近年、自宅分娩や助産所でのお産が見直されている。
果たしてどうなのだろうか。
米国でもメディカルセンターの横に、医師不在の産院(助産師、看護婦のみのバーシングセンター)があった。

自宅分娩あるいは医療施設以外の場所での分娩を選択したとき、母児の危険度があがるかどうかの研究がある。

97年の自宅分娩に関するメタアナリシス(Birthという雑誌)があるが、ローリスクを厳選して自宅分娩を行ったときは、周産期死亡率や母体リスクは病院での分娩に比べて変化なく、また、医学的な介入、処置も少なく済んだというものだ。その点で母体の満足度は高いものになっている。

なんだ!これでは良いことずくめで我々産婦人科医は必要ないではないか!と思ったら、なんと、失礼なことにちょっとでも気になる妊婦は事前に病院送りになっているではないか!これがかなりの数に昇る。しかも、異常は確かに発生しているものの、すぐに基幹病院(救急体制の整った高度医療施設)に送られている。
つまり、確かな腕の専門家が、ローリスクのみを選べるかどうかが重要なのである。そして、何かあったら、すぐに救急体制で搬送できるかどうかがそれ以上に最も重要といえる。

これは、果たして日本で可能かどうか?妊婦さんと自宅分娩担当の助産師が十分話し合う必要がある。そして、助産師は本当に産科救急の怖さを十分知っているかも重要であろう。3次救急や後方支援病院と連絡を蜜にしているのならば問題ないのだが。

その上での自宅分娩ならば、当然妊婦さんはリスクを承知の上での事と思われる。もし、悲劇的なことが起こったときには、患者自身の自己責任も問われることになろう。


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性別判定のリクエスト パート1

http://obgyn0331.ameblo.jp/day-20041121.html

今日は、3人の男の子のいるお馴染みの妊婦さん(4人目の妊娠で女の子が欲しい方)が来たので、世間話をしながら超音波をしていると、何気なく画面におちんちんが映った。私は、ヤバイと思い、すぐさま違うところを映して知らん顔していると、

妊婦  「おちんちん?男ですか?また。」
私   「いえ。わかりませんけど、、、。」
妊婦  「先生。本当のことを言ってください。私は今度は女の子って確信しているので大丈夫ですから。」
私   「まだ早いですよ。見ても自信ありませんので。今度は生まれるまでの楽しみにしておきましょうよ」
妊婦  「本当ですか?うれしい!先生、そこまで言うんなら期待していいんですよ
     ね。やったー!」
私   「わかりませんよー。
妊婦  「もうー言わなくてもいいですよ。先生の顔に女の子ってかいてありますよ
    ーだ」



私   「どうしようー」

分娩のときは、他の先生に頼もうかな。



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90年代初頭、米国を中心とする帝王切開率の上昇に歯止めをかけるために一時流行ったのだが、その結果、何でもかんでも帝切後に経膣分娩を勧める風潮が出来上がってしまった。結局、0.7%-1%程度の患者が子宮破裂のために母児がとんでもない状態に晒されることになってしまい、今世紀になって急に下火になったのである。
つまり、昔のように一度帝王切開したら、次の子も帝王切開で産むというのが安全であるということだ。


でも、万が一、不幸にも子宮破裂したとしても輸血や救急処置、超緊急手術(子宮摘出術)が行える3次救急病院なら母体を救えるらしいので、そういう施設でのVBACなら容認できるという見解が米国で出ている。こういう超優れた施設は果たして日本にあるのかは私は知らない。
おそらくは一部の病院でできるとは思っている。

妊婦さんは、やはりVBACによる成功率の高さ(50-80%)のみならず、1%以下だが、子宮破裂が自分に起こった時にその施設で果たして自分が助かるのかどうか十分に医師に説明を受けねばならないだろう。

私自身は90年代に大学病院でVBACを推奨していた一味であったが、子宮破裂も経験した。輸血量は10000cc以上に及び、子宮を摘出してかろうじて止血した。子宮のみならず、周囲の骨盤の静脈叢まで裂けてしまった。児は救命できなかった。
当時は、このような大惨事はなかなか起こりにくいとされていたし、風潮として、患者さんの希望を極力取り入れ、母体の負担が軽い経膣分娩が推奨されていたのである。
そして、大多数のVBACの成功例では患者さんに喜ばれたのである。

でもどうだろう。大学病院だから母体は助かったのであると、確信を持って言える。個人開業医でVBACをやったら、、、、、、。ご想像にお任せする。

  米国産婦人科学会2004年7月号のPRACTICE BULLETINによるとVBACをしてはいけないタイプははっきりしている。

1.前回の子宮の切開創が縦切りの人(古典的切開やT字型切開)
2.かつて子宮筋腫で筋腫のみの切除手術(筋腫核出術)を経験している人
3.産科医、麻酔医、手術室スタッフが十分でない状況
4.帝王切開歴2回以上で経膣分娩歴がない人

特に3番目の項目は重要であろうと多くの医者は認識していると思うが、意外にVBACがうまく行くことに味をしめていると、ある確率でいつかは痛い目に会う事が想像される。
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このことを超音波診断の際、患者さんに聞かれることが多いが、誰かが過剰にこの問題に関して妊婦の不安を煽っているのであろうかと思うくらい、心配のない現象である。

臍帯巻絡は、超音波診断装置で胎児の頸部周辺にプローべを当ててカラーフローにすると比較的見易いと思われる。

しかし、出産の時には全分娩の約25%に認められる現象で、帝王切開率や新生児予後に影響を与えない日常茶飯事のことである。

新しい患者さんの問診で、帝王切開歴のある妊婦さんの場合、前回の妊娠での帝王切開の理由を聞くと、医者から臍帯巻絡のせいで児の下降が妨げられ分娩が停止したから、と答える方も時々いらっしゃる。わけのわからない空想によるその医者独自の仮説としか言いようが無い

臍帯巻絡が無害であるという事を裏付ける研究は、欧米に最近の論文でもいろいろある。研究対象は1000人から5000人ぐらいが多く、これらの論文は信頼できるのではないだろうか。具体的論文が思い出せないので申し訳ないが、妊婦さん達の赤ちゃんへその緒首に巻きつき問題の過剰な心配は無用であることを啓蒙したいのだ。
悩んでいる。最近は、外来受診中に予定日がわかり次第ノートをみて、その月の分娩予定者が90人を超えたら分娩予約をやんわりお断りをしている。
皆さん残念そうにするので大変申し訳なく思っている。
一昨日は、なんと一日で11人生まれた。当院始まって以来の大騒動、野戦病院のようであった。
分娩監視装置もベッドも分娩台もすべて足りず、休日のスタッフまで臨時で呼び出して対処した。幸いなことに帝王切開もひとりもなく母児共に皆安全に自然分娩であった。しかし、居場所が無いのである。よって、休憩室や沐浴室、診察室の一部のスペース等、フル活用してなんとか一泊は済んだ。

ところが、無事に何事も無く生まれたある妊婦さんのご両親が、うちの娘をこんなところに居させるとは何事か!とナースに怒鳴り込んできたのである

普通のご両親(赤ちゃんの祖父、祖母)は、このことを不満に思っていても我々にまず、無事に生まれた事に関しての礼を述べるのだが、いろいろな人がいるものである。
我々も慣れたものだ。こういうクレーマーの方に対しては、あのような台詞を吐いたご自身に自嘲の念と後悔の念を抱かせる術を我々は知っている。

「ーーさん。本当におめでとうございます。よかったですね。とても混んでいてご不自由をおかけして大変申しわけございません。
たくさんの方が皆元気に生まれました。土日で13人も生まれて当院始まって以来のことですが、職員も臨時でたくさん駆けつけて、臨戦態勢で望み事故も無く皆さん無事に出産していただきました。とてもおめでたく、私たちも全力をつくすことができて満足しております。
そして、ご本人はもちろん、多くのご家族の方もいらっしゃって皆、この混雑の状況にびっくりされましたが、赤ちゃんに対面してたいへん喜ばれ、そして我々にもお礼のお言葉まで頂戴いたしました。
早急にこの状況は対処するようにいたしますので、なにとぞ今しばらくお許しください。」

外来で分娩をお断りするのと、もう少し値上げして自然に分娩数が減るのを待つのとどちらがいいと思いますか
我々にとっては、後者の方が気が楽であるし、値上げ分分娩が減っても売り上げは減らないので、仕事量も減るし1人の妊婦さんへのケアも増え、事故のリスクも減り理想的な戦略なのであるが、患者さんはそうは思わないであろう、、、。
28歳の時に、知人に大金を借りて自費で米国に産婦人科修行に出た。LAにある某メディカルセンターに2年間も見学生として置いてもらったのだが、ここでの最新の産科医療に魅せられて、今に至っている。どうしても日本の産科医療が遅れて見えて仕方ないのである。こんな調子だから、帰国して他の先輩や同僚とうまく行くはずがなく、若くして独立したしだいである。

ところで、お産のとき、特に貧困層の方は、あちらでは大学病院で産むのであるが、その人達の分娩のいきみの頃になると、突然現れて「頑張れ。もう少しだ。さあ、行こう!」とか、英語あるいはスペイン語で叫んで患者の手を握り一生懸命はげましている人がいた。
彼女らは看護スタッフでもなく、医師でもなく、家族でもない。
なんだと思ったら、ボランティアの人であった。
そう、ひと呼んで、ザ・レイバー・コーチ(分娩コーチ)という役割の人なのである。
これは、もちろん日本には見られないおもしろい役割を担った人たちである。

最初の1年間、私は、この人たちは妊婦の家族だと思っていたのだが、1年間で
何回も同じ顔が現れることにようやく気づいて「あなたは誰なの?」と質問して
ようやく分娩コーチの存在に気づいたのであった。
これは、世界で有数の超音波の専門家の間で、永遠のテーマであったが、近年
妊娠10週から14週程度で、胎児の首の後ろの皮下組織の厚みを計るNuchal Translucencyがスクリーニング法として確立されつつある。

しかしながら、我々一般の産科医がこれを使うを、つまり、乱用すると、患者さんに余計な心配ばかりをさせることになる。あくまで、遺伝の専門あるいは出生前診断専門の医師のもとで、解釈されるべきだ。

確定診断は、あくまで羊水穿刺による染色体検査でなければわからない。
羊水穿刺は300分の1の確立で流産がおこるので、一般的には35歳の方(ダウン症のリスクはこの年令で296分の1)で、リスクとメリットがトントンである。

むやみに、25歳の妊婦さんの胎児のNuchal Translucencyを計測して3mm以上なので、羊水穿刺を勧めたり、母体血清トリプルマーカーを勧めるという短絡的で素人産科医のようなことを我々はすべきではないのである。

ではどうすれば良いのか。35歳以上の方には、羊水穿刺というしっかりした診断法の存在と、そのメリット、デメリットのみを説明する。ご本人が十分理解した上での希望なら検査をする。35歳未満の方には、特に説明はしない。
母体血清トリプルマーカーはリスクはないが、35歳未満の妊婦さんに不必要な羊水穿刺を増加させる可能性が高いし、営利目的の業者の煽りが現在強く、検査が乱用されている印象がある。

25歳や30歳の妊婦さんがダウン症を心配して聞いてきたらどうするか?25歳で1040分の1、30歳で700分の1しかダウン症は生まれないことを説明し、羊水穿刺による流産率の方がその年齢では高いことを理解してもらうのが正しいと思う。

結論として、一般産科医はダウン症は超音波ではわからないし、また、診断しようとすべきではないのである
いつも聞かれるのだが、今日は5人の方に聞かれて、同じ事を説明していたら、だんだん疲れて嫌になってしまった。
当院では、予定日前後まで一回も内診しないので、妊婦さんが時々心配して聞いてくるのである。もちろん、子宮収縮の訴えなどにより健診中にすることももちろんある。

内診によって、

子宮口がどのくらい開いているのか?
柔らかいのか?
まだ、児頭は高いのか、少し下がってきているのか?
子宮口はまだ、後方で奥か?

こういうことがわかるのだが、児の下がり具合や子宮口の開き具合と陣痛開始がいつなのかは、全く関係ないのである

いつ陣痛が来るかはわからないが、陣痛が十分発来後、比較的進みやすいかあるいは、時間がずいぶんかかるのかは、ある程度、内診所見に相関するのである。


「わかりません。よって、頻繁な内診は意味がありません。
ただ、分娩誘発が成功しやすいかはわかります。よって、41週代や42週間近の方にはとても大切な検査なのです。」

以前の私の関連記事は以下のとおり、

http://obgyn0331.ameblo.jp/day-20041223.html



と、前回の妊娠初期に流産された方に質問された。

私はいつもこう答えている。

流産歴が0回の方は、今回の妊娠の流産率は16%
流産歴が1回ある方は、今回の妊娠の流産率は18%
流産歴が2回ある方は、今回の妊娠の流産率は25%
流産歴が3回ある方は、今回の妊娠の流産率は45%

「というデータが有名であるので、前回1回流産した方の次の流産率は
18%と、ほとんど変化しないので気にしないでくださいね。」

というと、皆さん十分納得してくれるのである。

習慣性流産として、母体の種種の検査をお勧めするのはやはり、流産を3回繰り返している方である。
理由は、このままでは次も流産する可能性が45%と、約半分は流産してしまうので、原因と対策を調べて対処する必要があるからである。

厚生労働省が今頃、妊婦の体重増加不足を問題にして、各新聞に本日記事が出た。
やはり、2500g未満の低出生体重児が増えているのである。これらの児は、出生後にいろいろ弊害が出やすい。
BMIが低めの妊婦さんは12-15kgぐらいは増えるべきなのであるが、37週の時点で、体重増加が7kg未満であると、低出生体重児の率が約20%になっているようだ。

そもそも産婦人科の指導が悪いと思う。
今時、8kg以内に抑えましょうなどと、ばかげた指導をしている遅れた施設が多い。これは肥満の人向けの指導である。普通の人はやはり、9-12kgは増えて欲しい。

私は以前、以下のように記事を書いた。


http://obgyn0331.ameblo.jp/day-20050201.html