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2005-07-01 00:31:55

 会陰切開再考 1  初産の時の適切な会陰切開の率は?

テーマ:日常的つぶやき


最近、これに関する論文が多い。

この分野は未だに、科学、医学というよりアート的な領域である。

つまり、担当する医師、助産師の経験、考えによって、随分差が出るといえる。

でも。データを重視するべきなので、比較的信頼できる論文、発表(無作為抽出試験による研究)を取り上げると、


Dannecker  et al. Acta Obstet Gynecol Scand. 2004;83(4)’364-368

初産の会陰切開率は、児がこれ以上は胎児心拍数モニタリング上、もう待てないとか、早く娩出しなければいけないと判断した場合のみに施行した時、41%であった。それに対し、このまま自然に分娩したら大きく裂けそうであるからと判断した時にも会陰切開を入れると、なんと会陰切開率は77%に跳ね上がる。

では、会陰切開を入れなかった時に、何%の人は無傷なのであろうか?そう、切開を入れなくも、ある程度は裂けてしまうのは仕方ない。前者で29%は無傷、後者で約10%の人は無傷で済んでいる。

何を言いたいかというと、分娩担当者が、会陰切開を少し制限するつもりで分娩に望めば切開率を77%から41%に減少させることができる。また、無傷で済む率も10%から29%に上昇させることができたということである。

 ちなみに会陰切開を入れないと、分娩時間は約15分程度は延長してしまうことも事実であるので、胎児がこれ以上、陣痛に耐えられない場合、モニタリング上、低酸素状態の悪化を判断した時は、無理せずに会陰切開し速やかに分娩を終了させる必要があることも付け加えなければならない。


別の米国での発表では、会陰切開率は1979年に65.3%だったのに対し、2001年には29.2%にまで減少している。Weber et al. Obstet Gynecol 2002;100:1177-82

こういうトレンドがあることも我々産婦人科医は知っておくべきであろう。

 

 

 

コメント

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1 ■会陰切開

 かりに切開しないことで、無傷ですむ人が数十パーセント増えたとしても、その代償としてたった一例でも4度裂傷が起きたり、新生児に後遺症を残すようなことがあれば医師にとっても患者様にとっても大問題ですよね。会陰切開事体、悪いことではないし、きれいに治るし、あえて切開をためらうことはないと私は考えます。一度でも4度裂傷、膣直腸穿孔(膣から大便が出る。難治性)を経験された医師、患者様なら切開にためらうことはないでしょう。あと、むりに切開せず会陰を伸ばして、結果的に無傷ですんだ患者さまの、それ以降の会陰部の外見、性交渉の際の夫婦間の快感度なども統計を取ってほしいですね(無理に切開せず伸ばすと、あとで会陰部がぶよぶよ、ゆるゆる、見た目も膣壁が外にめくり帰った感じになります)。

2 ■りょんよん様

コメントありがとうございます。
3度、4度裂傷は、episiotomyによって
減少させることはできないとされています。最近の文献をお調べください。会陰部の外見、性交渉の際の夫婦間の快感度などより、尿失禁や便失禁の
統計の方が重要です。

3 ■無題

文献と経験は違いますからねー。文献って、「ホントに?」みたいな発表多いですからね。そのまま臨床に役立たないことも多いですよね。特に産科については「危険だ」という文献発表があったかと思えば今度は「やっぱり安全だ」と真反対の発表があってみたり。。VBACがいい例ですね。ちょっと前まで流行でなんでもかんでもVBAC。でも医療事故が立て続けに起きて今では「やっぱり帝王切開が安全」って言ってるし。。ただ、切開のタイミングが遅すぎる場合、切開しても4度裂傷を防げないかもしれませんね。しかも正中切開も肛門側にあえて方向付けするようなものですから危険です。早めに側切開することで、裂ける方向付けをするのが切開の目的だと思います。ねばってねばってもうだめになってから切開だと、もう膣壁もぼろぼろになっていていろんなところが裂けやすくなってることと思います。もちろん尿失禁や便失禁の統計も大事でしょうね。

4 ■続き

ではもし、「会陰切開せず、できるだけ会陰の伸びるのを待つ」の方針でいくとしましょう。 ほとんどの分娩で、児娩出の直前は胎児の心拍数が下がります。原因のほとんどは児頭の圧迫で起きるもので異常ではありません。でも胎児仮死の状態でも心拍数は下がります。しかも正常の下がり方と同じような下がり方をモニターで示す場合もあります(これ重要)。 仮に、医療側も患者様側にとっても避けたいことですが、結果的に生まれた赤ちゃんに後遺症が残ったとしましょう。もしそうなれば現在ではほぼ100パーセント医療訴訟になるでしょう。そのとき、おそらく医療側がつっこまれることは「児の心拍数が下がっているのにどうしてもう少し早く児を娩出しなかったのか?」です。その時です。もし会陰切開をしてなかったとしましょう。かならず、そこをつっこまれます。そのとき、どう言い返しましょう。。。「この児の心拍数の下がりは、胎児仮死ではありません。だから様子を見ていました。それに後遺症の原因はほかにもあるし。。」とでも言いますか?それでは裁判は負けます。今まで、「切開絶対やだーー」って言ってた患者様も、手のひら返したように「どうして切開してくれなかったんですか?できるだけしないって先生は言ったでしょ。でも危険な時は切るって言ったじゃないですか!!」と言い出すでしょう。そのできるだけというのが問題なんですよね。結局結果論。もし児が健康なら、「切開しなくてもよかったのに」だし、児に何かあれば「切開が遅い」となります。
 私も、個人的にはできれば会陰切開なしで無事に生まれて欲しいと思います。でも理想と現実は違います。また高齢出産が増えて来た現在、高齢の方ほど、会陰の伸びは悪くなるし、難産率も高くなります。やはり結果が求められる医療の立場としては、会陰切開はさけられないと思います。何十年も昔はもし赤ちゃんになにかあったとしても「先生もがんばってくださったんだ。命が助かっただけでも感謝しなきゃ。ありがとうございました」ですんでたかもしれませんが、今は悲しいかな、、医療側がどんなに患者様のことを考えてした結果でもその結果が悪ければ犯罪者扱いされる時代です。そのあたり、先生はどうお考えですか?何か良案がありましたらアドバイスをお願いします。ちなみに当院は開院以来、90年間医療訴訟はありませんが。。。

5 ■無題

つまり僕がいいたいのは。信号機に例えましょう。会陰切開を、「赤信号は危険だから青になるまで待ちましょう。」に例えます。そうしたら、文献の内容は、「赤信号で渡っても気をつければ死なない。だから待つことにあまり意味はない」となります。実際そうかもしれません。私も赤信号でも、全く持って安全なら渡ることもあります。でももしそれで事故したら、だれの責任ですか?本当は信号無視した私なのですが、訴えられるのは車です。

6 ■疑問

>初産の会陰切開率は、児がこれ以上は胎児心拍数モニタリング上、もう待てないとか、早く娩出しなければいけないと判断した場合のみに施行した時、41%であった。

「もう待てない」まで待っていいんでしょうか?だってそれから会陰切開したとしてそれですぐ赤ちゃんが出るとは限らないでしょ。

7 ■会陰切開って・・

私は23歳で始めてその存在を知りました。会社のおばちゃん達に「切るんだよ」と聞かされ、えー!?って思いました。そして結婚し、妊娠。いよいよ現実になるのか、と、考え出したとき、やっぱり恐い!
ただ、切る?そんなのやだ。とだけ思っていました。
案外赤ちゃんの安全よりもただ切るのが恐いってことしか頭にない人が多いのではないでしょうか。恥ずかしながら私はそうだった気がします。
妊娠後期になってから、ようやく私は、切らなくて済むなら切らないに越したことはないけど、まぁ切るのはしょうがないことだ、と認識しました。傷跡を誰に見られるわけでもなし・・。
そして出産。。帝王切開でした。お腹を切った私としては会陰切開したくらい何?って思ってしまいますがそういう問題ではないですね(汗)

アメリカを見習ってこれから日本でも会陰切開率が下がっていくのでしょうか。

8 ■お久しぶりです

良かった~♪ここ最近なかなか更新がなかったので・・・。

私は29歳の初産。分娩中やはり児心拍が落ちて急いで切開、吸引分娩でお産しました。私がお産した病院は、インターンのDr.が勉強する病院で分娩前に「インターンが付いていいか?」と聞かれます。
私自身も看護学生だった時に実習で患者さんから色々教えてもらったのでインターンの先生方にも頑張って勉強してもらいたいと「OK」の返事をしました。
そして、ベテランDr.、新米Dr.インターンDr.の3人がお産に付きました。ベテランDr.が見守る形で新米Dr.がお産をすすめていたのですが児心拍が落ちた瞬間にベテランDr.が急いで切開・吸引されてBABYも無事に生まれました。でも、切開しても少し裂傷したのでしょう・・・「切開したけど少し裂傷したので傷が痛いかもしれない」とDr.に言われ・・・母子手帳には「3度」と書かれていました。かなり傷口痛かったです。
でも、BABYが元気に産まれたので別に「もっと早くに切開してたら・・・」なんて事は思いませんでした。それに、綺麗に縫合されてたので安心しました(笑)
なので、ギリギリまで待っても直前で急いで切開しないといけない時に私の様にちょっと間に合わず裂傷もする事もあるので、私は切開はそんなに反対ではありません。
仕事上、裂傷も見た事あるので避けるくらいなら切開の綺麗な傷口で縫合した方がいいかな?とも思いましたが・・・。

先生に質問があります。日本よりアメリカの方が切開率が低いのは、アメリカは日本より無痛分娩が多いのも関係ありますか?
私も新米看護師だった時(まだ新米の様なものですが^^;)に産婦人科に勤めた事があるのですが、自然分娩では患者さんによって力んではいけない時に我慢出来ないで力んで避けてしまったりしてた事もあったので、そういう痛みに弱かったり、興奮状態の患者さんには結構切開してました。
私は自然分娩だったので無痛分娩がどのくらい痛くないのかわからないのですが、友達は無痛分娩で「全然痛くなかったよ」と言ってました。そしてやはり、切開もせずに無傷でお産してます。
無痛分娩での痛みの調節によって患者さんが落ち着いてゆっくり医療者側の要領にまかせて分娩しやすい分切開や裂傷率も下がるのでしょうか?米国の1979年代と2001年代の無痛分娩の頻度も同じだったのか?やはり最近の方が多い為なのか?教えて下さい。

9 ■妻の出産を間近に控え

分娩に関していろいろと調べて、初めて会陰切開という言葉を知りました。
初産の会陰切開率って、そんなに高かったんですね。
わが子と妻が元気であればいいとは思っていますが、会陰切開はできればして欲しくはないです。
しかし、あとは今かかっている医師が判断することですから、その先生が会陰切開をできるだけ控えることを望むだけです。

10 ■コメントありがとうございました。

>>りょんりょん様

ケースバイケースですね。
何も会陰切開を否定しているわけではないです。こういう考えが台頭してきていると言っているだけですから。先生ももっと勉強しましょうよ。文学的経験談ばかり話しても説得力はありません。

>>...さま

おっしゃるとおりです。
会陰切開の権限はどうみてもその場の担当医の権限ですので、自由に判断するべきです。
ギリギリまで待って何かあったらその医者の責任ですので、100%権限が委託されなくてはいけませんね。

>>りおかさま

お久しぶりです。どうでしょうか?
助産師中心の産院、病院では元々会陰切開率は高くはないかもしれませんね。
日本は米国の10年後をいつも追っていますから、今までの歴史をみていると大体マネするようになっています。
不必要なことはなるべくしなくなる時代になるでしょう。

>>ANGELさま

お久しぶりです。コメントありがとうございます。
実は、会陰切開の傷の方がきれいになおるというのも医者の思い込みなんですよ。そのうち、これもしっかり検証されてくると思います。

硬膜外麻酔分娩で、分娩第2期の遷延、吸引分娩率の上昇はありますが、会陰切開率の低下は聞いたことがありません。勉強します。

>>ももぱぱさま

いよいよですか?頑張ってほしいです。
元気が一番です。絶対、医者に会陰切開について、そのことを進言しないことをお勧めします。このコメント欄の医者のように過剰反応を示す場合が
多いと思われます。




11 ■無題

いろいろ読ませていただきました。

会陰切開に関しては、賛否両論ですね。そして、ケースバイケースしか言いようがないと私は思います。その判断をどうするか、というところに焦点をおくべきだと思います。

私も助産師の立場として、やはりノーリスにこだわってしまいます。初産に限らず、母児ともにローリスクの場合は、オリーブ油でマッサージして会陰を伸ばします。伸びます。
切開を入れなかった場合でも二度裂傷で済むのなら、傷の治りや痛みは切開を入れた時よりも経過が早く苦痛も少ないと言われます。

初産の会陰切開率は、その施設の方針が大きく影響されるのではないかと思います。
また施設によっては、医師と助産師の間にも、このテーマに関して温度差があるのも事実だと思います。
でも、ローリスク時の会陰切開率は、意識改革や努力次第で低下させられるのも事実だと思います。

12 ■無題

>日本は米国の10年後をいつも追っていますから、今までの歴史をみていると大体マネするようになっています。
不必要なことはなるべくしなくなる時代になるでしょう。

 そして、またアメリカでやっぱり必要、安全とか言い出したら、また10年遅れて日本がマネするんでしょうね(^^)。繰り返しです。人類が、何万年もお産をしてきて、どうして病院でお産をするようになったか、どうして会陰切開をするようになったか。。それは長い経験で必要と判断したからでしょう。それをここ数年の統計などで簡単に方針を変えるのもどうですかね。。。。しかもなんでもかんでもアメリカのまねしちゃだめですよ。体格も違う。 
 昔、切開を入れず、自宅や助産所でお産されたおばあちゃんの外陰部を観てください。小陰唇が片方無い。膣の形がボロボロ。肛門括約筋の断裂による直腸脱。。。
 もし切開したほうが自然に避けたよりも治る過程において、多少苦痛があったとしても、最終的には治るんですから。赤ちゃんも早く出たがっている。妊婦さんも苦しがっている、、切開して、早く出してあげましょうよ。どうしてそこまでノーリスにこだわるのかがわかりませんね。無理に会陰を伸ばそうとして羊水混濁どろどろで苦しそうに生まれてくる赤ちゃんを見てると、かわいそうです。赤ちゃんもお母さんも元気で退院されることがなによりの安産。切開するしないにこだわるなんてそのことに比べたら小さすぎます。

13 ■無題

>日本よりアメリカの方が切開率が低いのは、アメリカは日本より無痛分娩が多いのも関係ありますか?

もちろんあるでしょうね。切開する原因のひとつとして、妊婦さんが「もう痛い!!!だめー。早く出して!!!」と叫んでしまうのがあります。無痛分娩だとその分だけ切開は減るでしょうね。 でも一方では出来るだけ医療の手を加えずにノーリスでとかいいながら、一方では無痛分娩が多いってのもアメリカらしいですね(^^)。

14 ■はじめまして

はじめまして。もうすぐ1歳5ヶ月になる男の子の母です。
先生のブログ、過去の分も大変興味深く読ませていただきました。とても勉強になります。
私も、分娩時に会陰切開を受けました。担当の先生が頑張って会陰を伸ばそうとしてくださったのですが、息子が下がってくるスピードが速かったらしく胎児心拍数が下がったため切開となりました。
出産前にはなるべく切らずに済むようにと会陰のマッサージなどしていましたが、分娩台の上に乗ったからには担当の先生の方針に従う、と腹を括っていましたので「切開します」と言われたときにも「お願いします」と即答しました。
私の場合は息子を守るため、とはっきり言われたので、切開して頂いて元気に生まれて良かったです。

ですが、傷跡は後々まで痛みました。息子を守った痛みなのだ、と思うようにしましたが産後に何よりもつらかったのが切開後の痛みでした。
先生のブログにありますように、切らずに済むか否かをより慎重に見極めて頂けるのならそれに越したことはないです。
「切開をできるだけ行わない」方針ではなく「必要か否かを的確に判断」されるお医者様が、妊婦にとって一番ありがたいと思います。

15 ■妊婦が医師、病院を選べたら…

はじめまして。
いつも興味深く読ませていただいています。いろんな視点を知ることができ、とても勉強になります。

会陰切開に関して、ルーチンのように行われるケースには以前から疑問を抱いていました。
赤ちゃん、会陰それぞれ人によって違うのに、一律にそれがいいと決めてかかり、同じ処置をしようとするのはおかしいと思います。
助産婦さんのおっしゃるように、ケースバイケースなんだと思います。

少なくとも、当たり前のようにいいんだと思い込んで、何の疑問も持たず、誰に対しても会陰切開をするような医師、病院にはかかりたくありません。
妊婦と胎児それぞれの様子、経緯をしっかり見守った上での処置であって欲しいと思います。

最近、無痛分娩を希望する人が増えてきました。また、バースハウスなど助産婦さんが中心の施設を希望する人も。施設が少ないので受け入れてもらえず、または近くにないので、仕方なく受け入れてもらえる病院で産む、というパターンも多いのです。でも、これからますます少子化の時代ですし、ネットもあり情報が普及し、もっと妊婦が自分達のニーズにあった医師、病院を選べる時代になってくると思います。
多くの妊婦が、一律に行われる無駄な会陰切開をしたくないと思っています。

16 ■コメントありがとうございました。 その2

>>honey22さま

そのとおりでございます。全く同感です。
私は、児に負担にならない程度で、会陰切開は入れません。初産で約40%程度です。もっともっと当院の助産師
を信頼して、任せられればいいのですが。

>>小麦さま

冷静な分析であると感じます。まさに
そのとおりです。
小麦さまのパターンは、日常の分娩で
よくあります。やはり、痛いのですね。あらためて、お母さんたちに頭が下がります。

>>まみさま

そうですね。産婦人科もサービス業の認識のもと、患者さんの意見希望を重視しなければ、生き残れませんね。

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