書籍執筆裏話③ 出版不能の窮地を救ってくれた、たった1冊の本
足りない・・・ 16,000字足りない・・・
今回の執筆で苦労した点の一つに、『文量』があります。
「プレゼンはシンプルに。簡潔に。」
とよく言われます。
私もこれには大賛成で、
書籍の内容もシンプル、簡潔にすることを強く意識していました。
ところが、ちょっと簡潔にしすぎてしまったようで、
最低70,000字は必要なところ、初稿では54,000字で収まってしまいました。
何事も加減が重要なようです。
出版社の担当者さんからも、
「ビジネス書として最低70,000字は必要ですので、 もっと書いて下さい。 」
と念を押されてしまいました。
「例え話などを過度に加えれば水増しもできるが、それは本書の主題にも反するし避けたい・・・」
この窮地を救ってくれたのは、 米Zappos社の『Wow Experience』 でした。
Wow Experience
Zappos社はネット通販の会社で、
「サービスを通じてWOW体験を届ける」
という事をコアバリューに掲げています。
私も昨年、Zappos社の全社ミーティングにお招きいただきプレゼンを行ったのですが、その際のおもてなしやサプライズの数々は、聞きしに勝る凄まじさでした。
>> 当時の様子はこちら
今回の執筆にあたり、そんなZappos社から受けた素敵すぎるおもてなし、そして『Wow Experience』を思い出し、
「そうだ、今回の書籍にも、 『Wow Experience』 を詰め込もう!」
と考えました。
本書『伝える力』における Wow Experience
本書が提供できる 『Wow Experience』 。
それは、
『TEDスピーカー本人だからこそ知り得る体験・知識』
なのかな、と考えました。
プレゼンテーションに関する本というのは、過去に何冊も出版されています。
数あるプレゼン本の中から本書を手にとって下さる方が、
本書に期待する内容とは何だろうか。
それはやはり、
『TEDスピーカー本人だからこそ知り得る体験・知識』
であろう、と思ったんです。
過去にTEDスピーカーとして登壇した日本人は二人います。
2007年にダンサーの蛯名健一さん
>> Kenichi Ebina | Profile on TED.com
そして2013年の私、BLACKです。
>> BLACK | Profile on TED.com
蛯名さんはダンスのみでの出演だったので、
スピーチを行ったのは私が初めてという事になります。
TEDスピーカーとしてのスピーチ経験や現地での様々な体験、
本場のTEDで何が通じたのか、通じなかったのか。
これは、web上の動画を視聴しているだけでは知り得ない情報であり、
読者の方が初めて知る驚きも少ないのではないか、そう考えました。
『本』 が持つ素敵な可能性
今回のヒントとなった、Zappos社のCEOトニー・シェイ氏の著書を購入したのは、
昨年出演依頼を頂戴した際に、
「お招きいただいたクライアント様のことをよく知りたい」
と思ったのが一番の理由でした。
顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
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しかしその本は結果として、
今回の執筆にあたり、とても大きな力となりました。
おかげさまで、当初は54,000字しか無かった文量も75,000字を越え、
無事、書籍としての出版が可能な状態となりました。
拙著の巻末にも少し書かせていただきましたが、
実は私のTED出演そのものも、ある書籍との出会いから始まったんです。
本というのは、その内容自体が読者の役に立つ事はもちろんですが、
上記のような、そこから派生する出会いにもつながる可能性のある、
知識と縁が詰まった物でもあるのではないかな、と思いました。
願わくば今回の私の著書も、
様々な形で読者の方の人生を豊かにすることが出来たら、
これほど嬉しいことはありません。
TEDスピーカーに学ぶ「伝える力」 魂を揺さぶるプレゼンテーション (角川フォレスタ)
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