第1回目から 欠かさず観ている
山内ケンジさまの演劇
城山羊の会『新しい歌』を 観て来ました。

チラシに書かれている 歌、
こちら
にも 書きましたとおり、
いままで 深浦加奈子さまを メインキャストに迎えてきた
山内さまから 加奈子さまへの 鎮魂歌
であり、
これからも芝居を創るよ、という 決意の歌だとも
受け止めていました。

実際のお芝居も ラスト、真っ暗な中で響く
「遠くで眠る あなたのために」
という 新しい歌は
やはり 亡くなった 加奈子さまへの
鎮魂歌なのだ、

というか このお芝居自体
役者さんが そういう気持ちで
でも 決して むやみに湿っぽくとか いうのではなく
山内さまの不思議な世界を ときに不安に ときに暗く ときにコミカルに 体現なさっていました。

なんだか ずうずうしい チェコの歌手、
いつも 工場の同僚・ミドリさんに SMチックに吊るされちゃう 太郎くん、
(工場にSMロープが常設されているとは・・・)

チェコの歌手の亭主 兼 マネジャーのスエナガは
「黒いワシ」の店長が 歌手に
「うちは 歌 だけじゃなく 踊ってもらわないと」
しまいには
「こんな 小さい店だから
脱いでもらわないと」

と 言われると

「オレが脱ぐ!」

と 有無をいわさず 脱ぎ、

店長に「それ以上 脱いだら
殺すぞ・・・」

と 言わしめ、

また、店長が 歌手に
お尻 まるだしの ぱっつんぱっつんの衣装を 着せようとして
歌手が
「ぱっつんぱっつんで入らない」
と言えば
店長は 性懲りもなく
「ぱっつんぱっつんで入らなくてもいいから オレだけに 見せて」

すると また スエナガが
「オレが着る!」
と、NODA・MAP『キル』も まっつぁおの迫力で
衣装を ぶんどり
店長が げんなり・・・、

そんな 脱ぎっぷり激しいスエナガは 店長に
「あんた 人 殺したことあるだろ」
と 決め付けて 言い放つのですが、

ミドリさんのことを 好きな 太郎くん(どM)が
ミドリさんの恋人・浜田を 殺して欲しいと
義兄である 店長に 頼みに行くと

店長が 義弟の 太郎くんに
「あいつ(スエナガ)に何か言われたのか、
会ったんだろ、
なあ、なあ・・・」

と おびえまくって、

そのあと、
浜田が 店に来て
店長が 太郎から預かった 薬品で 殺そう
と グラスに マジックで
浜田
と 書いて 浜田に 出してしまったときの うろたえよう!!
(限定のCD付き台本を購入したら それは 消し忘れ、だそうで
そのあとの 太郎と店長の 無言の言い合いも 台本にはちゃんと
せりふが載っていました)


その後 すったもんだあって
店長が 浜田に
「義弟から
『殺そうとして すみませんでした』
って どうしても 伝えてくれって・・・」

自分が現行犯のくせに 言える
へんなときだけの 肝の大きさ、


チェコの歌手が 店に 歌いに来なくなり
かわりに 歌手になりたがっていた ミドリさんが
「私、歌うわ」
と 言うと

店長が
「あ うちは 踊ってもらわなきゃ」
と 
いま ミドリさんの恋人を殺そうとしてたのに
っていうか 客が待ってた 歌手が 来ないのに 店長として 悪びれもせず
ミドリさんが 身内の客の前で 
ただ いま 1曲 歌うだけでも
「踊ってもらわなきゃ」

と おっしゃる その 神経(職業意識?)には
正直 おそれいり たてまつりました。

しかも このあと
「衣装、大事だから」
と あの お尻 まるだしの卑猥な衣装を 取りに行こうとする始末。

でも、ミドリさんは
「いやよ、着ないわよ」

山内さま作品の 真骨頂
美人な女性の 毅然とした「いやよ」
いただきました!

ああ、最後、
薬品を飲んで 誰か死ぬ とか 子どもが流れるとかじゃなくて
よかった・・・。


ちなみに ミドリさんこと 石橋けい様。
歌うときに めがねを 外すのですが
めがね萌えのわたくしとして 
めがねを外さないほうが 美人 だと 思います。

ああ、この 
どうしよもない 店長こと 三浦俊輔さま、
今後の 予定は
五反田団『俺の宇宙船、』
ブルースカイさま作・演出『この世界から消える魔球』だそうで
両方 三浦さまに要注目
です。
山内ケンジさま、青年団の山内健司さまと 同名なだけあって
あの辺りから いい役者 ピックアップしてきてますね!


さて 終演後は
深浦加奈子さまを偲んで
山内ケンジさまが 編集した
加奈子さまの舞台作品上映会が ありました。

第三エロチカを含む 川村毅さま作品の映像-ご主人さまの大好きな『ニッポン・ウォーズ』の映像や、
他の劇団、プロデュース公演、
そしてもちろん 遺作となった 山内ケンジさまの作品を
10分にまとめたものなのですが、

やはり 山内ケンジさまの演劇の
『葡萄と密会』での、
「ケンちゃんを返してください」
と 言われたあと 絶妙な間をおいて
「いやよ!」
と 毅然と言う 
わたくしが 最も好きな 加奈子さまも 含まれていました。
印象的だった
『若い夫のすてきな微笑み』の「ハッピーエンドよ・・・」
というシーンも・・・。


山内さまは 心から、という言葉では 言い表せないくらい
女優・深浦加奈子さまを 愛していた
んですね。

ご主人さまが 定期的に発表する
「ご主人さまの 日本3大カナコ」
(柳原可奈子さまがデビュー以降、4大カナコ)
でも、
いつも 深浦加奈子さまが
不動の 第一位でした。

加奈子さまが亡くなった日、
ご主人さまに それを知らせるメールが 来ていたそうで
わたくしもそれを 拝見し、

まさか こんな悪い冗談が 来るはずはないけど
病気だとは存じなかったし、
ネット等にも 出ていない、
だって半年前に舞台を観たのに なにかの間違いじゃないか
と、翌日も ずっと 信じられなくて

その後 加奈子さまの お父様が
TVで
「全力で天命をまっとうした。
真面目に演劇と向き合った」と おっしゃっていて

今 最も つらいであろうお父様が
「あの子は不幸だった
可愛そうに
何何が したかったろうに」
とは 言わずに
真正面に 賛美して
娘の 演劇に賭けた生き方を 決して汚さなかった、

その瞬間、生きている人へも 亡くなった方へも
その人の持っている幸せを 壊してはいけない、
と 強く 思いました。

同じように、
加奈子さまに愛された 山内ケンジさまの演劇も 
今でも 役者たちによって 幸せに演じられている、


その姿を 加奈子さまは
きっと、見届けたと思います。

会場もシアターiwatoということで
みんなの太陽だった 「座長」の加奈子さまが 覗きに来たと思いますから・・・。

●11月4日、おすすめ芝居更新しました
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