前回述べたように、
小津監督は 「 映画の文法 」 を無視します。
それどころか、
「 現実世界の文法 」 さえ無視します。
『東京物語』(1953)の以下の場面で、
左の画像からほんの40秒後に、
頭上の窓ガラスが割れているのです。
それを見やすくするために、手ぬぐいも追加しました。
「 窓ガラスの割れ跡 」 が突然現れたり、
「手ぬぐい」が現れたりしていますね。
動画で確認してみましょう。
窓ガラスが割れていない場面から始まります。
出前が来た後の 44分53秒 あたりに、頭上の窓ガラスが割れています。
小津監督は、
映画への愛情が深いために、
「 和食の文法 」 や 「 映画の文法 」 に加え、
「 現実世界の文法 」 まで無視してしまうのです。