セカンドビギナーのゆるラン日記

40代はそれなりに記録をめざし、ウルトラマラソンをめざし、走っていました。しかし還暦近くなると、体のあちこちが痛くなり無理が効きません。そこで走る目標を変えて、ゆるゆると走ることにしました。そんなゆるランの様子を書いていきます。   by Ogaman(おがまん)


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(4)寒さに震えて表彰式を待つ

 最後、ゴールが近づいてくると応援の人も増えるはずです。正義のヒーローとしては、そこで情けない姿を見せるわけにはいきません。余力を残しておかねばなりません。

 とはいえ、市街地が近づくにつれて沿道には応援の人の姿も見えるようになってきました。そんな応援の人やスタッフの皆さんにも情けない姿を見せるわけにいきません。声援には返事をしながら、しっかりと走り続けます。

「カッコいいよ~」

「ありがとう~」

 素顔で走ってカッコいいなどと言われたことはありませんが、この姿だとたまに言われることがあります。たまにはこの姿で走るのもいいものだな、と思ってしまいました。

 しかしここにきてとうとう雨が降り出しました。ポツポツと降り出した雨は、アスファルトに跡を残します。早くゴールしてしまいたいという思いにも駆られますが、無理なスパートをするわけにもいきません。イーブンペースを心がけて走ります。

 ラップは5分14秒、5分13秒と悪くないペースで走れていました。残り1キロという表示を見ると俄然元気が出てきます。

 とはいえ無理なスパートは危険です。競技場に入ってから調子に乗ってスパートしないようにと、自分に言い聞かせます。

 労働者福祉センターの横を通り、交差点を右折するとまもなく陸上競技場です。ところがここ、最後の上り坂となっています。さきほどの激坂と比べたら勾配も緩く距離も短いのですが、精神的には応える坂です。

 その坂を越えて競技場に入ると残りは300メートルです。あとはしっかりとゴールまで走りきるのみです。

 でも……スパートをするつもりはないのですが、10メートルほど前にランナーがいるとついつい追いかけたくなります。ここまではほとんど等間隔できたのに、競技場に入ってからなぜかその間が詰まってきました。

 いや、けっしてスパートしているわけじゃない!たまたま近づいてきただけだ。自分にそう言い訳しながらそのまま抜きました。

 3コーナーから4コーナーを回ります。また10メートルほど前にランナーが一人います。いやいや、スパートはしない……スパートは……最後の直線に入ると、我慢できずしてしまいました。そのランナーを抜くとそのままの勢いで両手を広げてゴールです。ヒーローらしくゴールできたでしょうか。

 最後の1キロは4分24秒というラップを刻んでいましたが、さすがにそこまで速くないはずです。アプリは9.9キロを切る距離を示していましたから、距離は100~200メートルほど短かったのでしょう。それでも5分は切っていたと思います。54分23秒というタイムはコスプレランとしては上出来のタイムです。

 ICタグを外してもらい、水を受け取ると、係員の方が待ち受けていました。

「すみません、コスプレの特別賞で表彰したいので、表彰式まで残っていただけますか」

 狙い通りです。しかし正義のヒーローはそのことは表情に出さず(マスクの下では思いっきり出ていたと思います)、

「わかりました、ありがとうございます」

 と答えました。しかしスーツの下はウェアが濡れているため立ち止まると寒さが身に応えます。

「着替えてきてもいいですか?」

 そう聞いたとたん、係員の方は固まりました。その瞬間、私は彼の意図を汲み取りました。

「あ、お好きになさってかまいませんが……」

「いえいえ、わかりました。このまま待機します」

 めったにいただくことのない賞を貰えるというのですから、そのくらいの我慢はしましょう。いつの間にかまた雨は上がっており、私はスタンドに腰を下ろし、水を飲みながら待つことにしました。

「すみません、一緒に写真を撮らせてもらっていいですか」

 小さなお子さんを二人連れたお父さんがやってきました。もちろんヒーローは喜んで一緒に撮ってもらいます。これも素顔では絶対にありえない出来事です。

 表彰式も種目別に行われており、そのうち回ってくるだろうと思っていました。しかしこの表彰式、意外と時間がかかります。寒空の下で30分ほど待ちましたが、やっと5キロの部が終わったのみです。まだ10キロの部は男女各3組があり、ここまでのペースを考えると時間がかかりそうです。そろそろ寒さが限界となってきました。

 係員の方に確認すると特別賞の表彰までは15分程度かかるだろうとのことです。私は断りを入れてその間に着替えることにしました。

 労働者福祉センターに行くと、更衣室にもうランナーの姿も荷物もありません。係員の方が後片付けの準備をしているようです。このタイミングで戻ってきたのは正解でした。

 Tシャツとタイツとパンツと、黄色いスーツの下で濡れているものはすべて着替えました。そしてその上に再び黄色いスーツをまとい、その上からジャージを着ます。マスクはジャージのポケットに入れ、これでもう私が正義のヒーローであることは誰もわかりません。きっちり15分後に、表彰式会場に戻ります。

 会場では10キロ女子の表彰が始まったところでした。まだまだ時間はかかりそうですが、乾いた下着に替えたのとジャージを着ているのとで先ほどまでよりは耐えられます。

 10キロ女子、団体と表彰は進み、最後に特別賞の表彰です。すでにほとんどのランナーは帰っており、大会のスタッフしか残っていない中での表彰式ですが、私は急いでジャージを脱いでマスクをつけました。周囲からは「早い!」という声がかかり、「ヒーローはいつでも出動できるようでなければなりません」と返します。

 特別賞は私の他に武者姿の若い女性ペアです。3人それぞれ表彰を受け、これにて大会はすべて終了しました。

特別賞

 その頃からまた雨がポツポツと降り出し、その後は本降りになっていきました。ここまで我慢してくれた雨のおかげもあって、終わってしまえばなかなか楽しい「黄色いやつの復活レース」となりました。

 さてこの黄色いやつ、またどこかで走る機会はあるのでしょうか……。(おわり)


(1)いちおう用意して
(2)防寒対策として着ることにして
(3)狙うと決めて愛想を振りまいて


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