AFTER THE GOLD RUSH

とおくまでゆくんだ ぼくらの好きな音楽よ――


テーマ:

山城博治(ヒロジ)は怒っていた。有明防災公園で開催された5.3憲法集会。会場を埋め尽くした5万5千人の参加者の前で、腕を振り上げ、声を嗄らしながら、「辺野古で護岸工事と称する埋め立ての一部が始まろうとしている。しかし、埋め立てはできない。新基地はできない。沖縄県民は、政府と真っ向から抗していく。我々は負けないのだッ!」と力強く叫ぶ姿は、まるで燃えたぎる憤怒の炎に包まれたシーサーのようであった。彼の怒りの刃の切っ先は、憲法を改悪し戦争の道へと突き進まんとする安倍政権に、すべての抵抗運動を圧殺する危険性を孕んだ共謀罪に、さらに、厄介な問題は何もかも沖縄に押し付け、晴天泰平の夢をむさぼっている厚顔無恥なヤマトンチュに向けられていた。

沖縄平和運動センターの議長。昨年10月、辺野古の新基地建設と東村高江地区のヘリパッド建設への抗議活動に関連して逮捕・起訴され、5ケ月間にわたって長期拘留された。この不当な弾圧に対して、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「デモや座り込みを含む抗議行動を表現の自由として保障する義務を日本政府は負っており、山城さんの逮捕・拘禁は運動への委縮効果を生む恐れがある」との懸念を表明し、検察当局に「国際人権基準に則って速やかに釈放するよう」強く求めていた。このような支援を受け、3月にようやく保釈。しかし、厳しい接見条件が付いているため、いまだに辺野古の現場には戻れない。ならばと、全国を回って、沖縄の現状を伝えることにした。

とにかく滅法明るい人である。4日に渋谷のロフト9で開催されたトークイベント「山城博治さんと語ろう」でも、満員の会場は何度も爆笑の渦に包まれた。「状況が厳しいので、心折れないように、自分の心を支え、周囲の人の心も気遣いながら、このように語り合う時間が今一番大切なのです」と静かに話し出す。それは、前日の憲法集会で激烈なアジテーションを飛ばした人と同一人物は思えない程穏やかで柔らかな口調。そして、自らの深刻な事象や問題を明るくユーモラスに描写する語り口は、楽天的で大らかなウチナーンチュの気質から来るものであろうか。聴衆を惹きつけ、一時も飽きさせることがない。誰もが目を輝かせながら、ヒロジさんの話に聴き入っている。

「沖縄には、日本国憲法で保障されているはずの平和も人権もない。まさに憲法番外地。一刻も早く本来の日本国憲法を取り戻したい。」
「日本政府にこれだけ無理を強いられると、沖縄の人の心は本土から離反し、独立も考え出すだろう。しかし、沖縄の独自の文化は、日本の中でも輝き、日本を非常に豊かなものにしている。だから私たちは手を携え、共に進んでいかなければならない。」
「一千万の人が観光に来る島に軍事基地を置いた方が経済的効果があるなんて議論は倒錯していて話にならん。平和でなくては、観光も成立しないのです。」
熱い言葉がポンポンと飛び出す。

安倍首相が前日に発表した、憲法第9条の1項と2項を残しつつ自衛隊の存在を明記した条文を追加するという提案については、「安倍さん位の頭じゃないと理解できない」と笑い飛ばしつつも、憲法改悪が現実のものとなった今、来るべき衆議院選挙では改憲勢力に3分の2をとらせてはいけない、政党も市民も小異を捨てて、「憲法を変えさせない 日本を軍事国家にしない」の一点で共闘すべきと訴える。

会の後半は、マガジン9編集長の鈴木耕さんの司会で、映画監督の三上智恵さん、社民党前党首の福島瑞穂さん、元自衛官の井筒高雄さん、SEALDs琉球の元山仁士郎さんも加わったトークとなり、日米地位協定の問題、先島諸島の軍事化の問題、そして、共謀罪の問題などが真剣に、そして一方で、何度も笑いに包まれながらの明るく勇気に満ちたムードで語られた。

ヒロジさんは、2年前、悪性リンパ腫で5ケ月間の壮絶な闘病生活を経験している。そして、昨年は5ケ月間の拘置生活、しかし、いずれも乗り越えた。その姿を、三上智恵監督は、不死鳥に例える。三上監督の作品「戦場ぬ止み」に印象深いシーンがある。2015年1月10日深夜の辺野古シュワブゲート前。騙し討ちのように入ってきた工事用のミキサー車20台に、ヒロジさんを先頭に住民有志が立ちはだかる。抗議の末、10台は阻止した。逮捕者も出さなかった。しかし、別の場所で一人の住民が逮捕されたことを知る。ヒロジさんは、仲間に話す。
「夜が明けたら取り返しに行こう。名護署を包囲しよう。誰か捕まりそうになったら、それを最優先で取り返す。仲間を救うことができなければ大衆運動はできないんです。大衆運動は、一人の人間を全員で助け出すという決意があるからできるんです。捕まった奴は自己責任と言ったら、恐ろしくて誰もやれない。ね、いいですね。いつも言ってる。大衆運動は、誰か捕まりそうになったら、皆で助ける。」
この決意を、2012年6月以降の東京の運動は忘れてしまったのではないだろうか。そして、その運動の変質こそが、現在の大衆行動の無力化の一因のような気がしてならない。
(主催の大木晴子さんとロフトの加藤梅造さんに心より感謝いたします。)

AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

nyarome007さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。