牛達への手紙 ①

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脚を折って座り、ノンビリとゆったりと食べ物を涎を垂らしながら反芻するあなた達の姿は、その穏やかな眼差しと共に何よりも平和そのものを象徴しているように感じるのは私だけでしょうか?そのあなた達を原発事故による悲劇が襲いました。「放射能」の言葉に地域全体が緊急避難して、牛だけで無く、馬も鶏も犬も猫も池の鯉も鉢植えの花々も世話する人を失い、命を落としたもの達の数は数え切れないでしょう。古巣に帰ってきた燕さえ、水の無い田んぼに命の危機にさらされています。そんな中、愛情深い飼い主と様々な幸運に恵まれた命だけが細々と命の灯を繋いでいます。あなた達牛さんは、昔は田んぼを耕し、稲藁や畦の草を食べ、牛糞は農家の貴重な有機肥料となりました。そんな時代は一家に一頭飼われて、大事な働き手として家族の一員でした。日本の食が欧米化するに伴い、牛乳や牛肉の需要が急激に増え、多頭飼育をする専門農家や資本家が経営する大規模な牧場が現れました。命が物へと変質していったのです。そんな中でも、個人で経営する農家さんは、出荷の正にその時まで深い愛情で接してくれました。そんな飼い主さんが去り…地震よりも放射能よりも怖い「飢え」と「渇き」があなた達を襲いました。
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