは、BOOWY自体を真似ているのではなく、BOOWYのイメージを押し付けられた初期UP-BEATを真似しているだけのようにも思えてしまう。



「KISS IN THE MOONLIGHT」
広石はお世辞にも歌が上手いとは言えず、声が若干こもった感じで声域も狭い。それがヴォーカリストとして致命的で、表現力の乏しさに繋がってしまっていたのだ。

しかしこの曲はそんな広石兄さんの欠点をフォローし、どこか頼りなげで母性を刺激される魅力的な仕上がりになっている。



「Dear Venus」
これは初期UP-BEATの代表曲で、彼らの全楽曲の中でも1,2を争う人気のナンバーだ。この疾走感は少し音色を変えるだけで今でも通用しそう。

しかしこの曲のイメージが強すぎたためか、ますます 「ビートロック系」 という今では死語になってしまったカテゴリーに押し込まれる要因になってしまったように思う。



「Rainy Valentine」
オレが個人的に大好きなのがこの曲。酒の入ったグラスを片手にゆらゆらしたくなるようなノリがたまらない。この曲も広石の声にあっていて、聞いていて気持ちイイ。



「Blind Age」
「Time Bomb」
※広石とシャケの対談付き
Blind Ageの歌詞

もしかしたらUP-BEATファンの中で最も人気があるのはこの「Blind Age」かもしれない。とにかくジェネレーションソングとして完成度が高く、この当時の若者(オレの世代)が抱えてた 「自分の居場所がわからない」 とか 「世の中がえらいスピードで回ってしまって置いてきぼりをくらう」 とか 「自分の存在に気付いてもらえない」 といったモヤモヤのニュアンスを上手く伝えてくれている。



……と、こうして久々に動画を見てみると、UP-BEATってのは本気で勿体無かったバンドなんだと再認識した。

もしデビューがあんな酷い形でなかったら、もしメンバーが極度の人間不信・業界不信にならずに済んだなら、もっと上手く彼らの魅力を引き出せるスタッフと巡り合えたんじゃないかと思えてならない。

特に広石はヴォーカリストとしての完成度が中途半端で、見ていてヤキモキさせられた。近くに彼が素直に話を聞ける相手、的確に助言できる相手、信頼できるスタッフがいれば、絶対にもっと高みに登れたはずなのだ。

なんというか、最初で悲惨な躓き方をしたがために自閉的になってしまったのがUP-BEATの最大の失敗だったように思う。

同じ時代のイケメンヴォーカリストで、歌唱力がイマイチで、バンドブームの中でゴロゴロ転がるハメになったという、ポジション的にすごく似ている存在にBUCK-TICKの櫻井敦司がいるのだが、あっちゃんと広石兄さんとを比べてみると、その違いがハッキリと見えてくるのだ。

あっちゃんの方は悩みながらも周囲の人間と持ちつ持たれつで続けて行く事で驚くほどの成長ぶりを見せ、独自の世界観や表現を身に付けて確固たるポジションを築き上げた。それに対して広石兄さんは悩み迷った挙句にいまひとつ評価を得られず終いだった。

この差がどこから来てしまったのか考えると、あの当時のバンド業界の失敗・汚点・恥部がよくわかるんじゃないかと思う。

企業やTV局や代理店の思惑で雁字搦めにされると、まともな表現者なんか生まれるわけがないという証明になってしまっているような気がするのである。

BOOWYはミュージシャンと裏方スタッフの共同作業という形で、バンドメンバーとスタッフがひとつのプロジェクトに関わる対等な立場の仲間として動けたからこそ、あそこまで大成功できたのだ。

しかしそれに続こうとした山師のような連中は金儲け自体に主眼を置いてしまっているから、「BOOWYみたいな事やれ!」 「いま●●が流行ってるからアレをやれ!」 とミュージシャン自身の意向を無視して押し付け、いくらでも取替がきくインスタントミュージシャンを大量に作り出しては潰して行くという風潮を作り出してしまった。

最近の話題で言うなら、「芸人の自主性を無視してスタッフが考えたネタやキャラを強制的に押し付ける」 という手法で一時的な人気は得たものの、あっという間に飽きられて番組自体が潰れる事になった "エンタの神様" にも通じる焼畑農業っぷりである。

音楽業界の話に戻すなら、例えば今も生き残って人気を維持しているビーイング系のミュージシャンがいるのか?という話だ。B'zだけは今でも元気だが、彼らはビーイングの中では珍しく自分達主導で活動できているから話が別だろう。あれだけ腐るほどいたアルファベット3文字か4文字の人たちは今何をしているんだろうか?

UP-BEATというバンドの軌跡を振り返ってみると、このような日本の音楽シーンの問題点が嫌でも浮かび上がってしまうのである。


UP-BEATとは、まるで日本の音楽業界の腐った体質やそれがもたらず悲劇を記録し、またその結末を予言するためだけに存在していたかのようなバンドである。

個人的に広石武彦を 「可能性を業界に潰された可哀想な人」 と言うしかない現状がとても悔しい。

コメント

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1 ■無題

最近、妙に涙腺が弱くて困る・・・
BOOWY、BUCK-TICK、UP-BEAT
大好きだった、青春時代だった
そして暗黒時代だった・・・

いつかKATZEもやってくれw

2 ■無題

あの頃、雨後の竹の子のように創刊された
雑誌類も味わい深いものがあるです。

3 ■懐かしい

中学・高校時代が思い出します。

ニューロィカとJ(s)wが好きだった気が・・・。

UP BEATはやっぱりボーカルの男前度合いが
際立っていたかと・・・。

4 ■無題

まさかおはらんちで、うぷ-BEAT!
ナーバスブレイクダウンって曲好きでした。

あの暑苦しさは、めんたいロックの流れですかねぇ。

5 ■自分、再評価真っ最中

高校生の時にファンクラブに入る程好きでした。あまりにイケメンだったがゆえに食わず嫌いでしたが、いざ曲を聴いたら…かっちょええ!
広石さんがDJをしていたNack5の番組も聴いてた~。選曲も新旧取り混ぜて、ナイスなものでした。すごいアンテナの持ち主です。

が、Weeds & Flowersを頂点とし、自分の情熱も冷めてしまいました。いつのまにやら彼らも解散…

UBにお熱だった時から20年近くが経ったころ。新型インフルでお熱になり、外出せず家で暇つぶしにYou Tube三昧。そういえばUBの映像はあるのか?とおっかなびっくり検索すると…

わー…やっぱ、かっちょええ!!
音源を処分してしまった自分を責めました。
(もちろん、iTunesにあるわけなく…紙ジャケ版,買い直しました)

今聴いても色あせない曲の良さにびっくりです。歌詞は、当時悩みなき高校生だった自分には、よく理解出来てなかったですが、今は赤ベコのようにうなづけます。

なんであまり評価されなかったのかな~
なんで思った程ブレイクしなかったんだろな~
と思っておりましたが、
C.I.Lさんのブログを拝見して、赤ベコ状態です。(ヴォーカルの不安定さ、気になってました)インディーズレーベルでも、あーだ、こーだ言ってくるトコはあるし。
現在、完全に自主制作な活動をしているっぽい広石さんですが、そういう経緯があってのことでしょうか。納得です。

長文、失礼しました。
自分の周りから地道に
UP-BEATをオススメしていきまーす。






6 ■当時中学生

広石クンを桜井クンみたいに
扱うのはムリがあると思ってた…

広石クンの顔はデカイ。

音楽は素敵だったのに

7 ■無題

正反対のベクトルのたま辺りも取り上げてみてほしいと思っちゃったりなんかしちゃったりして

8 ■無題

今回は動画がなかったので前期の曲ばっかになったけど、UP-BEATは後期のアルバムの方が完成度高いんだよね。

PleasurePleasureとかNAKEDとか、今聞き直してみるとちゃんと聞ける内容だったり。

微妙に広石兄さんの歌が上達してるんだよねw

後はアンプラグドブームの頃に出したa DAYというバラード縛りのアルバムもなかなか。

9 ■そういえば

2~3年前にやってたバンドでT4Rというバンドと対バンになったのですが、ヴォーカルが広石さんだったので驚きました。
さすがに歌もパフォーマンスもランク上な感じでしたが、キャパ200かそこらのハコで御一緒する羽目になろうとは思いませんでしたw

10 ■無題

なつかしいwwwwwwwwwwww

”ノーサイド・アクション”が好きでした。
偶に頭の中をよぎります。

11 ■無題

なつかしいっすね。
PRISONER OF LOVEがすきだったな~。
広石、シャケ、松岡の三人が若いw

12 ■無題

当時中学生でしたが
男前なのに暑苦しいこと語る人だなと
子供心に思ってました(そこが好きだったんですが)

個人的にはあの時代の不遇なバンドというと
レピッシュを一番に思い浮かべます。
もしお詳しければぜひ書いていただきたいですー。

13 ■無題

中野にUP-BEATのメンバーだった方がやってるバーが有りますよ?

お店の名前もマンマ
「Up-Beat」ですw

14 ■無題

>>halutaさん
でも悪の華以降のあっちゃんは完璧超人化したけれども、それ以前はステージングがぎこちないし、歌も下手だし、ルックスだけはピカピカ光ってるという感じだったからねえ。

そう考えると実はヴォーカリストとしては広石兄さんの方が上回ってた時期があるんだよ。

>>miさん
レピッシュとかアンジーとか、あの頃のいまひとつメジャーになり切れなかったバンドを語りたいよねえ!

>>lucky-yさん
広石兄さんがキャパ200程度のハウスかー。なんかそれも哀しいよなあ。

>>あつあげさん
おお、水江さんか!

15 ■無題

あっちゃんの場合は、
初期の危うさを(ボーカル的な意味でも)、
見事吊り橋効果で(B-TだからTightRope効果とでも言いましょうか)見事昇華させた気がしますね。
自分嫌いのナルシストの不器用さ加減が男ながら見守りたくなってしまいますよ。

16 ■懐かしいなぁ

久しぶりに「IMAGE」を聴いて「VANITY」のPV無いかなぁとウロウロしてたらここに来てしまいました。他にはグラスバレーとか千年コメッツ好きだったなぁ。懐かしかったです。ありがとうございます。

17 ■無題

UP-BEAT、佐久間正英さんとうまく行かなかったのかな。
佐久間さんはオレ的に音楽ゴッドなんだけど。

レピッシュは、2009年も現ちゃん追悼ライブ行って来た。今回は雪好来なかったけど。

シアターブルックも復活したし、2010年は音楽的にいい年になるといいな。

18 ■勉強になりました。

20年近く前のバンドブームの時は、まったく毛色の違う筋少などを追っかけていたのですが、NO SIDE ACTION に心持ってかれて、後にベスト盤を購入。他に同様のこと書いてる方いましたが、広石さんの完璧な容姿と、(今読めば、押しつけられた)バンドイメージに食指が動かず、その1曲食いにとどまっていました。
それからさらに十数年…。
何気なくひっぱりだしたCDを聴いて、完全にヤラレてしまいました。広石さん、いい声~~。すごく力のある、魅力的なバンドだったのだと、今更気づき、今毎日聴いています。
で、BIG THRILLを中古で買ってきいてるけど、これもまたイイ。
今現在の隠遁ぶりからも推察はしていましたが、デビュー当時に随分ひどい仕打ちにあっていたんですね。読んでて涙でました。背景がよくわかり、勉強になりました。

でも、もう、過去を払拭してほしい。
この声、バンドの才能を埋らせるには、惜し過ぎる。

UP-BEATに関しての新鮮な情報、乏しいですよね。やっとここにたどり着きました。
もっと評価されて、ぜひ、復活してほしい。
あまりにも広石さんが水面下に入りすぎて、ファンの方も支えきれないのでしょうかね。ファンの声がもっとまとまればいいのに…、と新参者は思います。

広石さんの最近の動画観て、ちょっとむくんでたけど、ぜひ心身絞って、表舞台に出てきてほしいよーーーーーーーーーーーー!
ライブ観たいよ。T4Rじゃなくてさ。UBの。
ホント、毎日、頭の中で鳴り響いてるんです。40代の主婦だけどさ、クラクラして聴いてます。

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