有りがたうさん

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清水宏という昭和の大監督がいてつい最近DVDボックスが出た。『有りがたうさん』『簪』『按摩と女』に特典ディスク付き。

上原謙がすれ違う人々にひたすら「ありがとー」と声をかけ続ける奇特なバスの運転手を演じる面白い映画があると鉄割アルバトロスケットの打ち上げで出会った石井さんというCMディレクターに教えてもらった。そしたらDVDが出たのでアマゾンで買って観てみると、これがおもろい。

道を開けてくれる人たちにとにかく「ありがとー」「ありがとー」と言い続ける上原謙とわけありげな乗客。実際に上原謙にバスを運転させての全編ロケ。伊豆下田から三島までの乗り合いバスの車窓には昭和11年の景色が見事に映っていて、生活苦で売られていく少女とか道路工事に従事する朝鮮の若い女性とか、時代がしっかり映っている。

ヌーベルバーグ以前のヌーベルバーグといわれているそうで、ヨーロッパでヌーベルバーグが騒がれる30年も前にセットじゃなくてロケにこだわったり、台本より即興を重視したりとか、実際にそうらしいけど、でもそんな技法うんぬんより、わけありげな乗客役の女優がたばこをすう姿の美しさとか上原謙のかっこよさとか今観ても古く感じさせないパワーがある。あのときあの場所でしか映せないものがしっかり映っているんだと思う。

清水宏という監督は静岡の生まれで、松竹で小津安二郎の親友だったそうだが一般にはあまり知られていない。小津安二郎と年が一緒なので生誕記念モノ特集では小津にかなわない。でも最近『按摩と女』がスマップ主演で『徳市の恋』としてリメイクされるというので、あろうことかスマスマで清水宏の特集をやっていた。カタチはどうあれ再評価されてほしい。

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マット・デイモン

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『ボーン・アルティメイタム』のジャパンプレミア、マット・デイモンの記者会見へ。

ハリウッド俳優のいやらしいオーラはまったくなく「役柄は最強の殺し屋だが、私生活で怖いものは?」と聞かれ「自分がいない間に何か家族に危険が及ぶことが怖い」と言ったり、ストレス解消法は娘と遊ぶことだと答えたり、史上最強の殺人マシーン役の男はとても家族思いのいい人だった。


マット

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どう捉えるか

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山形国際ドキュメンタリー映画祭に去年作った番組を出品しましたが落選。審査委員長の蓮實重彦は最近の映画についてテレビ的な文法でつくられていることを嘆き、映画とは「世界をどう見せるかではなく世界をどう捉えるかだ」と言っていたらしい。反省。

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映画館とは

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舞台挨拶


「2時間ほど携帯を切って、忙しい日常の中で堂々と立ち止まっていいんだよという暗闇が映画館。映画館を出たらその映画に照らして自分のことを話したくなるなるような映画、会うだけで元気になる仲のいい友達のような映画を志しています」と矢崎仁司監督はインタビューで答えてくれました。

写真は右端から矢崎監督、主演の池脇千鶴さん・中越典子さん・中村優子さん。


あさって28日から甲府で封切られる『ストロベリーショートケイクス』。

暗闇で自分のことを考えてしまう映画です。

一緒に試写したアナウンサーはその晩、自分が妊娠した夢を見たそうです。

確かに映画では登場人物の一人が妊娠しますがそれほど映画と自分のことをシンクロさせてしまう映画かもしれません。

痛々しいほど前向きに進み続ける女性たちに比べ、どうしようもない男たちが出てくるわけですが、どれも思わず胸に手を当ててしまう…。


矢崎監督のインタビューは27日深夜1時30分からYBS山梨放送テレビ「暗闇で逢いましょう」で放送します。よろしければぜひ。

ストロベリー  

23日から渋谷のシネアミューズで公開された映画「ストロベリーショートケイクス」。

http://www.strawberryshortcakes.net/

ほんの1シーンだけだが撮影を手伝った。

主演の池脇千鶴が母の元を訪ね家庭菜園を手伝う場面。

池脇さんに耕運機の扱い方を指導しました…。

手伝ったから言うわけではありませんが、今年公開された映画の中では一番人間を描いていた。

「今」が映っていた。

4人の女性の生き様を描いているので公式HPも割と女性向け映画風に紹介しているけど、

この映画は男こそ観るべき。いかに今の男が女性ときちっと向き合っていないかがよく分かる。

残念ながら全国一斉ロードショーでない。

一斉公開できる配給網を持つ会社ではないので今後順次全国で公開される。


ここ数年ヒット映画といえばテレビ局とのタイアップものばかり。

内容、出来不出来に関わらずCMが大量オンエアされ、

自局の情報番組で製作発表段階から絶えず情報が流される。

それだけ宣伝されたら観てなくても観たような感覚になる。

「踊る大走査線」「セカチュー」で東宝が完成させたテレビ主導型映画。

おかげで確かに斜陽といわれ続けた邦画は復活した。

でも反対に地味だけど質が高いと言われるような映画は地方の映画館ではまったくかからない。

都会でもそういう傾向かもしれない。

今週の「AERA」に、成功している東宝の映画戦略についてのリポートが載っていた。

松竹・東映を大きく引き離して一人勝ちが続く東宝。なぜ東宝ばかりが儲かるのか。

それは映画を作らないで大きくなった東宝の戦略勝ち…というような内容。

「ゴールデンタイムのテレビドラマのような分かりやすい感動を基準」(東宝のお偉いさんの言葉)に企画を選び、

フジ(東宝が大株主)などテレビ局が作って大量に宣伝する。

そりゃヒットするでしょ。

そんな特集が載っていた号の「AERA」の映画紹介は「ストロベリーショートケイクス」だった。

偶然だろうけど。

なんか東宝に文句ばかり言っているみたいになってしまったけど。

うらやましいんですよたぶん。

映画界というか映像の世界で働きたくて今から12年ほど前、

東宝から内定もらったんだけど行かなかった自分。

あの頃って東宝といえばゴジラとドラえもん。

ほんと映画作っていなかったもんな~。

でも未練があってどうしようか悩んでいるときに絶対行くべきでないって反対したのが

「ストロベリーショートケイクス」の矢崎仁司監督だったわけで。

おかげで田中泯さんを撮れたり、好きなもの撮らせてもらっているし、ま、いいか。

うらやましいけど後悔はない。

っつーか「ストロベリーショートケイクス」観てください。 損はしません。

関係ないけど主演の池脇さんは来年の大河ドラマ「風林火山」の武田信玄の正室・三条夫人役に決まったそうで

なんか縁を感じる…。

池脇