高校授業料の無償化に関し、≪少し甘やかしすぎでは≫≪みんな格差なく平等というのは結果、だめ人間を増殖する≫と指摘する男性(62)の意見を以前紹介したが、和歌山県に住む辻貴之さん(59)=ペンネーム=は、3月に出版した「民主党政権と破壊衝動」と題する著書の中で、「高校無償化の無意味さ」として2ページにわたって持論を展開している。

 辻さんは30年以上公立高に勤務し、昨年退職したばかり。現場経験を踏まえ、無償化を「バラマキの典型であり、予算の無駄遣いの典型でもある」と断じ、「『タダほど高いものはない』という結果になるのが目に見えている。『授業料が払えなくて高校へ行けない生徒をなくす』ためならば、高校生全員を対象とするのは筋が通らない」と批判している。

 「塾でもカウンセリングでも、それにかかる費用が高いほど効果が上がる。少なくとも、そのような傾向がある。費用がかかると、利用者の真剣度が増すのである。たやすく手に入れられるものからは学ばない。それが人間なのである」

 その上で、大半の生徒が高校に進む実情についても、手厳しく切り込む。

 「裏を返せば、適性がないにもかかわらず、高校へ進学してくる生徒が多いということである。高校へ行っても学ぶ意欲がなく、青春という貴重な時間を無駄に過ごす生徒も少なくない」

 舌鋒(ぜつぽう)は保護者にも向かう。辻さんは「わが子を一人前の成人に育てるのは、経済面も含めて基本的には親の責任なのである。それなのに政府が安易に援助すれば、親もまた自らの責任を軽く考えてしまうことになる」と警鐘を鳴らす。

 無償化は、「教育費の負担の重さを考えれば、安心して子供が産めない」という社会的要請に照らして必要というのが、そもそもの出発点。だが、個別の経済事情を考えない画一的な補助は、かえってモラルハザードを招きかねないというのが辻さんの指摘だ。

 制度は始まった。ならば、保護者の側はいかなる責任感を持つべきか。最終回に、今一度考えてみたい。(健)

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