先日は、ある先生の音楽療法に参加しました。

先生は、加賀屋哲郎先生(亡くなられ、現在は宮本啓子先生が日本ミュージックケア協会を主宰)を師匠とし、母子関係を重視したセラピーを特徴としています。


実に感動的なセッションでした。


私は今まで、音楽療育は子どもの中にあるけどうまく表現できない思いを、楽器を使ったり、ダンスをしたりして表現させ、その子の主体性を引き出すことだと思っていました。


しかし、彼らが本当に困っているのは主体性を表現する以前の問題であり、そこにアプローチするのが先生のセッションでした。


子どもの発達には、外界の刺激を認知することが必要です。しかし外界には刺激が氾濫しており、必要な刺激の取捨選択は、他者を介して行われます。その他者とは信頼関係があることが前提であり、もっとも身近な他者である母親がその役割を担う事になります。


しかし障害のある子どもは、母親からの刺激を、氾濫する刺激から選べ出して認知することが苦手です。もしかしたら、我が子の独特な個性を理解できず、子育てがうまくいかないと感じている母親の気持ちが伝わっているからかもしれません。


先生の音楽療法は、まさにそうした母子関係に、ダイレクトに介入していると感じました。


子どもには、音楽に乗せて母親と体を触れ合わせて体を動かすことで、母親と一緒にいる事の心地よさや、母親に身をゆだねる事の安心感を感じてもらいます。


母親には、音楽に誘われながら、子どもと一緒にいる事で心が満ち足りると感じてもらったり、子どもが自分に身をゆだねる様を体感することで、我が子をいとおしいと思う感情を再認識をしてもらいます。


母親と信頼関係が構築され、母親から得られる刺激を認知することで他者や外界を認識し、そこから子どもは自分を認識することができます。ここまできて初めて主体的に自分から外界に働きかけようという思いが出てきます。(ここも、音楽療法の分野でしょう)


先生にお会いできたことで、私の療育の幅が大きく広がる可能性を感じました。先生から多くを学び、子どもたちに還元していきたいと思います。