できる!ゲームセンター※過去ログサルベージ
テーマ:ゲーム2003年12月13日
できる!ゲームセンター
皆さんは、数年ほど前に発売された、「できる!ゲームセンター」というゲームをご存知だろうか?
これは当時流行っていた、ファミレス、コンビニ、テーマパーク、学校などの経営を疑似体験できる、経営シミュレーションゲームの一つだ。
「できる!ゲームセンター」はその名の通り、ゲームセンターを経営するゲームなのだが、アーケードゲーム業界の歴史を"凄まじくリアルに"体験できるという、良くも悪くも強く思い出に残る作品だった。
私は何度かお話している通り、ゲームセンターで働いていた過去があり、それなりにゲーム業界の裏事情を知っていたりする。
そんな私にとって、この作品はまさにクリティカルヒット。 雑誌で記事を読んだ途端、近所のゲームショップに飛んで行き、何のためらいも無く新品で購入してしまったのだ。(普通は中古が出回るまで待つのに)
さて、ここからは若干攻略本風味で紹介していこう。
■ゲームの目的
システム自体は「ザ・コンビニ」タイプで、筐体と基盤、プライズマシン等を仕入れ、店内に効率よく配置していき、お客のインカムをかき集めていく事が目的。
またゲーム機以外にも、両替機やジュースの自動販売機、観葉植物や販促ポップ等も購入&配置できる。 これらを組み合わせて、自分なりのゲームセンターを作り上げよう。
ただし、月末には電気代や人件費などの支払いが待っているので、維持費には注意が必要だ。支払いを考えていなくてあっさり倒産、なんていうお寒い結末にならないように。
※用語集
・筐体=例えるなら、ファミコンやPSなどの、ゲームハードだと思って下さい。
・基盤=筐体がハードなら、基盤はソフト。
・プライズマシン=この場合、UFOキャッチャーやプリクラ、占いマシン等など。
・インカム=小銭、または日銭。お客さんが筐体に投入する、100円玉や50円玉。
■二つのモード
・シナリオモード
チュートリアルを兼ねた、短いシナリオがいくつも用意されている。 シナリオのクリア条件を満たせば、クリアとなり、次のシナリオに進める。
・経営モード
70年代後半から始まり、90年代後半までの20年間を、倒産する事なく運営し続ければクリア。
■様々な要素
・商品の人気
全ての商品は5段階評価で人気が決まっており、★から★★★★★で表される。これがまたシビア過ぎるほどインカム数に反映され、インカムが低いだけならまだしも、5つ星ゲームが無い店だと、客足まで遠のいてしまうのだ。
基本的にどのゲームも、発売当初に最大の人気を持っており、時間が経つにつれて、面白いように下がっていく。この人気の下がり方は、各商品ごとに設定されており、テトリスのような息の長い商品と、凡百の格闘ゲームのような、一瞬だけ光って終わるゲームとの差が、見事に表現されている。
・謎の業界向け雑誌
毎月更新されるこの業界向け雑誌を読み、流行を先読みし、今後ブレイクするであろうゲーム(ジャンル)を見定め、それに見合った基盤を導入していく事が基本となる。 元ネタはコインジャーナル(※1)か?
・新作の発売
月ごとに新作が発売される。前述した通り、どんな作品も発売当初は高い人気を誇っている。という事は、逆に言えば発売後すぐに仕入れないと、チャンスロスになるという事。月の変わり目に、どれだけお金を残しておけるかが鍵となる。
・微妙な名前のゲーム達
さすがに実名までは無理だったらしく、なんとも微妙なタイトルに修正されている。(例:スペースインベーダー=インバーダーなど)
が、知ってる人間からしてみれば、一発で解るような名前なので問題ない。
※用語集
コインジャーナル=ゲーセン経営者向けに発行されていた業界誌。基本的にお堅い雑誌だが、読んでみると結構面白い。
■年代別の特性
・70年代後半~80年代前半
ゲームは70年代後半、いわゆる"インベーダー以前"から始まる。この頃は"TVゲーム"という物自体が珍しく、基本的に何を仕入れてもそこそこ売上が上がる。
そして、訪れる伝説のインベーダー襲来。日本全国に雨後の筍のごとく乱立したゲーセンブーム(インベーダーハウスブーム)をリアルに体験できます。
経営モードであれば、この頃にどれだけ資産を残せるかが後々重要になってくるので、序盤とはいえ気を抜かないように。多少無理をしてでもテーブル筐体とインバーダーを買い漁り、絞り取れるだけ絞り取りましょう。
そして次々発売される夢の結晶のようなゲーム達・・・。 今でこそ大企業と言われるゲームメーカーも、この頃からの積み重ねで大きくなったんだなあと、再認識させられます。
一言で言うならば、至福の時。
※用語集
テーブル筐体=昔、喫茶店などに置いてあった、まさにテーブルの形をした筐体。お母さんのお財布からお金を盗み、近所の喫茶店でコーヒー&トースト250 円というセットを注文し、ドンキーコングやらスペースインベーダーやらゼビウスやらを何時間もやり続けたことを思い出します。(喫茶店には怖いお兄さん達がいなかったんだもん)
・80年代中盤~90年代前半
懐かしのテーブル筐体から、SEGAのアストロシティに代表される、アップライト筐体に移行する時期。"筐体自体にも人気が設定されている"ので、人気の無くなった基盤を、人気の高い筐体にぶっ込んで、無理矢理インカムを落とさせるという技も可能。
一つ注意しなければならないのが、筐体を切り替えていくには、膨大な経費がかかるという事。だが、チャンスロスを無くすためにも、アップライト筐体の発売と同時にテーブル筐体を全部売りさばき、総入れ替えするくらいの意気込みが欲しい。
また、この時期は様々なジャンルの基盤が発売されるので、どれを導入するかで本気で悩む。売れ線と死に筋を冷静に見極めていこう。
そして始まる対戦ゲームブーム(というかスト2ブーム)。
当時はまさかこれが終焉への第一歩だとは、誰も気付かなかった・・・。
※用語集
・アップライト筐体=今、巷に出回っているゲーム筐体はほとんどがコレ。SEGAのアストロシティは神。エアロシティは無かった事に。
・90年代中盤~90年代後半
この頃になると、息の長いタイトルはほんのわずか。殆どの基盤が、発売後1ヶ月もするとゴミ同然に成り果てます。そのくせ基盤や筐体の値段は跳ね上がり、100円でどうやって取り返していけばいいのか皆目見当がつきません。特に注意しなければいけないのが、対戦ゲームブーム。色々基盤は発売されるのですが、どれも息が短く、人気が高いからといって大量に仕入れたり、対戦ゲーム専用の筐体をボンボン導入したりすると、基盤を売りさばいても大赤字という、大変悲惨な展開が待っています。
後述しますが、この"基盤を売りさばく"ことこそ、このゲームの肝ですのでお忘れなく。
はっきり言って、この後半戦を乗り切るには、かなり思い切った改革が必要となるでしょう。この時期だけ、異様に難易度が高いです。まあ、現実世界でもそうだったんだけどね(はぁと)
※用語集
・対戦ゲーム専用筐体=何の事は無い、SEGAのVSシティのこと。粗大ゴミ。(同意語にSEGAブラストシティがある)
■総合攻略
・前半(対戦ゲームブーム以前)
この頃は、新しいゲームを発売後すぐに仕入れ、人気の高い筐体に入れておくだけで、面白いように儲かります。このゲームの中で、最も自由度が高く、難易度の低い時期です。
ただし、注意したいのがレースゲームなどの大型筐体。テーブル筐体やアップライト筐体と違い、ソフトを入れ替えるという事が出来ませんので、よくよく考えて仕入れてください。(高価なうえに、人気が下がったら中身を入れ替えればいいや~という使い方が出来ない)
場所を取るだけで、全然儲からなかったなどという事にならないように。
・後半(対戦ゲームブーム以後)
次々と発売される対戦ゲーム。しかし、そのどれもが高価で、効率よく儲けるのは至難の業です。
しかも間の悪い事に、この時期はアストロシティ(アップライト筐体)からブラストシティ(これもアップライト筐体で、アストロの後継機)へ切り替わる時期で、アストロシティの人気が急落。人気ゲームを入れても、客に見向きもしてもらえません。
という事は、ただでさえ元を取れるか怪しい高価な基盤を買い揃えつつ、さらに高価なブラスト筐体も大量に買わなければいけないという、踏んだり蹴ったりな目に遭わされます。
もう一つ言うならば、殆どの対戦ゲームが短命で、1ヶ月もすると人気が奈落の底に落ちるが如く急落していきます。当時、日本中のゲーセンを恐怖の渦に叩き込んだ「バブル崩壊コンボ」を、嫌というほどご家庭で体験できます。
※バブル崩壊コンボ
基盤が高い→すぐに見向きもされなくなる→インカムで元を取れない→基盤を売った金で、なんとかトントンに→すぐに新作発売→仕方なく購入→またもや人気が急落…。
このコンボにハマってしまうと、真綿で首を締められるかのように経営が悪化していき、終いには夜逃げ確定という、最悪の結末が待ち構えています。とりあえず金になる物(大型筐体など)から売り捌いていき、なんとか倒産を回避しましょう。
このゲームでは、筐体や基盤を売った金というのがバカになりません。月末の人件費の支払いのために、泣く泣くバーチャロンを売り、バーチャファイターを売り、なけなしの金をかき集めて買ったブラストシティを売り…すみません、昔を思い出して涙が止まりません。
こんな具合に現実世界でも魔のコンボにハマって倒産したゲーセンがいくつもあったんですが、このゲームでも普通にやっていたら実に回避困難で、ビギナーはこの年代で投げてしまう恐れがあります。
この悪夢のような輪廻を断ち切るには、ズバリ言いましょう。
『TVゲームを捨てろ』
これに尽きます。
「ゲーセンと言えばTVゲームが置いてある店の事だろ!」 という声が挙がるかもしれませんが、まずは日々のお米を食べる事が先決です。ポリシーやプライドではお腹一杯にはなれません。
この時期で注目すべき筐体は何と言ってもSEGAの『UFOキャッチャー様』で、その神通力を味わったらもう二度と"様付け"でしか呼べなくなるでしょう。
この時期に突入したら、まずTVゲームは新作の格闘ゲーム2枚程度と、息の長い人気を持つ「麻雀」「パズル」を各一枚ずつ。あとは言い訳程度に「アクション」「シューティング」などを一枚ずつ。これらを入れる為のアップライト筐体を数台だけ残し、後は全部売り捌きましょう。
そうして作ったお金で、とにかく置けるだけUFOキャッチャーを置きます。入り口から一番近い所、一番インカムの上がる場所にUFOキャッチャーをこれでもかと並べ、金にならないTVゲームなぞは、奥の壁際にでも追いやってしまいましょう。客の回転は悪いしインカムは上がらないしで目障りです。
UFOキャッチャーの一番の強みは、何と言っても価格設定の幅が広いことで、1プレイ300円設定でも、難易度をEasyに設定しておけば、客の不満は高まりません。
「難易度をEasyに!価格は高く!」
それが基本です。間違っても100円で遊ばせてはいけません。1プレイ300円の経営スタンスを、意地でも貫いてください。
そして何とか経営が軌道に乗り始めた頃、遂に「プリクラ神」が降臨なさいます。ここまで来ればクリアは目前。TVゲーム用の筐体なぞ、3台もあれば十分です。古い筐体、基盤なぞはボンボン売り払い、UFOキャッチャー様とプリクラ公をこれでもかと並べ、おしゃれで清潔なアミューズメントスポットのふりをしましょう。
お金に余裕が出てきても、TVゲームは絶対に深追いしないように。プライズマシン専門店にしてしまってもいいくらいです。
と、ゲームの攻略法を書いてたつもりが、いつの間にか酷く生々しい話になって来たんですが・・・
この「できる!ゲームセンター」というゲームは、十年前のゲーセン業界を知っている人間にとっては、涙なしでは遊べないゲームです。(特に90年代後半の破滅コンボ開始辺りからがヤバイ)
ところで、ここまでリアルにゲーセン史を再現した人間は一体誰なんでしょうか? 間違いなく、90年代後半のゲーセン業界で苦汁を飲まされた人間に違いないと読んでいるのですが・・・。
という訳で、ゲーセンの歴史に興味のある方、当時を憶えている方におすすめなこの1本。今では中古で安く出回っていますので、探してみてください。
それはそうと、最初にこのゲームは経営シミュレーションだと言いましたが、あれは誤りでした。これって実はカノンにも負けないほどの「泣きゲー」です。
その点をよくお考えになってから、購入して下さい。







