『太市』

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水上勉さんの短編。
子供たちの間で女郎蜘蛛を飼って戦わせるのが流行るんだけど、あるとき友達のお母さんに「うちにも遊びにきてやって」と言われるんです。
そこんちの子は、川に落ちて障害を負って、もう外に出ることもできない太市くんという男の子。最後に遊んでから何年ぶりかで、みんなで会いに行くんですね。
いろんなことを我慢し、知らないうちにすっかり大人びてしまった太市の、それでも大人になりきれずにみんなと遊びたくて、不自由な体で女郎蜘蛛をたくさんたくさん、ひとりの暗い部屋でそだてている心の内を思うと泣ける。
私が子供の頃に読んでたら、主人公の恐怖のほうに寄り添ってたと思うけど、今はその母親の気持ちに近いところにいる。
あと50年ぐらいして、死ぬ間際に読み返したら、今度は太市に飼われた女郎蜘蛛の気持ちになったりすんのかな。
 
 
魂がふるえるとき―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)
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