牛達への手紙 ④

悲惨な牛舎を後にすると右手に小綺麗に整った牛舎が見えました。


放牧場に牛の姿は無く、避難前に然るべき処置をなさったんだろうと胸をなで下ろして山へ向かいました。


帰りは思いの外遅くなり、夕闇迫る中にチラッと見えた黒い影…首を垂れてじーっとたたずんでいる


小さめの牛のシルエット…牛が夕方あんな風に首を垂れて佇むなんて…おかしい!?


馬を放牧場から戻すのにギリギリの夕闇が迫っていて、明日朝早く来るから…と詫びて帰路を


急ぎました。


夜は知り合いの牛飼いさんに悲惨な牛舎の畜主の連絡先を尋ねても解らず、あの牛舎から伸びる急坂


の上にも肥育牛が50頭位飼われていることを聞き、頭の中は真っ白あせる


彼の声が耳元で「あそこは無理だってビックリマークやめろ…牛飼いの神経逆撫でする事だけはすんな!!


だれも死なそうと思って家を離れたわけじゃねーんだから」


「この地区だけで何百頭居ると思ってんだ?」


…その声に自分に出来る限界を超えていることを認識し、涙が溢れてきました。


消防車と近くに河川と体力と員数が揃わらなければ末期の水さえ与えられない…


牛丼なんか食うな!すき焼きなんか食うな!ハンバーグなんか食うな!

ビーフステーキなんか食うな!


悲しい叫びが心を締め付けてきます。続く

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