ユジャ・ワン ピアノリサイタル

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もうかれこれ1週間前のことになりますが、「ユジャ・ワン ピアノリサイタル」に行ってきました。

14日の京響定期演奏会に続き、再び京都コンサートホールにて。
(この日は、ごまがどうしても休みを取ることができずお1人さまです。)





2週間くらい前にアナウンスされていましたが、当初予定されていた演目が変更になりました。

今回のプログラム
・スクリャービン/ピアノソナタ第2番「幻想ソナタ」
・プロコフィエフ/ピアノソナタ第6番
・リーバーマン/ガーゴイル
・ラフマニノフ/ピアノソナタ第2番



$おもひでぺたぺた♪


ユジャ・ワン(王羽佳 Yuja Wang)
1987年北京生まれの現在26歳。6歳からピアノを始める。
2002年から2008年まで、フィラデルフィアのカーティス音楽院に籍をおき、ゲイリー・グラフマンに師事。

僕がユジャ・ワンを初めて知ったのは、デュトワ指揮N響とのラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」の共演です。
初心者がみても分かるほどの安定した素晴らしい技巧と、第18変奏の美しい音色が印象に残っていて、
デビューアルバムも発売後、程なくして迷わず購入。
それが2008~9年にかけてのことだったので、ようやく会えたという感じです(笑)



ちなみに今回のリサイタルで当初予定されていたのは、
・ドビュッシー/ピアノのために
・スクリャービン/ピアノソナタ第6番
・ラヴェル/ラ・ヴァルス
・ラフマニノフ/幻想小品集より第1番「エレジー」
・メンデルスゾーン(ラフマニノフ編)/真夏の夜の夢よりスケルツォ
・ラフマニノフ/楽興の時より第4番
・リーバーマン/ガーゴイル
・ラフマニノフ/ピアノソナタ第2番
です。

リサイタルの前半部分が大きく変更になりました。
ラヴェルのラ・ヴァルスが聴けなくなったのは残念でしたが、個人的にはピアノソナタが1曲ずつの変更後の方が好みです。
(○○より第○番のような構成は、心の中の不完全燃焼感が拭いきれません。)




バブル期のジュリアナ東京で見かけそうなボディ・コンシャスな黒い衣装、7~8㌢くらいのピンヒールでユジャ・ワン登場。
えっ!?そんな恰好でピアノ弾くんですか!?という軽い衝撃(笑)。ショートヘアがよく似合っています(*^.^*)


1曲目のスクリャービン/ピアノソナタ第2番は、デビューアルバム収録の作品。
右手の柔らかなタッチから繰り出される音が、
別世界へ連れて行ってくれるような夢心地の気分にさせてくれ、まさに「幻想」の第1楽章。
激しい中間部と対照的で音色の使い分けが巧み。
プレストの第2楽章は、強弱のつけ方が明確で力強い低音が印象的でした。
ショパンのピアノソナタ第2番第4楽章に少し似ていますね。


2曲目はプロコフィエフ/ピアノソナタ第6番
ピアノの打楽器的側面に触れる第1楽章。暴力的な低音が力強い打鍵から生み出され、鍵盤の上を目一杯、指が忙しく動き回る。
諧謔的な第2楽章は体を揺らしながら、楽しそうにリズムを刻む。
第3楽章はゆっくりとしたワルツということですが、葬送曲のような悲しみを含んだ表現に感じられました。
鋭く切れ、動きに富んでいてテクニカル。不気味で少し諧謔的。現在のユジャ・ワンの魅力を伝える「彼女向きの」演目だと思いました。
性格は違いますが、ピアノソナタ第7番との相性も良さそうです。


休憩をはさんで3曲目。
リーバーマンのガーゴイル
ガーゴイルとは、プログラムによると西洋建築の屋根に施された、動物や怪物の彫刻のことで、雨どいの役割を果たすものだそうです。
そのガーゴイルにインスピレーションを受けて作曲されたのがこの作品。
第1曲の終結部、中央を起点として扇のように手が広がっていくのは、パフォーマンスとしても爽快。
プロコフィエフのソナタの第1楽章でも聴かれた、不気味な鐘の音のような音型が支配する第2曲。
ラヴェルの「水の戯れ」を思わせるような第3曲では、透明感にあふれた音が会場を包みます。


プログラム最後のラフマニノフ/ピアノソナタ第2番
ピアノソナタですが、形式にとらわれない即興性があり、緩急や強弱などによる表現力が弾き手に求められる難曲だと思います。
力強く鳴らされる圧巻の出だし。
緩やかに流れ抒情的な第2楽章の演奏は、優美でアンニュイな感じを漂わせ、雰囲気たっぷり。
最終楽章の緩急のつけ方などもビシッと決まっていて感動的ですらあります。
この作品の演奏を聴くと技巧だけでなく表現力のあるピアニストと感じられます。出色の出来栄えではないでしょうか。


「ブラヴォー」も当然ありましたが、それ以上にその圧倒的なパフォーマンスに会場がどよめいていました。
開演当初は、少しひんやりしていた会場が、ラフマニノフのピアノソナタが終わるころには汗ばむほどの熱気を帯び、
そして、曲が終わるとこれまで見たことがないくらいの人がスタンディングオベーションで立ちあがっていました。


アンコールはどれも初めて耳にする作品ばかり。
前半の2曲は、早送りのVTRを見ているような指の動きからも分かる超絶技巧の難曲。
グルック作曲ズガンバーティ編曲の「メロディー(精霊の踊り)」の優美な曲で最後を締めるあたりは心憎い選曲です。
目を閉じながら、その澄んだ音色に浸りました。





終演後、サイン会が行われるとのことだったので、
彼女の第2作「トランスフォーメーション」を購入して、目の前でサインしてもらいました(*^.^*)




まだ26歳の若さゆえに、その技巧が注目されがちではありますが、
10年後そして20年後と深化した彼女がどのように形容されるのか非常に楽しみです。
何故だか分かりませんが、リサイタル中の演奏を聴いて、ドビュッシーの前奏曲集第1巻をリクエストしたくなりました。

兎に角、すごい演奏を目の当たりにした特別な夜でした。次も必ず観に行きます。

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