これは我々にとって永遠のテーマである。

シンガポールでの分娩に関する研究で、膨大な数の分娩を対象としたものがある。

 

10万人の経膣分娩で何人の母体が亡くなるか?

10万人中3.2人だそうだ。

では、計画された予定の帝王切開術で、10万人中何人の母体が死亡するか?

なんと10万人中2.8人とずいぶん少ない

では、帝王切開は母体にリスクとならないのか?

 

そうではない。緊急の帝王切開術では、10万人中なんと30人以上母体は死亡するという

やはり、臨時の準備では、いざという時の対処が遅れる、または、それだけ母児ののリスクが高まった段階での緊急の帝王切開なのであるから、合併症の可能性も高まるのであろう。

 

帝王切開は、伝家の宝刀であり、児を安全に分娩させる究極の手段であるが、何らかの緊急で帝王切開となった場合には、明らかに母体の合併症は上昇すると思わなければいけない。ところが、何月何日に帝王切開します、という予定帝王切開では、母体リスクは経膣分娩と同リスクで済むということがわかった。

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先日、サプリメント好きの妊婦さんが受診したのだが、なぜかご本人はベジタリアンであった。

気になって、そのマルチビタミンの中のビタミンA含有量をボトルを借りて見てみたのだが、記載されていない。その製造元にTELして問い合わせたところ、1日の勧告摂取量の中にビタミンAは5000IU以上含有しているという。一方、ベジタリアンなのでどうみても十分なビタミンAは食事で取れていると思われた。

 

特に妊娠7週までに、ビタミンAを1日に10000IU以上摂取すると、胎児の眼、耳、口唇、口蓋の奇形率は通常の7倍に上昇することがわかっている。しかし、ビタミンAは視覚機能、体の基本的な代謝能、細胞の成長や再生に大切な要素であり、1日の必要量は2700IUと言われている。これは、妊娠中だからといって、増加するわけではない。

 

この方は、すでに妊娠10週代であったので、中止してもすでに遅いかもしれないが、早速、中止してもらい、出生前診断のカウンセリングで定評のある東京の某病院に紹介した。

 

大切なことは、昨今のサプリメントブームであるが、妊娠可能な女性は、普段からビタミンAの過剰摂取には注意が必要である。

私はシロートなのでわからないが、マルチビタミンの中のビタミンA含有量は一度、自分でチェックしておく必要があるかもしれない。

 

 

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満期になっても骨盤位(さかご)のままの妊婦はわずかに3%にすぎない。

 

では、どういう人たち、どういうタイプの人が、さかごのままで分娩を迎えるのだろうか?統計上の分析では下記の因子が重要であるようだ。いろいろ研究がある。

 

児に関連した因子は、低出生体重児、子宮内発育制限児、女の子、染色体異常児、先天奇形

 

母体関連因子は、初産、高齢母体、糖尿病、喫煙、子宮筋腫

 

私の経験でも、ほとんどの骨盤位の児は正常の児である一方、上記の因子とさかごはやはり関係が大きいなという印象を持っている。

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花粉症の妊婦さん

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ピークは去った感があるが、毎日何とかならないか聞かれて、いつも同じことを答えている自分にだんだん嫌気がさしてきた。

そう、抗アレルギー剤は、妊婦はダメだが、抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンという成分は妊婦は許されている。つまり、ポララミンという薬が有名だ。我慢することは無い。耳鼻科医は躊躇して妊婦には点眼薬や点鼻薬しか処方しないが、飲める内服薬はあるのだ。しかし、授乳中は原則ダメです。

 

また、お腹がかゆいんですという妊婦さんは季節を問わず多い。

今日も現れ、お腹をボリボリ掻いているのが印象的であった。そう、これは妊娠性掻痒と呼ばれる症状で、とにかく妊娠後期は特に皮膚がかゆいのが普通であるが、病的にかゆい人は可哀相である。ボチボチした湿疹を伴うのを妊娠性掻疹という。

これまた、一般的に花粉症の内服薬に入っている抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンという成分は有効でよく処方する。安全だが、抵抗感のある妊婦さんにはクリームのみ処方している。

そして、エビデンスに基づいた医療によると、なんとアスピリン(バファリンのこと)が有効であるようだ。量はなんと一日量が600mgを4回という。

うーん。いくら研究で安全で有効と証明されても、妊婦にかなりの量のバファリンを持続的に飲ませる処方をするのは私でさえ抵抗があるなー。

これは、まだ採用するのは止めておこう。自分が気になるものは採用しないことにして、しばらく情報収集するのが賢明だ。

入院して分娩中の妊婦の歩行、運動は分娩を速やかにし早める効果があるかのように言われてきたが、特に効果は無いということが証明された。

これは、98年のNew England Journal of MedicineにてBloomらによる大規模な研究結果が掲載された。この雑誌に掲載されたら最後、私たちはもうその事実にひれ伏して従うしかない程の公明正大で超一流雑誌なのである。

よって、またもや、今までの慣習に逆らうようで、ベテランの産科関係者のヒンシュクを買うかもしれないが、分娩中の妊婦が分娩が進行しないからと言って無理に歩かせたりしても、別に分娩時間は短縮しないのである

ただ、歩いても副作用は無いので、妊婦が歩きたいと希望すれば歩いても良い。しかし、胎児心拍数モニタリングができないので、ほどほどにして欲しいものだ。