2009-06-15 13:21:25

【プロレスラー=超人】 という昭和プロレスの幻想を全否定した三沢光晴というヒト

テーマ:プロレス・格闘技
「ハッキリ言ってレスラーでも痛いもんは痛いよね。例えば素人に殴られて簡単にぶっ倒れるわけにはいかないけどさ、でも殴られりゃ誰でも痛くて当たり前じゃん?それに酒は好きでも瓶をラッパ飲みしたりしないし、牛一頭丸々食えるわけないしさ(笑) 力道山時代の昔のレスラーは超人でなきゃいけないって教えられて、無茶なハッタリをかましてたけど、俺はそういうの嫌なんだよ。俺は俺だし人間は人間なんだから、わけわかんない奇人変人パフォーマンスしても仕方ないじゃん。」

随分前に何かのプロレス本で読んだ三沢のインタビューに、こんなような話が載っていた。いい加減な記憶で書いているので細かい点は違うかもしれないが、だがこれが三沢光晴の基本的な物の考え方だったんじゃないかと思う。

【レスラー=超人】 という昭和のプロレス幻想を否定する。

ただしリングの上では "ヒトとして" 限界まで肉体を酷使してファンを楽しませる。

三沢のファイトスタイルというのは、ひとりの人間として 「ぶっちゃけ人間ってここまでやれるんだよね(笑)」 と語り掛けるものだったように思う。

三沢はアンドレのようにひとりでワインをケースごと空けたりしないし、飲食店で 「こっからここまで全部持って来い!」 とフードファイトしたりしないし、あくまで "どこにでもいるお兄ちゃん" として生活し、そんな等身大の姿(主にスケベオヤジっぷり) をファンに対して堂々と公開してきた。

一部(業界人・ファン) ではそれに対して 「プロレスラーは夢を売る商売なんだからファンタジーを守れ」 と非難の声が挙がったこともある。

しかし三沢は頑なに 「夢とハッタリって別物じゃん」 と自分の意志を貫き通し、ファンタジーの代わりに妥協のない限界一杯の試合を見せ続けた。三沢光晴という人は、徹底的なまでにリアリストだったのだ。

安易なファンタジーという名のハッタリ・嘘でファンを騙すのではなく、1試合ごとに自分の肉体と能力を 「これ以上はない!」 というところまで使い切って、その現実だけでファンに夢を与えたのである。

そんな三沢だから一昔前のレスラーのようなアジ、いわゆる 「テメーブッコロスゾ」 のようなリップサービスはしないし、不必要なマイクアピールも滅多にしなかった。「レスラーの仕事はリングで試合をすること」 とG馬場の教えを忠実に守り続けたのだ。

だからこそこの結末は悲しいなんてもんじゃない。

徹底して "身を削ったリアル" だけでファンを夢中にさせてくれてた三沢なのに、最後の最後に見せた "リアル" がバックドロップごときを受け損ねて死ぬなんてバッドエンドだなんて……。

でもこれはバッドエンドにしちゃいけないんだよな。このまま嘆き悲しんでるだけじゃバッドエンドで終了だけど、残った人間の頑張り次第では 「ハッピーエンドに到達する直前の悲劇」 に昇華できるんだもの。もう業界全体が一致団結してそれを目指すしかないだろ。三沢の死をマイナスで終わらせちゃダメだ。


<閑話休題>


なんか無闇に熱くなってしまいそうだったので少しクールダウン。ちょいとレスラーとしての三沢光晴から離れてみよう。

三沢光晴って人はレスラーとしてだけじゃなく、リーダーとしての気質にも優れていた。後輩や社員に無理難題を吹っかけたりせず、あくまで常識的な立ち振る舞いしかしなかった。だからこそ三沢の周囲には次々と人が寄ってきたのである。

ただそこは馬場流の後継者であるから、猪木系のレスラーと違って、一度筋を違えるような真似をした人間を許さない。それも三沢に言わせると 「だってそんなの許したらマジメにコツコツやってるヤツがバカみたいじゃん」 の一言で終わる。(ちなみにこれも馬場流)

三沢というレスラーは、当たり前のことを当たり前のようにやっていただけで、決して 「プロレスってのはこういうもんだからwww」 というような、プロレス業界でしか通用しない世間知らずなローカルルールを認めなかった。

「不義理をしたり契約違反をしたり妙な中抜きをしたりなんて世間一般では許されない。だから俺も許さない。」

こんな人物だからこそ、プロレス業界によくいる山師や業界ゴロの類との接触を避け、万が一仕事で組んだ相手がそういった連中だったと事後に発覚した場合は、「ビジネスパートナーとして信用できない」 と遠慮なく切り捨てていた。

「プロレスだからでは済まさず一般常識で考える。そうしなきゃプロレスなんて世間に通用しねえよ。」

未だにこれが理解出来ないプロレス業界人が多く、だからこそ信用を得られずスポンサーが付かなくなり、業界全体がここまでどん底に落ち込むことに繋がった。だが悲しいことに現時点で業界に巣食っている業界人や専門誌のライター、それにコアなプロレスファンの大多数は、あまりに幼稚な世間知らずのバカである。だから三沢の言い分がわからない。それどころか業界内で 「三沢は~~」 と悪評を撒き散らしたりする。

しかしそういった三沢に対する中傷を口にしていた人間を並べてみると、どいつもこいつも人間的に信用できない輩ばかりで、「単に三沢に相手にしてもらえなかったから私怨でツベコベ言ってるんだろ?」 と見透かせてしまうのである。

三沢は決して聖人君主ではなく、ダメなところもスケベオヤジなところも山ほどある。だが常に自然体で、常識という命綱を外さなかったから、何か問題が起きてもあまりダメージを受けなかった。どちらに理があるか比べるまでもないからだ。

今回のあまりに不幸すぎる事故は、プロレス業界から "良心・常識が失われた" という最悪の事態なのである。

これでノアが力を失ったからとその辺の "あっちこっちで訴訟騒ぎばかり起こしてるゴロツキ" らがでしゃばって来たりしたら、間違いなくプロレスは終わる。

しかし三沢に代わるような人材はいない。

常識的とか、良識派というだけでいいなら他にも何人かいるにはいるが、三沢ほどの求心力と影響力のある人間なんていやしない。

オレが知る限りレスラー兼経営者として信用出来そうな人間というと、まず高木三四郎。高木氏は元々有名な学生イベンターで、そっちの業界ではちょっとした伝説になっているような人間である。だが実に常識的で、イベンター出身だからアイデア豊富で、プロレス業界の外との繋がりも多く、また昔のプロレス業界によくいた "お山の大将" 的な独裁ぶりがない。高木氏は 「それをやると人間関係が壊れて組織が潰れる」 と理解している。

このように彼は今のプロレス業界に絶対に必要な人材ではあるのだが、残念ながら業界内のキャリアや実績が少なすぎる。三沢のように世界の名レスラー達と戦った経験があるわけじゃないし、何かコレ!という格闘技のバックボーンがあるわけでもない。ぶっちゃけ言うとレスラーとしてB~Cクラスの位置なのだ。

これが災いして業界内に 「高木君も最近調子いいみたいだけど所詮インディだからねwww」 と蔑んでいる連中が多いこと多いこと。(プロレス専門誌のDDTに対する見下し感はハンパじゃなかった)

そんな理由で高木三四郎じゃダメだということになると、もはや次は蝶野正洋くらいしか残ってない。だが常識家という点では絶対の信頼が置けるものの、蝶野は義理堅いあまり周囲の人間に気を遣いすぎるところがある。だから常に新日本プロレスを(しがらみごと) 中心に据えねばならず、出来ることの幅がどうしても小さくなってしまう。

この辺は 【そもそもインディで失う物がない=何でもやりゃいいじゃん】 と、自由なチャレンジが出来ている高木三四郎と大きく違うところだ。

いっそ蝶野をリーダーにして、その脇に参謀として三四郎を置いて、団体の垣根を越えて大きな組織が作れないもんかなあ。

"三沢がいない" という現実に危機感を感じられる業界人が増えてくれれば、起死回生の大改革が出来ると思うんだけど……。

三沢の死を無にするわけにはイカンのだから、せめて 「三沢の死によって目が覚めた!」 という流れに持って行きたいんだよなあ。単に損失ってだけじゃ、三沢だって死んでも死に切れないだろ。


■ □ ■ □ ■ □


と、ここまで書いたところでテッド・タナベレフェリーの訃報 が……。

あ、ああぁぁ……。

これはダメかも。

ちょっと流石に何も考えられない……。


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