雪。
チラチラと舞い降る雪。
見るからに寒そうな景色の中に、仲間と共に駆け出した。
前日の状況は、20メーター以上の暴風。
波も高く、釣りは難しかった。
そんな中、風裏を見つけてはキャストをする。
普通の人間では、キャストどころか立つことさえままならないだろう風と波。
落ちれば即死。
常に゛死゛を覚悟して竿を振る。
だが、そこまでしても反応を得られない。
そんな時は深追いはせず、グラスを傾ける。
予報では、徐々に収まるが、それは無理だろうと何処かで思っていた。
私を誰だと思っている。
「日本一、遠回りな漢。」
大荒れか、ベタ凪ぎ。
渇水か、増水。
晴天、大雨、雷。
すべてをマイナスへ運ぶ漢だ。
そして朝。
まさに荒れ過ぎ。
私らしい。
眼下に広がるサラシはキャスト範囲を優に越えている。
一瞬の判断ミスが命を脅かす。
そんな中、果敢に食ってきた奴がいた。
75センチのワラサ。
この時は、コイツが最大で太い奴だと思い込んでいた。
そして私でも獲れると勘違いしていた。
ベイトに付いている奴は青物。
沖に投げれば、すぐ掛かる。
平均は50クラス。
そして、ハイアピールや速い見せ方は、特に掛かりやすく、鱸を狙う私は必然的にスロー一本になった。
続く。