新郷由起さんの『絶望老人』(宝島社)を読みました。

 

タイトルから想像する内容をはるかにしのぐ、読み応えのある本でした。

 

読みものとしても非常に面白い。

 

新郷さんの筆致の素晴らしさによるところが大きいと思います。

 

取材した高齢者たちとのやりとりや周囲の話から、高齢者それぞれの人と歴史が浮き彫りにされ、老後とは人の数だけ様々なのだ、との感を強くします。

 

9章からなる本書は、各章でタイトルを“代表”する3人の高齢者をルポで紹介、続いて筆者の解説が続きます。

 

大いに勉強になりました。

 

詳しい内容や感想はここでは割愛するとして、第8章の解説のある記述が気になりました。

 

それは、日本人が多く備えている気質に「不安気質」があるということ。

 

これは「情動認知行動療法研究所」所長の宗像恒次(むなかたつねつぐ)氏の言葉として紹介されています。

 

宗像氏の言葉は以下のとおり。

 

「不安や恐怖にさいなまれやすい傾向を持ち、ネガティブ思考を得意とする気質です。

 

『緊張しやすい・不安を感じやすい・慎重』を示す遺伝子(SS型)保有者率は、調査対象29カ国の中で日本が65.1%と最も高く、逆に一番低いのが南アフリカの10%。

 

また、『動じない、緊張しない、大胆』を示す遺伝子(LL型)では日本人がわずか3.2%しか持ち合わせないのに対し、たとえば米国人ではその10倍となる32.3%の保有者率がある。

 

物事をポジティブに受け止めて大胆に行動するよりは、日本人は何をしても不安に駆られ、マイナス方向にとらえがちな国民性があるのです。

 

ただし、『自閉気質』は別名『職人気質』ともいわれ、“モノづくり”に代表されるように一人で没頭してその道を究める職人芸を得意とする。

 

また、不安気質が高いからこそ、便利で安心できるモノやサービスを次々と生み出せる民族でもあるのです」

 

私が「一人で没頭」好きで、職人に憧れるのは、このSS型遺伝子のせいか、と思いました。

 

で、この発言が高齢者とどう関係があるのかと言えば、不安を唱える高齢者において、その筆頭に挙げられるのが「お金」。

 

年金も貯金も保険も“いくらあっても不安症”に陥る高齢者は多く、十分な暮らしをしていても大半が「この先が不安だ」と漏らし、なかには9000万円近い貯蓄があっても「先々安心できない」と貯蓄に励む92歳の単身女性もいるそうです。

 

「この先不安」の中には、「国は信用できない」という気持ちもあるのでしょうが、不安に駆られたときには、SS型遺伝子が暴れていると認識し、アメリカ人のように大胆になろう、くらいに思った方がいいかもしれません。

 

アメリカが見境なく戦争をしかけるのも、このLL型遺伝子なるもののしわざかもしれません。

 

この本は、お金よりも、身の丈にあった生きがいを見つけて生きるのが幸せ、とあらためて思うきっかけになりました。

 
 
 
 
 
 
 
 

 

AD